幻想詩連合
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シルベストル・ドゥーセ大公 声 - 江原正士 アレクシス・ドゥーセの父。前幻想詩連合盟主。大講堂の惨劇時にマティアス・クライシェ大公と共に亡くなった。 老練にして狡猾であり巧みな交渉術に長けている。綿密な根回しで盟主として推薦されることに成功し、盟主就任の際は騙されたと感じる従属君主がいたほど政治の駆け引きが上手かった。 マティアスほどではないが連合と同盟が決着をつけることを望んでいた最中、息子であるアレクシスがマリーネとの愛を語り出すという自体に直面する。両大公の従者なども二人の恋路に賛同したため渋々ながらも二人の恋愛を容認、マティアスと対面した際は複雑な心境ながらも二人の結婚を祝福しようとしていた。 実は生前、魔法師協会から鉄甲船の技術を得ていた。当時は無用の長物と周囲から嘲笑されていたが、後に息子のアレクシスによって歴史を覆すほどの切り札となった。 アレクシス・ドゥーセ 声 - 井口祐一 シルベストル・ドゥーセ大公の息子で、ハルーシア候。エーラム留学時にマリーネ・クライシェと出会い恋に落ちるが、大講堂の惨劇が起こったことで結婚は白紙に戻ってしまう。 テオとは年が近く、彼が爵位と引き換えにシルーカとの契約を継続したことを愛ゆえだと思っているため(実際に噂がそう広まっていたためでもある)、マリーネへの愛を抱き続ける自身を重ねて親近感を覚え、非公式に友人関係を結んだ。 「ハルーシアの太陽」と称されるほどの美男子で、詩や絵画などあらゆる芸術に秀でている。優しい性格の持ち主で、惨劇後もマリーネを変わらず愛しており、彼女との結婚による和平の実現を諦めきれていない。このように非常に夢想家ではあるが全ての人々の幸福のため全力を尽くすなど、平時の君主としては意外にも大切な素養を数多く持ち合わせている。一方で乱世の君主としては覚悟が足りず、当初は政治的に無能であった。 アルトゥークが中心となって同盟に打撃を与え、同盟撃破の最大のチャンスが訪れた際にも和平交渉の継続にこだわった。この点をドーソン候に利用されてしまい、同盟と密約を結んでいた彼の専横を許してしまった。 自身の優柔不断な態度がアルトゥークを孤立させ、援軍を出すことも出来ないままヴィラールの死を招いてしまったことを深く悔やむ。自らも覚悟を決め武力によって同盟を止めることを表明しドーソン候の専横を一掃、後に一時的な自暴自棄に陥りかけるもテオの説得によって連合盟主としての責務を果たし始める。 後に反乱を起こしルクレール伯を討ったドーソン候を自らの手で粉砕、ノルドの再侵略に対しては後世に「プレトランド沖海戦」と呼ばれる海戦にて自ら陣頭にたち、芸術的な采配で指揮をとった。切り札である鉄甲船を投入するという英断により、海戦では無敵と謳われた海洋王エーリク相手に大勝利を収めエーリク本人も討ち取ることに成功する。 ミルザーがテオに討たれた後、もはや自滅覚悟でテオと戦う覚悟を決めたマリーネの前で全軍と共に薔薇を意識させる形で戦場へ登場、最初にマリーネに愛を告げた時と同様、自分は全ての人々の幸福を願いマリーネを愛し続けているままであると表明した。たとえミルザーに貞操を奪われてもマリーネを愛していることを皆に宣言し、ついにマリーネと結ばれた。 マリーネと結ばれた後は二人でテオに従属することを宣言、テオを皇帝として認めた。始祖皇帝テオにより大陸統一がなされた後、彼が皇帝を退位したのちに招集された選帝会議にて二代目皇帝に選出された。 ノエリア 声 - 山村響 ドゥーセ家の侍従長を務める女性。