作業服
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/25 23:46 UTC 版)

作業服(さぎょうふく)は、様々な作業・労働をする際に着用する衣服を指す。作業着、作業衣とも呼ばれる。
なお、ワーキングウエアという場合、本来は労働するときに着用するもので身体を保護し、汚れから守るために用いられるものをいう[1]。ただ、後述のように現場作業服の減少と制服的衣服の増加もあり、ワーキングウエアの下位分類として事務服、制服、作業衣、白衣やサービスウエアなどに分けられる[1]。
概要
作業服は一般的には現場労働に着用するものをいい、これには特殊環境用のものも含まれる[1]。しかし、産業構造の変化や企業意識の高揚などにより現場作業服は減少し、ユニフォームやサービスウエアといった審美性や象徴性を強調した制服的衣服が増加した[1]。
会社・工場などの制服に指定されている場合もあり、ポリエステル素材においては再生ペットボトル繊維が用いられているものもある[2]。

カーハートやディッキーズはワークウェアブランドとも呼ばれる。ジーンズ(デニム)のルーツも、ワークパンツとしてのものだった。白地と紺地のヒッコリーストライプは、汚れを目立たせない模様として考案された[3]。
日本では、洋服の導入の影響で、大正時代頃から仕事着全般も洋風化していったといわれる[4]。すでに江戸時代にも火消や鳶職などの職人は、洋服に近く動きやすい股引き姿だった。現在の鳶職はニッカーボッカーズ型の「鳶服」を着用していることが多いが、高所でバランスを取るためや突起物への安全対策からの普及といわれる[5]。
特殊環境作業用
特殊作業環境下で働く作業者の身体防護、作業効率や製品品質の維持を目的とする作業服を特殊環境作業服という[1]。
- 制電服
- 静電気による可燃ガスや粉じんへの引火爆発、電子部品等への電撃や絶縁破壊を防止するため帯電防止性をもつもの[1]。
- 防塵・無菌服
- 塵埃や菌の付着による汚染、変質、腐敗、感染を防止するため防塵性や帯電防止性をもつもの[1]。
- 防炎 ・耐熱服
- 製鉄の炉前作業や溶接などの際の溶融金属や火花からの人体保護、消防やレーサーなど高熱や炎からの人体保護のため、防炎性、防融性、遮熱・遮炎性をもつもの[1]。
- 耐薬品服
- 酸やアルカリ、有機薬品から人体を保護するため耐薬品性をもつもの[1]。
- 放射線防護服
- 放射線やラジオアイソトープからの人体保護のため、放射線除染性、帯電防止性、防塵性をもつもの[1]。
- 導電服
- 高圧送電の活線保守作業などで静電誘導障害を防止するため静電誘導遮蔽率を高めたもの[1]。
防災服
防災服とは、閣僚や自治体職員などが着用するもので見た目は作業服風であるが[6]、災害発生時、防災関連行事、防災訓練又は危険箇所の現地視察の際に使用される[7]。
小衣・小巾
小衣・小巾(こぎん)とは、丈が腰辺りまでの長さであって袖は無いか半袖であるという型の作業服のこと[8]。青森県、秋田県など東北地方では麻や木綿で出来た単衣の作業服のことを古くからこう称しており、補強するために胸や肩などの部分に幾何学模様などの図柄を刺繍し縫い込む手法を刺し子の一種として「刺小衣(小巾)」「小衣刺(小巾刺)」とも称した[9]。
ギャラリー
脚注
- ^ a b c d e f g h i j k 別所義雄「ワーキングウエアに要求される品質と機能」『繊維製品消費科学』第24巻第6号、一般社団法人日本繊維製品消費科学会、1983年、226-233頁。
- ^ 年間約25万本のペットボトルを再利用 再生ペットボトル繊維を使ったエコ作業服を採用 2004年2月27日発行 - 三菱重工ニュース 第4211号
- ^ ヒッコリーストライプとは - ジーンズ用語 Weblio辞書
- ^ 作業服 とは - コトバンク(世界大百科事典【仕事着】)
- ^ よくあるご質問 - 寅壱
- ^ 佐藤希代子、道明伸幸「ナイロンデニムの科学的検証および付加価値のある活用方法について」 倉敷市立短期大学 2025年3月25日閲覧。
- ^ 防災会議と議会BCP ~議会の災害等対応マニュアル~ 大分市議会 2025年3月25日閲覧。
- ^ 大辞林 第三版より。
- ^ 染織事典(中江克己 編、泰流社 1981年)より。
関連項目
作業服
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「陸上自衛隊の装備品一覧」の記事における「作業服」の解説
自衛隊の公式な用語では「戦闘服」は「作業服」と呼称されていた 名称愛称(※は部隊内通称)画像調達数注釈迷彩服2型 作業服,迷彩※迷彩作業服 1992年より支給開始。細部の仕様が異なる「戦闘服(一般用/空挺用/装甲用/航空用)」「防暑服4型」(画像下)等のバリエーションがある。海上自衛隊、航空自衛隊でも使用されている。 迷彩服3型 戦闘服,(一般用/空挺用/装甲用/航空用/市街地用)作業服,迷彩 2007年頃より支給開始。迷彩服2型の一部改良品。海上自衛隊、航空自衛隊でも使用。 防暑服,砂漠用 防暑服4型の砂漠迷彩版。 退役 名称愛称(※は部隊内通称)画像調達数注釈65式作業服 ※作業服 第一線部隊からは退役済。処分されずに各部隊で残された官品の一部は創立記念展示・訓練等における対抗部隊役の隊員が着用しており、完全に姿を消したわけではない。 迷彩服1型 作業服,迷彩※旧迷彩旧型迷彩服 1970年代より調達・支給開始。機甲部隊、空挺団向け等に仕様の異なるバリエーションがある。退役済であるが、PX品や処分されずに各部隊で残された官品の一部は創立記念展示・訓練等における対抗部隊役の隊員が着用しており、完全に姿を消したわけではない。
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