フォーミュラ4とは? わかりやすく解説

フォーミュラ4

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/13 15:17 UTC 版)

フォーミュラ4(Formula 4、F4)は、モータースポーツの一カテゴリーである。フォーミュラカーレースの中で、フォーミュラ・リージョナル (FR) の下位に位置し、以下に分類される。

国別のF4

日本(フォーミュラ4選手権)

フランスF4

フランスF4選手権French F4 Championship)は、フォーミュラ・ルノーの下位カテゴリーであるフォーミュラ・ルノー・キャンパス (Formula Renault Campus) を2011年に名称変更したものである。

元々はフォーミュラ・ルノーへのステップアップカテゴリーとして1993年に創設。2010年にはF4 ユーロカップ1.6 (F4 Eurocup 1.6) と名称を改めワールドシリーズ・バイ・ルノーの下位カテゴリーとなったが、同年限りで同シリーズから離脱。2011年より主催者であるフランスモータースポーツ連盟 (FFSA) が「若手ドライバーの育成アカデミー」として同カテゴリーを再編したことから現在の名称に改められた。

マシンはシグナテック製シャーシにルノー製1.6リッターエンジンを搭載したワンメイク。また若手ドライバー育成を目的とするため、「1月1日時点で満15歳から23歳までのドライバー」に参加資格を限定している。

2017年一杯で独自路線を終了し、2018年より後述のFIA-F4国際規格を受け入れ、イギリス・ドイツ・イタリアなど近隣国と同じくFIA公認シリーズとなった。マシンはミゲール英語版製シャーシにルノー製2.0リッターエンジンを搭載するワンメイク。

イギリス(BRDC F4)

イギリスではブリティッシュ・レーシング・ドライバーズ・クラブ (BRDC) の主催で、2013年よりBRDC Formula 4 (BRDC F4) の名称でレースが行われた。

元々は2006年より同国の750 Motor Clubが主催していたレースが前身。2013年にBRDCとモータースポーツ・ビジョン (MSV) が主催を引き継ぎ、Ralph Firman Racing(RFR)[1]が製造するシャシーに2リッターエンジンを搭載したワンメイクレースである。

2015年にFIA-F4公認シリーズのMSAフォーミュラ(後述)がスタートすると、2016年3月、BRDC F4はBRDC イギリスF3選手権 (BRDC British Formula 3 Championshipとして再出発することになった[2]タトゥース製MSV F4-016シャーシにコスワース製2リッターエンジンを搭載し、F4とF3・GP3の間のギャップを埋める位置付けになる。これにより、MSAフォーミュラが2016年シーズンから「イギリスF4選手権」を名乗ることになった。

なお、伝統のイギリスF3選手権は2014年末にヨーロッパF3選手権へ統合されており、BRDC イギリスF3はその系統ではない。

カナダ(CASC F4)

カナダではパイプフレームシャーシにオートバイの750ccエンジンを搭載するローカルマシンをフォーミュラ4と呼んでいる。カナダ自動車スポーツクラブ(Canadian Auto Sport Clubs)のオンタリオ支部(CASC-OR)が運営するロードレースシリーズでF4クラスが走行する[3]

南米

フォーミュラ4スダメリカーナ(2016)

2014年にフォーミュラ4スダメリカーナ (Fórmula 4 Sudamericanaがスタート。ウルグアイを中心に、ブラジルアルゼンチンを転戦した。マシンは2010-2011年にブラジルで開催されたフォーミュラ・フューチャー・フィアット (Formula Future Fiatと同じく、シグナテック製ワンメイクシャーシにフィアット製1.8リッターエンジンというパッケージを使用した。

2016年まで3シーズン続いたあと4年目の2017年は開催されず、2018年よりフォーミュラ・アカデミー・スダメリカーナ (Fórmula Academy Sudamericanaと改称して、ブラジルを中心に再スタートした[4]

FIA-F4

国際自動車連盟 (FIA) 制定によるフォーミュラ4(通称:FIA-F4)は、FIAシングルシーター委員会会長(当時)のゲルハルト・ベルガーが主導するジュニアフォーミュラ再編プログラムの一環として、カートとF3の間をつなぐ新たな入門カテゴリとして設立され[5]、2013年3月6日の世界モータースポーツ評議会で承認された[6]

2014年にイタリアシリーズ[7]が開幕したのを皮切りに、2015年より世界各国・各地域において選手権がスタートした。FIAの基準に従い行われるF4シリーズについては「Certified by FIA」の認可が与えられ[8]、原則として国ごとのモータースポーツ統括団体 (ASN) の主催で開催される。

