オートバイ 概要

オートバイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/27 06:57 UTC 版)

概要

2つの車輪を前後に配置して、ガソリンエンジン電気モーターといった原動機によって走行する乗り物を指す。自転車に原動機を備えたもので、原動機の動力のみで走行することができるものも含めてこのように呼ぶこともある。

基本的には二輪のものを指しているが、サイドカーを備えて三輪になっているものや、エンジン付き二輪車をベースにして開発・改造されてできた三輪車(及び、時に四輪や一輪)も広義の「オートバイ」に含める場合がある。

オートバイという呼び方はアメリカ英語autobike」に由来する和製英語である[3]1902年明治35年)にアメリカ合衆国からエンジン付き自転車「トーマス」が輸入された当時は英語と同様に「モーターサイクル」と呼ばれていたが、1923年大正12年)に月刊誌『オートバイ』が発売されて以来、「オートバイ」という呼び方が日本人に広く認知されるようになったという意見がある[4]

ただし日本語では、他に「自動二輪車[1]」「単車[1]」などとも呼ばれている[5]。「バイク」とも呼ばれる。

なお前述の雑誌『オートバイ』に対して、ライバルとして月刊誌『モーターサイクリスト』が存在しており、かつては『モトライダー』『サイクルワールド』『ビッグバイク』『モトラッド』など、「オートバイ」以外の呼称を使用している専門誌も多数存在した。日本の法令では「自動二輪車」(や、原動機搭載と明らかに分かる文脈では「二輪車」も)が用いられる。自動車検査証において「車体の形状名」として登場するケースはある。[6]

英語で単にbikeバイクと言うと二輪車全般を指すものの、どちらかというと自転車bicycle[注釈 4]の略語として使われる場合が多いという意見もあるが、1970年代頃はイギリスには『Bike Magazine』(1971年創刊)や『Classic Bike』(1978年創刊)、またアメリカ合衆国でも『Dirt Bike』(1993年創刊)や『Hot Bike』(1994年創刊)などの雑誌も創刊されており、加えてモータースポーツでもスーパーバイク世界選手権(1988年~)やAMAスーパーバイクといった大会名があることからも分かるように、1970年や1980年代でも「bike」という英語は「原動機搭載の二輪車」も「自転車」も、つまり両方を指していた。

「単車」はサイドカーを付けたものを「側車付き」と呼ぶのに対して、サイドカーを付けていないオートバイ単体を指す言葉として用いられていたが、サイドカーが希少なものとなった現在も「単車」という言葉が生き残っている。なお、中国語でも二輪車の意味で単車という言葉が存在する。

自動二輪車については「原動機」を意味する「motor」を加えて「motorbike」、あるいは「motorcycle」と呼ばれることが多い。

オートバイとスクーターに関して、区別から包含関係への変化

なお1988年に出版された百科事典では「日本では…(中略)…、またスクーターはオートバイの範疇に含めないのがふつうである」と書かれたが[7]、2012年時点では、様々な文献やメーカーのホームページにおいて、スクーターも「オートバイ」の範疇に含まれるように変化した、と指摘されている[8]

2012年時点で、日本のオートバイメーカーやオートバイ雑誌では、道路運送車両法で規定された排気量、道路交通法で規定された車両区分、免許区分、ギアチェンジの有無による区分などを用いてオートバイを分類し、「オートバイ」にスクーター類も含めることが一般的となっている[注釈 5][9][注釈 6][注釈 7][注釈 8]


