上とは?

え〔へ〕【上】

⇒へ(上)


じょう〔ジヤウ〕【上】

【一】[名]

質の程度価値等級序列などが高いこと。標準よりすぐれていること。また、その記号にも使う。「中の上の生活」「握りずしの上をたのむ」⇔下。

本を2冊または3冊に分けたときの、第1冊。上巻。「上の巻」⇔下。

上声(じょうしょう)」に同じ。

進物などの包み紙に書く語。「奉る」「差し上げます」の意。

【二】接尾名詞に付いて、…に関して、…の面で、…の上で、などの意を表す。「一身上の都合」「経済上の理由」「行きがかり上そうせざるを得なかった」


かん【上】

《「かみ」の音変化。「かむ」とも表記する》「かみ(上)」に同じ。

「—つ宮」〈用明紀〉


じょう【上】

[音]ジョウジャウ)(呉) ショウシャウ)(漢) [訓]うえ うわ かみ あげる あがる のぼる のぼせる のぼす

学習漢字1年

[一]ジョウ

位置がうえ。高いほう。「上空上体上段屋上海上机上頭上地上頂上天上路上

時間・順序先のほう。「上刻上述上旬上代上編如上同上

価値程度がうえ。すぐれている。「上位上策上質・上手(じょうず)・上等・上品/極上最上至上

地位身分が高い。上の人。「上意上官上司上覧主上長上・下剋上(げこくじょう)」

ある場所の範囲漠然とさす語。「史上紙上身上世上席上途上

ある事柄取り出し範囲限定する語。「規則上・教育上・都合上」

上のほう、高いほうへ移動する。あがる。のぼる。「上昇上陸炎上逆上・向上・参上浮上北上

上の人機関申し出るたてまつる差し出す。「上告上書上訴上納運上啓上献上進上奏上返上

中央の地に出る。「上京上洛

10 おおやけの場に出す。のぼす。のせる。「上映上演上場上程

11 漢字音四声の一。「上声(じょうしょう)」

12 上野(こうずけ)国。「上越上州

[二]ショウ〉うえ。「上下(しょうか)・上人(しょうにん)/身上

[三]〈うえ〉「上様上下(うえした)/坂上父上年上真上

[四]〈うわ〉「上役上調子

[五]〈かみ〉「上下(かみしも)・上半期風上川上

名のり]うら・え・すすむ・たか・たかし・ひさ・ほず・まさ

難読]上手(うま)い・上総(かずさ)・上野(こうずけ)・逆上(のぼ)せる・上枝(ほつえ)


うえ〔うへ〕【上】

【一】[名]

位置関係で、基準とするものより高い方、高い所をいう。

立体的見て、高い所。高い場所。「一段上に上る」⇔下(した)。

㋑紙などの平面で、縦の方向自分より遠く離れている所。「横線より上にある点」⇔下(した)。

室内座敷。「上におあがり

順序から見て連続する先の部分。「上に述べた事柄は…」

音の高い部分。「上の音が出ない」⇔下(した)。

物の表面。「の上を滑る」

外側。「上着の上コートを着る」⇔下(した)。

程度地位年齢能力数量などが勝っていること。また、その人。「成績が僕より上だ」「二歳上の人」「上からの指示」「上の学校に進む」⇔下(した)。

ある物事に関すること。「仕事の上苦労が多い」「酒の上失敗」「帳簿の上では黒字だ」

ある事柄と他の事柄とを関係させていう時に用いる。

㋐…に加えて。「ねだんが安い上に、品質優れている

㋑…したのち。…した結果。「相談した上で返事する」「知的探検家努力の上現代科学は築かれている

㋒…するため。「勉学続けて行く上に必要な学費

㋓(「うえは」の形で)…からには。「かくなる上はやむをえない

高い地位占めている場所、または人々

高貴な人、特に主上御座所に近い所。禁中殿上(てんじょう)の間。

「—にさぶらふをのこども歌奉れ仰せられける時に」〈古今秋上詞書

主上天皇後世では将軍大名をもさす。

「—も聞こしめし、めでさせ給ふ」〈二三

貴婦人。特に奥方

離れ給ひし元の—は」〈竹取〉

付近。ほとり。

「石(いは)走る垂水(たるみ)の—のさわらび萌え出づ春になりにけるかも」〈万・一一八

【二】接尾

名詞に付いて、自分または相手目上近親者対す尊敬の意を表す。現代では、手紙あらたまった場合などに用いる。「父上様」「姉上

貴人の妻の呼び名に付いて、尊敬の意を表す。

紫の—にも御消息ことにあり」〈源・若菜上

目上の人を表す語に付いて、尊敬の意を表す。

故院の—の、今際(いまは)のきざみにあまたの御遺言ありし中に」〈源・若菜上

[下接語] 兄上姉上雲の上・此(こ)の上坂上・其(そ)の上父上年上母上真上身の上目上床上


かみ【上】

ひと続きものの初めまた、いくつか区分したもの初め

㋐川の上流。また、その流域川上。「上へ船で上る」「川沿いを上に一キロほど行く」⇔下(しも)。

時間的初め考えられるほう。昔。いにしえ。「上は奈良時代から下(しも)は今日まで」⇔下(しも)。

㋒ある期間を二つ分け場合の前のほう。「上の半期」⇔下(しも)。

㋓月の上旬。「寄席の上席を聴きに行く」

物事初め部分。前の部分。「上に申したごとく」「上二桁(けた)の数字」「上の巻」⇔下(しも)。

和歌前半の3句。「上の句」⇔下(しも)。

位置の高い所。

上方位置する所。上部。「山の上にある」⇔下(しも)。

几帳(きちゃう)の—よりさしのぞかせ給へり」〈紫式部日記

㋑からだの腰から上の部分。「上半身」⇔下(しも)。

上位座席上座上席。「主賓が上に座る」⇔下(しも)。

台所などに対して客間座敷奥向きをさす語。⇔下(しも)。

舞台の、客席から見て右のほう。上手(かみて)。「主役が上から登場する」⇔下(しも)。

地位身分の高い人。

天皇敬称陛下。「上御一人

高位上位にある人。「上は皇帝から下(しも)は庶民に至るまで」⇔下(しも)。

朝廷政府官庁などの機関また、為政者。「お上からのお達し」→御上(おかみ)

他人の妻、また、料理屋女主人などを軽い敬意を含んでいう語。「隣家お上さん」「料亭お上」→御上(おかみ)

皇居のある地。

㋐都。京都また、その周辺。「上へのぼる」「上方(かみがた)」

京都で、御所のある北の方角・地域。転じて一般に、北の方の意で地名などに用いる。「河原町通りを上へ向かう」「上京(かみぎょう)」「上井草(かみいぐさ)」⇔下(しも)。

