ゲーム‐の‐りろん【ゲームの理論】
ゲーム理論
(ゲームの理論 から転送)
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ゲーム理論(ゲームりろん、英: game theory)とは、社会や自然における複数主体が関わる意思決定の問題や行動の相互依存的状況を数学的な数理モデルを用いて研究する学問である[2][3][† 1]。数学者ジョン・フォン・ノイマンと経済学者オスカー・モルゲンシュテルンの共著書『ゲームの理論と経済行動』(1944年)によって誕生した[† 2][† 3]。元来は主流派経済学(新古典派経済学)への批判を目的として生まれた理論であったが[22]、1980年代の「ゲーム理論による経済学の静かな革命」を経て、現代では経済学の中心的役割を担うようになった[23][24]。
注釈
- ^ アメリカ経済学会が出版する Journal of Economic Literature において採用されているJEL分類コードによれば、ゲーム理論は「交渉理論」(英: bargaining theory)と並んでC7に分類されている[4]。
- ^ 『ゲームの理論と経済行動』が出版された1944年にゲーム理論が誕生したとする見解 [5][6][7][8][9][10][11][12][13][14][15] が一般的である一方で、1928年にゲーム理論が誕生したとする見方もある[16][17]。1928年は、フォン・ノイマンが論文「社会的ゲームについて(独: "Zur Theorie der Gesellschaftsspiele")」を発表し、モルゲンシュテルンが著書『経済予見ー仮定とその可能性についての考察(独: Eine untersuchung ihre Voraussetzungen und Moglichkeiten)』を刊行した年である。例えば、酒井泰弘(滋賀大学名誉教授・経済学説史家)は、ゲーム理論が「1928年に、二人独自の研究によって誕生し、1944年出版の共著『ゲーム理論と経済行動』によって確立した[18]」としている。
- ^ ゲーム理論のルーツについては、フォン・ノイマンらに始まる協力ゲーム(提携とコアの理論)、ジョン・ナッシュに始まる協力ゲーム(交渉の理論)、ナッシュに始まる非協力ゲーム理論(均衡の理論)の3流派に分けて論じられることもあり、今日「ゲーム理論」と言えばナッシュの「非協力ゲーム」を指す場合がほとんどである[19]。しかし、数学者であるLuce & Tucker 1959はPrefaceでフォン・ノイマンをcreator of the Theory of Gamesと評しており、また、マイヤーソン(2007年ノーベル賞受賞者)はフォン・ノイマンらをゲーム理論の先駆者としている一方でナッシュを「中興の祖」として位置付けている[20]。このように、ナッシュがゲーム理論の創始者とされることは稀である[21]。
- ^ 「戦略的状況」はゲーム的状況(英: game situations)[6]や戦略的環境(英: strategic environment)[26]と呼ばれることもある。
- ^ 日本語圏へのゲーム理論の導入や普及に尽力した経済学者の一人として知られる鈴木光男は東北大学経済学部在学中の1952年1月に「ゲームの理論の構成とその経済学への応用」という卒業論文を提出しており、口頭試問の際に指導教官であった安井琢磨から「ゲームとは、一言でいえば何だ」と質問されて「相手がいるということです」と答えている[27]。
- ^ Oxford English Dictionaryによれば、game theoristという語彙は1950年代に誕生した[29]。
- ^ 岡田 1989, 表2.1を元に作成。
- ^ a b 協力ゲーム理論の基礎概念であるcoalitionは山田雄三によって「結託」という訳語が充てられたが、学生からの評判が悪かったため鈴木光男によって「提携」という訳語が充てられ、それが定訳となった[30]。なお、1人から成る提携もあり得るという理由から、当初は「提携」という訳語も批判された[31]。
- ^ ただしマルティン・オズボーンやアリエル・ルービンシュタインのように、一方の理論がもう一方の理論よりも「基礎的」であるという考え方に対して否定的な見解を示しているゲーム理論家も存在する[41]。
- ^ a b 利得関数の組 の代わりに選好関係の組 を用いて戦略形ゲームを定義する場合もある[46]。選好関係について合理性(英: rationality)などの適当な公理が仮定されるとき、その選好関係と等しい情報を持つ利得関数が存在するため、合理性などの標準的な仮定の下では利得関数と選好関係のどちらを用いて戦略形ゲームを定義しても本質的な違いはない[47]。
- ^ 戦略形ゲームは標準形ゲーム(英: games in normal form)とも呼ばれる。この「標準形ゲーム」という用語法はvon Neumann & Morgenstern 1944によるものとされている[49]。
- ^ このような双行列を利得行列、利得行列によって表すことの可能な2人戦略形有限ゲームを双行列ゲームと呼ぶ場合もある[54]。
