空気調和設備
(冷暖房 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/05/28 02:13 UTC 版)
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空気調和設備(くうきちょうわせつび)は、空気調和(温度・湿度・空気清浄度などの室内環境の調整)をするための建築設備である。一般に、空調設備(くうちょうせつび)と呼ばれ、さらに人に対しての空気調和を保健空調(対人空調)、物品に対しては、産業(プロセス)空調と呼ばれる。
20世紀後半から、地球温暖化による建築物の外皮(ペリメーターゾーン)の熱負荷上昇、OA化による建築物の内皮(インテリアゾーン)の熱負荷上昇に伴い従前の空調方式では人間の居住環境の維持が難しくなってきている。さらに建築物の高層化、気密化が進み、種々の空気調和設備が設置されるようになってきた。
地域性
地域の気候、土地面積、法規制等によって冷暖房の形態は大きく異なり、また気候変動や環境規制等によって今後大きく変化すると考えられる。
日本
一般家庭で全館空調はセントラルヒーティングの普及した北海道を除き珍しく、各部屋ごとに冷暖房兼用のルームエアコンや暖房器具を設置する場合が多い。
家庭用エアコン室内機は壁掛型が主流。
韓国
オンドルと呼ばれる床暖房システムが古来より用いられてきた。そのため家庭用エアコンは冷房のみのクーラーが多い[1]。
人口過密で一戸建てよりマンションが多い上にベランダもなく、室外機を設置できず屋内に置く場合も多い。この場合エアコンを使用するたびに排熱のために窓を開ける必要がある。[2]
ほとんどのエアコンには「ミセモンジ」という粒子物質による大気汚染対策のため空気清浄機能がつけられている。
またエアコンの本体価格・施工費用も高額である。日本円にして30~50万円のものがほとんどの模様。その代わり一台で家全体を冷やすパワーがある。
室内機は床置型が主流。
扇風機をつけて寝ると死ぬという扇風機の都市伝説がある。
アメリカ
HVAC (Heating Ventilation and Air Conditioning)と呼ばれるセントラル空調が主に利用される。大掛かりな熱交換、送風機を地下室やランドリールームに設置する。[3]
室外機も巨大であり、形状は立方体に近く、側面より吸気し上に向かって排気する。[4]
家全体を常時空調する。
かつては家全体で設定温度が一定だったが、現在はHVACダンパによりゾーンごとに風量、ひいては温度調節が可能になった。[5]電子制御出来るものもある。[6]
さらにはGoogle Nest thermostatなどのスマートサーモスタットによりスマートホーム化も可能となった。[7]スマートグリッドの連携も考えられている。[8]
家全体で臭いが共有されるデメリットがあり、共同のHVACにより大麻の臭いなど悪臭がマンション全体に広がることもある。[9]
日本のエアコンの寿命が10年程度なのに対し30年程度の長寿命を持つ。[10]
ダクトの掃除費用は2023年の例では家全体で1回500〜1000ドルと高額で大掛かりである。[3][11]
各部屋ごとにエアフィルターがありこれによってある程度ダクトの汚れが防がれる。[4]
室外機の形状が日本とは異なる。
売上順にトレイン、ダイキン、キャリア、ジョンソン・コントロールズが大部分を占めている。[12]
地域性によりアメリカ企業のシェアが大きく、トップ5メーカーのうち海外企業(日本企業)はダイキン一社のみである。環境規制により冷媒ガスがR410AからR-32,R-454Bへの移行が進みつつあるが、州によっても規制が異なる上変化も大きくどの冷媒ガスが後継に適しているかは各社で判断が分かれる。
欧州
暖房には暖炉のほか、近代ではセントラルヒーティングで各部屋に熱を供給する方式が広く普及していた。
かつては冷房は殆ど必要とされず、暖房のみが行われていたが、気候変動によって冷房の需要が急増している。しかし冷媒配管を扱える施工業者の不足、景観条例による規制によって室外機の設置が難しい場合が多く、普及率は低い[13]。
設置の容易な窓枠取り付け型が多く利用される。室内機を持たず代わりに排熱のための給排気口を必要とするタイプも開発されている。[14]
欧州は環境規制に熱心で、オゾン層破壊、地球温暖化のみならず環境汚染も懸念しPFASの規制を検討しているため、将来的には自然冷媒に移行するかもしれない。[15][16]
熱輸送方式による分類
熱輸送方式にはいくつかの種類があり、適合する用途が異なる。
全空気方式
全空気方式は、熱輸送に空気のみを用いるもので中央式の代表的なものである。劇場・体育館などの大空間に適する。ダクトと呼ばれる金属の筒で空気を輸送するのが一般的。
- 特徴
- 主な方式
水・空気方式
水・空気方式は、熱輸送に水と空気とを併用するものである。
- 特徴
- ダクトスペースが小さくできる。
- エアフィルタなどを分散配置するため保守に手間がかかる。
- 主な方式
- ファンコイルユニット・単一ダクト併用方式:熱交換器・送風機・エアフィルタが内蔵された室内ユニットに冷水または温水を供給し、温度調節を行うもの。換気はダクトで行う。
- インダクションユニット方式:熱交換器・エアフィルタが内蔵された室内ユニットに、ダクトから圧力を高めた一次空気を吹き込み室内の空気を吸引し、供給する冷温水の量で温度調節を行うもの。各ユニットにダクトの接続が必要である。
水方式
水方式は、熱輸送に水のみを使用するものである。
- 特徴
- ダクトスペースが不要である。
- エアフィルタなどを分散配置するため保守に手間がかかる。