アレクシスのエーラム留学にも帯同しており自身もアレクシスのために戦うこともある。 アレクシスとマリーネが恋愛関係となったことでアーヴィンとも顔馴染であり、二人が結婚できるよう尽力していた一人でもある。 ホスティオ・フィグリス アレクシスの契約魔法師。長年に渡りドゥーセ家に仕えてきた存在であるが、「大講堂の惨劇」以降はドゥーセ家に見切りをつけ円満な退職を狙っている。エーラムに帰還し魔法師協会での栄達を狙っている節があるため、ドゥーセ家の外交実務担当として奔走しているセファウドからは軽蔑されている。 同盟と連合、そして条約も加え二転三転する状況の中、三盟主会談にもアレクシスの契約魔法師長として参加するが「大講堂の惨劇」を引き起こした黒幕が魔法師協会だと指摘され驚愕する。三勢力の首脳陣が魔法師協会との戦いを決意したことを契機に魔法師としてエーラムに帰ることを宣言、アレクシスから長年ドゥーセ家を支えてきたことを感謝され袂を分かった。 エーラム帰還後は無事栄達したらしく、エーラム攻防戦では副将として参戦する。最初から勝ち戦と事態を楽観視していたエーラムの魔法師たちと違い、乱世の君主として覚醒したアレクシスの実力を素直に認め、三盟主及び三大勢力が本当の意味で一つにまとまっていることを確信する。長年エーラムで出世してきた生え抜きの魔法師たちに警戒を呼びかけるも新参の副将と軽視され意見を認められず、三大勢力の戦略や戦術を見抜きつつも戦況を好転させることができないまま敗北する。ホスティオ自身は己を含めエーラム至上主義から脱却できなかったものたちの当然の敗北と受け入れていたらしく、敗北の責任の一端を担うべく自害するという最期を選んだ。【テレビアニメ版】 基本的な設定は原作に準拠しているが、最期の瞬間のみ原作と大きく異なる。アニメにおけるエーラム攻防戦においてはサイクロプス復活を担当する魔法師の一人として参戦、暴れだしたサイクロプスに踏みつぶされる最期を迎えた。 セファウド・ラトキス 声 - 高橋伸也 アレクシスの契約魔法師。アレクシスにより大工房同盟との外交担当として派遣されていた。時代が平時から乱世に変わったにも関わらず、それまでと同様の感覚でマリーネのことをあきらめられないアレクシスに内心あきれているが主への忠誠心は忘れていない。実はマリーネとアレクシスの結婚式開催まで漕ぎつけた外交担当こそが彼であり、「大講堂の惨劇」がなければ大陸に平和をもたらした立役者として歴史に名が記されることは確実視されていた。 同盟と密約を結んでいると噂が絶えないドーソン候が中心となって進めた同盟との和平交渉の成功は当初から期待していなかったものの、それでも事態を改善すべく外交での解決を目指して交渉を続けた。アレクシスの未練がましい恋心やドゥーセ家に見切りをつけた契約魔法師長ホスティオが円満な退職を狙っているため、ほとんど孤立無援の状態で外交魔法師としての責務を果たしていた。 後に精神的に追い詰めたられたマリーネが非人道的な手段を使ってでも戦争を始める決意を固めたことで交渉は破綻、外交関係を完全に遮断することも辞さないマリーネの変貌ぶりに驚愕しつつ帰国する。帰国後に開かれた連合の会議では和平交渉失敗の責任者としてドーソン候から言いがかりをつけられて事あるごとに嫌味を言われてしまう。マリーネの変貌を受け入れられず同盟への完全従属まで提案するアレクシスや同盟に有利な和平交渉を続けようとするドーソン候をはじめとした連合に呆れ果て、連合の無力ぶりを吐露、連合が抱える問題点を指摘した後に自ら責任をとって自害しようとするもアレクシスの従者が機転を利かせたことで生き延びることとなった。 イリナ 声 - 涼本あきほ ヴィラール・コンスタンス 声 - 櫻井孝宏 アルトゥークを治める伯爵。