㋒他の地域で、より京都に近いほう。昔の国名などで、ある国を二分したとき、都から見て近いほう。「上諏訪(かみすわ)」「上つけ(=上野(こうずけ))」⇔下(しも)。

格や価値優れているほう。

人丸赤人が—に立たむこと難(かた)く」〈古今仮名序

年長の人。

七つより—のは、みな殿上せさせ給ふ」〈源・若菜下

主人。かしら。

「—へ申しませう」〈狂言記角水


しょう【上】

⇒じょう


うわ〔うは〕【上】

語素名詞動詞の上に付いて複合語作り位置価値程度などが他のものより「上(うえ)」の意を表す。「上唇」「上皮」「上向く」「上値」「上役」「上回る」「上っ面(つら)」


へ【上】

上。表面

「いかにあらむ日の時にかも声知らむ人の膝の—我がかむ」〈万・八一〇〉


かり【甲/上】

動詞「か(上)る」の連用形から》邦楽で、音の高さ上げること。特に、尺八でいう。かん。⇔乙(めり)。


うえ うへ 【上】

1 〔名〕

[一] 空間的に高い位置また、階級地位身分の高い状態や程度数量などの多い状態。

高い場所位置。高い方。⇔下。

(イ) ものの最も高い部分

書紀720継体七年九月歌謡御諸(みもろ)が紆陪(ウヘ)に 登り立ち」

(ロ) あるものを基準として、それより高い所。また、見あげるように高い所。上方

万葉(8C後)一四・三五二二「昨夜(きそ)こそは児ろとさ寝しか宇倍(ウヘ)ゆ鳴き行くたづのま遠く思ほゆ

(ハ) 建物などで、高いほうの階。

*春迺屋漫筆(1891)〈坪内逍遙〉壱円紙幣履歴ばなし「御主人階上(ウヘ)ですか階下(した)か」

(ニ) 座敷

大鏡(12C前)六「あはれがらせ給て、うへにめしあげて」

貴い人のいる所。

(イ) 天皇上皇御座所また、その付近禁中殿上の間

古今(905‐914)秋上・一七七詞書「うへにさぶらふをのこども歌たてまつれ

(ロ) 身分の高い人の部屋

源氏100114頃)空蝉「おもとは、今宵はうへにやさぶらひ給ひつる」

身分の高い人。

(イ) 天皇上皇

宇津保(970‐999頃)俊蔭「うへも春宮も〈略〉うつくしみ給ふ

(ロ) 将軍公方(くぼう)、殿様など、支配者をいう。

太平記14C後)一〇「上(ウヘ)の御存命の間に〈略〉思ふ程の合戦して」

今堀日吉神社文書永祿元年(1558)一〇月二八日・保商人惣分陳状案「上儀をさへ不承引、被退治津にて候

(ハ) 女あるじ。後の、北の方

*竹取(9C末‐10C初)「これを聞て離れ給ひしもとの上は腹をきりて笑ひ給ふ

比較してよりすぐれた身分地位程度など。

十訓抄(1252)一「斉信卿上臈にて公任卿の上に居られたりけるに」

評判記野郎虫(1660)浅木之介「人はただ心を、おむくにもちたる、うへはなきに」

(5) 比較して、数量年齢などの点でより多いこと。

滑稽本浮世風呂(1809‐13)二「『いくつだとおもひなさる』『されば、おれよりは上(ウヘ)だらうよのう』」

人情本・英対暖語(1838)初「往来(いきけへり)ぢゃア一里の上あらアナ

(6) 低音に対して高音

申楽談儀(1430)音曲の位の事「うへより言ひて落す也」

[二] 物事表面また、表面現われる状態や表面をおおうもの

物の外面。おもて。

書紀720継体七年九月歌謡磐余(いはれ)の池の 水下(みなした)ふ も 紆陪(ウヘ)に出て嘆く」

蜻蛉(974頃)中「うへに、『忌みなどはてなんに御覧ぜさすべし』と書きて」

表面態度行動。うわべ。

書紀720継体七年九月歌謡誰やし人も 紆陪(ウヘ)に出て嘆く」

平家13C前)四「うへには平家に御同心、したには〈略〉入道相国謀反(むほん)の心をもやはらげ給へとの御祈念のため」

上着表衣

万葉(8C後)一二二八五一「人の見る表(うへ)は結びて人の見ぬ下紐(したびも)あけて恋ふる日そ多き」

④ おおい。屋根牛車屋形車蓋

(10C終)九九「この土御門しも、かう上もなくしそめけんと」

[三] あるものの付近辺り。ほとり。

万葉(8C後)一・五〇「あらたへの 藤原宇倍(ウヘ)に 食(を)す国をめしたまはむと」

[四] (形式名詞として用いられる)

① (前の語句に示された)ある人や物事に関する消息事情経緯など。また、物事をある面から特に取りあげて問題とする場合にいう。

万葉(8C後)二〇・四四七四群鳥(むらとり)の朝立ち去(い)にし君が宇倍(ウヘ)はさやかに聞き思ひしごとく」

源氏100114頃)若紫西国(にしくに)のおもしろき浦うら磯のうへをいひ続くるもありて」

② 他の物事に更に加わる状態を示す。

(イ) (多く、「上に」の形で) さらに加わるさまそのほか。…に加えて。

万葉(8C後)一九・四二七八「あしひきの山下ひかげかづらける宇倍(ウヘ)にや更にをしのはむ」

(ロ) (物事の終わった)のち。…した結果。…して、そして。

天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事「ウソアマイ モノヲ クラウタ vyenareba(ウエナレバ)」

浄瑠璃仮名手本忠臣蔵(1748)七「醒ての上御分別」

(ハ) …した結果踏まえてその事柄を条件として。

新浦島(1895)〈幸田露伴〉九「和尚に此訳ことわり申し立会の上を検(あらた)むるに」

(ニ) (「上は」の形で) ある物事が起こってしまった以上。…からには

*金刀比羅本保元(1220頃か)中「天の授け給へる上(ウヘ)は、ただ一矢に射おとしてすてん」

貴婦人称号添え用いる。

源氏100114頃)紫のうへも姫君の御あつらへにことつけて」

2接尾目上の人の呼び名につけて敬意表わす

(イ) 女あるじ呼び名に付けて用いる。「母上」「尼上」「姉上

源氏100114頃)若紫「尼うへにはもてはなれたりし御けしきのつつましさにおもひ給ふるさまをも」

(ロ) 目上肉親親族呼び名に付けて用いる。「父上」「兄上

(ハ) 高貴女性呼び名に付けて用いる。

合巻偐紫田舎源氏(1829‐42三一我知らず姫君よ姫上よと、呼び参らする事のあり」

[語誌](1)「うえ」の対義語としては、古代から現代に至るまで「した」が安定して、その位置をしめている。しかし、中古から中世にかけて「うえ」は、(一)(二)のように表面の意を持っていたため、「うら」とも対義関係を持ち、「うらうえ」という複合語も作られた。しかし、この対義関係は、中世頃から(二)の意味が衰退するのに伴って次第に「うら━おもて」という対義関係にとってかわられた。
(2)(二)は、平安時代中期より例が見られ、おもに、肉親目上の人に対して用いられる。


かん【上】

〔名〕 (「かむ」と表記) =かみ(上)

書紀720神功摂政前(北野本訓)「其(そ)の国(くに)の女人(をむな)、四月(うつき)の上(カム)の旬(とをか)に」


しょう シャウ 【上】

〔名〕 (「しょう」は「上」の漢音

① うえ。かみ。じょう。〔和英語林集成初版)(1867)〕

天子。じょう。〔和英語林集成初版)(1867)〕


じょう ジャウ 【上】

1 〔名〕

① 場所や位置が高いところ。うえ。かみ。

遠西観象図説(1823)上「之(し)上 ボーヘン」⇔下(げ)。

② 位や官職が高いこと。上位であること。

続日本紀大宝元年701三月二日「又服制〈略〉直冠上四階深緋、下四階浅緋

③ =しょう(上)②

④ 普通のものとくらべて、価値程度それよりすぐれていること。⇔下(げ)。

風姿花伝140002頃)三「能に上・中・下差別あるべし」

西洋道中膝栗毛(1874‐76)〈総生寛一三「上(ジャウ)の旅籠なれば」〔書経禹貢

(5) 順序で、早く現われる方。順番が先であること。いくつかある中の第一

古今(905‐914)「春哥上」

*初すがた(1900)〈小杉天外〉三「多分、来月の上(ジャウ)からになりませうよ」〔書経‐舜典〕

(6) たてまつること。のせること。進物などの上包の紙に書く語。

源氏100114頃)橋姫「かへり給ひてまづこの袋を見給へば、唐の浮線綾(ふせんりょう)を縫ひて、上といふ文字をうへに書きたり」〔史記封禅書〕

(7)じょうしょう上声)①

史記抄(1477)一二「平上去入の四声は、沈約からこそ定たれども」

(8)じょうしょう上声)②

古事記(712)上「阿那邇夜志(あなにやし)愛(え)袁登古袁(をとこを)」

(9) 横笛の八孔の一つ。五の次の穴をいう

徒然草1331頃)二一九「上(じゃう)の穴双調(さうでう)、次に鳧鐘調(ふしょうでう)をおきて、夕(さく)の穴、黄鐘調(わうじきでう)なり」

(10) 謡曲などの音階名。上音(じょうおん)。

浄瑠璃曾根崎心中(1703)「いや先まってくだんせ なふゥかなしやとなくこゑばかり」

(11) 各種評判記用いられる記号。「上」の字白く抜いたり、黒く塗ったり、また、それらを組み合わせたりして、役者遊女どの位付け表わす

評判記野良立役舞台大鏡(1687)荒木与次兵衛「上 荒木与次兵衛

2語素漢語名詞に付いて、…に関する、…の点で、…の上で、の意を表わす

花柳春話織田純一郎訳〉題言(1878‐79)〈成島柳北〉「然らば全地球上一切情界のみ」

当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉三「政治上にも社会上にも、無暗(むやみ)に政略といふ事が行はれて」


