ゆう‐れつ〔イウ‐〕【優劣】
優劣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/29 05:10 UTC 版)
どのトリガー・メカニズムも、それぞれの長所を持っている。歴史的には、最初の方式はシングルアクションである。これはもっとも単純なメカニズムで、通常はもっとも短く、軽く、スムーズなトリガープルが得られる。また、トリガープルは毎回一定しているので、精度を向上させるための特別な(トリガーの)調整技術は必要ない。シングルアクション・リボルバーでは、射撃の前にハンマーをコックしなければならないが、それより安全性の高いものがある。セミオートマチック・ピストルでは、弾を薬室に装填する過程でハンマーがコックされ、発射の準備が整うので、外部セイフティがたびたび採用される。 ダブルアクション・トリガーは、ハンマーがコックされているか否かに関係なく、銃を発射することが出来る。この機能は、軍用、警察用、あるいは、自衛用のピストルに適している。ダブルアクション・トリガーの最大の弱点は、トリガーを引く距離が長く、また、ハンマーやストライカーのスプリングの力に対抗して、重いトリガーを引かなければならないことである。 ダブルアクション/シングルアクション・ピストル(DA/SA)は汎用性がある。この形式の火器は、通常は手動安全装置(マニュアル・セイフティー)を備えている。このマニュアル・セイフティーには、ハンマーをデコッキングする機能と兼用のものもあるが、そうでないものもある。デコッキング・レバーとマニュアル・セイフティーの両方を備えたものもある。短所は、これらのレバーはスライド・リリースやテイクダウン・レバーなどと似ていて、間違いやすいということである。これは、訓練によって克服できる。ほかに、最初のダブルアクションのトリガー・プル(射手によってあらかじめ起こされていない場合)と、それに続くシングルアクションのトリガー・プルが(かなり)違う、という短所もある。 ダブルアクション・オンリー(DAO)火器は、SA/DA機能の問題を、毎回ダブルアクションで射撃することによって解消しようとした。トリガー・プルの重さに違いがないので、訓練や練習が単純化された。これに加えて、トリガー・プルが重いので、暴発(negligent discharge)が減った。これは、特に警察用のピストルとしての利点である。このタイプの武器は、マニュアル・セイフティを装備していないことが多い。DAOは、警察組織用、または、小さな自衛用武器に多い。最大の短所は、毎回、長く重いトリガーを引かなければならないので、精確な射撃が難しいことである。 プリセット・トリガーは、最近の流行であるが、トリガープルの重さ、トリガーの引きの長さ、安全性、一定性などを考慮したうえで、最適化しようとしている。グロック社の、このトリガー(ガスティン・グロックが、ロス・ステアー M1907をもとに開発した)は一般に広まり、ほかの多くの製造者が、プリセット・ストライカーを持つ製品を販売している。プリセット・トリガーの最大の弱点は、不発の後に再度トリガーを引いても、雷管をもう一度叩くことが出来ないことである。これは、通常の使用では問題にならない。銃に装填するにはスライドを引く必要があり、そのとき、ストライカーもプリセットされる。ほとんどの場合、二回打撃すれば、弾薬が発火するとする主張もあるが、作動不良を解消するには、通常は「Tap rack bang(弾倉を叩きこみ、スライドを引き、発射する)手順をおこなう。 いくつかの製造者は、この問題に対する回答として、プリセット・ハイブリッド・ストライカーを提唱した。ほかの製造者は、撃鉄を用いるメカニズムと、ストライカーによく似たトリガープルをうまく融合したシステムを提唱した。例えばシグ・ザウエルのDAK(Double Action Kellerman. SIG SAUER P226 DAK バージョンを参照)や、H&KのLEM(Law Enforcement Modification. H&K USP LEM トリガーをもつバリアントを参照)がその例である。
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