- ^ 例えば、同時手番ならば各プレイヤーが自分の手番が回ってきたときに他のプレイヤーの選択を知らないと仮定すればよく、逐次手番ならばあるプレイヤーが他のプレイヤーの選択を知った上で自分の戦略を選択すると仮定すればよい[41]。
- ^ 「提携形ゲーム」はvon Neumann & Morgenstern 1944によって定義・命名されたものである[60]。
- ^ 展開形ゲームにおける「戦略」と「行動」の区別はクラウゼヴィッツ『戦争論』第2編第1章における「戦略」と「戦術」の区別に対応しており、それぞれの用語法は整合的である[86]。
- ^ なお、戦略の組に対してではなく帰結に対して利得関数が定義される場合もある。例えば寡占市場を分析する際、プレイヤーは企業、戦略は価格であるが、企業にとっての利得は価格ベクトルではなく利潤に対して定義されると解釈するのが自然である[88]。このようなケースでは、戦略の組から帰結への関数 を定義し、帰結の集合 C 上の実数値関数として利得関数が定義される[88]。
- ^ これらの用語はケン・ビンモアによって造られたものである[99][100]。
- ^ なお、ゲーム理論ではしばしば、n 人ゲームの戦略の組 の第 i 成分を除いた戦略の組 を s−i で表す[102]。これはプレイヤー i 以外の n − 1 人のプレイヤーの戦略の組を意味している。この記号法は、 といった具合に用いられる。本記事でも解概念を解説するにあたってこの記号法を用いている。
- ^ 適切な仮定の下では、被支配戦略逐次排除均衡が一意的に存在するゲームにおいてナッシュ均衡が被支配戦略逐次排除均衡と一致することが知られている[107]。
- ^ ゲーム理論研究においてこのような考え方は、均衡の精緻化(英: refinements)と呼ばれる[112]。
- ^ 動学ゲームを表現するための展開形ゲームにおいて、各手番から始まるプレイヤー間の駆け引きは元の大きなゲームの中の小さなゲームとして解釈することが可能であり、これをサブゲーム(英: subgame)と呼ぶ。すなわち、サブゲームとは(1)一つの分岐点から始まる、(2)その後の分岐点と枝を全て含む、(3)情報集合が外にはみ出していない、の条件を全て満たしている展開形の一部分である[113]。
- ^ 元の情報不完備ゲームとそのベイジアンゲームは本来異なるゲーム的状況を意味しているが、プレイヤーの戦略選択を分析する上では両者を同値なものとしてみなされるのが、ハルサニの理論である。この仮定はベイズ同値仮説と呼ばれる[125]。
- ^ ハルサニの理論ではこれに加えて各プレイヤーの主観的確率分布の族が適当な同時確率分布と整合的であることが仮定される[126]。これは、各プレイヤーの知らないタイプが偶然手番によって決定され、「情報を知らない」プレイヤーは偶然手番によってタイプが確定する以前の共有事前確率(英: common propor)に基づいて期待利得が計算されると考えられる[127]。
- ^ ベイジアン均衡、ベイズ均衡、ベイジアン・ナッシュ均衡、ハルサニ・ベイジアン均衡などと呼ばれることもある[128]。
- ^ 1960年代に当時のゲーム理論研究の拠点であったプリンストンに留学しており草創期の多くのゲーム理論家と交流があった鈴木光男によれば、実際に初期のゲーム理論家のほとんどがユダヤ人であったという[131]。
- ^ 公理論的アプローチについては公理論的アプローチの節を参照。
- ^ ある経済主体が完備的であるとは、彼が任意の二つの選択肢 x と y に対して、「 x よりも y が好き」、「 y よりも x が好き」、「 x も y も同程度に好き」のいずれかの判断を下されることを意味する[142]。
- ^ ある経済主体が推移的であるとは、彼が任意の三つの選択肢 x と y と z に対して、「 x が y と同程度以上に望ましく」かつ「 y が z と同程度以上に望ましい」とき必ず「 x が z と同程度以上に望ましい」ことを意味する[142]。
- ^ ただし選択肢が無限に存在する場合、完備性と推移性に加えて連続性(英: continuity)と単調性(英: monotonicity)が選好関係の公理として仮定される必要となる[143]。
- ^ 売り手と買い手が無数に存在する完全競争市場では各意思決定主体の市場への影響力が無視できるほど小さいため意思決定の戦略的な側面は問題にならなかったが、より現実的な不完全競争市場を考える際には意思決定者が市場を通じて他の主体に与える影響力が大きな役割を果たす[144]。
- ^ 新古典派のモデルには「一定とされる価格」を決定するルールが明示されていなかった。こうした新古典派モデルに対するひとつの解釈として「買い手と売り手が需要関数と供給関数を『競り人』に提出し、競り人が均衡価格を計算する」というものがある[145]。オークション理論は新古典派モデルが捨象した均衡価格決定のプロセスを研究するものであるが、このオークション理論はゲーム理論の応用分野として発展している[146]。
- ^ ラヴォア 2008の表1. 1を元に作成。ただし、表内の一部項目の名称については前掲書の解説において用いられているより厳密なものを用いている。
