石油 公害・環境問題

石油

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/06 06:03 UTC 版)

公害・環境問題

歴史

19世紀まで

地下から湧く燃える水の存在は、古代から各地で知られていた。産地で燃料や照明に用いた例も多い。たとえば4世紀には中国で石油の採掘が行われたという記録がある。また1691年には現在も石油の生産が行われているルーマニアモレニ油田から石油が採掘され、産出された石油は品質の点で他の油より良いとされていた。しかし、大量生産はずっと後のことであった。

オケマ(オクラホマ)の油井やぐら, 1922

米国では、1855年、アメリカ先住民が薬用にしていた黒色の油を精製したところ鯨油よりも照明に適していることが分かり油田開発がスタートした[4]。また1858年にはルノアール・エンジンも発明された。

需要が伸びるにつれ原油採掘の必要性が高まったところ、機械掘りの油井の出現が、石油生産の一大画期をなした。エドウィン・ドレーク(ドレーク大佐)が1859年8月にペンシルベニア州タイタスビルの近くのオイル・クリークで採掘を始めたのが世界最初と言われる。しかし、別のところでもっと早くあったとする説もある。19世紀後半には、アメリカ合衆国ルーマニアロシアコーカサス地方が石油の産地であった。

当時は車(内燃機関)の燃料としてアルコールが一般的で、フォードT型モデルは1ガロンのアルコールで34マイル走行し、全世界で1500万台を売り上げた。一方1863年ジョン・D・ロックフェラーオハイオ州クリーブランドで石油精製業に乗り出し、1870年スタンダード石油を設立した。

ロックフェラーは石油から灯油を採った後に残るガソリンを産業廃棄物として夜陰に乗じて川に廃棄していたが、これを内燃機関の燃料として再利用することを思いついた。[要出典]そこへ1876年にドイツのニコラウス・オットーがガソリンで動作する内燃機関(ガソリンエンジン)の発明を、ゴットリープ・ダイムラーがそれを改良し、1885年にダイムラーによる特許が出される。同年、ドイツのカール・ベンツはダイムラーとは別にエンジンを改良した。しかしながら、アルコール燃料は燃焼によって水と酸素と二酸化炭素は排出するが、一酸化炭素や窒素化合物を出さないため、その点だけでもアルコール燃料の方が石油よりも内燃機関の燃料として優れていることに変わりはない。

同社は事業統合を重ね、1884年にはアメリカ合衆国全体の石油精製能力の77%、石油販売シェアは80-85%に達した。一方ロックフェラーらはアルコールの販売・製造の禁止を画策し、議会や禁酒運動団体等に介入し、1919年禁酒法が成立する。欧州各国でも、20世紀初頭は禁酒法の成立が相次ぎ石油寡占に拍車をかけた。[要出典]

過日、あまりに巨大化したスタンダード石油に対し、世論の反発が起き、1890年に成立したシャーマン反トラスト法により、同社は34の会社に解体された。ただし、消滅したわけではなく、分割されただけである。スタンダード石油が前身となって、今日のエクソンモービルシェブロンなどの旧7大メジャーができた。

第二次世界大戦まで

19世紀から20世紀半ばにかけて、生産だけでなく、消費側にも石油普及をうながす技術革新が続いた。内燃機関での利用である。19世紀末の自動車の商業実用化、20世紀初めの飛行機の発明は、ガソリンエンジンと切り離しては考えられない。船舶も重油を汽缶(ボイラー)の燃料にするようになった。

石油自体は珍しくないが、大量生産できる油田は少なく、発見が困難であったため、石油産地は地理的に偏った。戦車軍用機軍艦などの燃料でもあったことから、20世紀半ばから後半にかけて、石油は死活的な戦略資源となった。

20世紀前半には、ベネズエラインドネシアが石油の輸出地に加わった。この当時、世界の石油生産はアメリカ、ソ連、そしてベネズエラが多く占めていた。その中でもアメリカは約70パーセントを占めていた。

第二次世界大戦後

第二次大戦後、石油の新たな用途として、既に戦前に登場した化学繊維プラスチックが、あらゆる工業製品の素材として利用されるようになった。また、発電所の燃料としても石油が利用された。

戦後、中東に新たな大規模油田が相次いで発見された。中東は良質の優れた油田が多いだけでなく、人口が多くなく現地消費量が限られているため、今日まで世界最大の石油輸出地域となっている。

石油の探査には莫大な経費と高い技術が必要となるが、成功時の見返りもまた莫大である。必然的に石油産業では企業の巨大化が進んだ。独自に採掘する技術と資本を持たない国では、巨大資本を持った欧米の少数の石油会社に独占採掘権を売り渡した。これによって石油開発の集中化はさらに進み、石油メジャーと言われる巨大な多国籍企業が誕生した。石油の大量産出によって安価な石油はエネルギー源の主力となり、エネルギー革命と呼ばれるエネルギー源の変化が生まれた。

しかし1970年代に資源ナショナリズムが強まると、石油を国有化する国が相次いだ。1973年から1974年には、第四次中東戦争アラブ石油輸出国機構がイスラエル支持国への石油輸出を削減する動きをみせ、オイルショックと世界的な不況をもたらした。

他にも北海メキシコ湾など世界各地で石油が採掘されるようになると、石油の戦略性は低下していった。石油の重要性は低下していないが、供給はかつてほど脆弱ではない。しかし、その価格変動が世界の景気に与える影響は大きいものがある。

日本の石油事情

日米貿易は1853年の日米和親条約に始まったが、石油については、1879年にアメリカ人で商船J. A.トムソンの船長チャールズ・ロジャースが知人に頼まれ日本の物産を購入する際、新たな市場としての日本へ貨物として原油を精製した石油を届けている[5]

現在では、新潟県・秋田県の日本海沿岸、および北海道勇払平野)などで原油が採掘されている。生産量は年間で63万キロリットル(2014年度)で、国内消費量全体に占める比率は0.3%に過ぎない[6]。現在 新たに釧路平野に原油が予測されており経済産業省は新たに鉱区を設定した。

一方で原油の輸入量は国内消費量全体の99.7%、1億9,104万キロリットル(2016年度)[7]である。輸入相手国は上位よりサウジアラビアアラブ首長国連邦カタールイランクウェートなど中東地域からが全体の87%を占めている(2016年度)[7]

日本の石油会社

国際石油資本(メジャー)のような海外大手石油会社は、石油の探鉱、生産、輸送、精製、元売りまでを一貫して手がける垂直統合を行っているため、日本の石油会社も精製、元売り(これを下流事業という)のみから、上流事業(探鉱、開発、生産)を手がけるようになってきた。上流事業を専業とする日本の有力石油会社には国際石油開発帝石石油資源開発三井石油開発があるが、下流事業の有力会社としては以下のグループがある。

国内石油会社

日本の石油諸税

日本で消費される石油には多段階にわたってさまざまな税金がかかっている。これを石油諸税と言う。

この結果、たとえばガソリン1リットルには、消費税を除いて約56円の税金がかかっている計算になる。

前記の各税金のうち軽油引取税だけが地方税で、それ以外の税金は国税である。石油諸税の年間税収額は、2004年(平成16年)度予算で約4兆8,641億円となっている。地方税である軽油引取税を除いた税収合計は、国税収入の約12%を占め、所得税、法人税、消費税に次ぐ第4位の税収規模になっている。また、消費税以外の石油諸税は目的税となっており、その84%が道路整備財源として使われている。そのほか石油対策、空港整備などに使用されている。

日本の石油輸入先

2016年度 19,104万kl(上位10位内の中東地域で87.2%)[7]

  • 1位 サウジアラビア 37.4%
  • 2位 アラブ首長国連邦 23.7%
  • 3位 カタール 8.7%
  • 4位 イラン 7.0%
  • 5位 クウェート 6.6%
  • 6位 ロシア 5.8%
  • 7位 メキシコ 2.7%
  • 8位 イラク 2.4%
  • 9位 インドネシア 1.4%
  • 10位 オマーン 1.4%

日本の石油備蓄

(2016年3月末現在)207日分(原油5.5億バレル相当)[11]

  • 国家備蓄 4,734万kl(製品換算)122日分
  • 民間備蓄 3,130万kl(製品換算)81日分
  • 産油国共同備蓄 134万kl(製品換算)4日分

アメリカの石油戦略備蓄

米国には2011年2月現在17.27億バレルの石油備蓄を持つ。この中には米国内油田で産出せずに備蓄指定しているものを含む。(日本5.5、ドイツ2.8、フランス1.8、オランダ1.4等だが、ロシア、中国などの備蓄量は不明)


  1. ^ Wikisource reference 沈括. 『夢渓筆談』巻二十四 雑誌一. - ウィキソース. :鄜・延境内有石油、旧説「高奴県出脂水」、即此也。
  2. ^ 甘利重治・山岡博士著 河村幹夫監修 『石油価格はどう決まるか』 時事通信社 2007年12月20日第一刷発行 ISBN 978-4-7887-0768-9
  3. ^ 石井吉徳「高く乏しい石油時代が来る」
  4. ^ 『歴史学事典13』弘文堂、2006年、372頁
  5. ^ Charles Jabez Rogers, Captain』、メイン州海事博物館。
  6. ^ 石油連盟 今日の石油産業データ集2016 12頁
  7. ^ a b c 資源エネルギー庁 資源・エネルギー統計年報 平成28年 92頁
  8. ^ JXTGエネルギーはベトナムマレーシアパプアニューギニアイギリスで石油開発も行っている。
  9. ^ 旧・東燃ゼネラル石油で使用されていたEsso・Mobil・ゼネラルの3ブランドは2019年度をもって廃止、順次ENEOSに統一される。
  10. ^ コスモ石油はアブダビカタールで石油開発も行っている。
  11. ^ 独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 基礎情報:備蓄データ
  12. ^ a b 藤和彦著 『石油を読む』 日本経済新聞社 日経文庫 2005年2月15日1版1刷 ISBN 4-532-11056-4
  13. ^ 石鉱連資源評価スタディ2007年 (世界の石油・天然ガス等の資源に関する2005年末における評価)2007年11月石油鉱業連盟発行
  14. ^ BP Statistical Review of World Energy 2017 14頁


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