のぼら・す【上】

〔他サ五(四)

① =のぼす(上)(二)

② =のぼす(上)(二)

浮世草子好色万金丹(1694)三「随分のぼらして手に入るやうにはなされいで、今宵振り姿と見えました」

感情などを表に表わす

富士のみえる村で(1951)〈金達寿〉「顔に激憤の色をのぼらしてじいっと耐えていた」


へ【上】

〔名〕 (「え」と発音することもある) あるものや場所の表面、上、また、その近く、そのあたりなどの意を表わす

古事記(712)下・歌謡「つぎねふや 山城川を 川のぼり 我がのぼれば 川の倍(ヘ)に 生ひ立てる さしぶを さしぶの木

[補注](1)「…のへ」という形だけ見られ、「うへ(上)」の変化したもの考えられるが、逆に語頭母音音節のない「へ」の形の方が「うへ」の原型という説もある。
(2)「辺」の意の「へ」は、上代特殊仮名遣では甲類、「上」は乙類であるが、「かわべ(川辺)」の「へ」に甲乙両様見られるように、紛れることもなかったとは言い切れない。


うえ うへ 【上】

姓氏一つ


うわ うは 【上】

語素〕 上(うえ)と同意で、位置価値程度などが他のものより上であることを示す。「うわ書」「うわ荷」「うわ掛け」など。


うわ‐・ぶ うは‥ 【上】

〔自バ上二〕 貴族的気風に染まる。上品らしくなる。

*浄・烏帽子折(1690頃)三「職人なれど烏帽子屋は、お公家交はり上品(うわビ)たる」


【上】

〔名〕 ⇒へ(上)


かみ【上】

〔名〕 もと、「流れの上流のほう」をいった語か。または、「ひと続きものの初め」をさしていった語か。後には、「土地の高い所」「ある地域中央に近い所」「人間関係における長上」の意などを示すように転じた。うえ。かん。⇔下(しも)。

[一] ひと続きものの初め

川の流れ初めのほう。上流かわかみ

平家13C前)四「馬や人にせかれて、さばかり早き宇治河のは、かみにぞ湛へたる」

時間的に古い方。いにしえ。むかし。上代

千載(1187)序「かみ正暦のころほひより、下文治の今に至るまでのやまと歌を、撰び奉るべき仰せごとなむありける

いくつか区分されたものの初め部分冒頭。前の方。「上の句」「上の巻」「上の十日」など。

伊勢物語(10C前)九「かきつばたといふ五文字を句のかみにすゑて旅の心をよめ」

文章前に述べた部分

経済小学家政要旨(1876)〈永峰秀樹訳〉三「吾が上に揚げたる法に従ふ雇人を使はば」

(5) 和歌の上の句。

*後拾遺(1086)雑・一〇一三詞書世の中何にたとへむといふ古ごとをかみにおきてあまたよみ侍りけるに」

[二] 位置の高い所。

① 高い所。うえ。

古事記(712)上「上(かみ)は高天の原を光し、下は葦原の中つ国光す神、是に有り

身体の腰から上の部分また、そこに着けるもの。

名語記(1275)五「肩より、かみ」

[三] 地位の高い人。長上目上。おかみ。

天皇をさしていう。

古事記(712)中「吾は兄なれども上(かみ)と為るべからず。是を以ちて汝命上(かみ)と為りて、天の下治らしめせ」

皇后皇族などをさしていう。

たまきはる(1219)「身の装束行器(ほかゐ)などまで、みなかみより御沙汰あり」

将軍をさしていう。

吾妻鏡建暦三年(1213)四月二七日「義盛報申云、於上全不恨、相州所為傍若無人之間」

一般に、高位の人。上に立つ人。「なか」「しも」に対していう。

源氏100114頃)帚木「かみはしもにたすけられ、しもはかみになびきて事ひろきにゆづろふらん」

(5) 政府官庁などに対す尊称

浄瑠璃傾城反魂香(1708頃)三熊野盗賊と云かけ分明ならぬ訴訟、且は上を掠む越度(おちど)」

(6) 主人主君

狂言記角水(1660)「それにござりませう。かみへ申ませう」

浮世草子西鶴織留(1694)六「さる御所にちかふめされしの局と申せし人、〈略〉上(カミ)より御願事ありて、北野の神御代参申されての下向に」

(7) 親分

仮名草子仁勢物語(1639‐40頃)下「此男のかみも、ゑひのすけなりけり

(8) 近世以後人妻対する軽い敬称また、茶屋料理屋などの女主人おかみさん

ロドリゲス日本大文典(1604‐08)一「Cami(カミ)、ヲウエ、カミサマ

(9) 年上の人。また、年上であること。

源氏100114頃)若菜下「またちいさきななつよりかみのはみな殿上せさせたまふ」

[四] 皇居存在する地域地方方角

① 都。京都

浮世草子好色一代男(1682)五「其後は上(カミ)へものぼらぬか」

② (上方(かみがた)の略) 京阪地方近畿地方

説経節・をくり(御物絵巻)(17C中)三「あのをくりと申は、てんよりもふり人のしそんなれば、かみのみやこに、あひかはらず、おくのみやことかしづき申」

近畿地方の中で、大阪から京都をさしていう。

浮世草子傾城色三味線(1701)大坂佐田天神前にて上(カミ)から来るかごが、替ではないか、と詞かくれば

京都の中で、内裏のある北部をいう。「上京(かみぎょう)」「上賀茂神社」など。また、京都のある基準点より以北をさしていう。

蜻蛉(974頃)上「おなじつごもりに、あるところに、おなじやうにて、まうでけり。ふたはさみづつ、下のに、〈略〉かみのに」

(5) 都から離れている地域でも、その内都に近い所。「上毛野(かみつけの)」「上総(かみつふさ)」

[五] 程度等級、場所などが上位であること。

人物品物すぐれていること。また、そのさま。

浄瑠璃源頼家源実朝鎌倉三代記(1781)五「此鑓が直打物(ねうちもの)。何(なん)と上(かミ)でござりませうが」

等級などが上位であること。

西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉九「お職から上等(カミ)八枚中等(なか)九名が残らず呼出し

上位座席上座(かみざ)。

栄花(1028‐92頃)若ばえ「母屋は南をかみにし、廂は西をかみにしたり」

④ (台所、勝手などを下(しも)というのに対して客間座敷客席などの称。

浮世草子好色一代男(1682)六「上(カミ)する女に、心をあはせ、小座敷に入て語りぬ」

[六] (歌舞伎演劇などで) 「かみて(上手)」の略。→かみのかた(方)


かみ‐・す【上】

〔自サ変〕 (「かみ」は、台所などの「しも(下)」に対していう) 座敷奥向きなどの仕事をする。特に、揚屋(あげや)などで、夜具始末や座敷の掃除をして客の世話をする

浮世草子好色一代男(1682)六「上(カミ)する女に心を合はせ」


かむ【上】

〔名〕 ⇒かん(上)


か・る【上】

〔自ラ四〕 日本音楽で、基本の音より高い調子にすることをいう。⇔める。

習道書(1430)「若声(にゃくせい)はいまだわらんべ声にて、盤式がかりにかりて行く」


あがり【上】

1 〔名〕 (動詞「あがる(上)」の連用形名詞化

① 低い所から高い所へ移ること。「蹴(け)上がり」「上がり降り」など、他の語と熟し用いられることが多い。

歌舞伎山崎踊(1819)四幕「さうサ、お日和好くってお仕合せだ。わっちら拝まうと思っても、お上がり時分は、眠ったい盛りだよ」

風呂などから出ること。

滑稽本浮世風呂(1809‐13)前「ヤア、義遊さん、もうお上(アガ)りかナ」

③ 体や、体の一部が高まること。「起き上がり」「立ち上がり」「伸び上がり」など、他の語と熟し用いられる。

物の値段株価などが高くなること。「値上がり」→あがり(上)を請ける

浮世草子傾城色三味線(1701)大坂「米事にかかりしが、仕合のよい時は吹付る風空に、思ひの外のあがりを得」

(5) 身分や位が上であること。

寛永刊本蒙求抄1529頃)一〇「漢は右が貴く有ほどに、西があがりぢゃに、いるは存外な顔ぞ」

(6) 技芸などが進歩すること。上達。「手の上がりが早い

(7) 家賃地代などの収入田畑からの収穫また、商売興行による収益

社会百面相(1902)〈内田魯庵投機「家ぢゃアお前さん家賃の上りや公債利子活動(くらし)を立ててるンだよ」

(8) 物事終わりまた、使い終わること。

御湯殿上日記永祿元年(1558)九月二七日称名院よりりやうあん御あかりめてたきよし、文にて申さるる」

(9) 仕事などが完成すること。また、そのできぐあい

黄表紙作者根元江戸錦(1799)「此の七つ彫って、此の岩を五つほると上(アガ)りだ」

(10) ある状態からなりかわること。→(二)

咄本無事志有意(1798)化物「『其芝居はどこだ』と猫股(ねこまた)にきく。『〈略〉』と、さすが飼猫のあがり程あって、詳しくおしゑる」

(11) 飲食した後に支払勘定

(12) 勤務を終わること。鉄道職員などが用いる。

(13) すごろくゲームで、最終の場所にはいること。また、競馬ゴールまで最後の三ハロン(六〇〇メートル)のこと。

雑俳住吉御田植1700)「立もどりあがりの遠き絵双六

(14) カルタ遊びトランプなどで、手札を場に出し尽くしたり、場札取り尽くしたりすること。また、トランプマージャンなどで、役ができて勝つこと。

浄瑠璃大職冠(1711頃)道行加番見れ共青もなくあがりも知らぬひらよみに」

(15) 病気など、ある状態が去った後もいくらかその名残があること。「雨上がりの道」

人情本明烏後正夢(1821‐24)三「そりゃア、大病やんだあがりに、あんまり気をもむからじゃ」

(16) 貴人の前から取り下げられること。また、一般に、用ずみになったもの。廃品

浄瑠璃東海道七里艇梁(1775)三「お伽に召れた遊女なれども最早お鼻に着せられし御様子何卒拙者御膳の上りを、拝領仰せ付られなば、有難からん」

(17) 商売などがうまくいかなくなること。生活が立ちゆかなくなること。

歌舞伎善悪両面児手柏妲妃のお百)(1867)七幕「これも日章、おのれの仕業、わしを此儘生かしておいて、訴人をされては身の上(アガリ)ゆゑ、それでわしを殺すのぢゃ」

(18) などが死ぬこと。

(19) 成長して、繭を作らせるためのわらの床に乗せるべき状態になること。上蔟(じょうぞく)。

(20) 田舎から京阪地方へ行くこと。

浄瑠璃百合若大臣野守鏡(1711頃)二「あがりの衆ならば、みやげめせめせ竹ざいく」

(21) 「あがりばな上花)」の略。

新西洋事情(1975)〈深田祐介日本業界思想欧州死す「突然寿司屋の熱いあがりをすするときみたいな、〈略〉すさまじい音を立ててコーヒーをすすったんです」

(22) 鋳造において、湯が鋳型を満たし、鋳型の上面よりさらに上昇する部分鋳型内の空気不純物などを吐き出し、湯の自重によって鋳物圧力をかけ、巣(す)を除き、緻密にするためのもの。

2接尾〕 ((10)接尾語したもの名詞に付いて、以前そういう身分職業であったことを表わす

浄瑠璃曾根崎心中(1703)「ヤアしゃらな丁稚(でっち)あがりめ投げてくれん」


あが・る【上・揚・挙・騰】

1 〔自ラ五(四)

[一] 下の方から上の方へ移る。

① 低い所から高い所へ移る。上のほうに移動する。また、物の上に乗る

万葉(8C後)一九・四二九二「うらうら照れる春日にひばり安我里(アガリ)心悲しひとりし思へば」

*虎明本狂言右流左止室町末‐近世初)「たかき山にあがり、てんにむかひ」

空中に浮かぶ。また、が空に広がる

平家13C前)一一「鏑(かぶら)は海へ入りければ、扇は空へぞあがりける」

歌舞伎好色芝紀島物語(1869)四幕「『曇ったせゐか暗くなった』『北からずんずん上(アガ)るから、後にゃあ一降り掛るだらう』」

水上水中から陸上へ移る。上陸する。下船する。また、などが水揚げされる。

平家13C前)灌頂の陸(くが)にあがれるがごとく、鳥の巣をはなれたるがごとし」

俳諧奥の細道(1693‐94頃)旅立「千じゅと云所にて船をあがれば」

地中から地上へ出る。などが生える。

*虎寛本狂言竹の子室町末‐近世初)「隣の藪から根をさいて見事な笋(たけのこ)が上った」

(5) 風呂から出る。

夜の寝覚(1045‐68頃)一「ただいま御湯よりあがらせ給ひて」

(6) 外から家の中へはいる。

咄本昨日は今日の物語(1614‐24頃)下「あがらふとしても、縁が高さにあがりかねて」

(7) 遊女屋にはいって遊ぶ。妓楼登楼する。

洒落本通言総籬(1787)二「八つ打てあがるきゃくは、みんなあのくらいなもんだ」

(8) 学校にはいる。おもに小学校についていう。

日の出(1903)〈国木田独歩〉「僕が大島学校に上(アガ)ってから四五日目御座いました」

(9) (血が頭に上る意) のぼせてぼうっとなる。ふだんの落ち着きを失う

(イ) 「気があがる」の表現場合

蜻蛉(974頃)中「気(け)やあがりぬらん、心ちいと悪しおぼえて、わざといと苦しければ」

(ロ) 「あがる」の主語が表わされない場合

滑稽本浮世風呂(1809‐13)前「湯気(ゆけ)に上(アガ)ったさうだ。ヲイ番頭、目を回した人があるぜヱ」

(10) 流れのもとの方へ行く。特に、昔へさかのぼる。→上がりたる世上がりての人

栄花(1028‐92頃)鶴の林人々多かる中に、あがりてもかばかり幸あり、すべき事の限り仕うまつりたる人候(さぶら)はず侍り

(11) 巫女(みこ)などに乗り移っていた神が天に帰る

平家13C前)一「『それを不足におぼしめさば力及ばず』とて、山王あがらせ給ひけり」

(12) 死体などが、水中より水面に出る。

*夢声半代記(1929)〈徳川夢声〉Z投身事件「今、水道橋の処へ、死骸が上(アガ)りました」

[二] 上に立つ者に物などが収められる。

年貢(ねんぐ)などが領主の手にはいる。転じて、家賃地代収益などが、その受け取り手上の者に収められる。

暴風(1907)〈国木田独歩〉二「郷国(くに)の田地から上(アガ)る小作米が」

領地役目などを取り上げられる。

日葡辞書(1603‐04)「チギャウ、ヤク agatta(アガッタ)〈訳〉高貴な人の手差し出される、または、その所有となる」

犯人召し取られる。検挙される。

女工哀史1925)〈細井和喜蔵一三「ところが一方不図した証拠から真犯人あがったのであった」

[三] 地位体勢価値程度などが高まる。

① ある場所が周囲より高くなる。また、からだやからだの一部が高まる。

書紀720雄略九年五月前田本訓)「大将軍紀小弓宿禰、龍のごとく驤(アカリ)虎のごとく視て」

源氏100114頃)夕霧「おましの奥の少しあがりたるところを、心みにひきあけ給へれば」

② 馬が跳ねる。

古今著聞集(1254)一六「臆して手綱をつよくひかへたりけるに、やがてあがりて投げけるに、てんさかさまに落ちて」

地位が進む。昇進する。また、進学進級する。

源氏100114頃)乙女大臣(おとど)、太政大臣にあがり給て」

物の値段が高くなる。騰貴する。

天理本金般若経集験記平安初期点(850頃)「米麦踊貴(アガリ)、車馬通はず」

(5) 精神気分などが高まる。

俳諧師(1908)〈高浜虚子〉七一「我乍ら甚だ気勢が揚(ア)がらぬ」

(6) 能力勢力速力数量価値などが加わる。

浮世草子傾城禁短気(1711)一「昔よりはお智恵があがって」

故旧忘れ得べき(1935‐36)〈高見順〉一「大変能率の上った事実とは反対に

(7) 技能などがうまくなる。上達する。一段上の域に達する。

筑波問答(1357‐72頃)「の道の事も、難をよく人に言はれてこそあがる事なれ」

(8) (色が)より鮮やかに染まる。より美しくなる。

*清輔集(1177頃)「紫のはつしほそめのにひ衣ほどなく色のあかれとぞおもふ」

(9) 様子よくなるまた、人間として立派になる。

滑稽本浮世風呂(1809‐13)二「道理だ。別に女ぶりが上(アガ)った」

(10) あたりによく聞こえるような声が出る。高く発せられる。「歓声が上がる」

妾の半生涯(1904)〈福田英子一一「其刹那に、児の初声は挙(アガ)りて」

[四] 人によく見えるようになる。広く知られるようになる。

① 高く揚げられる。また、掲載される。「旗が揚がる

大鏡(12C前)三「うたまくらに名あがりたるところどころなどを書きつつ」

② (名前などが)人によく知られるようになる。

大鏡(12C前)二「さてかばかりの詩をつくりたらましかば、名のあがらむこともまさりなまし」

③ (事実証拠たくらみなどが)はっきり表に現われる

歌舞伎韓人漢文手管始唐人殺し)(1789)一「はて、じたばたせまひ。工(たく)みの手目(てめ)は上ってある」

④ (効果実績などが)目立って出てくる。

学問のすゝめ187276)〈福沢諭吉〉四「今日に至るまで未だ実効挙る見ず

[五] 物事終わりになる。

① できあがる役目が終わる。習い終わる。すむ。

日葡辞書(1603‐04)「フシンガ agaru(アガル)〈訳〉工事完成する」

すごろくゲームで、最終の場所にはいって勝つ。

東京年中行事(1911)〈若月紫蘭一月暦「所謂飛双六で有って、早く上(アガ)ったものが勝を占(し)むるので有る

カルタ遊びトランプなどで手札を場に出し尽くしたり場札取り尽くしたりして勝つ。また、トランプマージャンなどで、役を作って勝つ。

咄本鹿の巻筆(1686)一「読(よみ)のかるたは壱のこり、あがられぬ事八つの善ありながら、壱つの悪にひかさるる心なり」

などがやむ。天気よくなるまた、雨期が終わる。

日葡辞書(1603‐04)「ツユ、または、ナガシガ agaru(アガル)」

(5) ある費用で、無事にすむ。ある金額片がつく

滑稽本・続膝栗毛(1810‐22)初「こちの檀方(だんぱう)に死かかってをる病人があるさかい、それと一所割合さしゃると、いかう下直(げぢき)にあがります」

(6)貴人の膳が)取り下げられる。

日葡辞書(1603‐04)「ゴゼンガ agaru(アガル)、ゴゼンガ スベル、または、クダル

(7) 商売仕事などがうまくゆかなくなる。生活が立ちゆかなくなる。

評判記難波物語(1655)「されば其人ぜんせいのじぶん、あがるべしとは人も思はず」

海に生くる人々(1926)〈葉山嘉樹二三商売は上ってしまふのだった

(8) (脈、乳、月経などが)止まる。絶える。

浮世草子本朝桜陰比事(1689)四「手足びりびりとふるひ其まま脉(みゃく)あがりぬ」

(9) 、貝、などが死ぬ。また、草木枯れる。

評判記色道大鏡(1678)一「惣じてあがるといふ詞は、の死してはたらかざる㒵(かたち)をいふ」

(10) 成長して繭を作らせるための、わらの床に乗せるべき状態になる。

(11) 熱い油であげて、食物食べられる状態になる。

[六] 敬意を払うべき人に物が渡される。また、そういう人のいる場所へ向かって行く、訪問する。

神仏に物が供えられる。

北野社日記慶長六年(1601)正月朔日「当坊へあかり申御供数」

貴人献上される。

日葡辞書(1603‐04)「ウエサマエ シンモツガ agatta(アガッタ)、カタナガ agatta(アガッタ)」

③ (内裏が北にあったので) 京都で、北へ行く。

雑俳・口よせ(1736)「九重上る下るでむづかしい」

田舎から京阪地方へ行く。→上がり(一)(20)

(5) 大阪で、城の方へ行く。

浮世草子好色万金丹(1694)四「阿波座を上(かみ)へあがり」

(6) 屋敷などに奉公に行く。

滑稽本浮世風呂(1809‐13)二「此子が上(アガ)りましたお屋敷さまは」

(7) 他人の家訪問する意の謙譲語参上する。

滑稽本浮世風呂(1809‐13)二「藤間さんがお屋敷お上(アガ)んなさいますから

[七] 補助動詞として用いる。動詞連用形に付く。

① その動作が終わる意を表わす。「染め上がる」「刷り上がる

② その動作激しくなる意を表わす

落窪(10C後)二「ただ言ひに言ひあがりて」

いやしめののしる気持添える。くさる。やがる。

浄瑠璃女殺油地獄(1721)中「ヤイかしましい。あたり隣も有ぞかし、よっぽどにほたへあがれ」

滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)五「ヲヲイまちあがれ」

2 〔他ラ五(四)〕 「食う」「飲む」の尊敬語

*虎明本狂言饅頭室町末‐近世初)「中々ことの外むまうござる。一つあがりまらせひ」

ヰタ・セクスアリス(1909)〈森鴎外〉「お父様は巻烟草は上(アガ)らない」

[語誌](1)アガルノボルは、共に上への移動表わすという点で共通する類義語であるが、アガル到達点に焦点があり、そこに達することを表わすに対してノボル経過過程経路焦点があるという点が異なる。「川を(船で)ノボル」「×川を(船で)アガル」「川から(岸に)アガル」「川から(谷づたいに山へノボル
(2)アガルは、ある到達点に達することを表わすところから、(一)(一)のように基本的に初めの状態を離れること、ある段階から抜け出すことを表わし、その経過過程問題にしない非連続的移動である。そのため、アガル場合アガルものが物全体一部かにかかわらず視点の向けられているものの移動ということ問題になる。それに対してノボル場合は、少しずつ移動する過程明らかになるような、それ自体全体的移動を表わし、しかも自力移動が可能な事物限定される。「生徒の手アガル(×ノボル)」「ダム水面アガル(×ノボル)」「いつのまに血圧アガッていた」「興奮して頭に血がノボッていくのがわかった
(3)到達点という結果焦点があるアガルは、「ている」を付けてアガッテイルとすると動作作用結果表わす過程焦点があるノボルはノボッテイルとすると現在進行中の動作表わす。「のろしが(の上に)アガッテイル」「煙が(空へ)ノボッテイル」
(4)また、アガルは、到達点に達すというところから、(一)(五)①②③のように最終的にある段階達し完了すること、終了することをも表わすことになる。


あ・ぐ【上・揚・挙】

〔他ガ下二〕 ⇒あげる(上)


あげ【上・揚】

〔名〕 (動詞「あげる(上)」の連用形名詞化。他の語の上下について造語要素としても用いられる)

