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農林物資の規制化及び品質表示の適正化に関する法律(いわゆるJAS法)


日本農林規格等に関する法律

(JAS法 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/10 07:01 UTC 版)

日本農林規格等に関する法律

日本の法令
通称・略称 JAS法
法令番号 昭和25年法律第175号
提出区分 閣法
種類 消費者法
効力 現行法
成立 1950年4月25日
公布 1950年5月11日
施行 1950年6月10日
所管 農林水産省消費者庁
主な内容 日本農林規格(JAS規格)の策定・飲食料品以外の農林物資の品質表示について
関連法令 食品表示法
制定時題名 農林物資規格法
条文リンク 日本農林規格等に関する法律 - e-Gov法令検索
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日本農林規格等に関する法律(にほんのうりんきかくかとうにかんするほうりつ、昭和25年5月11日法律第175号)は、日本農林規格(JAS規格《ジャスきかく》)の制定、保護の仕組みや認定機関・飲食料品以外[1]の農林物資の品質表示などに関する日本法律である。一般には、JAS法(ジャスほう)と呼ばれる。

所管官庁は、農林水産省および消費者庁。前者は主にJAS規格の規格基準等の策定を担当し、後者はJAS規格品以外、いわば「食品」全般の表示基準を担当する。

法律の目的とその変遷

同法の前身は、指定農林物資検査法(昭和23年法律第210号)である。

戦後の民主主義高揚の中で、強制検査であった指定農林物資検査法から、任意検査を基調とした農林物資規格法(昭和25年法律第175号)へと移行した。

この農林物資規格法の目的規定が1970年(昭和45年)に一部改正(昭和45年法律第92号)され、併せて題名が農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律に改められた。

当時の目的は、「(1)適正かつ合理的な農林物資の規格を制定し、これを普及させることによつて、農林物資の品質の改善、生産の合理化、取引の単純公正化及び使用又は消費の合理化を図るとともに、(2)農林物資の品質に関する適正な表示を行なわせることによつて一般消費者の選択に資し、もつて農林物資の生産及び流通の円滑化、消費者の需要に即した農業生産等の振興並びに消費者の利益の保護に寄与すること」(1条)とされていた。

したがって、当時の目的は、大別して2つあった。1つは上記(1)に該当するJAS規格の制定等であり、これは、1970年改正以前の農林物資規格法を受け継いだものであった。そして、2つ目は上記(2)に該当する品質表示等の適正化であり、名称、原材料、期限表示など、いわゆる「一括表示事項」と呼ばれる項目の記載方法を定めるものであった。これは1970年改正時に追加された。

前者はJAS規格品のみを対象とするが、後者は農林物資(酒類並びに医薬品医療機器等法に規定する医薬品、医薬部外品等を除く)、すなわち「食品」全般を対象とした。

2009年(平成21年)4月、食材偽装問題議員立法により産地偽装防止のために直罰規定を設けるなどの改正がされたが、その改正は不正競争防止法に屋上屋を架す無意味な行為であることが指摘されている[2]。実際にも、2011年8月現在まで直罰が執行された事例はない。

制定後、農林水産省が所管していたが、2009年(平成21年)9月の消費者庁設置以降、両省庁の共管(平成21年法律第49号)となった。

2015年(平成27年)4月1日に、JAS法、食品衛生法健康増進法のうち食品表示に関する部分を整理・統合した食品表示法の施行に伴い、食品の表示基準の策定などに関する規定が削除され、題名が農林物資の規格化等に関する法律に改題された。

これに伴って、目的も「適正かつ合理的な農林物資の規格を制定し、これを普及させることによつて、農林物資の品質の改善、生産の合理化、取引の単純公正化及び使用又は消費の合理化を図るとともに、飲食料品以外の農林物資の品質に関する適正な表示を行わせることによつて、食品表示法(平成二十五年法律第七十号)による措置と相まつて、一般消費者の選択に資し、もつて農林物資の生産及び流通の円滑化、消費者の需要に即した農業生産等の振興並びに消費者の利益の保護に寄与すること」(1条。太字は改正前から追加)と改められた。

