スペンサー (衣服)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/29 23:22 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動スペンサー (Spencer) は、1790年代に現れた、燕尾服の尾の部分を切り取った形状をもつ、もともとはウール製の外套である。着丈は腰までと短く、男性用のダブル(両前)合わせのジャケットとして、長い燕尾服を着用した上に着重ねるものであった。
名称の由来となったスペンサー伯爵ジョージ・スペンサーのように、軍関係の勲章をあしらうのが最も正統な、お洒落な着こなしとされていた。一説によれば、スペンサーは燕尾服を来て暖炉のそばに立っていて、尾の部分を焦がしてしまい、その部分を切り取ったことから、期せずして新しい流行を生み出したという[1]。別の説によれば、ある日、狩猟に出かけたスペンサーが、燕尾服の尾の部分が野イバラに引っかかってしまうのに苛立ち、途中で尾を切り取ってしまったのが由来であるという[2]。
その後スペンサーは、1790年から1820年にかけてのイギリスの摂政時代 (British Regency)には、大西洋の両岸で女性のファッションとして人気が高まった[3]。当時のスペンサーは、今日のカーディガンと同じように着用され、着衣の腰の線の少し上までの長さの短いジャケットとして、着衣とは別物と分かるようになっていた[1]。
スペンサーという名称は、19世紀まで続いたが、後にはより広く、短いジャケットやコート類であれば、どのようなものでもそう呼ぶようになっていった。なお、オーストラリアでは、スペンサーという言い方で、保温性の下着を指すことがある[4]。
脚注
- ^ a b Thomas, Pauline Weston. “Regency Fashion History. 1800s Costume History”. Fashion-Era.com. 2012年4月13日閲覧。
- ^ Gottfred, J.. “Making a Man's Tailcoat”. Northwest Journal. 2012年4月13日閲覧。
- ^ Lord Scott. “An Introduction to Ladies' Fashions of the Regency Era”. Lord Scott. 2012年4月13日閲覧。収録の図:その1、その2
- ^ Oxford English Dictionary, "Spencer n.2", 2006 online edition.
関連項目
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「スペンサー (衣服)」の例文・使い方・用例・文例
- 故スペンサー博士
- 私はニューヨークで1年間、スペンサー氏と仕事をした。
- (スペンサーの)自然発生論
- この卑怯者の騎士−スペンサー
- 圧力下で物質を保ちし、細かい粒子としてそれを放出することができるディスペンサー(通常推進剤ガスによる)
- (香水などの)液体を霧状にするディスペンサー
- 塗布として回転するボールのある(例えば脱臭薬のような)液状化粧品のディスペンサー
- 不凍液溶液が翼板に広げられる、航空機のプロペラハブ周辺チューブ状リングからなるディスペンサー
- 液体石鹸のディスペンサー
- 教育はその目的のための性格の造成である?ハーバート・スペンサー
- スペンサー連はエドモント・スペンサーが妖精の女王で披露した
- 米国の映画女優で、スペンサー・トレイシーと多くの映画で共演した(1907年−2003年)
- 英国の詩人で、スペンサー連でエリザベス1世を褒めたたえる寓意的なロマンスを書いた(1552年−1599年)
- スペンサージャケットという上着
- 昨年,英国のデパートチェーン,マークス・アンド・スペンサーが枝豆サラダの販売を開始した。
- 1981年,チャールズ皇太子とダイアナ・スペンサー嬢の結婚式がここで行われた。
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