若い女性の魔法師としか契約せず、しかも25歳になると契約を解除することから「好色伯」と揶揄されているが、実際は契約魔法師に手を出したことはない(女性としか契約しないのは、古くから魔女信仰が盛んなアルトゥークでは女性の魔法師が受け入れられやすいからで、25歳で契約を破棄するのは、その後の彼女達の人生を縛らないため)。 大講堂の惨劇を食い止めようと唯一動いたシルーカを気に入って契約しようとするも、彼女が勝手にテオと契約したことで破談寸前になる。策略家で戦の達人でもあり、テオの軍を全滅させようとしていたヴァルドリンド軍の背後を突いて潰走させた。側近の契約魔法師はマルグレット、ラウラ、ヘルガ、コリーンの4人だったが、他にも契約魔法師はおり、それぞれ従属君主の契約魔法師として派遣している。シルーカについては自らの魔法師団に所属させた後テオの元に派遣したという体裁を取り、反故になりかけた契約を維持した。 母は前同盟盟主マティアス・クライシェの妹フローリアで、マリーネ・クライシェは従妹。先代である父リシュアンが祖父のユルゲン・クライシェを裏切り連合所属となったという経緯から、同盟盟主であるクライシェ家とコンスタンス家の間で長い間葛藤してきた。コンスタンスを呪った母とクライシェの血を恐れた父から充分な愛情を得られなかったことが、後の彼が愛情を恐れ、特定の女性と深い縁を結ばないことの遠因にもなっている。 幻想詩連合の重鎮だったが、あくまでマリーネとの婚姻による和平を望むアレクシスを無下にできず、連合内で孤立を深める。更に皇帝になるほどの野心がないことを理由にミルザーの離反を招いてしまい、陸からはヴァルドリンド、海からはダルタニアの攻撃を受ける。当初は持ちこたえられると踏んだが、次いでノルドの大軍が押し寄せたことで敗北を悟った。マルグレットを連れて最後の戦いに赴き、ヴァルドリンドの重装騎士団の聖印弾を受けて戦死。彼本人はマリーネとアレクシスが結婚することを望んでおり、最期の瞬間までマリーネの幸せを願っていた。 彼の死後、その意思はテオとアルトゥーク周辺君主に受け継がれ、後のアルトゥーク条約発足へと繋がっていくことになる。 マルグレット・オディウス 声 - 甲斐田裕子 ヴィラールの契約魔法師長。ダルタニアの出身で、炎を祭る聖火教の巫女。元々自然魔法師だったが、魔法大学に留学し、魔法師としてヴィラールと契約した。 登場時は25歳の誕生日を間近に控えており、契約解除後は故郷に戻って巫女となるはずだった。連合の君主会議の前に誕生日を迎え、一度はヴィラールの元を去ったものの、ミルザーのクーデターにより故郷を失って再びヴィラールを助けるために駆け付ける。ヴィラールが愛情を恐れていることを知りながらも彼を純粋に愛しており、最後に彼がその想いを受け入れてくれたことに至上の喜びを感じながら、捨て身の炎の魔法「業火」を行使。多くの敵を巻き添えにしながら戦死した。 ラウラ・ハードリー 声 - 安済知佳 ヴィラールの契約魔法師。静動魔法の使い手。エーラム魔法大学ではシルーカの先輩にあたる。魔法師の才能は親から子へ遺伝するものではない中で、両親共に魔法師という数少ない純血の魔法師。そのため幼いころから英才教育を受けてきた。 マルグレットの契約解除後はヴィラールの契約魔法師長となる。アルトゥーク戦役では敗北を悟り、城に攻め寄せたマリーネやミルザーの目の前で服毒自殺を図ったが、一時的に: 仮死状態になっただけで生き延びていた。一度はエーラムに戻るものの、仕えた主をなくした喪失感は大きく、新たな契約魔法師を求めていたエドキアと契約を結ぶ。 