注釈

  1. ^ なお『大辞泉』では「ガソリン機関による動力で走る二輪車」とされたが、2012年時点ではガソリン機関だけでなく、モーターやガスタービンを動力とする製品も市販されている。
  2. ^ 「自動二輪車」は日本の道路交通法での用語、呼び方。「単車」のほうは法律用語ではなく、(昭和時代の人々が好んで使った)日常語。
  3. ^ パリ・ダカールラリーを創始したフランス語圏の人々はmotocyclette(モトシクレット)やmoto(モト)と呼び、日常では一般に短くmoto(モト)と呼ぶほうが好まれ、現在のダカール・ラリー競技でも二輪車部門をmoto(モト)と分類している。
  4. ^ bi」は「2」を意味する接頭辞で「cycle」は「輪」輪を示す。いずれもラテン語に由来する。
  5. ^ また、ヤマハ発動機のウェブサイトでは、2012年3月29日時点で、Motorcyclesのページ内に大きく「スポーツバイク」「スクーター」「競技用」の3つを立てている[1]が、「スポーツバイク」の中に、TMAX(=スクーター タイプ)も含めている[2]
  6. ^ スズキのホームページでは、2012年3月29日時点で、「二輪車」というタイトルのページをつくり、そこで排気量別で大きく分け、各排気量の中に、スクーターも含めて表示した。[3]
  7. ^ 『週刊バイクTV』は、オートバイに関する番組であるが、各社の大型スクーターの紹介を頻繁に行っている。
  8. ^ あるいは「オートバイ」という用語は最初から避け、「motorcycles」「二輪車」という用語を用いてスクーターも含めて様々なタイプのそれを説明・紹介している。
  9. ^ 人体を基準にするため黎明期から現代に至るまでおよそ全長200cm、幅70cm、高さ80cm程度の車格が用いられている
  10. ^ 代表的な技術としてサイドバルブ機構がOHV機構に、自動負圧式バルブが機械駆動式に、鋳鉄シリンダーおよびピストンがシリンダーで鋼製削りだし、ピストンが鋳鉄、あるいは鍛造アルミニウム、オイルリングの装着などが挙げられる
  11. ^ 60*60mm、180ccの空冷4ストローク単気筒エンジンは回転速度2000rpmまで回り、出力公証1.5psを発揮した
  12. ^ フロントブレーキや手を使ってのクラッチ操作には後にボーデンケーブル英語版が用いられ、これは現代においても同様の機構を用いた車種が存在する。
  13. ^ 1896年(明治29年)に十文字信介十文字大元の実兄)が石油発動自転車を輸入して丸ノ内で試乗とある1896年1月26日『国民新聞』『新聞集成明治編年史. 第九卷』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
  14. ^ 1935年(昭和10年)までに日本にはAJS、アリエル、ダグラス、BSA、JAP、ノートン、ラッジ、サンビーム、トライアンフ、ヴェロセット(以上イギリス)、モトグッチイタリア)、クリーブランド(アメリカ)、BMW(ドイツ)といった各国のオートバイが輸入されていた。
  15. ^ 1928年(昭和3年)、日本自動車の蒔田鉄司により設計された250cc、空冷2ストロークエンジンを搭載した車両。
  16. ^ 1930年(昭和5年)に宍戸兄弟の手により製作された350cc、および500ccエンジンを搭載した車両
  17. ^ 1934年(昭和9年)東京モーター用品製造組合会員による共同製作車両。エンジン設計はJAC号と同じく蒔田鉄司。
  18. ^ 1927年(昭和2年)愛知県犬山のみづほ自動車製作所により製作された車両。キャブトンとは、Come And Buy To Osaka Nakagawaの頭文字を並べたもので、もともとは大阪の中川幸四郎商店が設計したものであった。
  19. ^ 1936年(昭和11年)にプロレーサーとしても活躍した栗林が経営する栗林部品店が製作した車両。同社は1928年(昭和3年)創業、1933年(昭和8年)にヴィリアース社製2ストロークエンジンを搭載した車両を製作し、1936年(昭和11年)には500cc、4ストロークエンジンを搭載した車両を製作した。
  20. ^ 1937年(昭和12年)、日本内燃機会社が製作した1296cc、4ストロークV型2気筒の大型エンジン搭載し、最高出力は12psに達した。エンジン設計は蒔田鉄司、車名は同氏の名前にちなむ。
  21. ^ 1936年(昭和11年)、目黒製作所が製作、販売した車両。目黒製作所は1923年(大正12年)に村田延治、鈴木高広の二名によって創業され、当初は変速機やエンジンの製造を行っていた。この車両では500cc、4ストロークOHV単気筒エンジンを日本で初めて搭載していた。
  22. ^ 2ストローク42×45mm、62ccのエンジンで1.2馬力を発揮した。
  23. ^ 戦時中に使われた無線電源用の2ストローク発電機の多くはトーハツが製造、納品していた。
  24. ^ また、国産車にはないスリーブレスアルミメッキシリンダーといった技術も用いられていた。
  25. ^ 。ビスモーターを他社に先駆け発売したみづほは需要の変化に戦前からの実績があった350cc単気筒や600cc二気筒エンジンを搭載した車両を市場に送り出すが、当時の流行からは大きすぎた。こうした市場との乖離による業績不振や、晩年のなりふり構わぬ小型車の発売などはブランドイメージの低下に拍車をかけ、最盛期であった1954年(昭和29年)のわずか2年後に倒産。
  26. ^ 。戦中、唯一オートバイを製造していた陸王も1960年(昭和35年)に倒産したが、最後に販売した陸王AC型は空冷4ストロークOHV345cc単気筒、最大出力18ps/4,750rpm シャフトドライブで最高速度120km/h 車両重量180kgのドイツ車のような車両であった。
  27. ^ 。戦前の川西航空機が終戦を機に新明和興業と改名。航空機で培った技術を元にバイクモーターを手始めにオートバイ事業に参入したが、新進オートバイメーカーの躍進に業績が悪化。1963年(昭和38年)に18年のオートバイ事業に幕を下ろす。
  28. ^ 画像は、ウィキメディア・コモンズの「Category:Motorcycles with FWD (front wheel drive 前輪駆動のモーターサイクル」を参照。
  29. ^ 2006年から、北米生産のアメリカンツアラー「ゴールドウィング」を皮切りに装備された。
  30. ^ C1に装備して発売し、ヨーロッパの一部の国ではヘルメット着用義務の例外として扱われる車種となった。
  31. ^ ヘルメットリムーバーまたエアジャッキの要領でヘルメットを頭から抜くツールも開発されており、ヘルメットリムーバーにおいてはロードレースなどの競技会で義務化されつつある。

