風刺とは? わかりやすく解説

諷刺


ふう‐し【風刺/×諷刺】

読み方:ふうし

[名](スル)社会人物の欠点罪悪遠回しに批判すること。また、その批判嘲笑的表現すること。「—のきいた小説」「時代を—する」


プロコフィエフ:風刺(サルカズム)

英語表記/番号出版情報
プロコフィエフ:風刺(サルカズム)Sarcasms Op.17作曲年: 1912-14年  出版年1916年  初版出版地/出版社: Jurgenson 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 嵐のように op.17-1 "Tempestoso"2分30秒 No Image
2 間のびしたアレグロ op.17-2 "Allegro rubato"1分30秒 No Image
3 せき立てるアレグロ op.17-3 "Allegro precipitato"2分00 No Image
4 狂気たように op.17-4 "Smanioso"3分30秒 No Image
5 激しくせき立てるように op.17-5 "Precipitosissimo"2分30秒 No Image

ゴットシャルク(ゴッツチョーク、ゴッチョーク):風刺

英語表記/番号出版情報
ゴットシャルク(ゴッツチョーク、ゴッチョーク):風刺Pasquinade Op.59作曲年1863年 

風刺

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/22 07:58 UTC 版)

ジョージ・クルックシャンク画、ロシア遠征に失敗したナポレオンを風刺した漫画。ロウソク立てに据えられて、コサック兵に芯切りバサミで首を切られそうになっている。題名は『Snuffing out Boney!(墓に行け!)』

風刺(ふうし、: satire, : satire)とは、社会や人物の欠点や罪悪を遠回しに批判すること[1]。尚、風刺諷刺の代用表記である[2]

概説

風刺とは、何らかの実在の対象(たとえば具体的な人物、組織国家など)の欠点や愚かしさを暴きだす表現手法である。文章、絵画、映像 等で使われる。

現実を攻撃対象としているということは、風刺は憤り(怒り)に発する(根本動機になっている)ということであり、その点で、冷静な皮肉モラリスト風の描写、(パロディーなどの)戯作文学などとは一線を画している(つまり、異なっている)[3][注 1][注 2] [注 3][注 4]

だが、憤り(怒り)の直接的な表現である 《呪い》や《悪口》や《抗議》などは風刺とは言えない[3]。風刺であるためには、批判対象に対して距離をとり、自分の憤りを抑制して表現する必要がある[3]この独特な態度(つまり、怒りが表現を行う根本動機となっているが、その怒りを抑制しつつ表現する、という態度)こそが風刺の本質である[3]。そしてその表現方法は、対象の誇張的変形を伴い、機知を示すことが多い[3]

歴史

西欧の文学における風刺は、紀元前5世紀より、基本的に戯曲の形式による社会論評の形式として受け入れられた。古代ギリシアの劇作家アリストパネス(紀元前446年頃 - 紀元前385年頃)は、もっとも知られた風刺作家の一人である。

しばしば「風刺詩の始祖」とされるのは紀元前2世紀古代ローマの詩人ガイウス・ルキリウスである[3]

古典期の著名な風刺作家たちは、古代ローマ帝国(の早期)に活躍しており、具体的にはホラティウスペルシウス英語版ユウェナリスがいる[3]。ホラティウスは、ルキリウスの風刺詩をふまえつつ「上品で 打ち解けた表現」を風刺詩に与えた[3]。ペルシウスは難解な表現を用いた[3]。ウウェナリスは情熱的で激しい表現を見せた[3]。彼らは、後世の作品に大きな影響を与えることになった。特にユウェナリスは近世において「風刺詩の模範」とされた[3]

[いつ?]ケルト人の社会においては、吟遊詩人の風刺は(呪いと同様に)物理的な効果をもたらし得る、と考えられていた[要出典]

中世初期には、風刺作品の例は僅かにしか見られない。12世紀における中世中期の到来と近世口語文学の誕生により、風刺文学は復権を成し遂げた。しかしながら、この時代の風刺作品では公の人物に対する直接の風刺は稀であり、風刺は専ら寓話的な用法に用いられていた。文学作品の登場人物は時おり風刺の題材として取り上げられたが、実在の人物や制度が取り上げられることは滅多に無かった。

