地中根
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 06:58 UTC 版)
6a. キク科草本の普通根 (定根). 6b. ブラックベリー (バラ科) の普通根 (不定根). 6c. キャッサバ (トウダイグサ科) の塊根. 6d. サツマイモ (ヒルガオ科) の塊根. 6e. ダイコン (アブラナ科) の多肉根. 青首の部分は胚軸. 6f. ニンジン (セリ科) の多肉根. 6g. ビート (ヒユ科) の多肉根. 6h. ヒアシンス (キジカクシ科) の収縮根. 環状のしわが見える. 地中にある根は地中根 (terrestrial root) と総称される。 普通根 (ordinary root)形態的にも機能的にもふつうの根のこと。定根の場合も不定根の場合もある (右図6a, b)。 貯蔵根 (storage root)肥大して水や養分を貯蔵する特殊化した根のこと。貯蔵された栄養は、一定期間の後に、または母体から離れて分散された後に新たな地上部を生じることに用いられる。以下では塊根と多肉根に類別したが、その区分はかならずしも一定していない。また球根とよばれるものは、塊根などのほかに、鱗茎や塊茎など貯蔵器官となった地下茎も含む。 塊根 (塊状根、tuberous root, root tuber)根が不定形に肥大成長した貯蔵根 (右図6c, d)。定根である場合もあるが、不定根が肥大したものが多い。サギソウ (ラン科)、ジャノヒゲ (キジカクシ科)、トリカブト (キンポウゲ科)、ホドイモ (マメ科)、サツマイモ (ヒルガオ科)、ダリア、ヤーコン (キク科) などに見られる。また塊根の一形で、一部の根が紡錘形になったものは紡錘根 (spindle root) ともよばれ、アキギリ (シソ科) などに見られる。 多肉根 (succulent root)主根が、ときに上部に連なる胚軸 (最初の"茎") とともに肥大した貯蔵根 (右図6e, f, g)。ムラサキケマン (ケシ科) やダイコン (アブラナ科)、ニンジン (セリ科)、ゴボウ (キク科) などに見られる。ニンジンではほとんどが主根に相当するが、ダイコンでは上部の側根が生じていない部分 (2列のくぼみがない部分) は根ではなく、胚軸である。またカブ (アブラナ科) では肥大した部分は全て胚軸であり、下に細長く伸びている部分が主根に由来する。 収縮根 (contractile root; 牽引根 traction root)地下茎が成長に伴って地上部に出るのを防ぐために、これを地中に引き込む機能をもつ根のこと。伸長後に収縮するため、表面に環状のしわが生じる (右図6h)。地下茎から生じる不定根である。ユリ (ユリ科) やグラジオラス (アヤメ科)、リンドウ (リンドウ科)、シシウド属 (セリ科)、アザミ (キク科) などに見られる。 クラスター根(cluster root, proteoid root)試験管ブラシ状に変形した根で有機酸分泌能力が一般的な根よりも高く、土壌中の難利用性のリンを溶解し吸収しやすくすることでリン欠乏土壌に適応している。ヤマモガシ科(学名Proteaceae)の植物から発見されたのでかつてはproteoid rootと呼ばれていたが、後にマメ科、クワ科、ヤマモモ科などでも発見されたので形態的特徴に基づきcluster root(房のような根の意味)に変更された。
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