地中海 地中海の概要

地中海

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/05/29 14:22 UTC 版)

地中海
Mediterranean Sea 16.61811E 38.99124N.jpg
人工衛星からの映像
座標 北緯35度 東経18度 / 北緯35度 東経18度 / 35; 18座標: 北緯35度 東経18度 / 北緯35度 東経18度 / 35; 18
水面積 2500000km2
平均水深 1500m
最深部 5267m
滞留時間 80年から100年[1]
3300以上

名称

地中海を指すMediterraneanという語は、「大地の真ん中」を意味するラテン語mediterraneus メディテッラーネウス(medius 「真ん中」 + terra 「土、大地」)に由来する。またギリシア語では、これとまったく同じ造語法でもって、mesogeiosμεσογειος)と呼んでいた。

歴史的には、ほかにも各国語でさまざまに呼ばれてきたことが古文書などを通じて明らかになっている。たとえばローマ時代のラテン語では mare nostrum と呼ばれたが、これは「我らが海」という意味であった。聖書には、「偉大なる海」、あるいは「西の海」として登場している。近代のヘブライ語では、"ha-Yam ha-Tichon" (הים התיכון)、"the middle sea" と呼ばれ、その語義はドイツ語 Mittelmeer と変わるところがない。トルコ語では Akdeniz と言い、これは「黒海Karadeniz に対する「白海」という意味であり、アラビア語では Al-Baḥr Al-'Abiaḍ Al-Muttawasitالبحر الأبيض المتوسط)と呼んで、「中央の白い海」という意味合いになっている。

近年[いつ?]の英語では、"The Med"という短縮語が、地中海とそれを取り巻く周辺地域を日常の会話で語る場合の共通の語として用いられている。

地理

地中海の地図

正確には、西ジブラルタル海峡大西洋と接し、東はダーダネルス海峡ボスポラス海峡を挟んでマルマラ海黒海につながる海をいう。マルマラ海を地中海に含めることもあるが、黒海を含めることはしない。19世紀に掘削されたスエズ運河の開通以降は紅海を経由してインド洋につながる。

内海であるため、比較的波が穏やかである。また沿岸は複雑な海岸線に富んでいるため良港に恵まれ、3つの大陸を往来することができる。こうした条件から、地中海は古代から海上貿易が盛んで、古代ギリシア文明ローマ帝国などの揺籃となった。21世紀初頭の現在も世界の海上交通の要衝のひとつである。

地中海の沿岸は夏に乾燥、冬に湿潤となり、地中海性気候と呼ばれる。この気候のため、オリーブ等の樹木性作物の栽培が盛んであるほか、夏のまばゆい太陽や冬季の温和な気候を求めて太陽に恵まれない地域から多くの観光客が訪れる。

下記のように巨大なプレートの衝突によって形成された海であるため、全域に火山が分布し、ヴェスヴィオ山エトナ山サントリーニ島など現代に至るまで活発に活動を続ける火山も多く、地震も頻発する。

海況

6月の地中海表面海流

内海であり、西端のジブラルタル海峡のみ[2]でしか外海と接続のないことは、地中海の海水循環に大きな影響を与えている[3]。ジブラルタル海峡は狭く浅いため、北大西洋海流のような外洋の大きな海流の直接の流入はない。大西洋からの海水の流入と、ナイル川などの地中海に流入する河川の水量をあわせても海面からの蒸発量が大幅に上回るため、塩分が高く潮位が低くなっている。

蒸発量は気温が高く乾燥の度合いの強い地中海東部においてより激しく、そのため東部では水面が低く塩分濃度も高い[4]。こうして低くなった東部には大西洋から西部を通じて低塩分の海水が流れ込み、東の高塩分水はそれによって西へと押し出され、ジブラルタル海峡より大西洋へと戻る。このため、地中海の表層の海流は軽い低塩分水が東へと流れ、深層海流は重い高塩分水が西へと向かっている[5]。地中海から流れ出た高塩分水は大西洋で数千kmも特徴を保ち続ける[6]

しかし全般的に言って、地中海の潮流は非常に弱い。閉鎖性水域であり、海水の循環が不十分であること、および沿岸人口は3億6000万人を超えるうえ世界でも開発の進んだ地域のひとつであることによって、地中海の水質の悪化が懸念されている[7]




  1. ^ Pinet, Paul R. (2008). Invitation to Oceanography. Jones & Barlett Learning. p. 220. ISBN 0763759937. http://books.google.com/books?id=6TCm8Xy-sLUC&pg=PA220&lpg=PA220. 
  2. ^ 厳密にはもう一箇所、スエズ運河を介しても外海と接続しているが、海況に与える影響は極僅かと言える
  3. ^ Pinet, Paul R. (1996), Invitation to Oceanography (3rd ed.), St Paul, Minnesota: West Publishing Co., p. 202, ISBN 0-314-06339-0 
  4. ^ Pinet 1996, p. 206.
  5. ^ Pinet 1996, pp. 206–207.
  6. ^ Pinet 1996, p. 207.
  7. ^ 「ビジュアルシリーズ 世界再発見1 フランス・南ヨーロッパ」p84 ベルテルスマン社、ミッチェル・ビーズリー社編 同朋舎出版 1992年5月20日第1版第1刷
  8. ^ Marseille Climate and Weather Averages, France
  9. ^ Gibraltar Climate and Weather Averages
  10. ^ Malaga Climate and Weather Averages, Costa del Sol
  11. ^ Athens Climate and Weather Averages, Greece
  12. ^ Barcelona Climate and Weather Averages, Spain
  13. ^ Iraklion Climate and Weather Averages, Crete
  14. ^ Venice Climate and Weather Averages, Venetian Riviera
  15. ^ Valencia Climate and Weather Averages, Spain
  16. ^ Valletta Climate and Weather Averages, Malta
  17. ^ Alexandria Climate and Weather Averages, Egypt
  18. ^ Naples Climate and Weather Averages, Neapolitan Riviera
  19. ^ Larnaca Climate and Weather Averages, Cyprus
  20. ^ Limassol Climate and Weather Averages, Cyprus
  21. ^ Tel Aviv Climate and Weather Averages, Israel
  22. ^ 「商業史」p67 石坂昭雄、壽永欣三郎、諸田實、山下幸夫著 有斐閣 1980年11月20日初版第1刷
  23. ^ 『世界一周の誕生――グローバリズムの起源』p62 園田英弘(文藝春秋[文春新書], 2003年)
  24. ^ 「ハプスブルク帝国を旅する」p99 加賀美雅弘 (講談社現代新書)1997年6月20日
  25. ^ “地中海で「近年最悪の海難事件」、難民500人水死の恐れ”. AFPBB News. (2014年9月16日). http://www.afpbb.com/articles/-/3025947 2016年11月28日閲覧。 
  26. ^ 『地球を旅する地理の本4 西ヨーロッパ』p.43-44 大月書店 1993年2月19日第1刷
  27. ^ Limits of Oceans and Seas, 3rd edition”. International Hydrographic Organization. p. 15-18 (1953年). 2012年4月20日閲覧。


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