醤油 評価法

醤油

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/14 15:06 UTC 版)

評価法

品質は「色」「香り」「味」で評価される。高品質の製造をするためには高い醸造技術・醸造管理・衛生管理・保存管理が必要となる。

熟成の期間や温度経過によって異なり、無色に近い淡褐色から、黒に近い暗赤褐色まで存在する。アミノ酸と糖に富むため、酸化や加熱、成分の揮発のほか、メイラード反応が進むことで産生されるメラノイジンにより色は濃くなる傾向にある。
一般的には淡色で赤い色調のものが良いとされ、製造/管理的に高度な技術が必要だが、地方性により、特に濃口醤油においてはむしろ色が濃いものが好まれる場合もある。
香り
鼻で匂いをかぐときに感じる「トップノート」と、口に含んでから感じる「フレーバー」がある。香気成分の多くはアルコールをはじめとする酵母の発酵生産物であり、メイラード反応から、ストレッカー分解を経て産出される有機化合物、加熱工程にて産生される焦げ香も、特徴付ける重要な要素である。
長期間保存すると酸化が進み、n-酪酸(ノルマル酪酸)、イソ酪酸、イソ吉草酸[53] などの「劣化臭」といわれる臭いがつくこともある。また、製造工程における衛生管理の問題により、Bacillus属細菌[53] などによる腐敗臭や、味噌のような臭いがつくこともある。
塩辛さ、うまみ、甘みを強く持つ。塩辛さは原料の塩から、うまみは主にアミノ酸、甘みは糖による。アミノ酸は、麹により産生されたプロテアーゼアミラーゼ等の酵素によって大豆由来のタンパク質が分解されたもの、糖は同じく小麦由来のデンプンが分解されたものである。

官能評価

「きき味」により、主に色・香り・味が評価される。「色は淡色で赤みがある色調で、かつ香り高く、味が良い」ものが良質とされる。

のような甘い香りや爽やかに鼻に抜ける香が一般的に良しとされるが、製品によっては生乾きの雑巾のような臭い、のような臭いなど「悪い香」を呈するものもある。また、「麹の香」「味噌の香」「アルコールの臭」などの香りが加わっているものもある。

「よい香」とされる香も強すぎると問題となるため、それらのバランスにおいて製造者ごとに特徴が出る。

JASによる格付け

JAS(日本農林規格)では、品質基準に、含有する窒素分、無塩可溶性固形分(エキス分)、アルコールの量に従って格付けされている。その中でもっとも重要とされるのが、「うま味」の指標となる全窒素分である。

  • 「標準」(濃口: 1.2%以上、淡口: 0.95%)
  • 「上級」(濃口: 1.35%以上、淡口: 1.05%)
  • 「特級」(濃口: 1.5%以上、淡口: 1.15%)

また、JASの他に日本醤油協会が定めている基準がある。

  • 「特選」: 特級の10%増し(濃口: 1.65%、淡口: 1.265%)
  • 「超特選」: 特級の20%増し(濃口: 1.8%、淡口: 1.38%)

また、醤油業中央公正取引協議会が定めるものとして、以下の表示を利用することができる。

  • 上級醤油は「上選」、「吟醸」、「優選」、「優良」
  • 特級醤油は「特吟」や「特製」
  • 日本醤油協会で言うところの「超特選」(特級の1.2倍)の場合、「濃厚」

注釈

  1. ^ 紀元前8世紀頃の『周礼』で、「醤」という漢字が初めて使われた。

出典

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