冷暖房システムの変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 02:46 UTC 版)
「日本の気動車史」の記事における「冷暖房システムの変化」の解説
普通列車用気動車の冷房化は長らく立ち後れていたが、1980年代中期以降著しく進展した。これはエンジン出力の向上と、電車や客車と共通の電動式冷房装置に代わり、バス用の直接駆動式冷房装置を採用するようになったこととが影響している。 国鉄気動車は長年にわたり、冷房システムを電車と同一の電動式冷房装置に依っていた。このため空調やサービス機器用の電源は、専用エンジンを用いた発電機(発電セット)を搭載して確保せねばならなかった。たとえばキハ58系では、冷房用電源の4VK発電機(自車を含め3両分の冷房電源を供給可能)を搭載したキハ65・キハ28・キロ28が編成に含まれなければキハ58の冷房が使えず、冷房サービスを敷衍させるには自由度を欠いていた。また単行運転される両運転台気動車は、空調用電源エンジンを搭載するスペースの余裕がないか、スペースがあっても過剰装備となりコスト面で不利なことから、容易に冷房化できない状況が続いていた。 高出力の直噴直列6気筒エンジンを搭載した新形気動車では、出力に余裕があることから、バス同様、冷房装置の空調用コンプレッサーを走行用エンジンの余力で直接駆動するように改められた。廉価なうえに、気動車1両単位でシステム完結した冷房化が可能なため、国鉄末期に登場したキハ185系などを皮切りに、単行運転向けの両運転台車から、特急形車両に至るまで多くの気動車でこの種の方式が採用されている。走行用エンジン出力が不足気味の車両では、一部のバスと同じく、別搭載の小型サブエンジンによってコンプレッサーを直接駆動する方式が採られている。 一部の車両は、発電機を一定速度で回転させる仕掛けである定速回転装置(次節で詳述)を介して走行用機関で発電機を駆動し、電気式冷房装置を稼動させている。この方式では、冷房を使用しない時期の発電電力を電気暖房に使う事ができるため、従来の機関廃熱利用の温水暖房に比べ、大幅に冷却系を縮小できる。よってメンテナンスコストの軽減にもつながる事となる。このシステムを採用した車両は徐々に増えつつある。例として、キハ283系気動車があるが、この車両はAC三相440 V・60 Hz、25 kVAの発電機を各機関に1台(1両で2台)装備し、冷暖房兼用空調装置のほかに別に装備された電気暖房の電源としても使用している。
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