地中化の欠点、課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 03:28 UTC 版)
目視によって傷んだ電線類を断線前に発見できなくなるため、破損・断線箇所が特定しにくくなる。そのために復旧が遅れることもある。 関西電力三宮営業所に勤務していた松村幹雄は、阪神・淡路大震災の際には「地中線は断線の調査や修理に倍以上の時間がかかった」と証言している。 初期費用(増設費用)が電柱方式に比べて高い。地中での整備費は1キロメートル当たり4億から5億円と電柱方式の約20倍(電気事業連合会)もの予算を必要とする。 電線地中化により地上に設置される変圧器は電柱よりも大きいため、道路の幅が狭い場合は設置箇所に苦慮する。 道路に電柱がなくなると、地下管路を経由して電線やケーブルを建物に引き込むことになるが、その割高な工事費を道路管理者に支払う必要がある管路使用料がネックとなり光ケーブル(光ファイバー)や同軸ケーブル等の敷設を拒む通信会社(ケーブルテレビ局)が存在している。そのためブロードバンド普及の障害となり、情報格差の一因となっている。 電線類を地中化する際には、道路や私有地内での調査や工事などが必要になる。これは数か月にわたることもある。また、私有地内にも管路などのスペースを必要とすることがあるため、既存の建物の構造上など物理的な問題や土地の権利関係の問題について地元住民の理解を得る必要がある。 地中には既設埋設物として、都市ガス管や上水道下水道管などがある。地面を掘り返す際には、電線の他にガスや上水道・下水道の管理計画と連動する必要がある。また、明治期頃に埋設されたガス管などは正確な位置がわかっていないことがある。 修理の際に道路の掘り返しが必要になり、それにより道路が凹凸になる。道路の凹凸をなくすための定期的な再舗装のコストも増える[要検証 – ノート]。 同じ地域(町内)にもかかわらず、電柱の有無により電線の引き込み費用や導入可能なケーブルなどに格差が生じている。法整備が進んでおらず電柱がなくなることへの補償制度が確立されていないこともあり、前述のように概して電柱のない場合に費用が高くなり導入可能な電線類も限定されることになる
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