- 換気に換気扇・全熱交換器など別の機器が必要である。
- 主な方式
- ファンコイルユニット方式:熱交換器・送風機・エアフィルタが内蔵された室内ユニットに冷水または温水を供給し温度調節を行うもの。
- 水熱源ヒートポンプパッケージ方式:水熱源のヒートポンプエアコンを各空調箇所に分散配置するもの。
冷媒方式
熱輸送に冷媒配管を使用するエア・コンディショナーが代表的なものである。小型の建物では最も多く採用されている方式である。昨今は機器性能の向上、建築計画上の工夫により、大規模(延床面積7万m2)な事務所ビルでも採用事例がある。上記の他方式に比較し、成績係数(COP)が高く、最も省エネルギーを図れる。また、個別分散型になるため、温度制御対象が小区画になり、温度制御が容易で、快適性が増すものの、維持管理対象が小型で多数分散し、個々の耐久性も中央式と比較し短いため、長期的な修繕、更新コストは高くなる傾向にある。
構成要素
湿度調整
- 電極式蒸気加湿器
- 電熱式蒸気加湿器
- 気化式加湿器/滴下式加湿器
- 水スプレー加湿器
- 超音波加湿器
- 遠心噴霧加湿器
- エアワッシャ―加湿
- マイクロバブル加湿/ナノフォグ加湿
- 冷却式除湿機(過冷却による除湿方式)
- 物理吸着式除湿機(全熱交換器ローターを用いた除湿方式/デシカント方式)
熱交換
- 床暖房
- 室内機
→「エア・コンディショナー § 室内機の分類」も参照
- 室外機
→「エア・コンディショナー § ユニットの形態」も参照
- 冷風機(室内機・室外機一体型)
- 冷媒配管
- 温水配管
- 冷水配管
- 冷却水配管
- 蒸気配管
自動制御
- 電気式
- 空気式
- 電子式
- 電子・空気式
- 自力式
- 中央管制装置 - 中央監視装置
脚注
- ↑ 韓国のエアコン事情 一般社団法人日本エアコンクリーニング協会
- ↑ “韓国のエアコン事情|一般社団法人日本エアコンクリーニング協会”. エアコンクリーニング依頼、研修、講習・一般社団法人日本エアコンクリーニング協会. 2025年11月5日閲覧。
- 1 2 “セントラルヒーティングシステムの壮大なクリーニングをやってもらった件 | インドと日本の架け橋に俺はなる!つもりだった。” (2023年8月5日). 2025年11月5日閲覧。
- 1 2 “『アメリカのエアコンで知っておくといい事』”. アメリカ在住約18年 日常生活をおもしろおかしく発信中 五十嵐結. 2025年11月5日閲覧。
- ↑ “HVAC Damper”. トレイン (空調設備メーカー). 2025年11月15日閲覧。
- ↑ “Trane Link Zoning”. トレイン (空調設備メーカー). 2025年11月15日閲覧。
- ↑ “Nest Thermostat” (英語). Google Store. 2025年11月15日閲覧。
- ↑ “Appleがスマートホームに本気を出し始めた? - EnergyKit爆誕|新貝文将”. note(ノート) (2025年8月6日). 2025年11月15日閲覧。
- ↑ “アメリカのゴキブリ/大麻の臭い対策-ほぼ決定版-|hakohwa”. note(ノート) (2025年8月31日). 2025年11月5日閲覧。
- ↑ “アメリカで主流のセントラル空調ーそのメリットとデメリットとは”. ダクト製造・販売のフカガワ. 2025年11月5日閲覧。
- ↑ “『非常に微妙なダクトクリーニング』”. アメリカ生活の理想と現実・・・と妄想. 2025年11月5日閲覧。
- ↑ 黄シズカ (2025年7月11日). “北米における空調業界の市場シェアと業界ランキング”. deallab. 2025年11月5日閲覧。
- ↑ “酷暑の欧州でエアコンが極端に少ない理由”. CNN.co.jp (2025年7月3日). 2025年11月5日閲覧。
- ↑ “Panasonic、英スウィンドンで最新の省エネ暖冷房技術を展示 ― 自宅建築やリノベーション向けに持続可能な暮らしを提案”. HVACRPOST (2025年10月13日). 2025年11月5日閲覧。
- ↑ “「PFAS規制後の自動車用冷媒としてR1234yfの代替はどうなるのか?」をテーマに取り上げるウェビナーをIDTechExが開催します。”. ドリームニュース. 2025年10月30日閲覧。
- ↑ “オゾンホール、温暖化……PFAS以外にもあるフッ素化合物の環境問題【PFAS規制でどうなるフッ素化学品 第5回】”. chematels.com. 2025年10月30日閲覧。
関連項目
冷暖房
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/25 17:04 UTC 版)
学校は公共施設の中では冷房の設置率が非常に低い施設である。近年までは航空機による騒音問題で窓を全開できない空港や自衛隊・在日米軍基地の近くにある学校に設置されているくらいであった。 設置率が低い理由としては、子供は夏の暑さに耐えさせるべきだという教育的・医学的な理由、猛暑の時期は夏休みであること、ベビーブームで学校の増設が優先されて快適性が後回しにされてきたことなどが挙げられる。 しかし、近年は地球温暖化やヒートアイランド現象で健康を害すほどの猛暑が珍しくなくなっており、学校の冷房化率が上がりつつある。
※この「冷暖房」の解説は、「学校施設」の解説の一部です。
「冷暖房」を含む「学校施設」の記事については、「学校施設」の概要を参照ください。
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