新たな主を得た後、ウルリカの進軍に直面するが略奪を好むノルド出身者の心情を見抜き、事前に物資を樽で海に流すという奇策で応じることをエドキアに進言する。この策は受け入れられたことで興を削がれたウルリカが進軍をためらい、その鬱憤を支配地での暴政という形で晴らすなど後々の戦局に大きな影響をもたらす。その代償としてエドキアの私財だけでなくハマーンの国庫もほとんど尽きてしまい、ウルリカと戦って勝利しなければならない状況にまで追い込まれる。この点についてはラウラも申し訳なく思っていたらしく、かつての華やかな衣装ではなく、その場しのぎの布程度の衣服で耐えるエドキアの姿を見て素直に謝罪している。 備蓄がほぼ完全に尽きた段階でついにウルリカの大軍を迎えることになるが、戦闘をためらう部下達に対しエドキアが全裸で演説し激励するという奇想天外な方法で将兵たちに己の覚悟を見せつけた際にはラウラ自身もほぼ全裸で登場することになる。(ラウラ自身は全裸で演説せずには済んだことを安堵しているが、最終的には自身も全軍の前で全裸という状況になったことで、自分が新たに仕えた主の胆力を未だ見抜けていなかったことを喜ばしく感じている。)エドキアの壮絶な覚悟を理解した将兵達の士気は寡兵とは思えないほど圧倒的なものとなり、ウルリカが無理やり連れてきたスタルクの奴隷兵達がウルリカに反乱を起こすほどの影響をもたらした。 ウルリカを追い払った後はエドキアと共にスタルクの奴隷兵達も庇護下に置き、ノルドの勢力が大陸から一掃されたことで国力の回復に協力している。 エーラムの粛清で多くの魔法師が魔法師協会か君主かで帰順を迷う中、躊躇わずエドキアを支え続けることを明言。エーラムに戻るようにと伝えてきた両親には、自分は死んだものと思って欲しいと伝えた。 ヘルガ・ピアロザ 声 - 内山夕実 ヴィラールの契約魔法師。生命魔法を真髄まで極めたといわれる生命魔法師。 アルトゥーク戦役ではヴィラールの死後も一角獣城にとどまって敵味方問わず治療を行い、戦後はエーラムへ戻った。システィナ解放後にエーラムに立ち寄ったシルーカにスカウトされ、テオの契約魔法師団に加わって共に戦う。 コリーン・メッサーラ 声 - 本渡楓 ヴィラールの契約魔法師。創成魔法の使い手で、素早く魔法を唱えるのは苦手だが、時間をかければ大掛かりな錬成魔法を構築することができる。 自作の魔法器(アーティファクト)をいくつも所有し、アルトゥーク戦役ではそのうちの一つ「光線鏡」(太陽光を蓄積し、放射する巨大な鏡)を使って多くのダルタニア船を炎上させた。 一角獣城に攻め込まれた際に死亡したと思われていたが、人狼のジードに助けられており、ひそかに人狼の里に移住していた。死んだと思われていることを逆手にとって魔法杖を捨て、ジードの妻となる。打倒ミルザーを掲げて常闇の森に戻ったテオやシルーカと再会した。10巻エピローグにてすでに3人の子供が産まれ、4人目を懐妊中とのこと。 オイゲン・ニクラエ 声 -相馬康一 ヴィラールの先代からコンスタンス家に仕えるアルトゥークの男爵。アルトゥークの北の守りを任されている。 不器用だが実直で裏表がなく、その武人然とした精神から部下には慕われており、死地に赴く際には多くの部下が彼に従うなど人望に恵まれた人物。ヴィラールから派遣された契約魔法師デアドリに一目惚れし、作中で妃に迎えた。武骨でいかつい人となりで、その勇猛さや武勲によって先代のころからいくつもの勲章をもらっている。ヴィラールに従属したばかりのテオに対しては最初こそ新参者の騎士として冷たくあしらったが、礼儀を弁えた若者と分かったことで和解。その後は態度を軟化させ、以後テオとは何度となく共に戦うことになる。 