日蘭通商航海条約とは? わかりやすく解説

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日蘭通商航海条約

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/04 00:48 UTC 版)

日蘭通商航海条約
署名 1912年7月6日
署名場所 ハーグ
発効 1913年10月9日[1]
1953年8月29日以降はオランダ王国の海外領土を除いて適用[2]
締約国 大日本帝国
オランダ王国
主な内容 日本・オランダ間の通商関係を律すべき条規を明確に訂立する。
条文リンク 通商航海条約 - 外務省
ウィキソース原文
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日蘭通商航海条約(にちらんつうしょうこうかいじょうやく、: Traité de commerce et de navigation)とは、日本オランダ王国[注釈 1]とのあいだの通商航海の自由と最恵国待遇を原則とする条約である。

日蘭通商航海条約
1896年明治28年)9月8日調印、1897年(明治29年)5月2日批准(不平等条約)。
(改正)日蘭通商航海条約
1912年(明治45年)7月6日調印、1913年大正2年)9月22日批准。1953年昭和28年)8月29日復活[3]

概要

戦後に復活手続きが取られていた[2]ものの長い間ほとんど忘れられていた。2004年に、オランダの弁護士ステファン・ルーロフスによって「条約に規定されている最恵国待遇とアメリカ・オランダ間で締結された(アメリカ人のオランダでの起業・滞在を容易とする)友好条約を組み合わせれば、日本人にもアメリカ人と同等の権利が与えられえるべきではないか」[4]という趣旨の論文[5]が書かれたが、この時点では実現可能性は低いと指摘されていた[4]。その後、2008年までに裁判によってルーロフスの主張が認められ判例として確定し、日本人はオランダにおいてアメリカ人と同様に起業が容易になった。2013年には、オランダ国務院は「1875年に締結されたオランダ・スイス友好通商条約を基に、移民局は日本人からの滞在許可申請をスイス人におこなう場合と同じ事例として見直すべきである」[6]とする見解を明らかにした。また、2012年にオランダにある文化会館である松風館に対してオランダ労務局が宮大工の労働許可取得問題をめぐり罰金を課したことを不服として起こされた裁判で、この条約を根拠として「オランダにおける日本人の労働許可取得は必要ない」という松風館の主張が2014年に認められた[6][7]

これにより、2014年12月24日から日本国籍者はスイス国籍者と同様、オランダにおける労働許可取得が不要となったが[8]、その根拠となっていたオランダ・スイス友好通商条約が見直され、両国政府の協議により最恵国待遇条項の無効化が決定された。このため、2017年1月1日より、日本国籍者もスイス国籍者同様、労働許可が必要な状態に差し戻されることになった[9]。なお、2016年現在、オランダが最恵国待遇を提供しているのはアメリカ合衆国であるが、その国民も労働許可は必要である[9]

改正後の条約の内容

  • 最恵国待遇
    • 旅行居住、修学研究、生業職業に従う、生産製造の営業 (一条一項)
    • 不動産の取得占有 (一条五項)
    • 強募公債、軍用徴発、取立金 (一条七項)
    • 課金、租税、手数料、貢納の徴収 (一条八項)
  • 内国民待遇
    • 商品の取引 (一条二項)
  • 内国民または最恵国待遇
    • 動産の占有・相続・処分 (一条四項)
  • 許可
    • 家屋、製造所、倉庫、店舗、付属構造物の所有・賃借 (一条三項)
    • 土地の賃借 (一条三項)
    • 裁判所への申出・出訴 (一条六項)
  • 免除
    • 強制兵役、貢納 (一条七項)

脚注

注釈

  1. ^ 1953年からはオランダ本国のみに適用される。

出典

  1. ^ 1913年(大正2年)10月9日外務省告示第7号
  2. ^ a b 1953年(昭和28年)8月4日外務省告示第77号
  3. ^ オランダ 通商航海条約”. 外務省. 2016年2月15日閲覧。
  4. ^ a b 日本人に認められた特権。日蘭条約を活用した「オランダ起業」のメリット”. ライフハッカー (2015年7月18日). 2016年2月15日閲覧。
  5. ^ Roelofs, Stephan (4 2004). “Friendship and Trade Agreements: A Pandora's Box for the Admission of Foreigners”. Migrantenrecht. 
  6. ^ a b オランダ国務院が『松風館』訴訟で労働局の訴えを棄却。” (PDF). 松風館プレスリリース (2015年1月12日). 2016年2月15日閲覧。
  7. ^ 大嶋拓人 (2016年1月18日). “100年前の条約はまだ生きていた。オランダ大使館で聞いた日本人が知らない特権”. ライフハッカー. 2016年2月15日閲覧。
  8. ^ オランダにおける日本人に対する労働許可及び滞在許可に関する手続きの変更について”. 在蘭日本商工会議所. 2016年8月5日閲覧。
  9. ^ a b 日本国籍者の労働許可、居住許可について (続報)(2016/07/15)”. オランダ経済省 企業誘致局. 2016年8月5日閲覧。

外部リンク


(改正)日蘭通商航海条約

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 01:52 UTC 版)

「日蘭通商航海条約」の記事における「(改正)日蘭通商航海条約」の解説

1912年明治45年7月6日調印1913年大正2年9月22日批准1953年昭和28年8月29日復活

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