- ^ 前提条件(英: presuppositions)とはモデル化や定式化ができない各学派の必須要素であり、それらから導かれる仮説や理論よりも先行するものである。「前提条件」と呼ばれる概念の研究はアクセル・レイヨンフーヴッドによって1976年に提唱された枠組みである[149]。
- ^ a b c 「道具主義」に対置する概念としてのrealismは「現実主義」の他に「実在論」と訳されることもある[150]。
- ^ 具体的には、異端派経済学者は非線形性やストレンジ・アトラクタを基礎にしたカオス動学といったアプローチが用いている[157]。
- ^ これらの新古典派経済学の主張には「数々の非現実的な仮定の上に構築された信頼性の薄い主張」とか「パイの大きさが何パーセント変わるかという矮小な話よりもパイを公平に分配し社会的弱者を救済することこそが重要だ」といった批判があり、当時のミクロ経済学は「おもちゃの豆鉄砲」と揶揄されていた[163]。
- ^ 経済学説史家の川俣雅弘は1980年代にゲーム理論が急速に普及した理由として、経済学界全体の認識の変化を挙げている。すなわち、抽象的かつ一般的な序数主義的一般均衡理論に基づく研究からは経済学的に有益な命題を導出不可能であるという認識が広まり、1970年代から具体的な応用分野の専門誌が刊行されるとともに、Journal of Political Economy(1892年 -)、Quarterly Journal of Economics(1891年 -)、Review of Economic Studies(1933年 -)などの理論志向の強い一流誌においてもそういった編集方針の転換が起こっていた[173]。川俣 2016はそのような経済学界の潮流の中で、一般均衡理論が分析できない広範な問題を分析可能なゲーム理論が主流になっていったと主張している[174]。
- ^ 契約理論の基本モデルは展開形ゲームのサブゲーム完全均衡やベイズ完全均衡に対応するため、契約理論はゲーム理論の一分野とみなされることがある。しかし、契約理論はゲーム理論的な均衡概念を明示せずに価格理論的な条件付き最適化問題としてモデルを分析しており、さらに価格理論やゲーム理論がカバーしていない特有の概念や解法を有しているため、JEL分類コードのカテゴリーにおいても2005年6月からD86(Economics of Contracts)という独立した項目が設けられている[177]。
- ^ 例えば「不況時における財政出動がどれほどの景気浮上効果を持つか」というマクロ経済学の問題に対して実験を行うことは不可能であり、実際に財政出動をした場合としなかった場合を統計学的に比較することによって決着がつけられる。また、冷戦時代に並存した資本主義国と社会主義国の比較のような大規模な自然実験は可能な機会が稀である上に膨大な社会的コストが必要となる[185]。
- ^ 特に一回限りの「囚人のジレンマ」の実験研究は一般的な構造を有しているため、経済学者だけでなく心理学者、社会学者、政治学者、教育学者も行われており、その事例数は膨大な数にのぼる[188]。
- ^ 偶然手番に関して適切なベイズ的事前分布が仮定されている場合、限定合理的な個人は完全合理的な個人と理論的に同一視されることが証明されている[193]。
- ^ 例えばVan Dam et al. 1996は、オランダの砂丘に自生するある植物が虫除けのために分泌するアルカロイドという化学物質がさまざまな年齢の葉に対して最適に割り振られていることを明らかにしている[73]。
- ^ a b 米国における周波数オークションの成功に貢献したポール・ミルグロムは1995年にマーケットデザインに関するコンサルティング会社Market Design Inc.を設立しており、マーケットデザインという分野の名前もこの企業名に由来する[342]。
- ^ 研修医マッチングプログラムには、ゲーム理論家のロイド・シャープレーらが発明した「受け入れ留保アルゴリズム」が用いられる。このアルゴリズムによって配属先が決定される医学生は、日本では毎年8000人、米国では2万人以上にのぼる[197]。
- ^ このような日本の現状を打開することを目的として結成された研究者集団としてAMF(オークション・マーケットデザイン・フォーラム)がある[201][204]。AMFは松島斉(東京大学教授)、神取道宏(東京大学教授)、柳川範之(東京大学教授)、横尾真(九州大学教授)、小島武仁(スタンフォード大学助教授)らが発起人となり、2012年1月に結成され、現在では日本国内外の50人余りのゲーム理論家が賛同・参加している[205]。
- ^ 一般に、集合 X から X 自身への写像 f: X → X について x = f(x) を満たす x ∈ X を写像 f の不動点と呼び、特定の条件の下で不動点の存在を保証する定理を総称して不動点定理と呼ぶ[211]。したがって、最適反応関数が不動点定理の条件を満たすことは、均衡が存在することを意味する。
- ^ Waldegraveによるこの論考は、"Minimax solution of a 2-person, zero-sum game, reported in a letter from P. de Montmort to N. Bernouilli, transl. and with comments by H. W. Kuhn" という名が付けられ、1968年に出版された論文集[232]に掲載されている[233]。
