プロトコル
英語:protocol
プロトコルとは
プロトコルとは儀礼や典礼、議定書を意味する言葉で、平易な言葉にすれば約束事のこと。最近ではIT用語としてプロトコルの語が用いられるようになっているが、もともとはフォーマルな場面で忠実に従うべき流れや手順、段取りを示している言葉だった。語源を遡ると、古くはラテン語で内容が書かれている巻物を意味するprotocollumに由来していると考えられている。古代ギリシア時代では認証と日付が記載された議定書としてprotokollonという言葉が使われるようになった。protokollonは「最初の」を意味するprotoa、「のり」を意味するkollaの二つに分解することができ、最初に話し合って決まった内容をまとめた紙に表紙としてのり付けした公式書類としての意味を持っている。そして、protokollonが英語のprotocolになったといわれている。原義としては議定書だったものの、議定書を締結するためのフォーマルな段取りという意味でも使われるようになり、儀礼や典礼という意味が生まれた。さらに、ある目的を成し遂げるために必要な手順や流れという意味にも拡張されて通信業界におけるIT用語としてもプロトコルが用いられるようになった。プロトコルの語は、使用されている業界や分野、場面や文脈などによって解釈が異なる。外交におけるプロトコル
外交におけるプロトコルとは国際儀礼のことを指し、プロトコールと記述することが多い。プロトコルは、国家間で交流や外交文書の交換、会食などの外交活動を行うときに遵守すべきルールで、相手国への敬意を示すためにも外交を推進するためにも不可欠なものである。国家間の儀礼上のルールとして世界的に標準が定められているものもあるが、会議や会食などの主催者によって参加国に通知されることも多い。プロトコルは、特定の二カ国の間で取り決められるものではなく、参加する全国家が平等に扱われるようにルールを定めるのが基本的な仕組みである。プロトコルは、国の大小に関わらず対等に扱い、ルールの内容は誤解を避けるように配慮して誰もが納得できるように仕上げることが求められる。世界共通ルールとして典型的なプロトコルが先任者優先である。会議で掲げる国旗の並び順や自動車に乗る際の座席順などは右上を最上位として先着順に並べることがルールとなっている。2カ国協議で国旗を掲げる場合には相手国を右側、自国を左側とするのがルールだが、開催側から見て右側が相手国、左側が自国になるため、正面から見ると左側が相手国、右側が自国になるので注意が必要である。
IT用語としてのプロトコル
通信業界で用いられているIT用語としてのプロトコルは、近年になってから用いられるようになったもので、手順の意味合いの強い語である。通信におけるプロトコルとは、異なるシステムやソフトウェア、デバイスなどで通信をできるようにするために定められた規約のことである。IPやFTP、HTTPといったいくつかのプロトコルが開発されていて、通信する伝送路や伝達方法、伝達相手などによって選択されている。IT機器を用いて通信をするときには適切なプロトコルの種類を選び、定められている手順に従ってデータ通信をすることが求められる。プロトコルに反した方法で通信をしようとするとエラーが発生したり、障害が発生したりすることになる。そのため、通信プロトコルを使用する全てのユーザーがプロトコルに従ってシステムの設計や通信ソフトウェアの運用をすることが求められている。遵守しなければならないという義務的な意味合いが強いのが、議定書や国際儀礼に通ずる部分である。
protocol
「protocol」とは、儀礼・協定・手順などのことを意味する英語表現である。
「protocol」とは・「protocol」の意味
「protocol」とは、儀礼や典礼、議定書などのことを意味する表現である。他にも、国家間における協定や化学の実験や治療などの手順の意味も持つ。複数形は語尾に「s」を付けた「protocols」である。ITの世界において、「protocol」とは、通信規格や通信手順のことを意味する。異なるメーカーの機器であっても、ネットワーク上で問題なくデータのやり取りを行うことができるように決められたのが「protocol」である。「protocol」には多数の種類があり、それぞれ役割が異なる。これらが正しく機能することにより、ネットワーク間でのやり取りが可能となる。主に「HTTP」や「FTP」「SMTP」「TCP」「IP」などがこれに該当する。
「protocol」の発音・読み方
「protocol」は「プロトコル」や「プロトコール」と読まれ、音節は「pro・to・col」である。「protocol」の類語
「protocol」の類語として、・procedure(手順)
・process(手順、工程)
・concordat(協定、協約)
・courtesy(礼儀)
・decorum(礼儀作法)
・etiquette(礼儀、作法)
などが挙げられる。
「protocol」の語源・由来
古代ギリシャ語の「protokollon」が語源であるとされている。「protokollon」は「原稿にのり付けされた最初のシート」のことで、「のり(kolla)」と「最初の(protos)」から成っており、これが「protocol」になった。「protocol」を含む英熟語・英語表現
「protocol」を含む英熟語や英語表現は、research protocol(研究プロトコル)
Protocol Based Pharmacotherapy Management(プロトコルに基づく薬物治療管理)
protocol deviant(プロトコルからの逸脱)
protocol stack(ネットワーク用のプロトコル階層)
protocol error(プロトコルのエラー)
protocol number(プロトコル番号)
protocol buffers(プロトコルバッファー)
などが挙げられる。
「protocol」に関連する用語の解説
「No protocol」とは
「No protocol」とは、「プロトコルが見つからない、存在しない」などの意味で使われる。主にプログラミング言語を実行した際のエラーコードである。
「Health protocol 」とは
「Health protocol 」は、「健康に関するプロトコル」という意味の表現に訳すことができる。健康でいるためのプロトコルや、自分や他人の健康を守るためのプロトコルを表現していることが多い。
