世界観と地名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 00:49 UTC 版)
物語の中では3つの勢力が存在している。 北政府 大陸の北半分を治める大国。ソトモの国に産まれ「ヒルケン」の名を代々継承する皇帝による独裁体制が敷かれており、現在、貴重な資源である赤宙石をめぐって、南大陸自由圏と交戦状態にある。首都は、ヒルケン皇帝の居住地でもある「金剛塔」。また、第十七禁猟区にあるルイコン教の聖地・胎動窟や、辺境の地にあるサンノオバが住む龍宮など、ルイコン教関係の史跡も点在する。現ヒルケン皇帝の即位以降はルイコン教徒たちへの激しい弾圧が始まり、迫害により多くのルイコン教徒たちは離散状態にある。また国内に残った教徒たちも、厳しい生活を強いられている。 現ヒルケン皇帝は金剛塔を支配し実質的に北政府を支配する僧侶たちにより作り出された人造生命体。故に心を持たず、国営放送を通じ自らの歪んだ思想を人々にむけ語りかけている。また、金剛塔から世界各地にいるヒトガタやザムドを監視している。南大陸以上に深刻な物資不足に苛まれ、テシクやルイコン教への弾圧も激しいため反政府活動が盛ん。 北の兵士たちはヒルケン皇帝への絶対的忠誠心を植え付けられており、ルイコン教の教えが浸透しているせいで死を恐れず、追い詰められると自爆死する。ただ、サンノオバやジバシリたちへの畏怖の念は消えておらず、自分たちの行いが必ずしも正しいものだとは考えていない。アマウの原 元々は工業地帯だったが資源の枯渇により工場は閉鎖。かわって障がい者や長期療養者が医師や看護師といった医療従事者と半自立生活をする巨大な特殊療養施設が作られる。アマウの原の呼称はこの特殊療養施設そのものを指すようになる。 テシクの郷 北政府の下で名誉を失い聖地・胎動窟を追いやられ、弾圧を受けるテシク氏族が隠れ住む郷。北部の山岳地帯にある。外部の者たちが容易に足を踏み込めない秘境だったが、テシク氏族が保有する赤宙石を巡り南北両軍から狙われる。 バラドール 内海と大きな山脈により大陸は南北に二分されているが、数少ない陸路が走っているのがバラドール周辺。そのため南北双方にとって重要な戦略拠点。また幾度となく熾烈な戦闘が繰り返されている。近年で最も激しい戦闘が行われたのもこの一帯で、17年前に行われた戦いは、この地の名を採って「バラドール戦役」と呼ばれている。 金剛塔 北政府の首都。ヒルケン皇帝はここに存在し、北の国営ラジオ放送もここから発信されている。最上部は目を象っており、この塔そのものが蜃気楼のように現れ、世界各地のザムドやヒトガタを監視しており、タマヨビの力を持つ者だけが出没する塔の姿を目視できる。プラーナ様式という特殊な構造で作られた建物で内部には未知のテクノロジーが用いられ、自己修復力をも持つ。 胎動窟 第十七禁猟区にあるルイコン教の聖地。黒く巨大なドーム。この胎動窟から魂は生まれ、またルイコンの大いなる流れに還っていくとされる。やはりプラーナ様式で作られた建物。 南大陸自由圏 大陸の南側に存在する諸国が統合、形作られたゆるやかな連合体。議会民主制が敷かれているものの、各地の有力な貴族たちによって運営されている貴族院の力が強く、その実態は完全な民主制とは言えないものとなっている。北政府とは、赤宙石をめぐって激しい対立を繰り返しており、70年前の戦争では当時、北政府の支配下にあった尖端島を占拠し併合。内海進出への大きな足がかりを得る。尖端島(せんたんとう) アキユキたちの故郷。内海の東端に位置する島。南大陸自由圏の自治領で中立地帯。元々は独立国家だったが70年前の戦争において南大陸自由圏に制圧されてその領土となる。以降、南北対立の要衝となっており南大陸軍が常時駐留し、空爆の発進基地となっている。南大陸においては新参勢力であるため差別的な扱いを受ける。ただし、ある程度の自治権が許可され、自治部隊が島の防衛を担当。島ならではの文化・風俗などが、昔のままの形で残されているのも大きな特徴。 風俗生活様式は一昔前の日本そのもの。小型化の技術には特に優れている。文明レベルは昭和中期頃でダイヤル式の電話が使われ、ボンネット式のバスやオート三輪が走る。かつては北政府統治下であったことからルイコン教の信仰も盛ん。数字表記には漢字が使われる。南北大戦において数多くの犠牲者を出したため、島には合同慰霊碑が置かれる。 詰腹峠(つめばらとうげ) 元は尖端島の領土。現在は南大陸自由圏領。かつては赤宙石を産出する鉱山地帯として南北両軍にとって重要拠点だったが現在は枯渇しつつある。周辺には赤宙雲が立ちのぼる。北政府から空爆をうけており、ヒトガタ化する住人が多い。新兵の演習場として使われる。 ルイコン教 厳しい自然環境の中で遊牧生活を送り、墓を持たないテシク氏族が信仰した輪廻転生を信じ、肉体が死滅しても魂は不滅であるという教義をもとに成立した宗教。 本来は命を扱う者の末裔にして皇太子を取り上げる産婆であるサンノオバとサンノオバに取り上げられ皇帝として現世での政治を司るヒルケン皇帝を共に頂点に戴く。だが、現在のサンノオバとヒルケン皇帝の代において分かたれる。(その事情は「北政府」、「テシク氏族」を参照)一般的に「ルイコン教」という呼称はサンノオバを頂点とする信仰集団のみを指し、これは北政府の弾圧により「既に滅んだ」と認識されている。 サンノオバは代々優秀なタマヨビである「テシクの天女(てんじょ)」に受け継がれる名誉称号で、地上に降臨して魂を食らい続ける皇帝を生む手助けをすることへの贖罪から「ジバシリ」と呼ばれる白髪の少年少女たちを使って死者の魂(ヒルコ)を集めルイコンの流れに還す役割を果たす。 1000年に一度とされる「大巡礼の儀式」は聖地・胎動窟に集った者たちをルイコンの流れのもとへと還す最も神聖な儀式とされる。劇中現在、大巡礼に向け多くの信者(ヨホロギ)たちが胎動窟に集まろうとしている。 当代のサンノオバはジバシリたちに持たせた真正ヒルコを使い各地で自爆テロ騒ぎを起こす。
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