メラノイジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 05:22 UTC 版)
メイラード反応によって生じる褐色色素のことをメラノイジンと呼ぶ。メラノイジンは酸素や窒素を含む、多様な高分子化合物からなる混合物である。 メラノイジンは、それ自身がフリーラジカルであるが、同時にラジカル捕捉剤としての作用を持つため、食品の酸化を抑制する働きがある。この作用には、メラノイジンが金属とキレートを生成して封じ込めることが関与しているとも言われる。 メラノイジンは、in vitroでは抗酸化作用、活性酸素消去活性、ヘテロ環アミノ化合物(発癌物質)に対する脱変異原活性などを有するとされている。例えば、メイラード反応によって生じたトリプトファン・グルコース反応液の抗酸化能はビタミンEであるα-トコフェロールよりも強く、合成抗酸化剤のBHA、BHTに匹敵するものであることが明らかになった。 グルコースとグリシンによるアミノカルボニル反応で生成した褐変物質による着色度が高いほどDPPHラジカル消去能も高くなる。着色度を示す440 nmにおける吸光度とDPPHラジカル消去能の間にはr=0.993の非常に高い正の相関関係が認められる。また、玉ネギを加熱し、黄色、あめ色、茶色と褐変が進行するに従ってDPPHラジカル消去能が上昇する、との報告がある。 例えば、味噌は優れた抗酸化能力を有し、味噌のラジカル補足能力はその大半をメラノイジンが担っており、味噌の色調が濃いほどその能力が高まっているとする研究がある。動物実験では、味噌の摂取で肺癌、胃癌、乳癌、肝臓癌、大腸癌の抑制効果が認められ、味噌の熟成度が高いほど効果が高かったとの報告がある。
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