ミルザーがダルタニアの太子であったころから面識があり、民衆の統治に対する考えの違いはあっても関係はそれなりに良好であった。ヴィラールとミルザーが子供のころから付き合いのある仲であったことも知っており、ヴィラールからの信頼を利用する形で裏切りによる勝利を選んだミルザーのやり方には激怒した。アルトゥーク戦役後はミルザーからの従属勧告を無視しミルザーが領主として部下を派遣する度に討伐、ミルザーの統治に逆らう民衆の拠り所として各地で遊撃戦を指揮しダルタニア軍を苦しめた。結果的とはいえ単独で戦局を覆しかねない武力を誇るミルザーがアルトゥークでの失政の立て直しに専念しなければならず、アルトゥーク以外へ出向くことができないという戦局をも左右する状況を作り出した。 テオがシスティナを解放したことを心から喜び、その帰還を心待ちにしていたが、アルトゥーク解放の機運が高まることを恐れたミルザーが魔女や人狼の集落を焼き討ちにし、民衆に危害が及ぶと分かると自ら打って出ることを選ぶ。決戦の前夜に我が子を授かったことを知り、デアドリとその子の幸福を願いながら最期の戦いへ望む。民衆を犠牲にしないため、民衆からの支援を全て断り、己の戦力のみでミルザー率いる精鋭部隊へ突撃するという命懸けの作戦を決行、一方的な勝ち戦を想定していたダルタニア軍を蹂躙しミルザー直属の本隊以外を壊滅させるという最期の大戦果を挙げる。オイゲンの壮絶な覚悟を理解したミルザーが一騎打ちに赴いた際、満身創痍の体で勝負に挑み敗北、テオの帰還を待たずに戦死する。 オイゲンの戦死によりアルトゥークにおけるダルタニア軍への抵抗運動は表向き収拾され、テオの帰還までは面従腹背の雌伏の抵抗運動を続けることとなった。 デアドリ・ニクラエ ヴィラールの契約魔法師。内気で人見知りが激しく、主にもなかなか意見が言えなかったことから直属の契約魔法師から外され、オイゲンの元へ派遣された。 当初はオイゲンも怖がっていたものの、ある日彼の方も自分に遠慮しているのだと気付き、その不器用ながらも誠実な人柄に次第に惹かれていった。その後オイゲンの妃となり、その子を授かるが、時を同じくして夫が戦死。その後は人狼の集落に身を寄せていたが、本来契約していた君主が死んだ場合は契約解除となってエーラムに戻らねばならず、身重の身もあって迷っていたところをシルーカの提案によってテオと再契約し、テオの魔法師団に入る。 エーラムの粛清が始まった際には、我が子を育て上げてニクラエ男爵家を再興することが望みだと言い切り、君主側に付くことを選んだ。 セルジュ・コンスタンス 声 - 下野紘 レガリア伯。アルトゥーク伯ヴィラール・コンスタンスの異母弟で、アルトゥーク先代リシュアンと後妻の間に生まれた。 遊牧民の土地で、決して肥沃とはいえないため対立も多いレガリアの地を、よく各部族を回ってその意見を聞き、井戸を掘り、オアシスを開拓するなどこまめで丁寧な統治を心がけることで良い領主と言われている。 ヴィラールを非常に尊敬しているが、少々性格が気弱であり、兄を敬愛するあまりに冷静な判断力を欠くことがある。アルトゥーク戦役においてはヴィラールの窮地と知るや否や、罠だと看破した契約魔法師のエレット・ハルカスの警告にまったく耳を貸さずに突撃してしまい、反転して攻め寄せたヴァルドリンド軍に蹂躙され、逆に自らが窮地に立たされてしまう。更にその自身を救うために駆け付けたキルヒス王ソロンが戦死し、深い自責の念に駆られる。 故ヴィラールを慕う者達で結成されたアルトゥーク条約において、ヴィラールの弟でありコンスタンス家の当主となったセルジュは筋においても血統においても条約の盟主に相応しく、家名と伝統を重んじるクローヴィス王アルフレートも彼を熱心に推挙したものの、アルトゥーク戦役の記憶から自分は器ではないと固辞。