レースはワンメイクで開催されるが、各選手権ごとにシャシーとエンジンの銘柄を選択できることが特徴となっている。参入するシャシーコンストラクター・エンジンメーカーは登録制となっている。

2016年に導入されたスーパーライセンスポイント制度では、各国の国内F3選手権よりも配点が高く設定されている。

おもなレギュレーション

  • シャーシ・エンジンは各選手権ごとにFIAから許諾を得たワンメイクとする。同程度の性能になるようFIAのホモロゲーションによって調整が行われる。
  • シャシーはカーボンモノコック製で、F3と同等レベルの安全性を有する。
  • エンジンは140〜160馬力程度。排気量や過給・非過給の選択は自由。年間10,000kmをオーバーホールなしで走ることが出来る仕様とする。
  • イコールコンディション確保ため、パーツのほとんどは指定制とする。
  • 参戦費用を抑えるため厳しいコストキャップが設定される。シャシー販売価格は38,000ユーロ(5,320,000円)以下、エンジンの1年間の費用は7,500ユーロ(1,050,000円)以下[9]
  • ドライバーの年齢は15歳以上。
  • レーススケジュールやポイントシステム等を「FIAヨーロッパF3選手権に準じたものとする」よう推奨している。
  • レースは距離にして60km、もしくは30分以内。

公認モデル

シャシー
エンジン

世界各国・各地域のFIA-F4

FIA公認選手権

開催年 シリーズ 国/地域 シャシー エンジン タイヤ
2014 - 現在 イタリアF4選手権 イタリア タトゥース・F4-T014 (2014 - 2021)
タトゥース・F4-T421 (2022 - )
アバルト・414TF 1.4 L ターボ ピレリ
フォーミュラ・アバルトから再編。WSK Promotionが運営する。
2015 - 現在 FIA-F4選手権 日本 童夢・F110 (2015 - 2023)
東レ・カーボンマジック・MCS4-24 (2024 - )
トムス・TZR42 2.0 L
トムス・TMA43 2.0 L
ダンロップ
SUPER GTと併催。GTアソシエイションが運営する。
イギリスF4選手権 イギリス ミゲール・M14-F4 (2015 – 2021)
タトゥース・F4-T421 (2022 - )
フォードエコブースト 1.6 L (2015 – 2021)
アバルト・414TF 1.4 L ターボ (2022 - )
ハンコック
イギリス・フォーミュラ・フォード選手権から再編(初年度はMSA Formula)。
イギリスツーリングカー選手権 (BTCC) と併催。
中国F4選手権 中国 ミゲール・M14-F4 (2015 - 2023)
ミゲール・M21-F4 (2024 - )
ジーリー・G-Power JLD-4G20 2.0 L クムホ
チャイナ・フォーミュラグランプリ(CFGP) の主催団体が運営。
NACAM F4選手権 メキシコ ミゲール・M14-F4 (2015 - 2023)
タトゥース・F4-T421 (2024 - )
フォードエコブースト 1.6 L (2015 – 2023)
アバルト・414TF 1.4 L ターボ (2024 - )
ピレリ
シーズン開幕戦はF1メキシコGPと併催。Road to Indyスカラシップ選考と提携している[17]
オーストラリアF4選手権 オーストラリア ミゲール・M14-F4 (2015 - 2019)
タトゥース・F4-T421 (2024 - )
フォードエコブースト 1.6 L (2015 – 2019)
アバルト・414TF 1.4 L ターボ (2024 - )
ハンコック (2015 - 2019)
ジティ (2024 - )
オーストラリア・モータースポーツ(CAMS)が運営。スーパーカー選手権と併催。
参加台数不足が続き、2019年一杯で終了[18]
2016 - 現在 スペインF4選手権 スペイン タトゥース・F4-T014 (2016 - 2021)
タトゥース・F4-T421 (2022 - )
アバルト・414TF 1.4 L ターボ ハンコック
コイラネンGPが運営。
アメリカF4選手権 アメリカ合衆国 クロフォード・F4-16 (2016 - 2023)
リジェ・JS F422 (2024 - )
ホンダ・K20C2 2.0 L ターボ (2016 - 2023)
リジェ・ストーム 1.65 L (2024 - )
ハンコック
SCCAプロレーシングが運営。
クロフォード・コンポジット製シャーシにHPD製エンジンを搭載[19]
東南アジアF4選手権 東南アジア ミゲール・M14-F4 (2016 – 2019)
タトゥース・F4-T421 (2023 - )
ルノー・F4R 2.0 L ターボ (2016 – 2019)
アバルト・414TF 1.4 L ターボ (2023)
ハンコック
東南アジア地域対象。
UAE F4選手権 アラブ首長国連邦 タトゥース・F4-T014 (2016 - 2021)
タトゥース・F4-T421 (2022 - )
アバルト・414TF 1.4 L ターボ ハンコック
Automobile & Touring Club of the United Arab Emirates主催、AUHモータースポーツ運営。
ヤス・マリーナ・サーキットドバイ・オートドロームで開催。
2017 - 2023 デンマークF4選手権 デンマーク ミゲール・M14-F4 (2017 – 2023) ルノー・F4R 2.0 L ターボ (2017 – 2023) ピレリ
DASU主催。フォーミュラ5(旧フォーミュラ・フォード)と混走。
デンマーク・サンダースポーツ選手権、デンマーク耐久選手権と併催。
2018 - 現在 フランスF4選手権 フランス ミゲール・M14-F4 (2018 – 2021)
ミゲール・M21-F4 (2022 – )
ルノー・F4R 2.0 L ターボ (2018 – 2019)
ルノー・HR13 1.3 L ターボ (2020 – 2021)
アルピーヌ (2022 - )
クムホ
FFSAアカデミー主催。2018年よりFIA-F4規定で開催。
2022 - 現在 ブラジルF4選手権 ブラジル タトゥース・F4-T421 (2022 - ) アバルト・414TF 1.4 L ターボ ハンコック
ブラジル自動車レース連盟とストックカー・プロシリーズのプロモーターVicarが主催。

