狂言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/11 00:45 UTC 版)
舞台
能舞台が用いられる。登場人物は、原則として下手の「鏡の間(画像A-1)」から現れて以降は、終劇まで鏡の間へ入ることはない。その場面上にいないことを表現する際は、「後見座(画像A-10)」「狂言座(画像A-11)」「笛座前(画像B-3)」のいずれかで、演者は静かに座り込む。逆に、その場に登場している態の演者は、「常座(画像B-1)」「脇座前(画像B-9)」「角(画像B-7)」を結ぶ三角形の中のみで演技を行う[4]。
登場人物(役柄)
狂言で主役を務める者は、能と同様にシテ(仕手)というが、その相手役を務める者は能のワキ(脇)とは異なり、アド(挨答)という。大藏流(※流派のひとつ。流派については後述)ではアドが集団で登場する立衆物(たちしゅうもの)などの場合、統率する一番目のアド(立頭)をオモと呼ぶ。また、和泉流(※流派のひとつ)では、アドに準ずる役柄を小アドなどと称する。実際の台本では後述の役名で表記されることの方が多い。
役名は役割を示す一般名詞であることが多く、固有の役名は少ない。「大名(名主の意)」「果報者(成功者の意)」「太郎冠者・次郎冠者・三郎冠者」「出家(僧侶の意)」「山伏」「素破(すっぱ、詐欺師の意)」「鬼」「聟(むこ、大名などの娘婿)」「商人」など、十数種類に限られる。また、どの役柄がシテとなるかが、そのまま後述の演目分類になっている[2]。
出立(装束)
演者は男役の場合は裃を着用し、役柄によって袴の長さや冠・脚絆の有無を変える。女役の場合は頭に長い白い布を巻いて小袖をまとった「女出立(おんないでたち)」と呼ばれる扮装を着用する。基本的には素顔で演じられ、表情の演技も行うが、演目によっては狂言面を用いる場合もある[5]。
狂言の種類(分類)
狂言方の役割
- 本狂言(ほんきょうげん)
- 通常、狂言という場合はこれをさす。一曲として独立して演じられるもの。
- 間狂言(あいきょうげん)
- 単に「アイ」とも。能の一場面(前シテと後シテの前後間をつなぐ場面など)に出演する狂言方の役および演技の呼称。歌舞伎など他の演芸作品の間(アイ)で演じる場合にこの語を用いることもある。
- 別狂言(べつきょうげん)
本狂言の種類
狂言の演目は「曲目」と称する場合がある[2]。『大藏流狂言名寄』では、シテの主役別に曲目を以下のように分類している[2][6]。なお、時代や流派によって分類は変化する。
- 脇狂言(わききょうげん)
- 大名狂言(だいみょうきょうげん)
- 小名狂言(しょうみょうきょうげん)
- 聟・女狂言(むこ・おんなきょうげん)
- 聟がシテを務めるものおよび、女性が登場するもの。「八幡前」「鶏聟(雞聟)」「船渡聟」「二人袴」「吹取」「釣針」「水掛聟」「右近左近(※和泉流では内沙汰)」「鎌腹」「箕被」「貰聟」「伯母ヶ酒」「千切木」「比丘貞」「花子」など。
- 鬼・山伏狂言(おに・やまぶしきょうげん)
- 出家・座頭狂言(しゅっけ・ざとうきょうげん)
- 集狂言(あつめきょうげん)
狂言と同じ種類の言葉
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