出典

  1. ^ a b c 広辞苑』第五版
  2. ^ 『広辞苑』第六版
  3. ^ 『日本のオートバイの歴史。- 二輪車メーカーの興亡の記録』p.7
  4. ^ 『百年のマン島 - TTレースと日本人』pp.179-180
  5. ^ 原動機付きの二輪車全体を「オートバイ」と総称することは完全に定着しているわけではない[要出典]
  6. ^ 「オートバイ」という語は単なる俗称の一つに過ぎず、原動機付きの二輪車全体を指す言葉として用いるのに適さない[要出典]」という意見を言う人もいる。
  7. ^ a b c d e f g 『世界大百科事典』第4巻
  8. ^ 『図解入門よくわかる最新バイクの基本と仕組み』秀和システム、2010年)第二章
  9. ^ ホンダのホームページ同ページカテゴリー区分
  10. ^ a b International Council on Clean Transportation European Vehicle Market Statistics - Pocketbook 2013
  11. ^ 日本自動車工業会 「インド自動車市場とその将来」 [リンク切れ]他の国のデータと年次が異なり2004年の数値である。
  12. ^ 出典元に記載が無いため、記載されている台数と台湾の頁の人口より算出。
  13. ^ 日本自動車工業会 「世界各国/地域の二輪車保有台数」
  14. ^ 注 - 発展途上国では、四輪自動車は庶民の年収と比較して高額なため、オートバイが購入される。発展途上国の都市部では、オートバイは交通渋滞をすり抜けやすいという利点もあり、特に重要な交通手段である。
  15. ^ 【真相断面】“FUNバイク”アジア攻勢/富裕層・中産階級ターゲット日刊工業新聞』2018年3月16日
  16. ^ 【点検 世界シェア】自動二輪/首位ホンダ、初の2000万台『日経産業新聞』2019年8月6日(自動車・機械面)。
  17. ^ a b c d 『日本のオートバイの歴史。』第3章 ガソリン・エンジンの誕生 pp.23-30
  18. ^ 『日本のオートバイの歴史。』第2章 後進・日本のオートバイ産業 pp.19-22
  19. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『日本のオートバイの歴史。』第4章 黎明期の日本のオートバイ界 pp.31-66
  20. ^ a b c d e f 『日本のオートバイの歴史。』第1章 オートバイ技術の内容 pp.7-18
  21. ^ 世界の二輪車生産と販売:2013年世界販売は5700万台の見込み - 自動車産業ポータル マークラインズ”. www.marklines.com. 2021年7月17日閲覧。
  22. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2019年11月8日). “【クルマ三昧】ときに首を捻りたくなる驚愕の「中国バイク事情」 ガソリン二輪車はどこへ” (日本語). SankeiBiz. 2021年7月17日閲覧。
  23. ^ 韓国で、日本製バイクの販売が伸びている理由” (日本語). Newsweek日本版 (2021年7月14日). 2021年7月17日閲覧。
  24. ^ a b c 日本放送協会. “オートバイ電動化へ 国内メーカー4社 共通の電池づくりで合意”. NHKニュース. 2021年3月26日閲覧。
  25. ^ 【電動バイク】「各社EV用バッテリーの規格統一」で何が変わる?|国内バッテリーコンソーシアムの将来展望|Motor-Fan Bikes[モータファンバイクス]”. motor-fan.jp. 2021年4月13日閲覧。
  26. ^ 『ポプラディア大図鑑 WONDA 自動車・船・飛行機』(2014年7月、ポプラ社発行)132 - 133ページ「自動車の歴史」より。
  27. ^ a b c d e f g h i 『日本のオートバイの歴史。』第5章 敗戦とそのあとに来たもの pp.67-82