- ^ クールノー・モデルとベルトラン・モデルの解は一般的にはそれぞれ異なるが、どちらも「ナッシュ均衡」として統一的に説明することが可能である[238]。
- ^ 「ツェルメロの定理」が「完全情報を持つゼロ和二人ゲームに純戦略で最適戦略が存在する」と要約される[239]。
- ^ 「ツェルメロの定理」は1953年に刊行されたクーンの展開形ゲームに関する論文「展開形ゲームと情報の問題」で初めて言及されて以来、ゼロ和2人ゲームの古典としてツェルメロの論文が引用され続けてきたが、実際にはツェルメロは「ツェルメロの定理」どころかそのような問題を扱ってすらいなかったことが明らかになっている[240]。ツェルメロ論文の原典はドイツ語で書かれており、後世の研究者が原典を読まずに引用していたのである[241]。
- ^ この論文においてフォン・ノイマンが用いた不動点定理は後に「角谷の不動点定理」[245]として一般化される[1]。
- ^ 書名を General Theory of Rational Behavior にする案もあったが、モルゲンシュテルンの最初の草稿のタイトルである『ゲームの理論と経済行動』が採用された、という逸話がある[257]。
- ^ ダニエル・ベルヌーイは1738年に「リスクの測定に関する新しい理論」というラテン語で書かれた論文を『ペテルブルク帝国科学アカデミー論文集』に寄稿したが、当時の自然科学者の多くは人間行動のモデル分析に関心を持っておらず、政治経済学者は数学分析に弱かったため、ベルヌーイの「サンクトペテルブルクのパラドックス」や期待効用のアイディアが注目されることはなかった[272]。このベルヌーイの論文は1934年にカール・メンガーがドイツの一流学術誌『国民経済雑誌』上で紹介したことにより注目されるようになった[273]。ベルヌーイの分析はフォン・ノイマンとモルゲンシュテルンの『ゲームの理論と経済行動』の中でようやく復権し[274]、その後ラテン語で書かれた「リスクの測定に関する新しい理論」の英語版は『エコノメトリカ』に掲載された[275]。
- ^ 以下に『ゲームの理論と経済行動』の第2版の目次を掲げる[277]。
『ゲームの理論と経済行動』(第2版)目次第1章 経済問題の定式化- 1. 経済学における数学的方法
- 1.1 序言
- 1.2 数学的方法の応用の困難さ
- 1.3 対象の必要な限界
- 1.4 結論としての注意
- 2. 合理的行動の性質上の議論
- 2.1 合理的行動の問題点
- 2.2 「ロビンソン・クルーソー」経済と社会的交換経済
- 2.3 変数の数と参加者の数
- 2.4 変数が多数の場合:自由競争
- 2.5 「ローザンヌ」学説
- 3. 効用の概念
- 3.1 選好と効用
- 3.2 測定の原則:前置き
- 3.3 確率と数量化された効用
- 3.4 測定の原則:詳論
- 3.5 数量化された効用の公理的扱いの概念的構造
- 3.6 公理とその解釈
- 3.7 公理に関する一般的な注意
- 3;8 限界効用の概念と役割
- 4. 理論の構築:解と行動基準
- 4.1 1人の参加者についての最も簡単な解の概念
- 4.2 すべての参加者への拡張
- 4.3 配分の集合としての解
- 4.4 「優越」または「支配」の非推移的な概念
- 4.5 解の正確な定義
- 4.6 「行動基準」からのわれわれの定義の解釈
- 4.7 ゲームと社会組織
- 4.8 結びにあたっての注意
第2章 戦略ゲームの一般的・本格的な記述- 5 導入部
- 5.1 経済学からゲームへの重点の移行
- 5.2 分類と方法の一般原理
- 6 ゲームの単純化された概念
- 6.1 専門的用語の説明
- 6.2 ゲームの要素
- 6.3 情報と既知性
- 6.4 既知性、推移性とシグナリング
- 7 ゲームの完全な概念
- 7.1 各手番の特徴の多様性
- 7.2 一般的な記述
- 8 集合と分割
- 8.1 ゲームの集合論的な記述の望ましさ
- 8.2 集合とその性質およびその図による説明
- 8.3 分割とその性質およびその図による説明
- 8.4 集合と分割の記号論理学的な説明
- 9 ゲームの集合論的な記述
- 9.1 ゲームを表す分割
- 9.2 分割とその性質の議論
- 10 公理論的な定式化
- 10.1 公理とその説明
- 10.2 公理の記号論理学的な議論
- 10.3 公理に関する一般的注意
- 10.4 図による表示
- 11 戦略とゲームの記述の最終的な簡単化
- 11.1 戦略の概念とその定式化
- 11.2 ゲームの記述の最終的な簡単化
- 11.3 簡単化されたゲームにおける戦略の役割
- 11.4 ゼロ和制限の意味
第3章 ゼロ和2人ゲーム:理論- 12 序論
- 12.1 一般的な視点
- 12.2 1人ゲーム
- 12.3 偶然と確率
- 12.4 次の目的
- 13 関数解析
- 13.1 基本的定義
- 13.2 最大、最小の演算
- 13.3 交換問題
- 13.4 混合した場合、鞍点
- 13.5 主要な事柄の証明
