R&Bとは? わかりやすく解説

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リズム・アンド・ブルース

(R&B から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/15 00:42 UTC 版)

リズム・アンド・ブルース
様式的起源 ブルース[1]ゴスペル[2]
使用楽器 ドラムセットベース・ギターサクソフォーントランペットトロンボーンピアノオルガンエレクトリック・ギター
派生ジャンル ファンクスカソウルレゲエロック・ステディヒップホップ
サブジャンル
コンテンポラリー・R&B
融合ジャンル
ブラック・コンテンポラリー
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リズム・アンド・ブルース: rhythm and blues)は、ポピュラー・音楽のジャンルである。略称はR&B(アール・アンド・ビー)。

激しいビートに乗せて、ブルースゴスペルに影響された歌を叫ぶように歌うのが特徴である。ロックンロールなどのジャンルにも影響を与えた[3]第二次世界大戦後、ニューヨークデトロイトシカゴメンフィスフィラデルフィアニューオリンズのような都市でジャズブルースゴスペルなどが混ざり合い、誕生した[4]

概要

戦前にすでに存在した黒人音楽と関係の深いジャンルには、ラグタイム、ブルース、ジャズ、スウィング、ジャイブなどがあった。ビルボード誌は、1942年には早くも「ハーレム・ヒット・パレード」を掲載し、これがR&Bチャートの前身となった。[5]R&Bは戦前には、まだジャンルとしては確立されていなかったが、ビルボード誌上では1943年ごろには、記事の中に音楽用語としてリズム&ブルースの記述が見られた。正式に音楽ジャンル名としてビルボードが使用したのは、1947年ビルボード誌のジェリー・ウェクスラー[6]の提案によるものである[7]。ウェクスラーが名付けるまでは、アフリカ系アメリカ人の音楽を「レイス・ミュージック」と呼び、ビルボード誌でも順位をレイス・ミュージック・チャートとして発表していた。しかし1947年に、もう人種的視点で呼ぶ時代ではない、という議論がビルボード誌編集部内でおこなわれた。後日ウェクスラーが名称としてリズム・アンド・ブルースを提案したことから、R&Bが採用されている。[8]

ロックンロールは白人のカントリーと黒人のブルースの融合から、1954年もしくは55年ごろに生まれた[注 1]とされているが、R&Bの影響も大きかった。その後、リズム・アンド・ブルースは、1960年代にはソウルミュージックとも呼ばれるようになる。当時、両ジャンルに明確な区別をつけるのは難しかった。1960年代のアメリカでは公民権運動による黒人たちの地位向上と共に、彼らのアイデンティティを再発見し、ブラックパワー運動などルーツを誇示する傾向が見られるようになった。黒人にとって、ソウル/R&Bは音楽であるだけでなく、人種差別撤廃という共通の目的を共有する、より幅広い黒人生活全般を示す言葉となった。[9]

詳細

Motownは、1960年にスモーキー・ロビンソン&ミラクルズの "Shop Around"をヒットさせた。また南部では1961年にカーラ・トーマスの "Gee Whiz!がヒットした Staxレコードの次のメジャーヒットであるThe Mar-Keysの "Last Night"(1961年にリリース)によりメンフィスの純粋な南部サウンドをリリースするスタックス・レコードが知名度をあげた[10]。 ジャマイカでは、R&Bがスカの発展に影響を与えた。R&B界には、サム・クックジェームス・ブラウンアレサ・フランクリンオーティス・レディング[注 2]らの大スターが誕生した。1970年代にはストリングスを使用したフィリー・ソウルも登場した。フィリー・ソウルの代表的なミュージシャンには、オージェイズハロルド・メルヴィン&ブルー・ノーツビリー・ポールらがいた。北部・東部のソウルだけでなく、1970年代にはアル・グリーンを擁したハイ・レコード[注 3]のような南部のレーベルも活発に活動していた。

R&Bインスト

歌唱なしのR&Bインストルメンタルの音楽家には、ビル・ドゲット、ブッカーT&MGsキング・カーティスや、ジュニア・ウォーカー&オール・スターズ[11]らがいた。他にもザ・JBズ、ハイ・リズム、マーキーズ、フェイム・ギャング、マッスルショールズ・リズム・セクションらも活躍した。ジュニア・ウォーカーのヒット曲には、一部ヴォーカルも入っているが、フォリナーの曲をカバーした「アージェント」などは、完全なインスト曲になっている。

ホワイトR&B

1960年代にリズム・アンド・ブルースはヨーロッパにも渡り、流行に敏感な若者たちの一部を虜にし、やがて彼らは自らリズム・アンド・ブルースを演奏するようになった。ヴァン・モリソンゼムや、スティーヴ・ウィンウッドスペンサー・デイヴィス・グループ[注 4]アニマルズらはR&Bを演奏し、レコードを発表した[12]。こうして、リズム・アンド・ブルースは米国から世界へと広がっていった。

日本におけるR&B

日本でも1960年代には内田正人キングトーンズ[13]和田アキ子、ザ・ボルテージ(桜井ユタカが歌唱指導)、安田明とビートフォークらが和製R&Bとして登場した。1970年以降は、大橋純子宮本典子(mimi)シャネルズ/ラッツ&スター鈴木雅之鈴木聖美らが和製R&Bの曲を録音した。その後、1980年代から1990年代には久保田利伸バブルガム・ブラザーズがヒット曲を発表した。 小柳ゆきの「あなたのキスを数えましょう」は1990年代の代表的な楽曲だった。ブラザー・トムは、HUMAN SOUL 、REAL BLOODなどのR&Bグループを結成した。カンニング竹山は、左とん平の「ヘイ・ユウ・ブルース」をカバーしている。

