制服
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/13 02:19 UTC 版)
制服を悪用した犯罪
制服が職業・職務を表すという機能を悪用し、警察官などを装った犯罪は後を絶たない(警察手帳を貸与され携行しているにもかかわらず、提示を要求されても「制服が身分証明だ」と強弁し拒否する警察官もいる為。1968年に三億円事件、1978年に制服警官女子大生殺人事件、1988年には警察官ネコババ事件が発生)。このため、2002年には階級章一体で個人コードが刻まれた名札「識別章」が導入された。
制服以外の身分証明を求めたり、電話で確認したりすることで防げる事もあるが、通常はそこまで確認は困難である。宅配便業者では訪問先・地域ごとに専従の担当者を置く対策法を取るところもある(別の人間が配達に訪れる事は代理の際に限られる)。消防吏員・消防団員を装った消火器販売(灰色の作業服姿で来る)や電力会社・ガス会社の集金・点検を装った詐欺事件、宅配便業者を装い鍵を開けさせる強盗事件なども起きている(このため電力・ガス・水道各社では使用量通知書に「本票を使って集金する事はありません」と注意書きをしている)。
ノルウェー連続テロ事件のウトヤ島銃乱射では、犯人は警察官の制服を着用してテロ対象者を安心させた上で犯行に及んでおり、被害者はテロリストを警察官と信じて整列した。その影響で69人が死亡した。
ハーグ陸戦条約では交戦相手国の軍服を着用し偽装して武力行使する事は禁止されている。1944年のバルジの戦いの際には、オットー・スコルツェニー率いるSS特殊部隊がアメリカ軍兵士が遺棄して行った軍服を着用し連合軍勢力圏に潜入、通信網や交通網に混乱を与えたこともあったが、もし連合軍兵士によって素性が明かされたら銃殺は免れなかった(実際に数名が、発見されたその場で銃殺されている)。逆に、自軍の軍服の上に敵軍の軍服を着込み、戦闘時には敵軍の軍服をパッと脱ぎ捨てるという方法も両軍の一部特殊部隊では行われており、この戦法を採ったおかげで処刑を免れた兵士も多かったという。
注釈
出典
- ^ 2019年10月1日、中日新聞朝刊16面
- ^ 総務省消防庁 (2005年). “消防庁職員活動服と職名章のご紹介” (PDF). 総務省. 2018年5月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月20日閲覧。
- ^ 例:「三重県消防関係職員の服制及び被服貸与規則(昭和四十三年二月二十七日三重県規則第八号・最終改正平成一九年三月九日)」。他の地方公共団体にも同様の規則が存在すると思われる。
- ^ 明治十七年十月二十五日宮内省達乙八号「有爵者大礼服制」参照
- ^ 昭和二十七年三月二十二日法務府訓令第一号「刑務官服制」の別表および形状図参照
- ^ 神社本庁『装束と衣装』1952年8月1日発行全89頁中2頁
- ^ ロバート・H・フランク 『日常の疑問を経済学で考える』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2013年、171頁。
- ^ “JR・私鉄の制服、外部流出防止 JR東日本商事が個別管理システム”. 日刊工業新聞[商社・流通・サービス] (2017年10月19日). 2018年5月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月20日閲覧。
- ^ コミックマーケット準備会 (n-0d). “コスプレの注意事項”. コミックマーケット公式サイト. 2018年5月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月20日閲覧。
- ^ “職場は制服着用なのですが、「着替え時間」が勤務時間に含まれていません…給料を請求できますか?”. ファイナンシャルフィールド (2023年7月30日). 2023年10月18日閲覧。
- ^ 平成12年3月9日 最高裁判所第1小法廷判決 三菱重工業長崎造船所事件
- 1 制服とは
- 2 制服の概要
- 3 制服を悪用した犯罪
- 4 制服の管理
- 5 制服への更衣にかかる時間
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