- 14 厳密に決定されたゲーム
- 14.1 問題の定式化
- 14.2 劣関数ゲームと優関数ゲーム
- 14.3 補助的なゲームの議論
- 14.4 結論
- 14.5 厳密な決定の分析
- 14.6 プレイヤーの取り替え、対称性
- 14.7 厳密には決定されないゲーム
- 14.8 厳密な決定のくわしい分析のプログラム
- 15 完全情報をもつゲーム
- 15.1 目的の記述、帰納法
- 15.2 正確な状態(第1のステップ)
- 15.3 正確な条件(完全な帰納法)
- 15.4 機能的ステップの正確な議論
- 15.5 機能的ステップの正確な議論(続き)
- 15.6 完全情報の場合の結果
- 15.7 チェスへの応用
- 15.8 代替的な言葉による議論
- 16 線形性と凸性
- 16.1 幾何学的な背景
- 16.2 ベクトル演算
- 16.3 支持超平面の定理
- 16.4 行列に関する代替的な定理
- 17 混合戦略、すべてのゲームの解
- 17.1 2つの基本例についての議論
- 17.2 この観点の一般か化
- 17.3 個々のプレイに適用された場合のこの方法の正当性
- 17.4 劣関数ゲームと優関数ゲーム(混合戦略に関して)
- 17.5 一般的な厳密な決定
- 17.6 主要定理の証明
- 17.7 純戦略と混合戦略による取り扱いの比較
- 17.8 一般的な厳密な決定の分析
- 17.9 良い戦略のさらに深い特性
- 17.10 失敗とその結果、不変最適性
- 17.11 プレイヤーの取り替え、対称性
第4章 ゼロ和2人ゲーム:例- 18 いくつかの基本的なゲーム
- 18.1 最も簡単なゲーム
- 18.2 これらのゲームの詳細な数量的な議論
- 18.3 性質上の特徴
- 18.4 いくつかの個々のゲームの議論(コイン合わせの一般形)
- 18.5 いくつかのやや複雑なゲーム議論
- 18.6 偶然と不完全情報
- 18.7 以上の結果の説明
- 19 ポーカーとハッタリ
- 19.1 ポーカーの説明
- 19.2 ハッタリ
- 19.3 ポーカーの説明(続き)
- 19.4 ルールの正確な定式化
- 19.5 戦略の説明
- 19.6 問題の記述
- 19.7 離散的問題から連続的問題への移行
- 19.8 解の数学的な決定
- 19.9 解のくわしい分析
- 19.10 解の説明
- 19.11 ポーカーの一般的な形
- 19.12 離散的な手札
- 19.13 m通りのビッドが可能な場合
- 19.14 代替的なビッド
- 19.15 すべての解が数学的な表現
- 19.16 解の解釈、結論
第5章 ゼロ和3人ゲーム- 20 予備的な解説
- 20.1 一般的な観点
- 20.2 提携
- 21 3人の単純多数決ゲーム
- 21.1 ゲームの記述
- 21.2 ゲームの分析:「協定」の必要性
- 21.3 ゲームの分析:提携、対称性の役割
- 22 さらに詳しい例
- 22.1 非対称的な分配、補償の必要性
- 22.2 強さの異なる提携、議論
- 22.3 不等式、公式
- 23 一般的な場合
- 23.1 徹底的な議論、非本質的ゲームと本質的ゲーム
- 23.2 完全な公式
- 24 反論についての議論
- 24.1 完全情報の場合とその意義
- 24.2 詳細な議論
第6章 一般理論の定式化:ゼロ和n人ゲーム- 25 特性関数
- 25.1 動機と定義
- 25.2 概念の議論
- 25.3 基本的な性質
- 25.4 直接的な数学的結果
- 26 与えられた特性関数をもつゲームの構築
- 26.1 構築
- 26.2 要約
- 27 戦略上同等、非本質的ゲームと本質的ゲーム
- 27.1 戦略上同等、節約形
- 27.2 不等式、数量γ
- 27.3 非本質性と本質性
- 27.4 種々の基準、非加法的効用
- 27.5 本質的な場合における不等式
- 27.6 特性関数についてのベクトル演算
- 28 群、対称性および公平
- 28.1 置換、その群とゲームに対する影響
- 28.2 対称性と公平
- 29 ゼロ和3人ゲームの再考
- 29.1 性質上の議論
- 29.2 数量的な議論
- 30 一般的な定義の正確な形
- 30.1 定義
- 30.2 議論と要約
- 30.3 飽和の概念
- 30.4 3つに直接的な目標
- 31 第1の結果
- 31.1 凸性、平坦性および支配に関するいくつかの基準
- 31.2 すべての配分の体系、1要素からなる解
- 31.3 戦略上同等に対応する同形
- 32 本質的ゼロ和3人ゲームのすべての解の決定
- 32.1 数学的問題の定式化、図による表現
- 32.2 すべての解の決定
- 33 結論
- 33.1 解の多様性、差別とその意味
- 33.2 静学と動学
第7章 ゼロ和4人ゲーム- 34 予備的な概論
- 34.1 一般的な観点
- 34.2 本質的ゼロ和4人ゲームの形式
- 34.3 プレイヤーの置換
- 35 立方体Qのいくつかの特別な点についての議論
- 35.1 頂点I(およびV、VI、VII)
- 35.2 頂点VIII(およびII、III、IV)、3人ゲームと「ダミー」
- 35.3 Qの内部に関してのいくつかの注意