取引の円滑化、ひいては、輸出力の強化に資するよう、JASを戦略的に制定・活用できる枠組みを整備し、JASの国際化の推進を図るため、JASの対象はモノ(農林水産物・食品)の品質に限定されていたものを、モノの「生産方法」(プロセス)、「取扱方法」(サービス等)、「試験方法」などにも拡大する等の改正を行う農林物資の規格化等に関する法律及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター法の一部を改正する法律(平成29年法律第70号)が2018年(平成30年)4月1日に施行[3]に施行され題名が日本農林規格等に関する法律に改題された。題名改正の理由は、JASの対象が「モノ」以外に拡大することをによる[4]。この改正により目的も「農林水産分野において適正かつ合理的な規格を制定し、適正な認証及び試験等の実施を確保するとともに、飲食料品以外の農林物資の品質表示の適正化の措置を講ずることにより、農林物資の品質の改善並びに生産、販売その他の取扱いの合理化及び高度化並びに農林物資に関する取引の円滑化及び一般消費者の合理的な選択の機会の拡大を図り、もって農林水産業及びその関連産業の健全な発展と一般消費者の利益の保護に寄与すること」に改正された。

構成

  • 第1章 総則(第1条・第2条)
  • 第2章 日本農林規格の制定(第3条―第9条)
  • 第3章 日本農林規格による格付等
    • 第1節 格付(第10条―第12条)
    • 第2節 適合の表示(第16条―第17条の15)
    • 第3節 登録認証機関(第14条―第29条)
    • 第4節 外国における格付(第30条―第32条)
    • 第5節 外国における適合の表示(第33条)
    • 第6節 登録外国認定機関(第34条―第36条)
    • 第7節 格付の表示等の保護(第37条―第41条)
  • 第3章 日本農林規格による試験等
    • 第1節 試験等(第42条―第52条)
    • 第2節 外国における試験等(第53条―第56条)
    • 第3節 登録標章の保護(第57条・第58条)
  • 第5章 飲食料品以外の農林物資の品質表示等の適正化(第59条―第64条)
  • 第6章 雑則(第65条―第75条)
  • 第7章 罰則(第76条―第83条)
  • 附則

脚注

  1. ^ 飲食料品の表示は食品表示法の対象となる。
  2. ^ 朝日新聞「私の視点」 2009年4月8日付
  3. ^ 農林物資の規格化等に関する法律及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(平成30年政令第2号)
  4. ^ 平成29年JAS法改正について:(農林水産省)

関連項目

外部リンク


JAS法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 02:36 UTC 版)

ジュース」の記事における「JAS法」の解説

1960年代まで法的な定義がなかったため、果汁含んでいないのにジュース名乗る商品もあった。そこで主婦連合会などの消費者団体が「果汁100%のもの以外は『ジュース』を名乗ってはいけない」という趣旨の『不良ジュース追放運動』を1967年から1968年にかけて行った結果1967年末に「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)が改正され、「果汁100%のもの以外は、『ジュース』という名称で販売できない」ことになった1971年公正競争規約でも決められた。また果汁100%ジュース容器のみ、果実切り口を描くことが認められている。 したがって粉末ジュースの名称も使用できないが、糖類蜂蜜などの添加許されている場合がある。果汁野菜汁のみを原料とする飲料のうち、果汁50%上のものも、野菜ミックスジュース表記できるいずれの場合も、果汁野菜汁は濃縮還元でもよい。なお、100%ではないが果汁含まれている飲料は、ジュースではなく果汁入り飲料」との表記になる。 また、一般に市販されているジュースのほとんどは、濃縮還元でも、ストレート果汁表記のものでも、加熱殺菌処理をされるため、ビタミンなどの栄養素減少している場合多く栄養素の面では、実際に家庭ミキサーなどを使って作るジュース比べると、格段に落ちてしまう。果物摂取する代わりにというよりは、あくまで風味を楽しむものと考えた方が良いトマトジュースにんじんジュースについては別に規定があり、トマト果汁100%のもののみをトマトジュース表記できる。ただし、食塩添加認められている。にんじんジュースも同様である。トマトジュース場合も、果汁濃縮還元でもよい。「野菜ジュース」についての定義はないが、一般的には野菜汁のみ、または若干食塩添加した飲料で、果汁100%ものをいう

※この「JAS法」の解説は、「ジュース」の解説の一部です。
「JAS法」を含む「ジュース」の記事については、「ジュース」の概要を参照ください。

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