FIA-F4規格のシリーズ

シリーズ 開催年 国/地域 シャシー エンジン タイヤ 公式サイト
フォーミュラ・アカデミー・フィンランド
 (Formula Academy Finland
2018〜  フィンランド タトゥース・F4-T104 アバルト1.4Lターボ ハンコック [2]
コイラネンGPが運営。2020年よりフォーミュラ・オープン・フィンランドに編入される。
フォーミュラ・プロ・アメリカ西選手権
 (Formula Pro USA Western Championships
2018〜 アメリカ合衆国 リジェ・JS-F4 ホンダ2.0L ハンコック [3]
アメリカF4選手権と同じくSCCAプロレーシング (SCCA Pro Racingが運営(マシンパッケージも同等)。西海岸地域で開催。

各選手権の歴代勝者

脚注

  1. ^ 代表のラルフ・ファーマン・シニアは元々ヴァン・ディーメンの創業者で、元F1ドライバーのラルフ・ファーマンの父親。
  2. ^ BRDC British F3 2016 season preview Formula Scout(26 March,2016)
  3. ^ About F4 Canada F4 Canada
  4. ^ F4 Sudamericana relaunched as Brazil-based championship”. Formula Scout (2018年4月30日). 2020年4月21日閲覧。
  5. ^ "ベルガー、F3の改革とF4カテゴリー創設を提唱". レスポンス. (2012年8月17日) 2016年1月23日閲覧。
  6. ^ FIA reveals Formula 4 plan - AUTOSPORT・2013年3月21日
  7. ^ 笹原右京、代役出場のイタリアFIA-F4で優勝 - オートスポーツ・2014年6月9日
  8. ^ http://www.fia.com/sites/default/files/basicpage/file/FIIII_plaquette_full_formula4.pdf
  9. ^ 税別、2014年8月の為替レートで換算。
  10. ^ F.4ITALY_TATUUS2014.pdf
  11. ^ FORMULE 4 Mygale - concepteur et constructeur de voitures de course
  12. ^ FIA-F4 2015年 レース車両解説 TOYOTA GAZOO Racing
  13. ^ Ligier JS F4 Ligier Automotive
  14. ^ FIA フォーミュラ4 パワード・バイ・アバルト|アバルトの歴史を刻んだモデル No.032 SCORPION MAGAZINE(2018年8月7日)
  15. ^ About British F4 Ford Motor Company
  16. ^ Geely to provide engines to Formula 4 Autoblog(Sep 16th 2014)
  17. ^ Mazda Road to Indy USF2000 $200K Scholarship Shootout details announced Racer.com(October 9,2018)
  18. ^ Australian Formula 4 to be axed after 2019 motorsport.com(Sep 4,2019)
  19. ^ [1] autosport web(2015年9月18日)

参考項目

外部リンク

日本

海外


フォーミュラ4 (F4)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/15 04:45 UTC 版)

Halo (フォーミュラカー)」の記事における「フォーミュラ4 (F4)」の解説

現行車両2023年まで使用可能だが、Halo搭載へのアップデート推奨される2019年以降に始まるFIA-F4シリーズでは搭載必須となる。

※この「フォーミュラ4 (F4)」の解説は、「Halo (フォーミュラカー)」の解説の一部です。
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