液化天然ガスとは? わかりやすく解説

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えきか‐てんねんガス〔エキクワ‐〕【液化天然ガス】

読み方:えきかてんねんがす

天然ガス主成分であるメタンや、プロパン・ブタンなどを冷却し液化したもの。燃焼際し石油などに比べ二酸化炭素排出量が少なといわれるLNGliquefied natural gas)。


液化天然ガス

読み方えきかてんねんがす
【英】: liquefied natural gas
略語: LNG

メタン主成分とする天然ガスを、水分硫黄化合物二酸化炭素などの不純物除去した後、超低温冷却液化したもの。LNG と略称する
天然ガスは約-160 液化するが、液化する気体の約 600 分の 1 の体積となり、輸送貯蔵に便利となる。したがって天然ガスピークシェービングの手段として LNG 化して一時貯蔵したり、パイプラインによる天然ガス輸送不可能な渡洋輸送場合LNG 化される
生産地生産され天然ガスベース・ロードLNG となって消費地輸送され消費されるプロセスは図のとおりである。すなわち、油田またはガス田生産され天然ガスから液化基地における脱水プロセス酸性ガス除去プロセス水銀除去プロセスで、水分酸性ガス水銀などが除去され、重質分が抽出される精製され天然ガスLNG 製造プロセス冷却液化されLNG タンク一時貯蔵される。そこから LNGLNG タンカー海上輸送され、LNG 受入基地LNG タンク貯蔵された後、LNG 気化装置によって天然ガス戻されパイプラインによって消費者供給される
ピーク・シェービング目的とする LNG 貯蔵は、天然ガス供給広域わたって大規模に普及している米国専ら行われている。
天然ガスLNG として海上輸送する事業は、技術的に1959 年に、貨物船改造した LNG タンカーによって、ルイジアナ液化されLNG大西洋渡って英国まで輸送する試みに成功したことで道が開かれたその後アルジェリア大量に発見され天然ガスヨーロッパ輸送して利用したいという課題抱えていたフランス英国上記試み成功させた米国コンチ社とが協力して1964 年アルジェリア本格的な液化工場建設し新たに設計建造した LNG タンカーによって、フランス英国LNG輸出する事業成功のうちに開始したのが事実上端緒となった
これにより、産出地近辺では使い途がなかった天然ガスガス需要のある先進国輸出できることが実証されその後アルジェリアから欧米各国への輸出次々と実現したほか、アラスカブルネイインドネシアからわが国へ、リビアからイタリアスペインへの LNG 輸出が、相次いで実現し2004 年にはエジプト加わり輸出国13 となった
2004 年には世界中で1.4トン/年(天然ガスにして約 1,800 億 m3/年)の LNG国際的に取り引きされた。近年インドLNG輸入開始し近く中国輸入開始するまた、北米英国とあわせ大きく需要伸び見込まれ2015 年では 3 億トンを超すとの予想もある。2004 年末現在、わが国は 9 カ国、17 プロジェクトから年間 6,000 トンLNG輸入する最大輸入国である。その 2/3電力用に、1/3 は都市ガス用に向けられており、後者一部産業用にも販売されている。

図 LNGの生産から消費まで
(堀 和秀、2006 年 3 月

天然ガス

(液化天然ガス から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/11 22:47 UTC 版)

天然ガス(てんねんガス)とは、メタンを主成分とし、エタンプロパンなどを含む化石燃料の一種[1]


注釈

  1. ^ ニューロンドン学校爆発事故では石油採掘時に副生する、着臭していない廃棄天然ガスを引き込んで使用したことからガス漏れに気付かず大爆発を起こした。この事故をきっかけに燃料用ガスへの付臭が実施され、今なお日本を含む多くの国々において燃料用ガスへの付臭は義務化されている。
  2. ^ ハイドレートとはガスの水分が凍結したもの。
  3. ^ : liquefied natural gas
  4. ^ : compressed natural gas

出典

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  2. ^ 都市ガス事業について日本ガス協会(2018年4月3日閲覧)
  3. ^ 天然ガスが「クリーン・エネルギー」と呼ばれるのはなぜ?国際石油開発帝石(2018年4月3日閲覧)
  4. ^ 火力発電の主力燃料「LNG」の正体って?東京電力ホールディングス(2018年4月3日閲覧)
  5. ^ 海運3社/船舶にLNG 自ら供給網/環境規制に対応 燃料船普及視野『日経産業新聞』2018年3月15日(商社・物流面)
  6. ^ 天然ガスとは三菱瓦斯化学(2018年4月3日閲覧)
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  27. ^ LNGとは
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  36. ^ 【ビジネスTODAY】川重がLNG発電船/10万世帯に供給可能/消費地近くに配置 土木工事不要『日本経済新聞』朝刊2018年12月4日(企業3面)2018年12月21日閲覧。
  37. ^ Johnson, Jeff. LNG WEIGHS ANCHOR. Chemical & Engineering News. Vol.83. No.17. pp.19-22. 2005年4月25日.
  38. ^ 商船三井がLNG発電船 事業化検討、収益安定狙う
  39. ^ LNG発電船、インドネシアに初配備…政府検討
  40. ^ ケネス・S・ディフェス著 秋山淑子訳 「石油が消える日」 パンローリング株式会社 2007年8月5日初版第一刷発行 ISBN 978-4-7759-7088-1


「天然ガス」の続きの解説一覧

液化天然ガス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/18 09:52 UTC 版)

フォールリバー (マサチューセッツ州)」の記事における「液化天然ガス」の解説

2002年、液化天然ガスのタンク建設する場所として議論百出した。ヘス・コーポレーションの子会社ウィーバーズ・コーブ・エナジー, LLC人口過密な地区施設建設する提案行ったその場所から半径1マイル (1.6 km) 以内に約1万人が住んでいる。住民の心配は、それまで都市中にそのような施設建設されたことがなく、液化天然ガスには混合された安全履歴があることだった。 住民抗議にも拘わらず、この計画連邦エネルギー規制委員会承認された。地元市民政治家、特にジョージ・H・W・ブッシュ大統領の「テロ専門補佐官だったリチャード・A・クラークが、規制委員会承認後も計画の変更迫っている。 沿岸警備隊がその南海司令官レイ・ナッシュ大佐通じて2007年10月にウィーバーズ・コーブ・エナジーの提案する液化天然ガス施設の建設中止決定した。これはブライトマン通りその周辺大型タンカー誘導するのが問題だったからだった。2010年時点で、ヘス計画の推進継続しているが、「湾を救え」など団体反対続いている。この計画メディア載ることも希となり、計画について語られることも少なくなった。 2011年6月ヘスはその計画放棄し土地売却する発表した。これは国内安価な液化天然ガスが入手できるようになっためだった

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液化天然ガス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 20:29 UTC 版)

天然ガス」の記事における「液化天然ガス」の解説

液化天然ガス(えきかてんねんガスLNGLiquefied Natural Gas))は、気体である天然ガスを-162以下に冷却して液体したものである。体積気体の約1⁄600となるため、輸送貯蔵目的として液化される。

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