  28. ^ 中日本重工は戦後の財閥解体により3社に分割された三菱重工業の自動車部門。後に中日本重工は新三菱重工となり、後に3社は合併し、再び三菱重工業となる。新三菱重工は実質上三菱自動車工業の前身ともいえる面を持っており、後のミニカミニキャブの礎となった三菱・360の成功を契機に二輪・オート三輪を捨て四輪メーカーへと梶を切ることとなる。
  29. ^ ホンダの2度の倒産危機・復活に凝縮される、本田宗一郎の真の凄さ”. BIZ HINT (2020年4月12日). 2020年4月17日閲覧。
  30. ^ a b 『日本のオートバイの歴史。』第7章 オートバイ大流行の先駆・バイクモーター pp.99-116
  31. ^ a b 『日本のオートバイの歴史。』第8章 本格的オートバイ時代到来 pp.117-138
  32. ^ a b 『日本のオートバイの歴史。』第9章 戦後派の大進出と制覇 pp.139-168
  33. ^ a b c 『日本のオートバイの歴史。』第10章 優勝劣敗強まる pp.169-192
  34. ^ a b c d 『日本のオートバイの歴史。』第11章 日本オートバイの世界制覇 pp.193-202
  35. ^ CHAdeMOとコンバインド・チャージング・システム(英語版)
  36. ^ a b 日本放送協会. “川崎重工業 “2035年までにオートバイを電動化” 発表”. NHKニュース. 2021年10月6日閲覧。
  37. ^ 2輪復活 アニメとコラボ「ばくおん!!」人気に乗る 若年層の需要掘り起こし『日刊工業新聞』2016年8月18日(自動車面)
  38. ^ 二輪車リサイクル(一般社団法人 日本二輪車普及安全協会)
  39. ^ ハーレーダビッドソン!鉄馬マガジン 2005/9/30 No.21
  40. ^ 乗員が足で支える、スタンドを使用する、乗員がバランスを取る、補助輪を使うなどの方法が必要である。
  41. ^ Sarkar S, Peek C, Kraus JF. "Fatal injuries in motorcycle riders according to helmet use." J Trauma. 1995 Feb;38 (2) :242-5. PMID 7869444
  42. ^ 平成18年中の交通事故の発生状況について
  43. ^ Stella J, Cooke C, Sprivulis P. "Most head injury related motorcycle crash deaths are related to poor riding practices." Emerg Med (Fremantle). 2002 Mar;14 (1) :58-61. PMID 11993836
  44. ^ Kraus JF, Peek-Asa C, Cryer HG. "Incidence, severity, and patterns of intrathoracic and intra-abdominal injuries in motorcycle crashes." J Trauma. 2002 Mar;52 (3) :548-53. PMID 11901334
  45. ^ 交通安全の模範例となる二輪車 - 二輪車の利用環境改善と安全走行のために | JAMAGAZINE 2007年5月号より
  46. ^ 月刊オートバイ 2008年1月号「ライダーの「胸部」保護を考える」pp.203-210[リンク切れ]
  47. ^ European Agenda for Motorcycle Safety (PDF)





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「オートバイ」の関連用語

オートバイのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



オートバイのページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのオートバイ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2021 GRAS Group, Inc.RSS