導入初期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 22:50 UTC 版)
「日本のデジタルテレビ放送」の記事における「導入初期」の解説
2003年12月1日の地上デジタルテレビ放送当初、NHKは以前からBSアナログハイビジョン実用化試験放送やBSデジタル放送にてハイビジョン放送を行っていたので半数以上のテレビスタジオや一部地方放送局がハイビジョン対応(アナログ(MUSE)方式を含む)の設備を所有していたが民放各局では後述するテレビ東京を除きどの局も従来のSDTV(SD。画面比4:3の標準画像)放送専用のスタジオやカメラのみ所有しておらず、ハイビジョン対応の設備はごくわずかしかなかった(現実には既に全スタジオでハイビジョン対応の設備に更新されていた局もあった)。 もっとも、テレビ東京は2000年12月1日開局の系列BSデジタル放送局・BSジャパンでもハイビジョンでニュース番組など生放送番組を同時放送で行っていたのでスタジオ設備やカメラは既にハイビジョン対応化されていた(在京キー局の中ではいち早く1999年から2000年にかけて全スタジオのハイビジョン対応化を完了させた)。 また、このテレビ東京と日本テレビ・テレビ朝日は送出マスターの切り替え時期がテスト作業や準備の遅れ(すべてNEC製)からか局内のシステムの調整に慎重を期すため本放送開始から2~3ヶ月遅れてようやく地上デジタル放送対応の送出マスターに切り替えられた(TBSとフジテレビは統合型マスターに切り替えられるまでは簡易マスターでハイビジョン放送を送出する事ができた)。テレビ東京は送出マスターの切り替えまではハイビジョン映像はBSジャパンでしか見る事ができなかった。 また、テレビ朝日もBS朝日向けに放送される独自番組と地上波同時放送では2003年9月29日の現社屋に移転した当初から問題なくハイビジョンで放送が行われている。 一方、愛知県のメーテレと中京テレビ、大阪府の読売テレビでは2003年12月1日の地上デジタルテレビジョン放送開始当初から地上デジタル放送対応の送出マスター(アナログ・デジタル統合型、いずれも東芝製)で運用開始したが当初ハイビジョン放送は在京キー局側の新マスターへの移行の遅れからごくわずかだった。 そのため、地上デジタルテレビジョン放送開始当初のほとんどの番組は従来のSD映像の横に黒帯を入れる事で16:9の信号に変換して送るアップコンバート方式の番組ばかりで作過程から実際にHDTV(HD)撮影を行って放送していたのはNHKデジタル総合テレビくらいで、TBSとフジテレビは少数ながらもHD放送があった。この方式の番組でも放送局側が4:3である旨の画角情報を付加すれば視聴テレビが4:3サイズ画面でも16:9画面でも自動的に適した画面サイズに表示される が、現状(2006年初頭)でも画角情報の付加はNHK以外の放送局ではごく一部を除きほとんど行われていない(4:3画角情報を付加している放送局は画角情報の項を参照)。 また民放のアナログ4:3サイズ放送向けに制作した映画番組ライブラリーには作製の段階から上下に黒い帯を入れているものが多く、それらを地上デジタルテレビ向けに放送する際にはそのままアップコンバートしたものを使うため「超額縁放送」と呼ばれる表示状態になるアップコンバートハイビジョンと呼ばれる放送が行われていた。この方式の番組は、アップコンバートせずにSDTVの4:3サイズのまま放送した場合は4:3の画面サイズで表示してもこの方式ではなく単なる額縁放送となる(両者の違いや仕組みの詳細については当該項目を参照の事)。なお、これらのアップコンバートハイビジョン放送は元の映像ライブラリーが既にSD映像画質である事からアップコンバートしたからといって実際の画面の精細度がHDTV並になる訳ではないので一部では「なんちゃってハイビジョン」と揶揄されていた(テレビ東京系の『元祖!でぶや』〈現在は終了〉はこの方法で制作されている)。 しかしその後、デジタルハイビジョンテレビの普及及び受信可能地域が開始当初より格段に広がったため民放局は急ピッチでHD放送を増やさなければならなくなりHD対応スタジオやHDカメラへの切り替えを迫られた。これを機に、日本テレビとテレビ朝日は2003年に社屋を移転した(前者は一部業務部署の移転が2003年8月、地上波の送出業務開始が2004年2月29日である(BS(BS日テレ)とCS(CS日本)の送出機能は移転せず、旧社屋のまま残っている)。後者は大半の部署が2003年9月29日に移転したが、アナログ・デジタルでのマスター送出業務開始は2004年2月9日である。但し、BS朝日向けの番組送出は2003年9月の移転当初から実施されている)。
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