① ものをあげること。⇔下げ

*竹取(9C末‐10C初)「よき程なる人になりぬれば、髪あげなどさうして」

② 「あげた(上田)」の略。

万葉(8C後)一二二九九九を多み上(あげ)に種蒔き稗(ひえ)を多みえらえし業そわがひとり寝る」

手紙などに書く上げ所のこと。

名語記(1275)六「消息申状どの位所に某があけとは上とかけり」

能楽邦楽などで声を高くあげてうたうこと。また、高い声でうたう旋律部分

金島書(1436)「(上歌う)『落花浄く降り郭公初め鳴き〈略〉』」

(5) こたつのやぐら。

俳諧両吟一日千句(1679)第三塞ぎぬる火燵のあけも夕詠〈西鶴二つ三つ子やもえ出る〈友〉」

(6) (揚) 遊客芸者遊女を買うこと。また、特に一昼夜通して買うこと。約束日柄

浄瑠璃心中刃は氷の朔日(1709)中「小かんがあげの侍も、一僕つれて、なんとおさが遅かったか、小かんは来てかと腰かくる」

(7) 駕籠(かご)の一種。窓がなくて垂れ下げておくような下級のもの。また、その駕籠に乗った代金

洒落本・角雞卵(1784か)暁鐘実情「かごやにいたり『〈略〉あげを二てう出してくんな』」

(8) 衣服の裄(ゆき)や丈(たけ)の長いときに肩や腰などを縫い上げてひだをつけ体に合わせること。また、そのひだ。

雑俳柳多留拾遺(1801)巻二「竹の子のやうだとあげをおろして居」

(9)あげしお上潮)」の略。

歌舞伎鏡山錦栬加賀騒動)(1879)四幕「もうかれこれ上汐(アゲ)へ廻りますから

(10) (揚) 揚げ油揚げること。また、揚げたもの。特に油揚げのこと。〔本朝食鑑(1697)〕

(11)あげうた上歌)②」の略。

車屋謡曲相生(1430頃)「上 所高砂の、所は高砂の尾上の松も年ふりて」

(12)あげせん上銭)」の略。

(13) 相場が高くなること。

(14) 魚群の通る上方の空を海鳥群れとなって飛ぶことをいう漁師のことば。


あ・げる【上・揚・挙】

〔他ガ下一〕 [文]あ・ぐ 〔他ガ下二

[一] 下の方から上の方へ移す。

① 低い所から高い所へ移す。上へやる。

古事記(712)下・歌謡「大和(やまと)へに 西風(にし)吹き阿宜(アゲ)て 雲離れ 退(そ)き居りとも 我忘れめや」

源氏100114頃)若菜下「みすあげさせ給て」

② (垂れた髪を)結う上の方で結ぶ。

書紀720神代上(水戸本訓)「髪(みぐし)を結(アケ)、髻(みづら)に為(な)し」

伊勢物語(10C前)二三「くらべこし振分髪肩すぎぬ君ならずして誰かあぐべき」

空中に浮かぶようにする。また、が空に広がる

平家13C前)二「天下兵乱おこって、烽火をあげたりければ」

歌舞伎日月星享和政談延命院)(1878)序幕「『父(とと)さん、ぽつぽつ降って来ましたわいな』『大分東を上げて来たから、今に一降やるかも知れぬ』」

水上水中から陸上へ移す。陸上げする。水上げする。

平家13C前)一一「あげおいたる舟の陰を」

日葡辞書(1603‐04)「フネノ ニヲ aguru(アグル)」

(5) 外から家の中に入らせる。

浄瑠璃仮名手本忠臣蔵(1748)七「初めてのお方同道申た。きつう取込そふに見へるが、一つ上ます座敷が有(ある)か」

(6) 遊女芸妓などをよび入れる。また、よんで遊ぶ。

浮世草子西鶴織留(1694)一「丸屋の七左衛門かたに太夫吉野を揚(アゲ)置(おき)」

(7) 寺子屋学校などに入れる。

仮名草子浮世物語(1665頃)一「寺にあげて手ならひをさすれども、芸能のかたは殊の外不器用なり」

(8) (血を頭にのぼせる意) のぼせてぼうっとする。「血道をあげる

栄花(1028‐92頃)若ばえ「あないみじ。気(け)あげさせ給ふな」

(9) 下に敷いてあるものを取りのける

人情本春色恵の花(1836)二中「それじゃ蒲団をあげて、きれいにしよふじゃア有ませんか

(10) 胃から物をもどす。吐く。

落語皺め(1896)〈三代目柳家小さん〉「何う云ふ訳だらうと思って居ると黄色をゲッゲと吐(ア)げるんだ」

[二] 物を取りあげる。また、罪人召しとる。

① 官が領地役目などを取りあげる。没収する。

歌謡新編歌祭文集(1688‐1736頃)一五「少しの事を言ひ募り、殿の御扶持上げられて」

② (①から転じて) 物をむりに取りあげる。巻きあげる。奪いとる。盗みとる。

歌舞伎幼稚子敵討(1753)五「今鋭(すすど)ふ成て油断せぬ故、大抵では上げられぬぞい」

犯人つかまえる。召しとる。

落語・たぬき娘(1900)〈初代三遊亭円左〉「チョイト旦那、今ねヱ彼の女引致(アゲ)られました、久松警察へ」

[三] 地位体勢価値程度などを高める。

① ある箇所をまわりより高くする。体や、体の一部を高くする。また、上に向ける。

漢書楊雄天暦二年点(948)「仰ぎて首を撟(アケ)、以て高視す」

② 馬を跳ねさせる。走り躍らせる。

吾妻鏡寛元四年(1246)八月一六日流鏑馬十六騎。揚馬訖」

地位を進める。昇進させる。

続日本紀天平元年729八月五日宣命冠位(かがふりくらゐ)一階上(あげ)賜ふ事を始め

日葡辞書(1603‐04)「クライニ aguru(アグル)」

物の値段給料などを高くする。値上げする。

社会百面相(1902)〈内田魯庵失意政治家それだから酒造税を昂(ア)げるのも宜(よ)からう」

(5) 能力勢力速力数量価値などを加える。「スピードをあげる」「気勢をあげる

*惨めな戯れ1920)〈岡田三郎〉「下から順に音をあげて行ったり」

(6) 技能などを上達させる。

日葡辞書(1603‐04)「ガクモン ナドノ イロヲ aguru(アグル)」

滑稽本古朽木(1780)一「能書にもせよ、人の手まで上(アゲ)る事がどうしてなるものぞ」

(7) 顔だち身なりなどをよくする

*雁(1911‐13)〈森鴎外〉五「さぞ此頃女振を上(ア)げてゐるだらうな」

(8) あたりによく聞こえるような声を出す。高く発する

書紀720仁徳四年二月前田本訓)「人々詠徳(ほむ)る音を誦(アケ)、家毎庚哉之歌(やすらかなりといふうた)有り

土左(935頃)承平四年一二月二六日からうた、声あげていひけり」

(9)水位高める意から、自動詞的に用いて) 潮が満ちてくる。

洒落本仕懸文庫(1791)一「八つ八ぶだからてうど今あげるせへちうだ」

[四] 人によく見えるようにする。広く知られるようにする。

① 手に持って高くする。高く揚げる持ちあげる。

古今(905‐914)雑体・一〇一四「いつしかとまたく心をはぎにあげて天の河原をけふや渡らん〈藤原兼輔〉」

平家13C前)一二墨染の衣袴きて月毛なる馬にのったる僧一人、鞭をあげてぞ馳(は)せたりける」

② (名前を)世に広める。

平家13C前)五「一人をば討ちとり、一人をば生けどって、後代に名をあげたりし物にて候

人々の前で行なう

春潮(1903)〈田山花袋〉六「結婚約束成立って、この秋か冬には其の大礼を挙げやうとして居るのも亦確かである」

一つ一つとりたてるまた、別のものとして示す。

書紀720顕宗即位前(図書寮本訓)「然らば則ち弟(いろと)に非ずして、誰か能く大節(ことはり)を激揚(アケム)」

平家13C前)一「大織冠淡海公御事は、あげて申すに及ばず

(5)実例証拠などを)はっきり表面にあらわす。

浄瑠璃伽羅先代萩(1785)六「態(わざ)と悪事一味して、まっかう手めを上げよふ為」

花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉中「歴史上事実を挙(ア)げ」

(6)効果実績などを)目立って現われるようにする。

星座(1922)〈有島武郎〉「或る程度までの効果挙げることが出来たのだ」

(7) ほめたたえる称揚する。

大唐西域記長寛元年点(1163)五「淑(よ)き匿(あ)しきを褒(アゲ)貶(くた)し」

読本雨月物語(1776)仏法僧「此玉河てふ川は国々にありて、いづれをよめる歌も其流のきよきを挙(アゲ)しなるを思へば」

(8) 大勢の人を集め動かして事を始める。

平治(1220頃か)下「佐殿すでに義兵をあげ給ふときこえしかば」

(9) 推挙する。

黒い眼と茶色の目(1914)〈徳富蘆花〉四「如才のない稲川と共に、敬二は幹事に挙(ア)げられた」

[五] 物事終わりまでする。終わりにする。

① しあげる。なしとげる。すませる。習い終える。

大鏡(12C前)三「したがさねのしりはさみて乗り給ひぬ。さばかりせばきつぼに折り回しおもしろくあげ給へば」

日葡辞書(1603‐04)「フシンヲ aguru(アグル)」

② ある費用ですませる。ある金額片を付ける

滑稽本浮世床(1813‐23)初「壱分。ヱ。それで上(アゲ)るつもりかヱ」

遊興投資に金を使い果たすつぎこむ入れあげる

浄瑠璃心中二枚絵草紙(1706頃)中「新地ぐるいに身代あげ、方々借銭

④ すべてを出す全部集める。

雪中梅(1886)〈末広鉄腸〉上「一国挙げて大結合を為し」〔史記刺客伝・摂政

(5)貴人の膳を)取り下げる

日葡辞書(1603‐04)「ゼンヲ aguru(アグル)〈訳〉食卓片づける

(6) 城を攻める際などに、味方の兵が城際につめより、後に続く者がないような時、危険を考慮して呼び戻す

随筆常山紀談(1739)四「唯今あげんとせば、彌(いよいよ)みだれあしなるべし

(7) 子孫を得る。子を産む。

米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉三「牝牡一耦あり、今に至るまで十二回子を挙けたれとも」