その後度重なるミルザーのレガリア遠征に何度となく立ち向かい、そのたびに逃亡を重ねたことで、ラシックに「逃亡伯」というあだ名を付けられている(当初は不慮の逃亡だったが、次第に逃亡することがお約束になり、エレットも主の逃亡を前提に戦略を立てるようになった)。アルトゥーク解放戦では、テオの軍勢が整い、ラシック率いる条約軍が到着するまでの時間を稼ぐためにレガリア城に白旗を揚げさせて自らは逃亡するという、さすがのミルザーも呆気にとられる大胆な作戦を行う。その後、ミルザーが条約軍と激突した隙をついてレガリア城を奪還し、戦場に馳せ参じた。 システィナからテオが帰還し、ミルザーを討ち果たした後は、コンスタンス家の当主の座を弟のイゴール(声 - 石谷春貴)に譲り、自らは母親の姓ステレアを名乗ってセルジュ・ステレアとしてテオに従属した。 エレット・ハルカス 声 - 松井暁波 セルジュの契約魔法師。非常に現実的な思考の持ち主なため希望的観測による失敗とは無縁。目上の相手に対する諫言も臆することなく行うため、セルジュにとっては兄以外で頭が上がらない数少ない存在。魔法師が戦場での不慮の事故、君主から使い捨ての駒扱いされる以外で命を奪われる危険が低いことを熟知しており、自分が落命しないことには一定の確信を得ている。 アルトゥーク戦役でも敵軍の戦術や罠を看破していたが、ヴィラールの危機で冷静さを欠いたセルジュが突撃したため戦力を喪失、魔法師が戦陣で無粋な魔法を使わなければならなくなった段階で敗北は必至と冷静に判断し半ば本気でセルジュに愛想を尽かそうとしていたが、セルジュが改心を約束したためソロンの救援がくるまでセルジュを守り抜いた。 セルジュが自分の諫言をきちんと聞くようになってからはセルジュに対する厳しい態度に喜びを感じている節があり、セルジュの逃亡が戦略的に有効と感じてからは徹底的に逃亡を前提とした作戦を次々と献策している。その鬼畜さながらの献策ぶりと献策を全て受け入れるセルジュの組み合わせは君主達の間で畏怖の対象となっている。 エドキア・カラーハ 声 - 行成とあ ハマーンの女王で海上要塞ともいえる「海の宮殿」を所有。契約魔法師のソーラスを始め、多数の男を平等に愛した背徳の女王と呼ばれている。 アルトゥーク戦役時にはヴィラールの要請に応えて援軍として海の宮殿を出撃させ自身もそれに座乗する。当初はダルタニア船団に優位に立っていたが、途中介入してきたノルドの大船団の前に劣勢に立たされソーラスに気絶させられ小舟に乗せられる形で脱出させられる。海の宮殿が爆沈したのを見ると号泣をした。 ウルリカの進軍に対してはラウラの策を受け入れ、略奪される前に物資を樽で海に流すという奇策で応じる。これにより興を削がれたウルリカが進軍をためらい、その鬱憤を支配地での暴政という形で晴らすなど後々の戦局に大きな影響をもたらす。その代償としてエドキアの私財だけでなくハマーンの国庫もほとんど尽きてしまい、ウルリカと戦って勝利しなければならない状況にまで追い込まれる。 備蓄がほぼ完全に尽きた段階でついにウルリカの大軍を迎えることになるが、戦闘をためらう部下達に対しラウラと共に全裸で演説し激励するという奇想天外な方法で将兵たちに己の覚悟を見せつける。エドキアの壮絶な覚悟を理解した将兵達の士気は寡兵とは思えないほど圧倒的なものとなり、ウルリカが無理やり連れてきたスタルクの奴隷兵達がウルリカに反乱を起こすほどの影響をもたらした。 ウルリカを追い払った後はスタルクの奴隷兵達も庇護下に置き、ノルドの勢力が大陸から一掃されたことで国力の回復に成功した。 ソーラス 声 - 松田修平 エドキアの契約魔法師。