風刺によるこれより直接的な社会論評は16世紀に再び始まり、フランソワ・ラブレーの作品のような茶番劇(ファース)がより真剣な問題に取り組み、結果として王権の怒りを買うこととなった。しかし、最も偉大な風刺作家達は、合理主義を掲げた17世紀および18世紀の思想運動である啓蒙時代と共に現れた。この時、団体や個人に対する狡猾にして辛辣な風刺化は、民衆の武器となった。ガリヴァー旅行記でイギリス社会を痛烈に批判したジョナサン・スウィフトなどが代表例である。

19世紀の小説家マーク・トゥエインは、風刺新聞から長編小説に及ぶ様々な形式の風刺作品を発表した、最も有名なアメリカの風刺作家である。また同じ19世紀、ロシアにおいてはイヴァン・クルィロフの『寓話』が当時のロシア貴族社会を痛烈に風刺した。

20世紀において、風刺はオルダス・ハクスリージョージ・オーウェルなどの作家により、ヨーロッパを席捲する社会変動の危険性に対する、真剣かつ恐るべき論評に用いられた。よりユーモラスな風刺は、ピーター・クック(コメディアン)英語版アラン・ベネットジョナサン・ミラー英語版デヴィッド・フロストエレノア・ブロン英語版ダドリー・ムーアといった有名人らや、テレビ番組『That Was The Week That Was』によってリードされた風刺ブームにより、1960年代初めのイギリスで復興期を迎えた。今日でも風刺は社会的な論評と表現の形式として人気を保ち続けているが、風刺は常にユーモラスな物でなければならないという認識が広まりつつある(必ずしも風刺はユーモラスな物とは限らない)。

ポップ・カルチャーおよび公共メディアにおける風刺

いくつかの風刺作品での誇張表現は、大勢の人々に信じ込まれてしまう程に巧妙である。これらの作品における風刺の性質は、公には理解されないのかもしれない。その結果として、風刺作品の作家や制作者が激しい非難に晒された実例も存在する。2001年にイギリスのテレビ放送局チャンネル4は、児童性的虐待小児性愛問題に翻弄される現代ジャーナリズムを揶揄し風刺する意図の、パロディ時事問題シリーズ『Brass Eye』の特別番組を放映した。ユーモアの主題にするには「重大すぎる」と多くの人間から考えられている問題を、この番組が揶揄したことに激怒した視聴者から、放送局へ莫大な数の苦情が寄せられた。架空の馬鹿げたハードロック・バンドのドキュメンタリーであるパロディ映画『This is Spinal Tap』は、何人かの批評家からノンフィクションと間違えられた。

時おり、政治的あるいは社会的な指摘に用いられる事により、風刺は社会に変化をもたらしえる。例を挙げれば、漫画ドゥーンズベリー』が、州内でマイノリティに身分証の所持を義務付ける人種差別法を施行していたフロリダ州を風刺したすぐ後に撤廃され、改正法がドゥーンズベリー法という愛称で呼ばれるに至った。

2000年のカナダ国政選挙戦においては、カナダ同盟(旧改革党)による、十分な量の請願書がある場合には住民投票を義務付けるというシステムの提案が、「この1時間は22分(This Hour Has 22 Minutes)」という番組内で諷刺されたことで不評を買い、やがて撤回されてしまった。

風刺はコメディにおいて、頻繁に使用されつつあるように見える。多くの現代コメディ番組がある程度の風刺を用いており、コメディアニメも同様である。これらには『ザ・シンプソンズ』『ファーザー・オブ・ザ・プライド』『ファミリー・ガイ』『フューチュラマ』、更にオスカー賞を受賞した『ウォレスとグルミット/ペンギンに気をつけろ!』その他が含まれる。これらの作品はいずれも違ったタイプのコメディであるが、どれもある程度の風刺の上に成り立っている。その風刺の範囲は、『ザ・シンプソンズ』の社会時評から、『ファーザー・オブ・ザ・プライド』のジークフリード&ロイの人造ジャングルでの動物たちの生活にまで及ぶ。


