ファウストボール
歴史と沿革
ワールドゲームズの公式競技であるファウストボールは、バレーボールの前身といわれ、特にドイツを中心にオーストリア、スイス、イタリアなどヨーロッパ諸国で盛んに行われている。さらに、ドイツからの移住者たちが南米や南アフリカに広めていったという経緯がある。
ファウストとはドイツ語で拳のこと。英語圏ではフィスト(拳)ボールと呼ばれることもある。
この競技の面白さは、バレーボールと違ってコートが大きく、1チーム5人という少人数。さらに自コート内であれば3度までボールをバウンドさせてもよい、というルールがあることだ。サーブをダイレクトに相手コートに打ち返すことも、自コート内で焦らすようにボールを回すこともできる。戦術面での選択肢が広く、攻撃スタイルを多彩に組み立てられる点が特徴。観戦する側も、高度な技術と頭脳的なプレーがゲームの流れを左右するので、プレー中の対戦チームの駆け引きを推理し、手に汗握ることは必至。一見の価値がある競技といえる。
日本でのファウストボールの歴史は浅い。1977年8月に行われたワールドゲームズ・ラハティ大会で、JWGA(日本ワールドゲームズ協会)の有志がこの競技を目撃し、日本に伝えた。同年末に秋田県ファウストボール協会が設立され、翌98年に日本ファウストボール協会と改称、国際スポーツ連盟にも加盟した。
同協会は、98年の第2回女子ファウストボール競技・世界選手権大会(オーストラリア)に日本代表視察団を派遣。99年の第10回男子ファウストボール競技大会(スイス)に初めて日本代表選手団を派遣した。2001年の第6回ワールドゲームズ(秋田市)では男子競技5位の成績。
競技方法とルール
コートはバレーボールより大きく、縦50m×横20mで芝のコートが一般的。ネットの高さは2m。5人(フォワード2人、センター1人、バック2人)ずつの2チームが戦う。使用する専用ボールは、外周65~71cm、重さ300~350g。バレーボールよりも少し重くサッカーボールに近い。このボールをネット越しに打ち合って得点を競う。ただしボールに触れる際、選手は片手の拳または腕のみしか使えない。
競技は一方のサーブで始まり、打ち込まれたボールは相手コートに3回以内で返す。自コート内ではボールに3人まで触れることができ、3回目には相手コートにダイレクトで打ち返さなければならない。またボールは自コート内であれば、3度までバウンドさせることができる。
失点となるのは、
ファウストボール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/21 23:01 UTC 版)

ファウストボール(独: Faustball、英: Fistball)は、ドイツにおいて成熟した球技。ワールドゲームズの公式競技である。5人の選手と、最大5人の控え選手の2チームで、ネット越しにボールを打ち合う。Faustとは、ドイツ語で「拳」を意味し[1]、英語圏ではフィストボールとも呼称される。男女別の世界ファウストボール選手権大会(一般、U-18)や、アジアパシフィックファウストボール選手権大会、パシフィックファウストボール選手権大会が開催されている。
歴史
ファウストボールというゲームがいつ始められたかは、はっきりとは分かっていない。しかし、その起源はヨーロッパの南部、おそらくイタリアにあると考えられている。紀元前3世紀の記録書には、拳で革のボールを打つゲームの発想の記載があり、恐らくファウストボールは世界で最も古いスポーツの一つである。240年に、ローマ皇帝ゴーディアンによって、このボールスポーツの試合の最初の記録が行われている。ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテも、彼の旅行記「イタリア紀行」にて、このスポーツについて言及している。
ゲオルク・ウェーバーが、1870年にドイツにファウストボールを導入した。初期には主に体操選手によって行われ、1885年には ドレスデンにおいてのドイツ体操祭で初めてゲームが行われた。1894年にはウェーバーは、まだ現在のルールとは大きく異なるものの、ファウストボールをより競争力のあるスポーツにした。この間、ファウストボールはドイツ近隣諸国に広がり、また南米や西アフリカなどにおいても、ドイツの移民が普及した。1913年には、ドイツで初のドイツ選手権が行われた。体操からは離れ、1927年にはドイツで組織化されたファウストボールに、約12000のチームが参加した。ファウストボールの急速な普及とスキルの向上により、ルールは変更され、ゲームはよりダイナミックになった。
一方、日本でのファウストボールの歴史はまだ浅い。1997年8月に行われたワールドゲームズ・ラハティ大会で、JWGA(日本ワールドゲームズ協会)の有志がこの競技を目撃し、日本に伝えた。同年末に秋田県ファウストボール協会が設立され、翌1998年に日本ファウストボール協会と改称、国際スポーツ連盟にも加盟した。同協会は、1998年の第2回女子ファウストボール競技・世界選手権大会(オーストラリア)に日本代表視察団を派遣した。1999年の第10回男子ファウストボール世界選手権大会(スイス・オルテア)に初めて日本代表選手団を派遣した。2001年の第6回ワールドゲームズ(秋田市)では男子競技5位の成績を収めた。
ルール
ゲーム概要
ファウストボールは、2つのチームがバレーボールのように2つのハーフコートで対面するゲームである。中心線と網目状のネットが中央を区切っている。プレーヤーやボールが、ネットやネット両側の柱(ポスト)に触れると、ファールとなる。各チームは5人の選手で構成され、腕や拳でボールを打つ。
ボールタッチ
ボールは、プレーヤーがタッチする前にワンバウンドすることは許される。ツーバウンドすることはファールとなる。そして、1ターンにつき最大3人の異なるプレーヤーがボールにタッチすることができ、多くとも3人目のプレーヤーがボールを相手コートに返さなくてはならない。
ボールは腕や拳で打つ。すなわち手を開いて打つことや、腕以外の部分で打つことはファールである。
得点のカウント
相手チームがファールをした場合に得点となる。ファールをしたチームがサーブ権を得る。1セットは11点先取制である。10点対10点となった場合には、一方のチームが2点をリードするか、または15点に達するまで延長される(15点対14点で終了できる)。勝利のために必要なセット数は、大会によって異なる。第1回ファウストボール・ブンデスリーガでは、5セット先取制であった。第2回ファウストボール・ブンデスリーガでは、3セット先取制であった。
ファール
以下のファールを犯すと、反対チームに得点が入る。
- ボールまたはプレーヤーが、ネットまたはポストに触れる。
- ボールがコート外で接地する。
- ボールがツーバウンドする。
- ボールが、ネットの下を横切って相手フィールドに入る。
- チームの3人以上のプレーヤーがターン中にボールに触れる(3人目のプレーヤーは、反対側のハーフフィールドにボールを入れなくてはならない)。
- 同一のプレーヤ―が、ターン内に2回ボールに触れる。複数回のボールタッチがある場合は、それぞれのプレーヤーが異なる必要がある。
- サーバーが、サーブラインに触れるか、それを超える。
- ボールが、上腕または前腕または拳以外の身体に触れる。また、手掌でボールに触れる。
ファウストボールコート

ファウストボールでは、コートサイズは50m×20m(ハーフコートあたり25m×20m)に設定されている。屋内の場合、40m×20mの小さめのコート(ハーフコートあたり20m×20m)となる。これはハンドボール場の通常のサイズに対応するので、通常は既存の外線が使用される。サービスラインは中心線から3mである。線はコート内に属し、ボールのオンラインはファールではない。
コートを分けるネットは、網状の赤色と白色のリボンである。2本のポストの間に張られ、その上端の高さは2m(男性)または1.90m(女性)である。U-12での高さは1.60mで、U-14での高さは1.80mとなっている。競技場には屋外エリア(後方8m、側面6m)が含まれているが、屋内ではその限りではない。
世界選手権歴代開催地と優勝国
男子
回 | 年 | 開催地 | 開催国 | 優勝 |
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1 | 1968 | リンツ | ![]() |
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2 | 1972 | シュヴァインフルト | ![]() |
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3 | 1976 | ノヴォ・アンブルゴ | ![]() |
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4 | 1979 | ザンクト・ガレン | ![]() |
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5 | 1982 | ハノーファー | ![]() |
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6 | 1986 | ブエノスアイレス | ![]() |
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7 | 1990 | フェクラブルック | ![]() |
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8 | 1992 | ジャンキウエ | ![]() |
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9 | 1995 | ウィントフック | ![]() |
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10 | 1999 | オルテア | ![]() |
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11 | 2003 | ポルトアレグレ | ![]() |
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12 | 2007 | オルデンブルク | ![]() |
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13 | 2011 | パッシング | ![]() |
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14 | 2015 | コルドバ | ![]() |
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15 | 2019 | ヴィンタートゥール | ![]() |
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16 | 2023 | マンハイム | ![]() |
女子
回 | 年 | 開催地 | 開催国 | 優勝 |
---|---|---|---|---|
1 | 1994 | ブエノスアイレス | ![]() |
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2 | 1998 | フィラッハ/リンツ | ![]() |
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3 | 2002 | クリチバ | ![]() |
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4 | 2006 | ヨーナ | ![]() |
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5 | 2010 | サンティアゴ | ![]() |
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6 | 2014 | ドレスデン | ![]() |
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7 | 2016 | クリチバ | ![]() |
|
8 | 2018 | リンツ | ![]() |
|
9 | 2021 | グリースキルヘン |
アジアパシフィックファウストボール選手権歴代開催地と優勝国
男子
回 | 年 | 開催地 | 開催国 | 優勝 |
---|---|---|---|---|
1 | 2014 | ラホール | ![]() |
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2 | 2018 | メルボルン | ![]() |
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女子
回 | 年 | 開催地 | 開催国 | 優勝 |
---|---|---|---|---|
1 | 2018 | メルボルン | ![]() |
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パシフィックファウストボール選手権歴代開催地と優勝国
男子
回 | 年 | 開催地 | 開催国 | 優勝 |
---|---|---|---|---|
1 | 2022 | ジーロング | ![]() |
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女子
回 | 年 | 開催地 | 開催国 | 優勝 |
---|---|---|---|---|
1 | 2022 | ジーロング | ![]() |
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マスターズ
回 | 年 | 開催地 | 開催国 | 優勝 |
---|---|---|---|---|
1 | 2022 | ジーロング | ![]() |
![]() |
ワールドゲームズ開催地と優勝国
回 | 年 | 開催地 | 開催国 | 優勝 |
---|---|---|---|---|
1 | 1981 | サンタクララ | ![]() |
実施されず |
2 | 1985 | ロンドン | ![]() |
![]() |
3 | 1989 | カールスルーエ | ![]() |
|
4 | 1993 | ハーグ | ![]() |
![]() |
5 | 1997 | ラハティ | ![]() |
|
6 | 2001 | 秋田 | ![]() |
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7 | 2005 | デュースブルク | ![]() |
|
8 | 2009 | 高雄 | ![]() |
![]() |
9 | 2013 | カリ | ![]() |
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10 | 2017 | ブロツワフ | ![]() |
|
11 | 2022 | バーミングハム | ![]() |
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10 | 2025 | 成都 | ![]() |
脚注
- 注
- 出典
関連項目
- ティモンディ - お笑いコンビ。メンバーの高岸が日本代表に選出されている。
外部リンク
ファウストボール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 02:50 UTC 版)
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