元々は彼女の教育係を務めていたが、彼女の誘惑に乗る形で愛人となった。 当初はエドキアが新しい愛人を作る度に嫉妬していたが、エドキアが複数の愛人を抱えるほど情熱的な女性だからこそ自分の想い人なのだと理解している。現在でもヨアヒムをはじめ多くの愛人と性交している最中でも普通に会話するなど当人同士の関係は至って良好。 アルトゥーク戦役時にはエドキアらとともに海の宮殿に座乗。最終的にノルドの介入により敗北を悟りエドキアを脱出させた後、奮戦するが戦死。 ヨアヒム 声 - 鈴木崚汰 エドキアの愛人兼海の宮殿の砲術技師。 魔法大学では炎をはじめ砲術関係の魔法でしか芽が出なかったため魔法適性無しという落ちこぼれ扱いされ、火薬ギルドに移動して砲術技師となる。魔法師にとっては弾切れが生じない砲撃専門の魔法師という消耗品扱いで派遣されるという屈辱を意味する魔法師協会のやり方に絶望させられるという壮絶な過去をもつ。 射石砲の技術が魔法協会からハマーンに譲渡された際、射石砲の部品の一部としてヨアヒムもハマーンに赴くことになる。ハマーンでも魔法師扱いされないという過酷な人生を覚悟していたが、自分を使い捨て扱いされた魔法師ではなく一人の男性として愛してくれたエドキアのことは大切に想っている。 アルトゥーク戦役ではエドキアと共に出撃、ダルタニア船団相手に優勢に戦いを続けるもノルドの物量戦で窮地に立たされる。エドキアを脱出させた後、最後は射石砲に火を投げ入れノルドの兵士を道づれに自爆した。 ソロン・ダラーラス 声 - 徳本英一郎 キルヒス伯。劇場王とも呼ばれ演劇に例えて兵士達を鼓舞することを得意とする。アルトゥーク戦役においてヴィラールの要請に応えて救援に駆け付けるが途中セルジュの危機を知り急行しセルジュ達を救出する。その後もヴァルドリンドと戦闘に入るが最終的にヴァルドリンドの物量に押されキルヒス軍も壊滅しソロン自身も戦死した。 ヨルゴ・ダラーラス 声 - 高橋伸也 キルヒス伯の息子。父親と違い感性ではなく綿密な計算で物事を判断するなど性格はまるで異なる親子。 ソロンが爵位を継承せず戦死したため最小限の爵位しかもたない状態でテオ達に合流。アルトゥーク周辺でも有力諸侯であるキルヒス伯の爵位が受け継がれなかったことを惜しまれるも、結果的にアルトゥーク条約発足時の盟主争いに巻き込まれずに済んだ。 アルトゥーク条約がダルタニア軍とぶつかった際には戦力の一端として参加、ミルザーと真っ向勝負となる。それまでの機能的な反面で無味乾燥とした戦い方をやめ父であったソロンを彷彿とさせるような芸術的かつ無意味で酔狂な戦い方を開始、寡兵であるにも関わらず劣勢を感じさせない態度で士気を大いに盛り上げてミルザーに対峙した。戦闘自体はヨルゴの完敗でありダルタニア軍に蹂躙されて終わったが、ヨルゴ自身は無事生き残り自身の敗北も手記として記録、劇場王と称されていた父の生き様に歩み寄りを見せた。 クルート・ギャラス 声 - 加藤将之 ルクレール伯爵。先代である父親は同盟の軍事力の高さを見抜き、早い段階で連合結成に貢献した偉人であり戦場で壮絶な戦死を遂げている。このため父親からの意志を継ぐ誓約伯、もしく遺剣伯として名高い存在。実は先祖はノルド出身者であり、後に大陸へ渡って土着の君主となったという異例の家系。 ヴィラールとは公私共に親しくアルトゥークの現状もよく理解しているため何かにつけて協力している。父親同様に時代の変化にも気づいており、「大講堂の惨劇」以降の状況では連合と同盟がそれまでと同様に和平交渉を続けるのは難しいことも見抜いていた。