著名な風刺作品の例

脚注

注釈

  1. ^ 風刺はパロディとは異なる。風刺は書き手の根本動機が憤りだ、という点で異なる。風刺のなかのいくつかのタイプのひとつ、「笑いで包んだ風刺」が、鑑賞する側から見てどのように感じられるか、鑑賞するにつれてどのように印象が変化してゆくか解説すると、風刺は、一見した段階(第一印象)ではユーモアに包まれているが、それは一種の偽装であり、鑑賞者が表に表れている《笑える要素》をじっくりとかみしめているうちに、いつのまにか、その下から「何らかの実在の対象に対する 本物の怒り」が現れてくるのであり、(第一印象とは裏腹に)、次第に いわゆる《笑えない要素》が根底に横たわっていることが感じられるようになるわけである。
  2. ^ またパロディ滑稽な効果をもたらすために、誇張された方法で他の芸術作品を模倣するユーモアの一形式である。それゆえにパロディは何らかの模倣による表現である。それに対して、風刺は必ずしも模倣ではない。
  3. ^ 「風刺」はしばしば対象を嘲笑的に(つまり、批判でありながら、笑いを誘うように)表現する。だが風刺にとって、笑いを誘うことは必須ではない。 風刺は(怒りを抑制している、というのが本質で)必ずしもユーモラスである必要はなく、事実、多くの風刺作品は悲劇に含まれる。(風刺はしばしば笑いを誘う表現を伴うが、実は風刺にとっては、ユーモアは(怒りを抑制しつつ表現するための、いくつかある手段のひとつであり)、あくまで二次的である。他方、全てのパロディは必然的にユーモラスな調子を帯びている。そこも異なっているのである。
  4. ^ なお、風刺を導入するバーレスクの形式は、2つの異なるカテゴリーへ分類できる。自然からそのままに採用された主題を高尚な形式で扱う「ハイ・バーレスク」と、叙事詩や詩の様式で伝統的に扱われる主題を採用し、それを貶める「ロウ・バーレスク」である。

出典

  1. ^ デジタル大辞泉「風刺」
  2. ^ 文心雕龍・書記』より「刺者達也 詩人諷刺」
  3. ^ a b c d e f g h i j k 小学館『日本大百科全書』「風刺」

関連項目



風刺

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 23:59 UTC 版)

クックロビン」の記事における「風刺」の解説

イギリスではよく知られた唄のため、替え唄にして風刺に用いられる場合がある。以下は、25歳夭逝ようせい)した詩人ジョン・キーツ死後酷評した批評誌に対しG・G・バイロンキーツ擁護するために詠(うた)ったものである。 Who kill'd John Keats?"I" says the Quarterly,So savage and Tartarly,"'Twas one of my feats." 誰がジョン・キーツ殺したか「それは俺さ」とうそぶく野蛮千万クォータリー』誌「俺のお手並み 思い知れ

※この「風刺」の解説は、「クックロビン」の解説の一部です。
「風刺」を含む「クックロビン」の記事については、「クックロビン」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「風刺」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

風刺

出典:『Wiktionary』 (2021/08/14 05:40 UTC 版)

別表記

名詞

 (ふうし)

  1. 人物社会欠点直接批判せずに嘲笑的に表現すること。
上以風化下、下以風刺上(かみ以てしも風化し、下は以て上を風刺す)『詩経

発音(?)

ふ↗ーし

動詞

活用

サ行変格活用
風刺-する

「風刺」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



品詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「風刺」の関連用語

風刺のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



風刺のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
実用日本語表現辞典実用日本語表現辞典
Copyright © 2025実用日本語表現辞典 All Rights Reserved.
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
社団法人全日本ピアノ指導者協会社団法人全日本ピアノ指導者協会
Copyright 1996-2025 PianoTeachers' National Association of Japan
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの風刺 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのクックロビン (改訂履歴)、悪の組織 (改訂履歴)、ジャック・オッフェンバック (改訂履歴)、ガリヴァー旅行記における日本 (改訂履歴)、インターネットカフェ実験事件 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryの風刺 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS