ボブスレーとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > ボブスレーの意味・解説 

ボブスレー【bobsleigh】

読み方:ぼぶすれー

氷上スポーツの一。直線カーブ組み合わせた氷のコースを、鋼鉄製のそりで滑降するもの。冬季オリンピック正式競技で、二人乗り男子女子)と四人乗り男子)の3種目がある。

[補説] 流線型のそりに乗り轟音(ごうおん)を立てながら疾走するさまから「氷上のF1(エフワン)(レース)」ともよばれる


ボブスレー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/11 06:22 UTC 版)

ボブスレー
滑走するボブスレー
統括団体 国際ボブスレー・スケルトン連盟
起源 1870年代スイス
特徴
カテゴリ そり競技
用品 ボブスレー等
競技場 専用滑走場
実施状況
オリンピック 正式種目
世界選手権 IBSF世界選手権
パラリンピック 行われない
テンプレートを表示
4人乗りボブスレーのスタート
ダボスのボブスレーチーム(1910年ころ)

ボブスレー: Bobsleigh, Bobsled)は、独特な形状と機構を持つ専用のそりに乗って、氷が張ったコースを滑走して、タイムを競う競技で、ウィンタースポーツの一つ。最高速度は130km/h - 140km/hに達し、「氷上のF1」と呼ばれる。

概要

オリンピックでは1924年第1回シャモニー・モンブラン冬季大会から正式競技として行われている[1]

競技は1台ずつで行われる。選手は呼吸を合わせながらそりを押して走り、加速をつけて素早く乗り込む(押す距離は約50〜60m)。この時、1人でも乗り込めなかったら失格になる。あとはドライバーがハンドルを操作、残りの選手は空気抵抗が少なくなるよう頭を下げ、約1300mの曲がりくねったコースを滑降、タイムを計る。スタートダッシュでどれだけ加速できるかが、勝負を大きく左右する[2]。また、選手の技術だけでなく、そりの性能の差も勝敗の鍵を握ると言われる[3]。そり本体と選手の体重を合わせた合計重量には制限があり、男子2人乗りは390kg、男子4人乗りは630kg、女子2人乗りは340kgとなっている。競技は2日間に4回滑り、順位を決める。

2023年現在、日本国内でボブスレーの競技が可能な施設はなく、休止されている施設を含めると、2018年から全面休業となっている、長野五輪で使用された長野県長野市の「スパイラル」(長野市ボブスレー・リュージュパーク)1か所のみとなっている。また、1999年2003年には札幌市フッズスノーエリア藤野コースで、ボブスレーの試走も行われた[4][5][6]。 藤野コースの全長は1000m強だが、ボブスレー目的で使用しているのは500m程度である。したがって国際大会などには使えず、国内大会や練習の目的で使われている[7]。なお札幌五輪で使用された手稲山ボブスレーコースは2000年1月に閉鎖されている[8]

ボブスレーのそり

ボブスレー用のそりは、鉄製のシャーシに流線型のFRP製カバーをつけたもので、前方にハンドル、後方に停止用のブレーキを備えている。ブレーキはフィニッシュまで使えない。

前方と後方の底面には、左右にランナーと呼ばれる刃(エッジ)を計4枚備えており、それで面を滑走する。前方のランナーは舵になっており、ドライバー(パイロットとも言う)が操るハンドルと連動して左右に振ることができる。

ボブスレーのそりには2人乗りと4人乗りのほか、モノボブと呼ばれる1人乗りのそりがある。

近年では、競技向けボブスレー用そりは空気力学の観点からの研究開発が進んでおり、バンクーバーオリンピックではイタリアチームがフェラーリ製、ドイツチームではBMWが開発に協力したものを用いており、ソチオリンピックではイギリスチームがマクラーレンの開発したものを用いるなど[9]レーシングカーの開発とよく似た開発競争が繰り広げられている。日本でも長野オリンピックの際には童夢の協力によるボブスレーの開発が構想されたことがあるが実現せずに終わった。世界的には競技が盛んなラトビアに本社を置くBobsleja Tehniskais Centrs社(ボブスレー技術センター社、通称 BTC)のシェアが高い[10]

2012年には、童夢の関連会社である童夢カーボンマジックが東京大学や東京都大田区の中小企業らと共同で女子用の二人乗りボブスレー・通称「下町ボブスレー」を開発[11]、同年12月に試走を行った。下町ボブスレーは日本代表チームには採用されなかったため、『クール・ランニング』で有名なジャマイカ代表チームと契約を結んでそりを無償(ただし、下町ボブスレーでオリンピックに出場しなかった場合は6800万円の違約金をジャマイカが支払う)で提供した。そして2018年の平昌オリンピックではジャマイカのチームがこの「下町ボブスレー」で出場する契約であったが、下町ボブスレーを使用したジャマイカのボブスレー男子チームは予選落ちした[12]。女子チームは他社のそりでオリンピック出場を決め、性能不足を理由に下町ボブスレーのオリンピックでの使用をキャンセルされた[13]