連合の君主会議においてもヴィラールを排そうとするドーソン候の陰謀を阻止しようと尽力していたが、マリーネを想うアレクシスが乱世という現状を理解していなかったことが災いし、最終的にはヴィラールが単独で同盟と対峙さざるをえない状況に陥ってしまい激怒した。 ヴィラールの戦死後の連合会議では和平交渉継続を訴えるドーソン候を一喝、ドーソン候が同盟と密約を結んでいる可能性を大勢の前で指摘する。その後はヴィラールが信じたアレクシスの目が覚めることを信じ、同盟や条約に加わらなかった連合側の君主達をアレクシスのもとで結束できるよう尽力した。同時にドーソン候を排した連合の全君主相手に同盟と戦うための資金提供に関する交渉に奔走、資金提供に成功した後は大陸中の傭兵部隊を大動員し戦場を駆け巡った。勝敗の知れぬ戦いに臨むため家族と離婚してまで出陣するという悲壮な覚悟を固めていたが、海洋王エーリク率いる大部隊相手に大勝利を収め連合に進軍してきたノルドの勢力を一掃した。 その後も連戦を続けていたが多くの損害の補給と回復が必要な中、ヴァルドリンドと決戦し、ドーソン傭兵団の裏切りもあり最後は敵陣に単騎で突入し壮絶な戦死を遂げた。 ベルナール・デュラム 声 - 横堀悦夫 ドーソン候。ヴィラールと連合を二分する重鎮。ヴィラールを政敵と見做し、彼を孤立させるため様々な策略を繰り広げた。 連合が同盟に従属するようお膳立てをすれば好待遇で迎えられるという密約を同盟と結んでいるとまことしやかに語られており、ほとんどの君主がその噂を肯定するなど人望は非常に薄い。一方で悪い意味での政治力はそれなりに高く、ヴィラールがテオ達の救援に向かった際は連合と同盟の争いを引き起こした責任者として追及する。自身の発言の矛盾をヴィラールに指摘され一時は窮地に追い込まれるが、マリーネを想うアレクシスの恋心を利用して逆転に成功、和平交渉継続という形でヴィラールを孤立無援の状況に追い込む。 ヴィラールがたった一人で同盟・ダルタニア・ノルドという大勢力と戦い散ったことで自分の勝利を確信、情勢の変化に驚愕しつつも連合においては自分こそが中心となることを確信していたが、同盟と密約を結んでいたことを自ら暴露する形になってしまい他の君主達からは裏切者として見捨てられてしまう。アレクシスを傀儡として自身が権力を握るという計画は寸前まで実現可能であったはずが、肝心の自分自身が連合のまとめ役としての立場を失ったことで水泡に帰してしまった。 他の君主達に見捨てられた後も策謀を続け、密かに雇った傭兵達を使い連戦を続けていたルクレール伯を急襲、戦死させることに成功する。自らの取り巻きである従属君主達を集め、ルクレール伯を戦死させたことを自慢し同盟に寝返ること宣言する。そういった逆恨みの行動や大義に反する行動は取り巻きの従属君主達でさえ呆れさせるものであったため、全ての取り巻きにさえ見捨てられてしまう。このためとうとう一人で同盟に寝返る結果となった。皮肉にも彼が謀略を駆使して孤立無援に追い込んだヴィラール同様、彼自身も連合内で孤立無援の状況に追い込まれる結果となった。 最後には侮っていたアレクシスとの合戦となり、完膚なきまでに敗北して終わった。
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幻想詩連合(ファンタジア・ユニオン)
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「グランクレスト戦記」の記事における「幻想詩連合(ファンタジア・ユニオン)」の解説
大陸二大勢力のひとつである国家連合。大陸の西側の国々で構成されている。
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