醤油に関する諸説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 15:05 UTC 版)
人の髪の毛から作られている 日本では、大正時代から昭和初期と太平洋戦争終戦から数年間にかけ、物資不足解消のため、様々な原料から食品を製造する試みが行われていた。醤油原料としても様々な原料が検討され、それぞれ長所・短所がある独特の製品が作られた。これを代用醤油と呼ぶ。原料としては、魚介類や海藻、カイコの蛹、鯨ひげ などが用いられた。製造法の代表的なものとして、タンパク質原料を加水分解したものを中和したアミノ酸液を得るものである。また、廃毛髪 や、牛の血液を用いたという俗説[要検証 – ノート]もある。 2017年7月現在の日本でも、都市伝説として、醤油の原料に人毛由来のアミノ酸が使われているという噂があるが、[要出典]2017年7月現在ではキャリーオーバーを除きJAS法や品質表示基準によって植物性たん白質の使用しか認められておらず、髪の毛のような動物性たん白質の使用は禁止されている。また、2017年7月現在の日本において、仮に毛髪由来のアミノ酸を原料として醤油を作った場合、法的にそれを「しょうゆ」と呼ぶことはできない。コスト面においては、毛髪収集に必要なコストは大半が人件費であり、脱脂加工大豆の購入価格がそれよりも大幅に安いため、毛髪からアミノ酸を生産するのは非経済的である。また、味も非常に悪いため、素人が興味本位で作ることはあっても、一般に出回ることはまず考えられない。なお、中国では一部業者によりアミノ酸の基準量を満たす目的で人毛由来のアミノ酸を添加した醤油が製造されているとの報道が2004年1月にあったため、中国政府によって人毛を原料とする醤油の製造が禁じられた。[要出典]詳細は「人毛醤油」および「代用醤油」を参照 飲めば兵隊に取られない かつて徴兵制度が実施されていた時代に、検査の前日に大量の醤油を飲むことによって体調を崩し不合格となるといったことが、兵役を逃れる目的で実際に行われていたとされる。醤油は高濃度の塩分を含む液体のため、一時に大量を摂取すれば腎機能や肝機能の検査値に異常をきたすことは確実だが、こうした無茶な行為によって不可逆的な疾病を患ったり、急性症状によって死に至る例もあったと伝えられている。徴兵制度導入初期には免役率が80%以上と高く、徴兵される場合のほうが不運と考えられたため、このような徴兵逃れ行為が横行したが、その後の改訂で国民皆兵が義務づけられ免役率が下がると、むしろ免役されるほうが不名誉と考えられるようになり、徴兵逃れ行為は下火となった。 醤油を使うとガンになる 昭和40年代に広まっていた俗説。はっきりとした根拠は不明だが、麹菌がアフラトキシンを生産する、という噂が一人歩きしたものに、「大量に醤油を摂取した場合には塩分の過剰摂取による体調不良が起きる」ことが付与されて作られた俗説と考えられる。 大手メーカーは2週間で醤油を作っている 本醸造醤油の場合は、混合醸造方式・混合方式を利用することができないため、理論的に2週間では不可能と言ってよい。仕込み開始から2週間、比較的高温で推移させた場合は、麹菌の酵素によりもろみは一応液化するが、微生物による発酵過程を経ないため、香りは立たず、色は黒く、歩留まりは悪くなると思われる[要出典]。また、先に挙げた酵素添加による速醸法を用いることで、1か月程度に醸造期間を短縮することができる。しかし醤油醸造は酵素反応で原料が分解されれば終了という単純なものではなく、広く使われてはいない。農林水産省のホームページによると、日本生産の8割を占める本醸造醤油は寝かせる期間だけでも6か月 - 8か月である。 英語のSoyの語源は薩摩弁である 幕末期に薩摩藩が輸出していたこと、薩英戦争後にイギリスと急接近したこと、1867年にパリ万博に出展したことなどから、英語のsoyの語源は当時の薩摩弁で醤油を指す「そい」であるという俗説がある。しかし1688年にはすでにカリブの海賊のウィリアム・ダンピアが太平洋を航海した時の記録にsoyという単語が使われている。また、パリ万博で賞を取ったのは、幕府側代表だった水戸藩の領内で作られたものである。
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