(8) 酒を熟成させる。

玉塵抄(1563)三「酒はつくり入れて久うをいてあぐるがよいそ」

(9) (揚) 熱い油で煮て、食べられるようにする。

大草料理書(16C中‐後か)「南ばん焼は、油にてあぐる也」

[六] 敬意を払うべき人に物を渡す。また、そういう人のいる場所に行かせる

神仏供える奉納する。

栄花(1028‐92頃)鶴の林御忌の程、関白殿、日ごと法華経一部阿彌陀経数多、経一偈(げ)をあげさせ給て」

② 敬うべき人にさし出すさし上げるまた、現代では対等、または目下の者に与える意の丁寧な言い方

謡曲烏帽子折(1480頃)「急ぎ追っ付き申しこのおん腰の物上げ申さうずるにて候ふ」

*家(1910‐11)〈島崎藤村〉下「お俊ちゃん達に進(ア)げる物がこの中に入って居る筈です」

③ 上に差出す返上する。

六角氏式目(1567)二四条年貢所当無沙汰下地上之由申百姓前作職之事、一庄一郷申合田畠荒之造意悪行之至、早可御成敗

④ (返上する意から) ある場所に出入りすることや、ある資格をもつことを断わる

浮世草子傾城禁短気(1711)三「さりとは見限り果て法師所為(しはざ)、明日から師匠あげてのける」

(5) 言いかけられたなぞなぞ答えを言わないで相手お返しする。なぞを言いかけたものに答えを言うよう求める。

咄本露休置土産(1707)一「或人、南無阿彌陀仏といふ謎をかけけれども、一座に解く人なければ『此謎はあげませう』といふ。『さらばとひて聞(きけ)ませう。貉(むじな)と解き申す』といへば」

(6) 都へ向かって行かせる。のぼす。

源氏100114頃)玉鬘「とかくかまへて京にあげ奉りてんといふ」

(7) 屋敷などに奉公にやる。

滑稽本浮世風呂(1809‐13)二「『踊(をどり)と申すものは、おちいさい内から御奉公ができてよろしうございますねへ。おいくつからお上(アゲ)なさいましたへ』『ハイ六つの秋御奉公に上(アゲ)ました』」

(8) 他人の家敬い、そこを訪問させる。参上させる。

黄表紙莫切自根金生木(1785)上「『きっとした証人あっては、御貸し申されませぬ』『ずいぶん申触らしまして、大ちゃくな借手をあげませふ』」

[七] 補助動詞として用いる。

① (動詞連用形に付いて) その動作完了する意を表わす。「染め上げる」「刷り上げる

古今六帖(976‐987頃)二・田「わが門の早稲田もいまだ刈りあげぬにけさ吹く風には来にけり〈素性〉」

② (「申す」「存ず」「頼む」「願う」などの動詞連用形に付いて) その動作対象を敬う気持添える。

*虎明本狂言筑紫奥室町末‐近世初)「身共は申あぐる事はならぬ程に面々申上い」

③ (動詞連用形に、助詞「て(で)」の付いた形に添えて) その動作を他にしてやることの丁寧な表現

歌舞伎傾城富士見る里(1701)一「私上手で御座る取って上げませう」

[語誌](1)敬語動詞としての「あげる」は下位者から上位者への物の移動という意で用いられる謙譲表現であり、「ロドリゲス日本大文典」では「身分の低いものからシュジンキニン等を始めとして天子に至るまで非常に貴い方に差上げるのに使はれる」とあり、当初敬意の高い表現であった。近世以降次第敬意が低くなり、近世後半には丁寧語目される例も出現する。
(2)現代語においても、一九七〇年代前半では丁寧語としての用法誤用としての意識強く女性特有の過剰敬語考えられていたが、その後次第男性も含めた若い層にも広く用いられるようになり、「やる」の丁寧語として定着するようになった逆に「やる」は下卑た表現として意識されることも多い)。ただ、敬語動詞「あげる」の本質謙譲語にあることだけは変わらず両用法が並立している。→「あがる」の語誌


のぼ・す【上】

1 〔他サ下二〕 ⇒のぼせる(上)

2 〔他サ五(四)

① 低い所から高い所へ移動させる。あげる。

説経節説経苅萱(1631)中「のほすれはおやまの御はっとそむく」

② 人や物を地方から都へ送りやる。

天草本平家(1592)四「ダイクヮン トシテ ヲトトノ ノリヨリト、ヨシツネヲ noboite(ノボイテ) ソレヲ シヅミョウト セラルルヲ キイテ」

③ 位をひきあげる。

西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉二「列印の軍に赴むきその隊中に入りけるが、やがて軍吏に升(ノボ)されたり

いい気にさせる。おだてるまた、夢中にさせる

評判記色道大鏡(1678)六「今もあだめく女郎色あるおとこにのぼしたてられなば」

(5) ことばにして表わす取り上げて示す。また、物事公の場に出す。「(し)に上す」「舞台に上す」

青春(1905‐06)〈小栗風葉〉春「欽哉の好んで口に上(ノボ)すのは、〈略〉形而上話題が多い」

(6) ある事を頭に浮かべる。

行人(1912‐13)〈夏目漱石〉帰ってから「わが隣にゐる昔の人を、〈略〉全く意識に上(ノボ)す暇もなく」

3 〔自サ四〕 ぼうっとなる。上気する。

浄瑠璃傾城反魂香(1708頃)中「買ひ手のお身もすたらず女郎ものぼさぬ様にを取が引舟目の」


のぼ・せる【上・逆上】

1 〔他サ下一〕 [文]のぼ・す 〔他サ下二

① 低い所から高い所へ移動させる。

*竹取(9C末‐10C初)「あらこに人をのぼせてつり上げさせて」

上流向けて進める。

万葉(8C後)一・五〇「真木の嬬手(つまで)を 百足らず 筏に作り 泝須(のぼス)らむ」

③ 人や物を地方から都へ送りやる。

平家13C前)八「西国よりいそぎ人をのぼせて」

貴人のもとへ来させる。

夜の寝覚(1045‐68頃)三「上の例ならぬ御気色を、見捨奉りにくくおぼしたれど、そそのかいてのぼせ奉り給を」

(5) 位をひきあげる。

(6) いい気にさせる。おだてる

評判記色道大鏡(1678)二「たとひわやくなるつれありてのぼするとも、いやさにはあらず」

(7) 取り上げて示す。物事公の場に出す。「話題に上せる」「食膳に上せる」

西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一〇「金銀収受の数及び経費の数を簿に上せけり」

(8) ある事を頭に浮かべる。

星座(1922)〈有島武郎〉「一人の女を意識に上せて座興にしようとしてゐる人見軽薄さ」

2 〔自サ下一〕 (逆上) (血を頭にのぼせる意)

頭部や顔が熱くぼうっとなる。上気する。

咄本・さとすゞめ(1777)猿廻しさるまわし、のぼせて鼻血をいだせば」

感情高まりで、ふだんの落ち着きを失う血迷う

怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉二「如何(どう)した風の吹廻し彼様(あんな)奇麗な殿御此処へ来たのかと思ふと、カッと逆上(ノボ)せて」