1980年代以降

やがてリズム・アンド・ブルースはより洗練された方向に発展していき、1980年代以降はブラック・コンテンポラリー(ブラコン)と呼ばれるようになった。一方で1980年代から1990にかけては、伝統的なR&Bを好む世代と、ポップなR&Bを好む世代の分裂や、ディープ・ソウルやサザン・ソウルが「ブルース」と呼ばれるなどの問題点が表面化した時代だった。[14]ブラコンの代表的な歌手にはフレディ・ジャクソン[注 5]、ルーサー・ヴァンドロスらがいたが、本来のR&Bの楽曲をリリースしていたのは、グレン・ジョーンズのような「ゴスペル・ルーツ」の歌手だった。1990年代以降、ソウルがブルース的位置づけで分離され、当時の若手のガイ[注 6]やジョディシィ、メアリー・J. ブライジなどがリズム・アンド・ブルース (R&B) と呼ばれるようになった。

サブ・ジャンル

脚注

注釈

  1. ^ エルヴィス・プレスリー、チャック・ベリー、リトル・リチャード、ビル・ヘイリーと彼のコメッツらが、ロックンロールの代表的な音楽家である
  2. ^ 飛行機事故で死亡後に「ドック・オブ・ザ・ベイ」がヒット。
  3. ^ ウィリー・ミッチェルが所有したレーベル
  4. ^ 「ギミ・サム・ラヴィン」などのブルーアイド・ソウル曲が有名
  5. ^ 1985年に「ロック・ミー・トゥナイト」がポップ、ソウル両チャートでヒット。
  6. ^ テディ・ライリーによるニュー・ジャック・スウィングの代表的なグループ
  7. ^ 日本独自表現。ソウルIIソウルが有名

出典

  1. ^ R&B 2023年3月31日閲覧
  2. ^ ゴスペル 2023年3月31日閲覧
  3. ^ 松村明『大辞林』三省堂
  4. ^ R&B - Encyclopedia.com
  5. ^ “Weekly Chart Notes: Baauer Continues The 'Harlem' Hit Parade'”. Billboard. https://www.billboard.com/pro/weekly-chart-notes-baauer-continues-the-harlem-hit-parade/. 
  6. ^ Weber, Bruce (August 15, 2008). "Jerry Wexler, a Behind-the-Scenes Force in Black Music, Is Dead at 91". The New York Times. Retrieved July 27, 2019. "Jerry Wexler, who as a reporter for Billboard magazine in the late 1940s christened black popular music with the name 'rhythm and blues,' and who as a record producer helped lead the genre to mainstream popularity, propelling the careers of Ray Charles, Wilson Pickett, Aretha Franklin and other performers, died on Friday at his home in Sarasota, Fla. He was 91."
  7. ^ Sacks,Leo(Aug. 29, 1993). "The Soul of Jerry Wexler". New York Times. Retrieved on Jan. 11, 2007.
  8. ^ ジェリー・ウェクスラー死去 .cdjournal.com2025年2月17日閲覧
  9. ^ 「リズム&ブルースの死」  p.30
  10. ^ Mar-Keys – Last Night – Billboard Top 100 – 1961 – Top Billboard – mp3 song hits download full albums in mp3”. Mp3fiesta.com. 2019年12月11日閲覧。
  11. ^ Junior Walker”. AllMusic. 2020年8月8日閲覧。
  12. ^ Spencer Davis group Guardian. 2023年2月3日閲覧
  13. ^ ザ・キングトーンズ「おかえり~Our House And Family~/グッド・ナイト・ベイビー」 | FBCM-217 | 4544708003803 | Shopping”. Billboard JAPAN. 2024年4月10日閲覧。
  14. ^ 「R&Bソウルの世界」  p.250

関連項目


R&B

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/20 14:38 UTC 版)

第45回グラミー賞」の記事における「R&B」の解説

最優秀女性R&Bボーカル・パフォーマンス "He Think I Don't Know" - メアリー・J. ブライジ(『No More Drama2002年版所収) 最優秀男性R&Bボーカル・パフォーマンス "U Don't Have To Call" - アッシャー(『8701』所収) 最優秀R&Bパフォーマンスデュオもしくはグループ) "Love's In Need Of Love Today" - スティーヴィー・ワンダーテイク6テイク6ビューティフル・ワールドBeautiful World)』所収) 最優秀トラディッショナルR&Bボーカル・パフォーマンス(改名) "What's Going On" - チャカ・カーン・アンド・ザ・ファンク・ブラザーズ(『永遠モータウンStanding in the Shadows of Motown)』より) 最優秀アーバン/オルタナティヴ・パフォーマンス "Little Things" - インディア・アリー(『インディアへの旅(Voyage to India)』所収) 最優秀R&Bソング "Love Of My Life (An Ode To Hip Hop)" - エリカ・バドゥ、Madukwu Chinwah、Rashid Lonnie Lynnコモン)、Robert Ozuna、ジェイムズ・ポイザー(英語版)、ラファエル・サディーク(英語版)、グレン・スタンリッジ。performed by エリカ・バドゥ featuring コモン。 最優秀R&Bアルバムインディアへの旅(Voyage To India)』 - Alvin Speights(エンジニアミキサー)。シャノン・サンダース(プロデューサー)。インディア・アリープロデューサーアーティスト) 最優秀コンテンポラリーR&BアルバムAshanti』 - ブライアン・スプリンガー、Milwaukee Buck aka Buck 3000プロデューサーミキサー)。7 Aureliusエンジニアミキサープロデューサー)。Irv Gottiプロデューサー)。アシャンティ(歌手)

※この「R&B」の解説は、「第45回グラミー賞」の解説の一部です。
「R&B」を含む「第45回グラミー賞」の記事については、「第45回グラミー賞」の概要を参照ください。

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