- 36 主対角線に関する議論
- 36.1 頂点VIIIの近傍:発見的な議論
- 36.2 頂点VIIIの近傍:厳密な議論
- 36.3 対角線上の他の部分
- 37 中心とその周辺
- 37.1 中心の周囲の状況に関する最初の方向づけ
- 37.2 2つの代替案と対称性の役割
- 37.3 中心における最初の代替案
- 37.4 中心における第2の代替案
- 37.5 中心に2つの解の比較
- 37.6 中心における非対称的な解
- 38 中心の近傍の解と族
- 38.1 中心における最初の代替案に属する解の変形
- 38.2 厳密な議論
- 38.3 解の解釈
第8章 n≥5なる参加者の場合についてのいくつかの注意- 39 種々のクラスのゲームにおけるパラメーターの族
- 39.1 n=3, 4の場合
- 39.2 n≥3の場合のすべての状況
- 40 対称5人ゲーム
- 40.1 対称5人ゲームの定式化
- 40.2 2つの極端な場合
- 40.3 対称性5人ゲームと1, 2, 3-対称4人ゲームとの関連
第9章 ゲームの合成と分解- 41 合成と分解
- 41.1 すべての解が決定されうるn人ゲームの探求
- 41.2 第1のタイプ、合成と分類
- 41.3 厳密な定義
- 41.4 分解の分析
- 41.5 修正の望ましさ
- 42 理論と修正
- 42.1 ゼロ和条件の一部放棄
- 42.2 戦略上同等、定和ゲーム
- 42.3 新理論における特性関数
- 42.4 新理論における配分、支配、解
- 42.5 新理論における本質性、非本質性、分解可能性
- 43 分解分割
- 43.1 分離集合、成分
- 43.2 すべての分離集合の体系の特徴、分解分割
- 43.3 すべての分離集合の体系の特徴、分解分割
- 43.4 分解分割の性質
- 44 分解可能なゲーム、理論のより一層な拡張
- 44.1 (分解可能な)ゲームの解とその成分の解
- 44.2 配分および配分の集合の合成と分解
- 44.3 解の合成と分解、主要な可能性と推測
- 44.4 理論の拡張、外部的要因
- 44.5 超過量
- 44.6 超過量に対する制約、新しい構成におけるゲームの非孤立的配分
- 44.7 新しい装置E (e_0)、F (e_0)の議論
- 45 超過量の限界、拡張された理論の構造
- 45.1 超過量の下限
- 45.2 超過量の上限、孤立的配分および完全孤立的配分
- 45.3 2つの極限値Γ1、Γ2についての議論、その比率
- 45.4 孤立的配分と種々の解、E (e_0)、F (e_0)に関する定理
- 45.5 定理の証明
- 45.6 要約と結論
- 46 分解可能なゲームにおけるすべての解の決定
- 46.1 分解の基本的な性質
- 46.2 分解とその解との関連
- 46.3 続き1
- 46.4 続き2
- 46.5 F(e_0)における完全な結果
- 46.6 E(e_0)における完全な結果
- 46.7 結果の一部の図上
- 46.8 説明:正常な範囲、種々の性質の遺伝性
- 46.9 ダミー
- 46.10 ゲームの埋め込み
- 46.11 正常な範囲の重要性
- 46.12 譲渡現象の最初の発生:n=6の場合
- 47 新理論における本質的3人ゲーム
- 47.1 本議論の必要性
- 47.2 予備的考察
- 47.3 6つの場合の議論、ケースI-III
- 47.4 ケースIV:第1の部分
- 47.5 ケースIV:第2の部分
- 47.6 ケースV
- 47.7 ケースVI
- 47.8 結果の解釈:解における曲線(1次元の部分)
- 47.9 続き:解における領域(2次元の部分)
第10章 単純ゲーム- 48 勝利提携、敗北提携とこれらがおこるゲーム
- 48.1 41.1の第2のタイプ、提携による決定
- 48.2 勝利提携と敗北提携
- 49 単純ゲームの特徴づけ
- 49.1 勝利提携と敗北提携の一般的概念
- 49.2 1要素集合の特別な場合
- 49.3 実際のゲームにおけるW、Lの特徴づけ
- 49.4 単純性の厳密な定義
- 49.5 単純性のいくつかの基本的な性質
- 49.6 単純ゲームとそのW、L、最小勝利提携
- 49.7 単純ゲームの解
- 50 多数決ゲームとその主要な解
- 50.1 単純ゲームの例:多数決ゲーム
- 50.2 同質性
- 50.3 解を形成する際の配分の概念のより直接的な使用
- 50.4 直接的な接近方法の議論
- 50.5 一般理論との関連、厳密な定式化
- 50.6 結果の再定式化
- 50.7 結果の解釈
- 50.8 同質性多数決ゲームとの関連
- 51 あらゆる単純ゲームを数え上げる方法
- 51.1 予備的な注意
- 51.2 飽和性による方法:Wによる数え上げ
- 51.3 WからW^mへ移る理由:W^mを用いることの困難さ
- 51.4 接近方法の変更、W^mを用いることの困難さ
- 51.5 単純性と分解
- 51.6 非本質性、単純性と合成、超過量の扱い
- 51.7 W^mによる分解可能性の規準
- 52 小さなnに関する単純ゲーム
- 52.1 計画:n=1, 2は何の役割も果たさない、n=3の取り扱い
- 52.2 n≥4の場合の分析:2要素集合とそのW^mの分類における役割
- 52.3 Cの場合の分解可能性
- 52.4 [1,..., 1, l-2]の以外のダミーをもつ単純ゲーム
- 52.5 n=4, 5の処理
- 53 n≥6の場合の単純ゲームの新しい可能性
- 53.1 n<6の場合にみられた規則性
- 53.2 6つの主要な反例(n=6, 7の場合)
- 54 適当なゲームにおけるすべての解の決定
- 54.1 単純ゲームにおいて主要解以外の解を考える理由
- 54.2 すべての解が知られているゲームの列挙
- 54.3 単純ゲーム[1, ..., 1, n-2]を考える理由
- 55 単純ゲーム
- 55.1 予備的な注意
- 55.2 支配、主要プレイヤー、ケースIとII
- 55.3 ケースIの処理
- 55.4 ケースII:Vの決定
- 55.5 ケースII:Vの決定
- 55.6 ケースII:AとS
- 55.7 ケースII'とII"、ケースII'の処理
- 55.8 ケースII":AとV'、支配
- 55.9 ケースII":V'の決定
- 55.10 ケースII"の処理
- 55.11 完全な結果の定式化
- 55.12 結果の解釈
第11章 一般非ゼロ和ゲーム- 56 理論の拡張
- 56.1 問題の定式化
- 56.2 仮想プレイヤー、ゼロ和拡張Γ
- 56.3 Γの特質に関する問題
- 56.4 Γの使用の限界
- 56.5 2つの可能な方法
- 56.6 差別解
- 56.7 代替的な可能性
- 56.8 新しい構成
- 56.9 Γがゼロ和ゲームである場合の再考
- 56.10 支配の概念の分析
- 56.11 厳密な議論
- 56.12 解の新しい定義
- 57 特性関数と関連した問題
- 57.1 特性関数:拡張された形と制限された形
- 57.2 基本的性質
- 57.3 すべての特性関数の決定
- 57.4 プレイヤーの除去可能集合
- 57.5 戦略上同等、ゼロ和ゲームと定和ゲーム
- 58 特性関数の解釈
- 58.1 定義についての分析
- 58.2 利得を得る望み対損失に課す望み
- 58.3 議論
- 59 一般的な考察
- 59.1 これからの議論の進め方について
- 59.2 縮約形、不等式
- 59.3 種々の話題
- 60 n≤3なるあらゆる一般ゲームの解
- 60.1 n=1のケース
- 60.2 n=2のケース
- 60.3 n=3のケース
- 60.4 ゼロ和ゲームとの比較
- 61 n=1, 2の結果の経済学的解釈
- 61.1 n=1のケース
- 61.2 n=2のケース、2人市場
- 61.3 2人市場の議論とその特性関数
- 61.4 58の立場の正当性
- 61.5 分割可能性、「限界 ペア」
- 61.6 価格、議論
- 62 n=3の結果の経済学的解釈:特殊なケース
- 62.1 n=3のケース、3人市場
- 62.2 予備的な議論
- 62.3 解:第1のケース
- 62.4 解:一般形
- 62.5 結果の代数的な形
- 62.6 議論
- 63 n=3の結果の経済学的解釈:一般のケース
- 63.1 分割可能財
- 63.2 不等式の分析
- 63.3 予備的な議論
- 63.4 解
- 63.5 結果の代数的な形
- 63.6 議論
- 64 一般の市場
- 64.1 問題の定式化
- 64.2 いくつかの特別な性質、売り手独占と買い手独占
第12章 支配および解の概念の拡張- 65 拡張、特別な場合
- 65.1 問題の定式化
- 65.2 一般的な注意
- 65.3 順序、推移性、非循環性
- 65.4 解:対称的関係について、全循環性
- 65.5 解:半順序について
- 65.6 非循環性と狭義の非循環性
- 65.7 解:非循環的関係について
- 65.8 解の一意性、非循環性と狭義の非循環性
- 65.9 ゲームに対する応用:離散性と連続性
- 66 効用の概念の一般化
- 66.1 一般化、理論的取り扱いの2つの側面
- 66.2 第1の側面についての議論
- 66.3 第2の側面についての議論
- 66.4 2つの側面を統合する希望
- 67 例についての議論
- 67.1 例の記述
- 67.2 解とその解釈
- 67.3 一般化:異種の離散的効用尺度
- 67.4 交渉に関する結論
付録- A.1 問題の定式化
- A.2 公理からの誘導
- A.3 結びとしての注意
- 1. 経済学における数学的方法
- ^ この「しっぺ返し戦略」はゲーム理論家のラポポートによって考案・提出された。tit-for-tat strategyは「オウム返し戦略」と訳されることもある[319]。
- ^ 英国『ニューズウィーク』誌はビンモアらのことを「無慈悲でポーカー好きの経済学者が電気通信産業を破壊した」と書き立てたが、その後の研究によって、オークションを通じてより高い生産性を持つ企業が電気通信の免許を購入することに成功しており、結果として国民厚生が改善されたことが分かっている[345]。
- ^ 例えば、不確実性が大きな場合に前頭葉最下部の眼窩前頭皮質、扁桃体、前頭前皮質などの主に大脳辺縁系が活性化することが確認されている[350]。