「COVID protocol 」とは
「COVID protocol 」とは、「新型コロナウイルス感染症に関するプロトコル」という意味で使われることが多い表現である。
「Protocol Based Pharmacotherapy Management」とは
「Protocol Based Pharmacotherapy Management(PBPM)」とは、「プロトコルに基づく薬物治療管理」のことである。米国では医師と薬剤師が治療に関して契約をすることによって、薬剤師がプロトコルに基づいた薬物治療を管理することが法的に認められている。これを基に、日本国内において、現行法内で薬剤師が実施することが可能な業務は、薬剤師が主体となって行うことを指した言葉である。PBPMを行うことにより、薬剤師の高い専門性による薬物治療の実施が可能になるほか、安全性の確保や医師の負担を軽減することなどが可能になる。また、総合病院だけではなく、地方における地域医療でもPBPMを取り込むことによって、処方の重複を防止することや、患者の残薬管理などが期待できるため、患者にとってもメリットが大きくなる。
「protocol deviant」とは
「protocol deviant」とは、「プロトコル逸脱」を意味する表現であり、主に臨床試験用語として使われることが多い。治験実施計画書に記載されていることが間違いであったり、あらかじめ定められた範囲を超えたりした場合に「プロトコル逸脱」といった表現が使われる。試験実施計画書の手順が守られなかった、もしくは違反したときは「プロトコル違反」という表現になる。
「protocol」の使い方・例文
「protocol」の例文として、・The Kyoto Protocol sets targets for reducing total greenhouse gas emissions.(京都議定書は温室効果ガスの総排出量削減の目標を掲げたものである。)
・Understanding protocol is important for diplomacy.(プロトコルの理解は外交を行う上で重要だ。)
・Understanding protocols is important in writing programs.(プログラムを書く上で、プロトコルの理解は重要である。)
・Protocol compliance is important in clinical trials.(臨床試験において、プロトコル遵守は重要である。)
・Protocol deviations should be reported immediately.(プロトコル逸脱はすぐに報告すべきである。)
などが挙げられる。
プロトコル【protocol】
プロトコル
プロトコル
プロトコル
プロトコル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/01 22:25 UTC 版)
プロトコルまたはプロトコール(英語: protocol 英語発音: [ˈproutəˌkɔːl], [ˈproutəˌkɔl]、フランス語: protocole フランス語発音: [prɔtɔkɔl])とは、複数の者が対象となる事項を確実に実行するための手順について定めたもの。
- ^ a b c d 三輪芳久=日経NETWORK (2004年6月21日). “プロトコルという通信用語はどこから来たのか”. 日経コンピュータ. 2014年3月4日閲覧。
- ^ a b 水野義之 (2003年9月20日). “「京都女子大学通信」寄稿「パソコンについて」 第2回「インターネットは通信プロトコル」”. 京都女子大学. 2014年3月4日閲覧。
- ^ 「日本マナー・プロトコール協会」日本マナー・プロトコール協会WEBサイト
- ^ a b “プロトコールの基本”. 外務省. 2023年11月5日閲覧。
- ^ “国際儀礼(プロトコール)”. 外務省. 2023年11月5日閲覧。
- ^ 外務省WEBサイト
- ^ 中国海警法「深刻な懸念」慰安婦判決「極めて遺憾」8段階の外交表現の強弱産経新聞
- ^ 政府の言う「遺憾」はどこまで強い非難なのか?「上から4番目」exciteニュース
- ^ a b 稲垣耕作 2006, p. 44.
- ^ a b 稲垣耕作 2006, p. 45.
- ^ 稲垣耕作 2006, pp. 45–46.
- ^ “プロトコル”. IT用語辞典. 大塚商会. 2020年4月30日閲覧。
- 1 プロトコルとは
- 2 プロトコルの概要
- 3 実験プロトコル
- 4 外部リンク
プロトコル
「プロトコル」の例文・使い方・用例・文例
- ドールが通信プロトコルの構成を変えることは意図していなかったということに注意すべきである。
- データをあるコンピュータから他へ伝達するファイル伝達プロトコルの使用
- データの通信や交換を容易にするためにTCP/IPネットワークプロトコルを用いた、世界的に広がったネットワークから成るコンピュータネットワーク
- テキスト・グラフィック・音声・アニメーションのリソースをハイパーテキストトランスファープロトコルによって提供するインターネットサイトの集合から成るコンピュータネットワーク
- 安全プロトコル
- 学術的なプロトコル
- ユーザにローカルシステムとネットワーク上でアクセスできるシステムの間でファイルをコピーすることを可能にするプロトコル
- サーバとブラウザ間のハイパーテキストの要求と情報を転送する(転送制御プロトコルを利用する)プロトコル
- 電子楽器とコンピュータ間の通信のための標準プロトコル
- あるネットワークデバイスから他のものへとデータを送るインターネットのために発達したプロトコル
- 転送制御プロトコルはデータが転送注に失われないことを保証するために再送信戦略を使う
- 1台のネットワーク装置から別の装置にデータを送信するために1970年代にインターネット用に開発された(TCPを含む)プロトコル
- プロトコルの異なるコンピューターシステム間で情報が円滑に交換,処理できる性質
- ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
- 一方,米国政府は「ゴースト・プロトコル」という名称の作戦を開始し,IMFの全組織を解散する。
プロトコルと同じ種類の言葉
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