【砲艦外交】(ほうかんがいこう)
「回答次第では軍事的手段に訴える準備がある」と予め知らしめた上で外交交渉を行う事。
転じて、そうした手段に訴えることが多い国家の外交方針全体を俯瞰してこう呼ぶこともある。
なお、「砲艦(gunboat)」という語は戦闘艦艇の総称であって、現代で言うガンシップとは異なる。
とはいえ、本当に戦闘態勢を整えた上で交渉が開始される事はまずない。
ほとんどの国家体制では、外交交渉が決着する前の段階では交戦許可が降りないからだ。
最初から宣戦布告の用意をして臨むのは、そもそも外交を行う意志がない場合のみに限られる。
例外的に、最初に国交を樹立するための交渉において事前に交戦許可が下りた事もある。
というのも、外交使節を問答無用で殺害するような国家も存在しないとは言い切れないからだ。
歴史的に、そうした外交的意図による示威行為はもっぱら海軍により、遠国に対して行われる事が多かった。
陸続きの隣国は互いにとって仮想敵国であるので、その軍事的権勢はほぼいつでも十分に認知される。
また当然、相手国に対抗できるだけの軍事的用意があるので、暴力的恫喝が功を奏する望みは薄い。
必然的に、外交交渉のためにあえて誇示される武力は戦列艦などの艦艇であり、艦載砲による礼砲であるのが常だった。
砲艦外交
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/12 08:14 UTC 版)
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砲艦外交(ほうかんがいこう、英: gunboat diplomacy)は、外交交渉において軍艦などの軍事力による威嚇などの間接的な使用によって相手政府に国家意思を示し、また心理的な圧力をかけることで交渉を有利に進める外交政策をいう。
概要
砲艦外交とは軍事力の威嚇的な行使を背景として圧力をかけながらも外交交渉で合法的に政治的目的を達成しようとするという強制外交の一種であると言える。
海上戦力(軍艦)は陸空部隊にはない特徴を備えている。治外法権、各種外交特権などから生じる国際政治における象徴性、各種指揮統制システムと海洋の移動能力から有し得る機動性、また軍艦そのものが物資集積所として機能する上に洋上補給などを行えば非常に長期に亘って停泊し続ける持久性を備えていることから、この外交政策に最も適していると考えられている。
具体例
アメリカ合衆国東インド艦隊司令官のマシュー・ペリー提督は、1853年に軍艦を率いて来日し、浦賀へ入港して日本へ開国を要求。
翌54年には艦隊を江戸湾に進入させ、日米和親条約を締結して外交関係を結ぶ。ペリーは議会から交戦許可を得られていなかったが、強硬姿勢により日本を開国させた。
日本が行った砲艦外交としては江華島事件等がある。
現代においては原子力空母を中心とした機動部隊が砲艦外交の役割を担っている。
参考文献
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- Booth, K. 1977. Navies and foreign policy. London: Croom Helm
- Cable, J. 1981. Gunboat diplomacy 1919-1979. London: Macmillan.
- Cable, J. 1985. Diplomacy at sea. London: Macmillan.
- Cable, J. 1989. Navies in violent peace. London: Macmillan.
- Luttwak, E. 1974. The political uses of sea power. Baltimore, Md.: Johns Hopkins Univ. Press.
- O'Connell, D. 1975. The influence of law on sea power. Manchester, U.K.: University Press.
- Panikkar, K. 1953. Asia and western dominance. London: Allen and Unwin.
関連項目
砲艦外交と同じ種類の言葉
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