歴史

スイスアルプス地方で生まれ、遊戯として発達したといわれる。1923年国際ボブスレー・トボガニング連盟(FIBT)が創設され、翌1924年の第1回オリンピック冬季競技大会から正式種目になった[14]。当初は男子だけだったが、2002年ソルトレークシティオリンピックから女子2人乗りが、2022年北京オリンピックからは女子1人乗りが追加され、北京オリンピックでは男子2人乗り・4人乗り、女子1人乗り・2人乗りが実施されている。

日本では1937年(昭和12年)、1940年札幌オリンピックの開催も見据えて、札幌市にドイツから設計者を招いてオリンピック練習コースが造成された。翌1938年(昭和13年)2月12日に国内初の競技会が開催された。2人乗り600mのコースでは転覆が続出して完走は1台のみ。仕方なく300mのコースに短縮したが完走は3台にとどまった[15]

主な団体

脚注・出典

  1. ^ リュージュ・ボブスレー・スケルトンの違いについて”. 【SPAIA】スパイア (2017年2月9日). 2020年11月17日閲覧。
  2. ^ http://mblf.ycaweb.jp/bobsyokai.htm
  3. ^ https://web.archive.org/web/20121230221834/http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2010/feature/kagaku/ka20100221_01.htm
  4. ^ 藤野コースは、1972年札幌オリンピックのリュージュ練習用コースとして作られた。
  5. ^ http://sky.geocities.jp/j18yasu/bun/004.htm
  6. ^ (当時のゴール写真)
  7. ^ http://sattaikyo.com/kyougi/bobsledding.html
  8. ^ http://www.youtube.com/watch?v=75XTQ3ltTLM
  9. ^ 相手はフェラーリ、厳しい旧式の日本 ボブスレー男子2人乗り - MSN産経ニュース・2010年2月22日
  10. ^ ‘Fastest sled you can buy’ gives Canada’s bobsleigh teams realistic chance to win medals
  11. ^ JIMTOF2012「下町ボブスレー」試作機を初公開…冬季五輪を目指し町工場が開発 - Response・2012年10月31日
  12. ^ 下町ボブスレー初五輪なるか ジャマイカが出場権  :日本経済新聞
  13. ^ 下町ボブスレー、ジャマイカチームがなぜ使わない? アツかった期待が凍えたわけ” (2018年2月6日). 2018年2月8日閲覧。
  14. ^ JOC - ボブスレー
  15. ^ わが国で初の競技会、転倒者が続出『大阪毎日新聞』(昭和13年2月13日)『昭和ニュース事典第6巻 昭和12年-昭和13年』本編p687 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年

関連項目

外部リンク


ボブスレー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/11/07 00:54 UTC 版)

ティアナ・バートレッタ」の記事における「ボブスレー」の解説

2012年10月には女子七種競技のハイレアス・ファウンテン(英語版)、女子100mハードルのロロ・ジョーンズ(英語版とともにボブスレーアメリカチームのトレーニング参加すると、後日ロロ・ジョーンズとともにソチオリンピック女子ボブスレーアメリカ代表候補24人)に選出された。2012年11月9日のボブスレー・ワールドカップ(英語版)第1戦レークプラシッド大会女子2人乗りではエラナ・マイヤーズ(英語版)とコンビ組みブレーカー務めて3位貢献した

※この「ボブスレー」の解説は、「ティアナ・バートレッタ」の解説の一部です。
「ボブスレー」を含む「ティアナ・バートレッタ」の記事については、「ティアナ・バートレッタ」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ボブスレー」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

ボブスレー

出典:『Wiktionary』 (2021/07/25 12:21 UTC 版)

名詞

ボブスレー

  1. そりに2人から4人が座って乗りコース滑走する速さ競う競技

翻訳


「ボブスレー」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ボブスレー」の関連用語

ボブスレーのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ボブスレーのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのボブスレー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのティアナ・バートレッタ (改訂履歴)、トッド・ヘイズ (改訂履歴)、2018年平昌オリンピックのオランダ選手団 (改訂履歴)、そり競技 (改訂履歴)、ドイツのスポーツ (改訂履歴)、DECA SPORTA (改訂履歴)、アルフォンソ・デ・ポルターゴ (改訂履歴)、2014年ソチオリンピックのイタリア選手団 (改訂履歴)、2014年ソチオリンピックのスイス選手団 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryのボブスレー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS