裁判員制度 対象事件

裁判員制度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 15:24 UTC 版)

対象事件

  1. 死刑又は無期の懲役・禁錮に当たる罪に関する事件(法2条1項1号)
  2. 法定合議事件(法律上合議体で裁判することが必要とされている重大事件)であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に関するもの(同項2号)

たとえば、外患誘致罪殺人罪強盗致死傷罪傷害致死罪現住建造物等放火罪強制性交等致傷罪危険運転致死罪保護責任者遺棄致死などが地方裁判所の受理する事件である[3](一覧[4][信頼性要検証]参照)。なお、裁判員制度は刑事裁判第一審(地裁が管轄)に対応するため、高裁が第一審の管轄である内乱罪は対象外となる。事件が控訴されても(控訴審)、裁判員は関与しない[5]

ただし、「裁判員や親族に対して危害が加えられるおそれ[6] があり、裁判員の関与が困難な事件」(裁判員法3条)については、対象事件から除外される。たとえば、被告と家族や関係者による報復が予期される暴力団関連事件など[注釈 4] が除外事件として想定されている。また、審判期間が著しく長期または公判期日が著しく多数で、裁判員の選任等が困難な事件についても、対象事件から除外される(同法3条の2)。

対象事件はいずれも必要的弁護事件である。最高裁判所によれば、2008年に日本全国の地方裁判所で受理した事件の概数9万3,566件のうち、裁判員制度が施行されていれば対象となり得た事件の数は2,324件で、割合は2.5%とされている[7]

なお、2018年10月3日現在、裁判員制度下での確定死刑囚は死刑執行施設を持つ拘置所札幌仙台東京名古屋大阪広島福岡)の中では札幌を除いたすべての拘置所に収容されている。札幌には札幌高裁および最高裁係属の死刑事件の被告人すら収容されていない。

制度施行前のモデルケースとされた事件

40年以上前に発生した指名手配犯がいる事件

公訴時効が停止している過去の対象事件が起訴された場合は裁判員裁判の対象となる。例として以下の事件の例がある。

ただし、これらのような公安事件は、前述の裁判員法3条の「裁判員や親族に対して危害が加えられるおそれがある」として対象から除外され、起訴されても裁判員裁判にならない場合もある。

制度施行直前に起訴された事件

世間から注目された事件の中には2009年5月21日の裁判員裁判施行の直前に起訴された事件もあるが、一部の事件は駆け込み起訴と批判された。

裁判員裁判における主な特筆事件

裁判員裁判で死刑判決が言い渡された事件

死刑判決が確定した事件・死刑囚
上級審で死刑判決が破棄された事件

注釈

  1. ^ 平成16年法律第63号。以下「法」という。
  2. ^ 一部立証責任が被告人に転換されている要件が満たされていると判断するためには無罪判決をするために合議体の過半数の賛成が必要で、裁判員と裁判官のそれぞれ1名は賛成しなければならない。
  3. ^ 法令解釈権を持つ裁判所の裁判例、判例はないが、判決において、その点についての判断が示される状況は想定しがたい。
  4. ^ 韓国人留学生射殺事件工藤会トップによる殺人事件(配下の組幹部の裁判の際に組員が裁判員に声掛けをする事件が起きていた)など
  5. ^ 裁判員が入社後6ヶ月以内の会社員である場合、有給休暇の取得は認められない場合が多い
  6. ^ なお、法務省も、従前から「裁判員制度は意に反する苦役に該当しない」との判断を示していた(平成16年5月11日・参議院法務委員会)。
  7. ^ 第159回国会 予算委員会 第19号(平成16年3月4日(木曜日))
    • 政府参考人 山崎潮(司法制度改革推進本部事務局長)
    裁判官の場合は、現職の間は、もしこの守秘義務違反を犯せば、程度にもよりますけれども、弾劾裁判所で法曹の資格を失うということにもなります。あるいは、分限裁判がございますので、これで免職になるというペナルティーがあるわけでございまして、これで担保をされているということになります。
    それから、ただいまの御質問の中には、退職後のことも言われているのかと思いますけれども、裁判官につきまして、こういうような専門的なトレーニングをしておりますので、その後につきましてもそういう行動はきちっと守れるということから、現在の体制ができているということでございます。
  8. ^ ただし、「職務上知り得た秘密」との文言(またはこれに準ずる文言)は、国家公務員法、弁護士法、司法書士法、行政書士法等各種資格について定める法律一般において用いられている表現であり、これらの法律につき不明確ゆえに罪刑法定主義に反すると考える学説はない。
  9. ^ 犯罪報道#裁判員制度と犯罪報道も参照。
  10. ^ 性犯罪においては、制度の対象となる容疑での起訴が減少を続けている。例えば強姦致死傷の起訴率は、2006年には69.7%であったものが、裁判員裁判の始まった2009年には50.4%、翌2010年には42.6%にまで低下した。いっぽう対象にならない強姦罪などの起訴率には、さほどの変動は見られない。内閣府男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会 「女性に対する暴力」を根絶するための課題と対策 〜性犯罪への対策の推進〜 参考資料 「資料10 強姦・強制わいせつに関する統計(PDF)」

