エレベーターガールとは? わかりやすく解説

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エレベーター‐ガール


エレベーターガール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/07 01:22 UTC 版)

エレベーターガール 小田急百貨店新宿本館地下1階(新宿駅西口地下コンコース)にて(2007年)

エレベーターガールとは、一部の百貨店や観光用の高層建築物などのエレベーターに乗務し、運転操作や案内を担当する女性のこと。「エレガ」「エレガー」「EG」と略される。男性が同様の業務を行う場合は「エレベーターボーイ」と呼ばれる[1]

エレベーターガール、昭和9年頃

概要

日本で最初にエレベーターガールを置いたのは1929年昭和4年)、松坂屋上野店のエレベーターと言われている(下記松坂屋の外部リンクを参照。同店には近年までハンドル操作式・格子状扉のエレベーターが1基だけ残り、運用されていたが、全自動運転にリニューアルされた)。1930年代は手動でエレベーターを動かす運転手がおり、1300名が警視庁に届けられていたという。専用の制服姿で優雅に客の案内をする姿は女性の憧れの職業のひとつで、当時は「昇降機ガール」と呼ばれていた。独特のゆっくりとした口調の、高い声での案内も特徴の一つであるが、これは乗客の話し声にまぎれないようにするためである。

昭和期には、大半のエレベーターガールは独特の制服を着用していた。つば付きのフェルト帽に明るい色のレディーススーツ、白手袋などがアイコンであり、服装の色合いは落ち着いた色合いで上品さを強調するが、帽子のリボンスカーフなどのワンポイントにより華やかさを出していた(いわゆる「モダンガール」的な服飾であり、スチュワーデスやバス添乗員など昭和に社会進出した女性の制服と軌を一にする)。ファッションとしては平成期までには陳腐化したが、レトロモダン的な昭和ノスタルジーの一つとして懐古されることも多い。

官公庁でも配置されていた例があり、仙台市役所は1965年に完成した第三代の庁舎に展望室があったことから、案内のためにエレベーターガールが配置されていた[2]

エレベーターガールの仕事

百貨店のエレベーターを例に説明する。

  • 乗場ドアが開いた際に、外の客に対して昇降方向を案内する(「上(下)にまいります」という慣用表現を用いる)。
  • 乗降が終わるまでドアを開け、乗降の完了を確認してドアを閉める(自動式の場合は開閉ボタンにより操作する)。乗降が困難な客の手助けをしたり、混雑時の間隔詰めを促したり、ドア開閉時に注意喚起するなどなど乗降の管理も行う。
  • 客の行き先階を聞き取り、順に停止させる(自動式の場合は階床ボタンを押す。ハンドル式の場合は聞き取った階を記憶して停止させるか、または「○階ご利用の方はいらっしゃいますか」などと順次確認する)。
  • 乗場ドアが開く前に「○階、××のフロアでございます」などと乗客に停止階の案内を行う。
  • エレベーターが群管理されていない昭和期には、乗降客がいない時間帯は1階などの決まった階で待機し、乗場ボタンが押された階に向かう。
  • 通常の店員と同様に、客から質問があったときは、館内の案内を行う(総合案内担当同様の知識を持つ事を要求される)。
  • 非常停止などの非常時に防災センターに連絡したり、客の避難の誘導をする。

エレベーターガール支援設備

エレベーターガールの業務を支援するため、サブインジケータを備えるエレベーターもある。これには自機の位置を示すインジケータが別にあり、その左右または上下には上下ごとに呼びがある階のランプが点灯するようになっている。また、平行して設置されている他機の現在位置を表示するインジケータを備えるものもある。

現状

バブル崩壊後、百貨店業界全体の営業不振、エレベーターが普及により特別な存在でなくなったことなどの社会情勢の変化、人件費削減等の理由によって1990年代終盤を以って一部の百貨店店舗[3]や一部の展望施設[4]を除き、エレベーターガールの廃止が進んだ。「発祥の地」である松坂屋上野店でも、2006年4月に常駐ではなくなり、2007年をもって完全に廃止された[5]。日本橋髙島屋には未だに配置されている[6]が、これは日本橋高島屋のエレベーターには手動運転式の機種が残っているためで、必須の要員になっている。変わったところでは紀伊國屋書店新宿本店にも存在する(2015年現在)[7]

また、一部の公共施設などでは、車椅子などの乗り降りをサポートするための「昇降手」を設けている場合があるが、上記にある狭義の「エレベーターガール」とは言い難い。

海外では、台湾新光三越百貨店や、変わったところでは、北朝鮮高層マンション等に配置されている[8]

エレベーターガール・エレベーターボーイの経験のある著名人

関連項目

脚注

  1. ^ 1920年代の松屋浅草にいた。エレベーターガールならぬボーイも登場!? 創業150周年の百貨店・松屋のやんちゃな実験和樂Web
  2. ^ 仙台市役所本庁舎、「完全形」はあと数カ月限り 今年から建て替えに着手<+W 共に生きる>”. 河北新報オンライン (2023年1月14日). 2023年8月13日閲覧。
  3. ^ 髙島屋日本橋店・横浜店、三越日本橋本店、西武百貨店池袋本店、福屋八丁堀本店など。
  4. ^ 東京タワー横浜ランドマークタワー福岡タワーなど。
  5. ^ もう逢えない?女性の花形職業だった「エレベーターガール」はなぜ見かけなくなったのか? 日本文化と今をつなぐウェブマガジンJapaaan 2019年12月12日、カワモト野奈
  6. ^ 重要文化財 日本橋高島屋 東京とりっぷ
  7. ^ 紀伊國屋書店のエレベーターガールがスゴすぎる!神業的テク、階数を察知…1/22/2 ビジネスジャーナル
  8. ^ 毎日新聞 2014.03.06
  9. ^ エッセイ『月 星 太陽』60-61頁、123頁

外部リンク


エレベーターガール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 18:00 UTC 版)

やなぎみわ」の記事における「エレベーターガール」の解説

やなぎみわ代表作一つに、初期作品「エレベーターガール」がある。やなぎみわは、最新日本デパートエレベーター操作する世界で少女日常生活、セルフ・アイデンティティ、建築雇用フォーカス当てている。「エレベーターガール」はやなぎみわキャリアの初期に、パフォーマンス作品としてスタートさせていて、やなぎみわがこの時期何を経験していたかを、映し出し表現している。パフォーマンスは、若い少女たちが狭い部屋にいて、同じタスク毎日毎日繰り返すのである。のちの「エレベーターガール」の写真作品は、似た服を着て、少しの感情しか表さない女性たち映し出されている。パフォーマンスから写真作品への転向は、何が行われているのかを、作家自身が完全にコントロールしたかったためである。これらの若いモデルたちの身体組織は、物理的に似通っている。女性の場所が文化的に制限されているのと同じように、彼女たちポーズ仕方は、彼女たち何ができそしてできる場所が制限されている。写真では、エレベーターガールは建築デザイン消費財を見つめている。凝視は、消費財への社会的な執着を表す。やなぎみわ作品シリーズの、標準化され若い女性たちは、日本の家父長制資本主義、そして日本労働力としての女性の役割りが、どのように抑圧され男性中心社会奉仕し、従うように理想化されているのかを象徴している。

※この「エレベーターガール」の解説は、「やなぎみわ」の解説の一部です。
「エレベーターガール」を含む「やなぎみわ」の記事については、「やなぎみわ」の概要を参照ください。

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