世界観と用語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/30 09:49 UTC 版)
「インテリビレッジの座敷童」の記事における「世界観と用語」の解説
基本的に現実世界と同様だが、妖怪などのオカルトが存在し世間に認知されている架空の世界が舞台となる。 インテリビレッジ 高級ブランド化された田舎の総称。人々の思い描く「田舎」を最先端技術によって人工的に再現した集落。ある年代の田舎の景色を精密に再現するというよりは、その土地の人々が思い浮かべる「田舎とはこういうもの」という原風景を演出するといったものに近い。基本的に高ブランド化で高額化した観光業や農作物を産業基盤とする。 精密機械工業分野で「致命的な敗北」を喫した日本が経済再生をかけ大きく方向転換し、伝統と最先端テクノロジーを融合させて出来た諸外国と戦うための超高精度第一次産業。インテリビレッジ政策が完了し日本が再び立て直すまでの数年間はハードウェア極小破壊『パッケージ』を用いて諸外国に恫喝外交を強いていた。 三ツ星ホテルや有名百貨店が提唱し広告代理店が喧伝、これによって国土の3分の1が再開発され第1次産業が様変わりした。格安かつ大量に流入する外国産作物と差別化を図るため、高価・安全・上質が売り文句となっており、インテリビレッジで作られたものはブドウなら一房三万円、酒はコップ一杯五万円といったような価格設定となっている。地価も非常に高く、その他インテリビレッジ内の土・風・水・草・虫・魚などにも高額な値段がつけられており、その辺りの川の水も1リットル300円かかる。 外部から若者を積極的に取り入れているものの、「田舎」であることを演出するため意図的に過疎状態になっている。店や交番なども少なく、農家は優れたセキュリティ網を備えた設備や武装警備員の雇用といった対策をとっており、買い物弱者問題には徹底した光通信網とネット通販で対処している。「学校教育よりも親の仕事について家業の勉強をする方が有意義だ」という風潮から産業を担う跡取りは学校を公欠することもできるなど、独自のシステムが存在する。集落は基本的に閉鎖的であるとされる。 『昔はこんなじゃなかった』『昔に戻れば全部丸く収まる』といった思想によって、科学的な数値以上の価値を期待する人々によって新設される。 田舎が再開発されたことで、文明の発達に伴い都会で暮らし辛くなった妖怪達がインテリビレッジに集まるようになった。 妖怪 「意思を持つオカルト」、「人々の想いが固着して肉体を得たもの」とされる存在。 基本的に現実世界における概念と同様。近代的な都会を嫌い、古風な田舎を好む。銃火器や車の衝突といった普通の方法では傷一つ負わないが、妖怪同士の戦闘や特殊な技能を持つ人間の手にかかればその限りではない。 人間の言語で意志疎通が可能だが、喋れる種とそうでない種がいる。人間の形をとるものであっても人権などは存在せず、労働もできない。また彼らに人間が殺害されても事故死のような扱いとなるなど、現行法では裁くことができない。一方で、国家登録番号として各妖怪には「数字8桁+アルファベット2文字+〇号」という個体番号が割り振られている(現在ではあまり使われていない)。チゾメノザシキワラシの災厄後、人間と意思疎通可能な592種の妖怪に対して民法が適用される事になった。 また、妖怪の誕生は未だブラックボックスであり、「出現頻度に関わるXの乱数幅」など21世紀の難題十指に数えられている。致命誘発体 種族の特徴として人間を殺しかねない特性を持った妖怪たちの総称。 パッケージ 霊障事件の代表格であり、妖怪の特性や条件を犯罪システムに組み込んで悪用する完全犯罪装置。具体例は、人の心を読むサトリの力を使ってインサイダー取引を思いのままに行う、人を病気にする疫病神の力を使って憎い相手を自然に殺すなど。 組み込む妖怪を見据え、伝承を正確に紐解き、目的に合わせて一部を曲解・肥大化させて、具体的かつ物質的なアイテムに記号を盛り込み霊的に連結させる事でアセンブル(組む)される。よって、アセンブルや管理維持には大規模な人数と資金が必要となる。 組み込まれた妖怪は基本的に自覚症状に乏しい場合が多い。