- ^ なお、二階堂副包は1956年にアローやマッケンジーらとは独立に一般均衡の存在定理を証明している[356]。
- ^ なお、1979年に岩波文庫から出版されたジンメルの『社会学の根本問題』(1917年)の清水幾太郎訳では独: Gesellschaftsspieleが「社会的遊戯」と訳されている[364]。
- ^ 鈴木によって提出された「社会工学私見」は鈴木 2007に全文が掲載されている。鈴木は、(1)社会と科学技術との関連についての哲学的歴史的基礎に関する人文社会部門、(2)意思決定論や経営工学・経済工学などを含む社会組織工学部門、(3)都市計画や環境政策などを扱う社会工学部門、(4)統計学やコンピュータ科学を扱う情報工学部門を統括する社会工学部の設立を提案している[368]。
- ^ ただし、社会工学部の構想は実現せず、理学部に情報科学科、工学部に情報工学科、大学院にシステム科学専攻などが設立される形となった。鈴木はこのことについて、「多分時期が早すぎたのだろうと思います」と振り返っている[369]。
- ^ これら講座の内容は『人間社会のゲーム理論』として1970年に勁草書房より刊行されている。
- ^ ただし松島斉は金子によって東大にゲーム理論が持ち込まれたとする通説を否定している[372]。松島は1980年夏学期に小林孝雄教授の担当した「組織の経済学」という講義でゲーム理論が扱われており、それが東大にとって「今までにない画期的な内容」であったと先輩の神取道宏から聞いたと証言している。
- ^ ただし中村は鈴木の講義を履修しておらず、社会工学科に在学していた友人の林亜夫などから講義内容を聞いて、ゲーム理論に関心を持つようになった[373]。
- ^ 過去には京都大学(2004年、2006年、2008年、2015年)、一橋大学(2005年、2007年、2009年、2013年)、九州大学(2010年)、名古屋大学(2011年)、静岡大学(2012年)、東京工業大学(2014年)、東京大学(2016年)で開催された[397]。
- ^ 岡田が1994年から6年間京都大学経済学部において担当していた授業「経営数学」では1学期に最適化理論を、2学期にゲーム理論を扱っており、本書はゲーム理論パートの講義ノートを書籍化したものである[415]。2011年には同じく有斐閣より第2版が刊行されている[416]。
- ^ 1970年代の代表的文献として例えば、警察・消防・救急などの緊急支援システムに関するオペレーションズ・リサーチの研究を66編紹介しているChaiken & Larson 1972やシカゴの犯罪発生率の高い地域における地元警察の出動件数の調査を通じて都市型犯罪の発見率を高める街区内巡回経路決定をマルコフ決定問題として議論しているOlson & Wright 1975などがある。これらはB. O. クープマンによって創始された探索理論を基礎とする応用数学であった[434]。
- ^ 大まかな傾向としては、1980年代までは一般均衡理論を中心とした数理経済学者の受賞が全盛であったが、1990年代以降ではゲーム理論を始めとする学際的な新領域の開拓に貢献した経済学者の受賞が目立つようになっている[451]。
- ^ 受入保留方式は、発明者である2人の名前を冠してゲール=シャープレー・アルゴリズムとも呼ばれる。
- ^ 「結婚問題」だけでなく「大学入学許可問題」と呼ばれるマッチング市場のモデルにおいても選好がresponsivityの仮定を満たせばコアと安定マッチングが対応することがロスによって証明されている[478]。
- ^ 伊藤秀史の指摘によれば、この「契約理論」という呼称はエコノメトリック・ソサイエティの第5回世界大会(1985年)においてハートとホルムストロムが"The Theory of Contracts"というタイトルの招待講演を行ったのが最初の事例であり、それが影響で「契約理論」という呼称が広まったとされている[177]。
- ^ ただし実際には、ゲーム理論家の間では1990年代以降、不完全観測(英: imperfect monitoring)下の繰り返しゲームの研究が精力的に行われている[396]。東京大学教授の神取道宏は「完全観測下でのトリガー戦略」だけが繰り返しゲームであるかのような認識について、「残念な誤解」、「良くある誤解の一つ」と述べている[482]。
- ^ 引用文の和訳は以下の通りである。
繰り返しの状況に関する最近の理論モデルの予測では、各個人は最適な均衡を形成するような混合戦略を外部から強制されることなく選択する。しかし、そのような戦略が選択されるためにはかなりの情報がプレイヤーに必要であるが、そのような状況が現実に観察されることは稀である。 - ^ 鼎談の収録日は2015年6月15日[485]。引用部分に続いて岩井はアダム・スミスらが肯定的に論じた分業が「知識の分業」にまで拡大している現状に対して「情報の非対称性」や「専門家倫理」という観点から警鐘を鳴らしている[484]。
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「ゲームの理論」の例文・使い方・用例・文例
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