外交 外交使節

外交

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/11 08:03 UTC 版)

外交使節

新しい国家が誕生した際、他国はその国家の承認を行い、ここで2国間の外交関係がスタートする。特段の事情がない限り国家承認はその国家の成立と同時に行われるが、何らかの事情があって国家承認が行われない場合であっても、外交関係が結ばれる場合もある。(たとえば日本政府は朝鮮民主主義人民共和国中華民国を国家承認してはいないが、さまざまな形での外交は行われている)。

各国はそれぞれ他国に大使館領事館などの在外公館を設け、特命全権大使大使)などの外交官を常駐させて接受国との間の外交上の問題を処理させる。この常駐外交使節団のほかに、特定の問題が勃発した時に、その問題の交渉や処理のみを目的とする特別使節団が送られる場合がある[27]。こうした在外公館や外交官には、公館の不可侵や刑事裁判権の免除などといった外交特権外交関係に関するウィーン条約によって認められている。ただし外交使節の長の派遣には接受国の同意(アグレマン)が必要であり、接受国が派遣される外交官を好ましくないと思った場合、および在任中に問題が発生した場合には、ペルソナ・ノン・グラータを発動してその外交官の受け入れを拒否することができる[28]。また、1国に必ず1つの在外公館が設けられているわけではなく、対象国と派遣国の間の関係がそれほど密ではない場合、近隣諸国に存在する在外公館に対象国を兼轄させることは珍しくない。19世紀には大使は限られた大国間で交換されていたにすぎず、通常の国家間では全権公使が交換されており、小国に対しては弁理公使や代理公使が送られるといったように、国家の格によって明確な序列が定められていた。しかし20世紀に入ると徐々に大使の交換が増加しはじめ、1960年代にはほとんどの国家で交換される外交官の最高位は大使になり、公使は大使館の次席外交官を指すようになった[29]。なお、イギリス連邦構成国間においては、特命全権大使の代わりに高等弁務官が交換されるが、称号および信任状の奉呈以外はほぼ大使と同一のものとして扱われる[30]

また、大使館および大使と領事館および領事は役割が異なり、大使が接受国との間の外交を担当するのに対し、領事は接受国の担当地域内において自国の国民や企業の保護などの行政事務を行うもので、本来的には派遣国の行政機関の延長である。つまり領事は外交使節団に含まれないため、外交関係が断絶しても領事を置き続けることは可能である[31]。ただし、ペルソナ・ノン・グラータは領事にも発動可能であり、領事関係に関するウィーン条約によって外交特権も定められているものの使節よりも限られた範囲のものとなる[32]