③ 夢中になる。特に、色恋熱中する。

人情本春色辰巳園(1833‐35)後「己ばっかり惚込(ノボセ)てゐるやうだが、まさかそうでもねへヨ」

いい気になる思い上がる。「一度成功したくらいでのぼせるな」


じょう・びる ジャウびる 【上】

〔自バ上一〕 上品になる。品よくなる。上等になる。「げびる」に対していう語。

言国卿記明応二年(1493)正月一六日近比上ひたる御進退也」

浮世草子立身大福帳(1703)六「かやうに次第に物が上びては、大坂の人の内証が、よはふなるはづの事なり」


のぼり【上・登・昇】

〔名〕 (動詞「のぼる(上)」の連用形名詞化

① 低い所から高い所へ移動すること。また、上の方進んで行く道

浄瑠璃曾根崎心中(1703)「のぼりゃすなすなくだりゃちょこちょこ、のぼりつをりつ谷町すぢを」

② (内裏が北にあったところから) 京都で、北に向かって行くこと。

大鏡(12C前)六「東洞院よりのぼりにまかるに」

地方から都へ向かって行くこと。

平家13C前)三「この瀬にももれさせ給て、御のぼりも候はず」

列車バスなどが地方から中央へ、また、郊外から中心部へ向かうこと。また、その列車バス

破戒(1906)〈島崎藤村一一四番の上りは二十分も後れたので」


のぼ・る【上・登・昇】

〔自ラ五(四)

① 低い所から高い所へ移動する。また、移動して、ある物の上に乗る

古事記(712)下・歌謡「梯立(はしたて)の 倉山は 嶮(さが)しけど 妹と能煩礼(ノボレ)ば 嶮しくもあらず」

② 特に、や煙などが上に向かって動いたり、日や月が出て高い所に移り動いたりする。また、空中にあがる

万葉(8C後)七・一二四六「志賀白水郎(あま)の塩焼く煙風をいたみ立ちは不上(のぼらず)山に棚引く

水上水中から陸上へ移る。

源氏100114頃)明石「この風いましばしやまざらましかば、しほのぼりて残る所なからまし」

上流へ向かって進む。

古事記(712)下・歌謡「つぎねふや 山城川を 川のぼり 我が能煩礼(ノボレ)ば」

(5) 昔へさかのぼる。→上りての世

(6) 地方から都へ向かって行く。また、品物都に送られる。京都の中で、内裏のある北の方へ行くのもいう。

万葉(8C後)二〇・四四七二「大君のみことかしこみ於保(おほ)の浦を背向(そがひ)に見つつ都へ能保流(ノホル)」

(7) 天皇皇后など、貴人御座所近く参上する。宮中出仕する。

伊勢物語(10C前)六五「この御曹司には、人の見るをも知らでのぼりゐければ」

(8) 地位が進む。昇進する。また、高い位につく。あがる。

源氏100114頃)桐壺国の親となりて、帝王のかみなき位にのぼるべき相おはします人の」

(9) 古代官吏登用試験の場に出る。

宇津保(970‐999頃)俊蔭「たびたびのぼりたる学生のをのこども、ざえあるをのこども、てまどひをして」

(10) (血が頭にのぼる意) のぼせてぼうっとなる。気持が高まる。夢中になる。また、ふだんの落ち着きを失う逆上する。

(イ) 「気がのぼる」の表現場合

落窪(10C後)一「むげにはづかし思ひたりつるに、気ののぼりたらん」

(ロ) 「のぼる」の主語が表わされない場合

浮世草子けいせい伝受紙子(1710)三「隣のあげやにあそんでおりますは〈略〉のぼりかかってゐる天竺牢人共」

滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「かほを真赤にして大きにのぼったやうす」

(11) 慢心する。得意になる。

浮世草子傾城禁短気(1711)一「始は金銀ありまやの山と、高くのぼりし身なれ共」

(12) 物事度合がすすむ。また、値段が高くなる。あがる。

内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉八「随って騰貴(ノボ)れば随って制(おさ)へ〈略〉尚々尚々(まだまだまだまだ)と持こたふる程に」

(13) 数量が相当の程度達する。

日本の下層社会(1899)〈横山源之助〉四「一日売上高八九円より十円に上ぼるとなり」

(14) ことばとして表わされる。また、取り上げて示される。取り上げて扱われる。

おとづれ(1897)〈国木田独歩〉上「斯る類の事の言葉に上ぼりしは例なきことなりける」

永日小品(1909)〈夏目漱石過去匂ひ「時々下の家族が噂に上(ノボ)る事があった」

(15) ある事や現象表面にでてくる。浮かぶ。現われる

解剖室(1907)〈三島霜川〉「柔(やはらか)な微笑が頬に上(ノボ)る」

行人(1912‐13)〈夏目漱石塵労手持無沙汰感じ強く頭に上(ノボ)った」

[語誌](1)多義語ではあるが、その基本的な意味は、その過程経路重点がおかれた上方への移動であり、意味の変遷もあまりみられない。ただ(10)(ロ)、(11)は、現在方言等には残るが、共通語では「のぼせる」が普通。
(2)→「あがる(上)」の語誌


かり【甲・上】

〔名〕 (動詞「かる(上)」の連用形名詞化邦楽で、基本調子より少し高く上げること。また、そのよう上げた音。かん。⇔めり。

わらんべ草(1660)一「それゆへ、太こに、めり、かり、高下調子、うたれしかど、いまは、だいにかけうつゆへ、めり、かり、うたれず」


うえ - 乗務員さんの用語(嬉)

高速道路のこと。
料金の出が良いので、乗務員にとっては有りがたい。

反対語 地べた

読み方:アガリ(agari)

逃亡した百姓土地などを幕領したもの

別名 上地(あげち、じょうち)、上知(あげち、じょうち)


読み方:カミkami

上流、昔、高い地位、あたま、上席君主などの意。


読み方:ウエue

さらに加わること。…の結果。あるいは、身の上のこと。


読み方:うえ

  1. 呉服屋通り符牒にして十といふ数量を表す。通り符牒参照せよ。(※巻末通り符牒参照)〔符牒

分類 符牒


読み方:かみ

  1. 京都方面。〔第七類 雑纂
  2. 京阪地方のことをいふ。上方の略。〔犯罪語〕
  3. 京都を云ふ。上方かみがた)の意か。
  4. 京都をいう。

分類 犯罪


読み方:のぼり

  1. 隙ヲ窺ヒ侵入スルコトヲ云フ。〔第一類 言語及ヒ動作之部・大阪府
  2. 家人の隙を窺ひ屋内忍入ること。〔大阪
  3. 家人の隙をみて屋内忍入ること。〔関西

分類 大阪大阪府関西

隠語大辞典は、明治以降の隠語解説文献や辞典、関係記事などをオリジナルのまま収録しているため、不適切な項目が含れていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


読み方:カミkami

所在 大阪府堺市西区



読み方:カミkami

所在 岡山県真庭市




読み方:カミkami

所在 福岡県嘉麻市



読み方:カミkami

所在 埼玉県上尾市


読み方:カミkami

所在 埼玉県蓮田市


読み方:カミkami

所在 千葉県鴨川市


読み方:カミkami

所在 千葉県君津市


読み方:カミkami

所在 千葉県富津市



地名辞典では2006年8月時点の情報を掲載しています。

読み方
うえ
うえさき
うえざき
うえたか
うえつる
うえやぎ
うえやなぎ
かど
かみ
みやなぎ
こう
こうざき
さきがみ
じょう
じょうじ
のぼる

上下

( から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 18:49 UTC 版)

上下(じょうげ、うえした)とは、およびを指す。方位(六方)の名称の一つで、高さ・深さを指す方位の概念を表す言葉である。




「上下」の続きの解説一覧

出典:『Wiktionary』 (2021/08/11 07:09 UTC 版)

発音(?)

名詞

  1. 【うえ、かみ】 あたま方向
  2. 【うえ、かみ】 重力作用する空間において、重力から離れる方向
  3. 【うえ、かみ】 命令などの強制力を出す側。治める側。
  4. ジョウ成績評価で、優れている状態。
  5. ジョウ大規模文章書籍などで、はじめの方の部分
  6. ほとり

接尾辞

  1. ジョウ】 場所や領域など。
  2. ジョウ】 ~に関する事項理由側面経緯
  3. ジョウ】 (数学集合論では、集合A上の演算はAのあるゲンaの写像がAに属することを示す。圏論でも似たようなものを指す。

熟語


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