複数のパッケージを同時に駆動させるセパレート型など複数の方式が存在する模様。 陣内家 インテリビレッジ納骨村で酒造業を営む一家。代々肝臓が強く、嫁入りする女性たちも酒豪の傾向が強い。造った酒はコップ1杯5万円で販売される高級品で、伊勢神宮にも奉納されている。商品研究と称して、ほぼ毎晩酒盛りが行われている。 住居はかやぶき屋根の古民家だが祖父の方針で水回りと冷暖房はハイテクになっている。妖怪たちの間ではかなり有名であるらしく、しばしば遠方から訪れる旅の妖怪達の一夜の宿にされる。 人間の食事は居間で、妖怪の食事は仏間で、と決められているが、いただきますと言った後なら双方が移動する事まで制限されていない。 菱神 『菱神』は、日本経済の一翼を担い防衛兵器の生産・納入さえ牛耳る、重工業を中心とした日本の代表的な総合商社。銀行にも名前が使われており、ゴールデンタイムには菱神の関連企業のCMが必ず放映されている。平安時代に栄華を極めた藤原氏が、唯一届かないと謳った月さえ欲しようと分かりやすい力を望んだ結果、人工的に生み出された血族。二度にわたる大戦終結後に財閥は解体され、企業連合体としてのグループに生まれ変わった現在は9部門58社が加盟しており、その従業員総数は20万人強。その本家には『菱神の男』『菱神の女』と言われる因習が存在する。 『菱神の男』は静的な集合を重視し秩序の維持や人と人を繋げる力に長け、時代の混乱期に台頭し、結果的に総合商社などの巨大で安定なシステムを作り上げる。 『菱神の女』は動的な離別を重視し、『菱神の男』が作るシステムのブレーカー役としてグローバル企業を個人で破壊し得る程に秩序の破壊に秀でるとされる。結果として、時代の退廃期に台頭して腐り切った組織を壊滅させる。このような経緯から『菱神の女』は「菱神の女は凶事を招く」という家訓がある程忌み嫌われている。出生届も出されず、本来なら生まれた瞬間に殺されるが、何かしらの理由で免れた者だけが外の世界へ放たれる。 百鬼夜行 妖怪絡みでは国内最強、世界最大級の一角と呼ばれる巨大組織。壇ノ浦の戦いで入水し損ねた平家の末裔を長に据える完全な血統主義の組織であり、数百年前から凋落の一途を辿っている。将クラスの幹部だけで100人いるが、実際にオカルトを扱える人間は3割に満たない。 古都の公家や貴族の旧邸宅のように内装を変えたくの字の形をした巨大な全翼機を中心に、第4.5世代と第5世代の護衛戦闘機を8機、その整備のための機材を積んだ大型輸送機2機、空中給油機1機を侍らせた大編隊を本拠地とし、「退役したパイロットを教官として集めた航空学校の一部門が航空軍需各社の最新機の性能試験を手伝っている」という名目の元で常に飛行している。全翼機の上には皿のような巨大なアンテナが取り付けられており、空中警戒管制機と同等の機能が備わっている。 栽木和に移動拠点を墜落させられた事で、菱神恭に協力を取り付けてステルス戦略爆撃機6機と空中警戒管制機1機を新調した。開国派 一定の秩序を守るために、外部の人間に依頼を託し妥協する勢力。鎖国派が壊滅した後は、実質的に百鬼夜行として活動している。 鎖国派 内部の人間だけでことを収めるために、あらゆる秩序を切り捨ててでも自己の強化を図ろうとする勢力。クーデターを起こし開国派の首脳陣を全て粛清して全翼機を乗っ取った。 インテリビレッジ風化村のホテルに妖怪絡みの関係者(忍達一行)を集めて座敷童のパッケージをアセンブルし、パッケージの高ブランド化を通して縁の力を底上げし回収することで、凋落の一途を辿る百鬼夜行の再興を目論んだ。 ユーロセキュアフォース サキュバスの使役式を確立しようとしたものの失敗し、逆にサキュバスが計画を主導していた高官達を丸ごと魅了する形で形成された欧州のコミュニティ。 人の組織力を手にした妖魔によるコミュニティという直接的脅威という形で国外から、才子佳人を乗っ取り百鬼夜行に吸収させる形で国内から、それぞれ百鬼夜行内のパワーバランスを操作し、更に「鎖国派」の代表格として一員を送り込むことで百鬼夜行内部のクーデターを引き起こした。インテリビレッジ風化村の一件の後、引き際を見誤り、歴史的なペストの脆弱性を突いた病魔の使役者の直接攻撃により壊滅した。 才子佳人 人間も妖怪も問わず、ありとあらゆる手段を使って究極の美人を作り出すことを目的とする組織。時代や地域によってブレない徹底的な美を目指している。 組織の構成人数は少ないが、腕の立つ人員が多いため、大きな犯罪組織が吸収しようと躍起になっていた。そのため勢力構造が複雑で、容易に手出しできない危険な構図を敢えて作り出していた。 信州奥地の白木戸市(旧姥捨村跡地)のダムで霊的薬品のエミュレーターを製造していたが、舞により全て焼却処分されてしまい、スポンサーに見限られ彼らに皆殺しにされた。その後、スポンサーもまた霊的薬品製造の研究初期段階に確立させた「妖怪を殺害する技術」を利用して舞を襲うも返り討ちに遭い壊滅した。 悪鬼羅刹 四桁クラスの規模の組織。人間を妖怪に組み替えることが組織の目的として主流。旧首脳陣がクーデターで全滅、後にクーデターの首謀者たちも舞や隼の活躍で壊滅した。 大きな犯罪組織 巨大犯罪組織ネット。国際的な規模のものは四つ存在しているようで世界四大ネットと呼ばれている。日本に関連するものの一つに、暴排関係の新制度に抗うために国内の広域指定が中国・コロンビア・イタリア・アフリカ・東欧など様々な国の犯罪組織と手を結ぶことで結成されたものがある。安楽会 世界四大ネットの一つの日本支部。終戦直後の混乱期に、弱い市民を守るための武器と兵力を供給するという名目で勃興した用心棒集団として発足した。当初は武器商人とPMCを併せたようなビジネスを行っているだけだったが、麻薬ビジネスで勢いづいた他組織との抗争が勃発し、なりふり構わず武器や人員を補強するために汚れ仕事へ手を染めるようになった。抗争は安楽会の大勝利で片が付いたが、その頃には当初の理念は消え失せ「広域指定」になっていた。 安楽会の『上』は人員、武器、資金の面で不安が残り四大ネットの中で一番格下だという評価もあるが、同時に、「世界で初めて、国家以外の勢力で核武装に成功した民間組織」という厄介な噂もある。旧ソ連の廃棄施設からMIRVの弾頭を盗んで小型核を回収したという情報、さらに海外の民間宇宙船会社を脅迫していたことも明るみに出て、二つの事実が真実の場合は弾頭攻撃が可能ということになる。 占い師として雇った栽木和に裏切られネット全体ごと壊滅した。 鬼籍会 世界四大ネットの一つの日本支部。暗殺、臓器売買、保険金殺人、人身売買、死体処理など、人の命に値札を付けるビジネスを主に行っている。椀貸不動産は、この鬼籍会の下部組織。 料亭の主様 東は赤坂、西は祇園の二派閥に大きく分かれ、日本の政治を裏から操るコンダクター集団。政治の真の中枢であり、与野党の判別もなく政治に関わる因子を全て操っているとされる。世界一の電波塔や『江戸前復古』キャンペーンなど、ここ最近は東側が盛り返しており、西側の『小さなナショナリズム』が勢力構造に神経質になっている。 遺産相続エージェント 「法的な順番を無視して依頼人の希望通りに遺産の譲渡を成功させる」という売り文句を建前に、老人達から遺産を騙し取る詐欺集団。インテリビレッジ納骨村のサナトリウムにて雪女のパッケージを試験し、大きな犯罪組織へ向けてパッケージの輸出ビジネスに手を出そうとしていた。詐欺事件と雪女の関連性に気づく恐れのあった忍を襲撃したが、逆に彼にパッケージを乗っ取られ計画は失敗した。 因果応報 3人のイタコをトップに据えた復讐集団。『妖怪の証言や超常を用いて入手した証拠は裁判に採用されない』という現行法への不満から、残留思念の形を取った死者の声を聞いて、殺人犯に裁きを与えていた。しかし、3人のイタコが金に釣られて『死者の声』を偽造するようになり、殺し屋集団へと墜落した。幹部であった主人がイカサマによって殺された猫又と、百鬼夜行との利害問題を解決するため差し向けられた舞によって、2週間あまりで組織は壊滅した。 常在戦場 構成員は手の甲に階級章としてタトゥーを刻んでいる。昇進する度にラインが増えるが、逆に降格するような失敗をすると制裁として手首が切り落とされる。名前負けした三流組織であり、犯罪者にパッケージを卸売することで収入を得ていたが、過去に首脳陣を菱神舞によって皆殺しにされた経緯がある。その後、生き残った構成員が地方のマスコミを狙い、箱根の芦ノ湖テレビに関与していた。 CIA 世界各地に潜り込んでいるアメリカの諜報員。基本的には正規エージェントは表に出たがらず、資金や武器を与えて現地でゲリラやテロリストなどの『駒』を調達する。 青行灯を『ブルーランプ』と呼称し、彼女の脅威から日本を救うため臼引き童のハードウェア極小破壊『パッケージ』を乗っ取り日本製ハードウェアの信頼を失墜させ、世界恐慌を招くことで国家の買い取りを目論んだ。しかし、忍達一行により作戦は妨害されたため、アメリカは青行灯の陰謀から手を引く姿勢を示すこととなった。 信賞必罰 妖怪絡みの事件は現行法では裁けず、裁判の進捗も拗れて中々進まない。そういった事例が気に喰わず、暗殺でもって解決を促す殺し屋集団。 金輪奈落 借金・虐待・ストーカー・『大きな犯罪組織』とのトラブル等、様々な問題を抱えた人材をスカウトし、問題を肩代わりする代わりに組織の目的の仕事を行い刑務所に入ってもらう。こうした主義・主張のない使い捨ての人材で組織される傭兵集団。 タロットガールズ22 今一番人気の国民的アイドルグループ。その名の通り、大アルカナ『愚者』から『宇宙』までの22人が一軍、そして小アルカナ『杖』・『杯』・『剣』・『盤』がそれぞれ14人ずつの計56人が二軍として登録されている。最近のアイドルにありがちな『美少女とオカルトの神秘性を融合させる』方式で売り出し、爆発的にヒットした。最大の特徴は、メンバーを一軍、二軍と切り分けておきながら実質的には関係なく、新曲リリースや全国ツアーの編成などは常にバラバラに組み直している点。メンバー一人一人をタロットカードに見立て、その日その時やるべき仕事に対して最適なカードの組み合わせで参加ユニットを確定させている。純粋な人気や売上を無視したその運用方法が、むしろスピリチュアルという設定の観点から説得力を一役買っている。ダンスの振り付けやライブ中のステージの立ち位置の移動などもタロット的な意味が盛り込まれていると噂があり、『解析班(アルカナリーダー)』と呼ばれる熱狂的なファン達によって動画共有サイトや掲示板で独自の解釈を披露している。 新橋の臨海エリアにある20階建ての巨大なビルが、丸々全て『タロットガールズ22』だけを擁するための専門の芸能事務所。低階層はジム、収録、写真撮影用スタジオなど外部スタッフを招く施設で、高階層は法務や経理など内部スタッフだけで回せる施設が集中している。最上階が社長室。数人しか存在しないマネージャーは全て取締役であり、1人で10人ものアイドルを管理している。 姥捨て団地 正式名称は『椀貸宿営団地』。巣鴨にある解体予定の20棟ほどの団地であり、家族に捨てられた老人達が寄り添う日本最大の違法ハウスとなっていた。山姥の死体を利用した悪意増幅『パッケージ』により、老人達の孤立が整えられていた。 隼と艶美の介入によって『パッケージ』は停止させられ、警察が椀貸不動産を逮捕。部屋に住んでいた住人達も、艶美の助力によって人並みの生活を営めるレベルまで戻った。 小手蜜 旧財閥時代から軒を連ねる金融筋。常に揺れ動く金融、為替、国債などの場に介入を続け、日本円のブランドを高水準で維持し続ける事、それを以て国家への奉仕を行う一族。故に、個人で財を為す事は目的ではない。 「あらゆる問題を金で解決する、仕手戦の絨毯爆撃部隊」などとも噂され、日本橋を行き交う証券マン達の間では『金曜日の夕暮れに絶望して月曜日の夜明けに首を吊りたくなければ、小手蜜本家には近づくな』という格言まで広まっている。一方で、極端な乱高下を生み出す小手蜜本家の動きに乗じて一攫千金を狙う投資家はゴールドサーファーなどと揶揄される。 軍事転用可能なオートドライブ技術を海外へ売却しようとした新興のクラウド自動車を締め上げるため、周辺町工場を片っ端から敵対的買収で買い占め、特許問題で雁字搦めにした『楔の七分間』という有名な逸話もある。
※この「世界観と用語」の解説は、「インテリビレッジの座敷童」の解説の一部です。
「世界観と用語」を含む「インテリビレッジの座敷童」の記事については、「インテリビレッジの座敷童」の概要を参照ください。
- 世界観と用語のページへのリンク