注釈

  1. ^ 論じた例:辻雅之 (2006年6月5日). “日本の外交、やっぱり「三流」?”. ビジネス・学習. All About. 2011年11月24日閲覧。

出典

  1. ^ 外交[要ページ番号]
  2. ^ 「国際政治学をつかむ」p166 有斐閣 2009年11月30日初版第1刷
  3. ^ 「国際政治学をつかむ」p166 有斐閣 2009年11月30日初版第1刷
  4. ^ 「大使館国際関係史 在外公館の分布で読み解く世界情勢」p52 木下郁夫 社会評論社 2009年4月25日初版第1刷
  5. ^ 「外交 他文明時代の対話と交渉」p59 細谷雄一 有斐閣 2007年12月30日初版第1刷
  6. ^ 「近代ヨーロッパへの道」p224-225 成瀬治 講談社学術文庫 2011年4月11日第1刷
  7. ^ 「国際政治学をつかむ」p167 有斐閣 2009年11月30日初版第1刷
  8. ^ 「国際政治学をつかむ」p170-171 有斐閣 2009年11月30日初版第1刷
  9. ^ 「国際政治学をつかむ」p30-31 有斐閣 2009年11月30日初版第1刷
  10. ^ 「大使館国際関係史 在外公館の分布で読み解く世界情勢」p154-155 木下郁夫 社会評論社 2009年4月25日初版第1刷
  11. ^ 「大使館国際関係史 在外公館の分布で読み解く世界情勢」p71-72 木下郁夫 社会評論社 2009年4月25日初版第1刷
  12. ^ 「国際政治学をつかむ」p171 有斐閣 2009年11月30日初版第1刷
  13. ^ 「外交 他文明時代の対話と交渉」p84 細谷雄一 有斐閣 2007年12月30日初版第1刷
  14. ^ 「政治学の第一歩」p216 砂原庸介・稗田健志・多湖淳著 有斐閣 2015年10月15日初版第1刷
  15. ^ 「国際政治学をつかむ」p171 有斐閣 2009年11月30日初版第1刷
  16. ^ 「外交 他文明時代の対話と交渉」p130-132 細谷雄一 有斐閣 2007年12月30日初版第1刷
  17. ^ 「外交 他文明時代の対話と交渉」p164-165 細谷雄一 有斐閣 2007年12月30日初版第1刷
  18. ^ 「外交 他文明時代の対話と交渉」p166-169 細谷雄一 有斐閣 2007年12月30日初版第1刷
  19. ^ 軍事力と現代外交 歴史と理論で学ぶ平和の条件[要ページ番号]
  20. ^ 「国際政治の基礎知識 増補版」p325-326 加藤秀治郎・渡邊啓貴編 芦書房 2002年5月1日増補版第1刷
  21. ^ 「政治学の第一歩」p217 砂原庸介・稗田健志・多湖淳著 有斐閣 2015年10月15日初版第1刷
  22. ^ 国益」『国際政治事典』[要ページ番号]
  23. ^ 第14回 外交とは何か (PDF)”. 2011年11月24日閲覧。
  24. ^ 「外交 他文明時代の対話と交渉」p183-187 細谷雄一 有斐閣 2007年12月30日初版第1刷
  25. ^ 「国際政治の基礎知識 増補版」p260-264 加藤秀治郎・渡邊啓貴編 芦書房 2002年5月1日増補版第1刷
  26. ^ 「大使館国際関係史 在外公館の分布で読み解く世界情勢」p55-57 木下郁夫 社会評論社 2009年4月25日初版第1刷
  27. ^ 「現代国際関係の基礎と課題」内第4章「国際関係の法制度」瀬川博義 p79 建帛社 平成11年4月15日初版発行
  28. ^ 「現代国際関係の基礎と課題」内第4章「国際関係の法制度」瀬川博義 p79 建帛社 平成11年4月15日初版発行
  29. ^ 「大使館国際関係史 在外公館の分布で読み解く世界情勢」p94-95 木下郁夫 社会評論社 2009年4月25日初版第1刷
  30. ^ 「大使館国際関係史 在外公館の分布で読み解く世界情勢」p97 木下郁夫 社会評論社 2009年4月25日初版第1刷
  31. ^ 「現代国際関係の基礎と課題」内第4章「国際関係の法制度」瀬川博義 p80 建帛社 平成11年4月15日初版発行
  32. ^ 「国際関係・安全保障用語辞典 第2版」p339 小笠原高雪・栗栖薫子・広瀬佳一・宮坂直史・森川幸一編 ミネルヴァ書房 2017年11月20日第2版第1刷
  33. ^ 「外交 他文明時代の対話と交渉」p120-121 細谷雄一 有斐閣 2007年12月30日初版第1刷
  34. ^ 「外交 他文明時代の対話と交渉」p156 細谷雄一 有斐閣 2007年12月30日初版第1刷
  35. ^ 「外交 他文明時代の対話と交渉」p71 細谷雄一 有斐閣 2007年12月30日初版第1刷
  36. ^ 「外交 他文明時代の対話と交渉」p159 細谷雄一 有斐閣 2007年12月30日初版第1刷
  37. ^ 「国際政治の基礎知識 増補版」p315 加藤秀治郎・渡邊啓貴編 芦書房 2002年5月1日増補版第1刷
  38. ^ 「外交 他文明時代の対話と交渉」p164 細谷雄一 有斐閣 2007年12月30日初版第1刷







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