帰還まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/12 04:17 UTC 版)
宇宙遊泳の次の任務は不要となったエアロックを切り離すことだった。船外活動から一時間半後、エアロックとカプセルの間に取り付けられた爆薬が点火され、切り離しが行われた。だが同時に宇宙船が回転を始めてしまった。この回転は21秒に1回の速さで、致命的な回転速度ではなかったが、宇宙船が地球の昼の側を飛んでいる間は窓から定期的に強い太陽光が差し込むことになったため、乗員にとってストレスとなった。 しばらくすると船内の酸素濃度が上昇するという別の問題が発生し、火災・爆発の危険が出てきた。地上からの指示に従って乗員が対処を行うと酸素濃度の上昇は止まり、やがてバルブが動作して酸素を逃がし始めたため、この問題は無事に乗り切ることができた。それからは、宇宙船の回転は続いていたものの、比較的順調に飛行が進んだ。 ボスホート2号は予定していた飛行期間を終え、地球へ帰還するため自動帰還システムが起動された。宇宙船の回転は止まった。しかし軌道から離脱するための逆噴射を行う直前になってシステムが異常をきたし、自動での帰還は諦められた。ベリャーエフとレオーノフは手動で設定を行い、逆噴射を実行した。宇宙船は軌道を離れ大気圏に突入したが、本来なら分離されるはずの機械船が帰還カプセルに結合したままだったため、カプセルは予想外の強い加速度を受けることになった。しばらくすると大気の衝突で機械船の結合が切れ、正常な状態に戻った。パラシュートや軟着陸用ロケットは順調に作動し、カプセルはシベリア奥地のタイガに着陸した。 実際の着陸地点は予定地点から2,000km(英語版では386kmになっている)も離れていたため、救援隊が駆けつけるにはしばらく時間がかかった。1日目には飛行機から救援物資が投下されるのみだった。2日目には救援隊と合流し、その場で夜を過ごした。3日目になってようやくヘリコプターの着陸場所が確保され、飛行機を乗り継いでバイコヌール宇宙基地へ戻ることができた。
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