出典

  1. ^ 司法制度改革審議会 第51回会議配付資料-「訴訟手続への新たな参加制度」骨子(案)
  2. ^ 司法制度改革審議会意見書(2001年6月12日)-国民的基盤の確立(国民の司法参加
  3. ^ [1] (PDF) 「罪名別に見た裁判員制度対象事件」(最高裁判所ホームページ内の裁判員制度解説文)
  4. ^ 法定刑一覧と裁判員裁判対象事件
  5. ^ 法務省公式ホームページ よろしく裁判員 裁判員制度の概要 6.裁判員制度早わかりPDF
  6. ^ 俗にいう「お礼参り」(逆恨み)のこと。特に暴力団黒社会マフィア、過激派、テロ組織、宗教団体など組織犯罪の場合、その危険性が高まる。米国においては証人、陪審員に対しては国家による保護が付く場合がある。「沈黙の掟」、証人保護プログラムを参照のこと。
  7. ^ 「裁判員制度の対象となる事件の数(平成20年)」(最高裁判所ホームページ内の裁判員制度解説文)
  8. ^ 鳥取の2人殺害の裁判員裁判 被告への求刑は無期懲役
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  14. ^ マル激トーク・オン・ディマンド 第398回(2008年11月15日)今あらためて問う、この裁判員制度で本当にいいのか ゲスト:西野喜一氏(新潟大学大学院教授)
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  18. ^ 『読売新聞』2007年3月30日付配信。なお、裁判員法100条により、裁判員としての職務の執行のため休暇を取得したこと等、裁判員であったことを理由とする解雇等の不利益取扱いは禁止される。
  19. ^ 西野 2007, pp. 167.
  20. ^ 西野 2007, pp. 167–168.
  21. ^ 法曹時報59巻12号98頁。
  22. ^ 「名簿記載通知について」(最高裁サイト) http://www.saibanin.courts.go.jp/notification/index.html
  23. ^ 鈴木宗男 『裁判員制度の問題点に関する再質問主意書』 平成二十年十月二十四日提出 質問第一六一号
  24. ^ 裁判員選任 会場業務を民間委託 情報漏えい罰則なし 『東京新聞』2011年1月18日
  25. ^ 西野 2007, pp. 179–180.
  26. ^ 西野 2007, pp. 161–162.
  27. ^ 裁判員女性、遺体写真見て体調不良 裁判後に退職、福岡 『朝日新聞』2010年5月7日
  28. ^ 裁判員の女性、公判中倒れる 血だまり写真にショック 朝日新聞 2012年7月19日
  29. ^ 時事ドットコム(2013/05/07) 「ストレス障害の元裁判員提訴=福島の女性、国賠請求-仙台地裁」
  30. ^ 裁判員裁判:遺体写真提示と事前説明 2人の辞退容認−−松山地裁 毎日新聞 2013年8月28日
  31. ^ 西野 2007, pp. 176–177.
  32. ^ 「顔は覚えとる」と声かけ、裁判員法違反で逮捕[リンク切れ] 読売新聞 2016年6月18日
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