しゃ‐ぞう〔‐ザウ〕【写像】
写像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/09 21:23 UTC 版)
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写像(しゃぞう、英: mapping, map)は、二つの集合が与えられたときに、一方の集合の各元に対し、他方の集合のただひとつの元を指定して結びつける対応のことである。関数、変換、作用素、射などが写像の同義語として用いられる[1][2]こともある。
ブルバキに見られるように、写像は集合とともに現代数学の基礎となる道具の一つである。現代的な立場では、「写像」と(一価の)「関数」は論理的におなじ概念を表すものと理解されているが、歴史的には「関数」の語は解析学に出自を持つものであり、一部には必ずしも写像でないものも関数の名の下におなじ範疇に扱われる(多価関数参照)。文献によっては「数の集合(大抵の場合実数体 R または複素数体 C の部分集合)を終域に持つ写像」をして特に「関数」と呼び、「写像」はより一般の場合に用いる[3][4]。関数、二項関係、対応の各項も参照のこと。
定義
素朴な説明
集合


全射・単射・全単射
右全域性「f: A → B について ran(f) = B」が成り立つとき(つまり値域と終域が一致するとき)、f を A から B への全射という。
左一意性「A の任意の元 a1, a2 に対して、a1 ≠ a2 ならば f(a1) ≠ f(a2)」が成り立つとき、 f を単射という。包含写像は単射である。単射の制限写像も単射である。
A から B への全射 f がさらに単射でもあるとき、f は A から B への全単射であると言われる。定義域を A とする任意の単射 f はあきらかにその値域 f(A) への全単射である。
逆写像
f を A から B への全単射とする。そのとき、 B の元 b に対して、 f(a) = b であるような A の元 a がちょうど1つ存在する。そこで、 B の元 b にそのような A の元 a を対応させる B から A への写像を f の逆写像といい、f−1 と表す。定義より次が成り立つ:
f−1 : B→A、 ∀a∈A ∀b∈B ( f−1(b) = a ⇔ f(a) = b )[9]。
f−1は B から A への全単射である。f−1 の構成から、
などを挙げることができる。任意の頂点から別の任意の頂点への写像が経路の取り方に依らないとき、図式は可換であるという[19]。例えば h = g ∘ f のとき図式
は可換であり、逆もまた成り立つ。
一般化と応用
部分写像
一般には、定義域と始域が異なる(値の定められていない始域の元が存在する)という場合も考え得る。集合 A, B の元の順序対からなる集合(すなわち二項関係)Gf が
- 右一意性: (x, y1) ∈ Gf かつ (x, y2) ∈ Gf ならば y1 = y2
をみたすとき Gf は A から B への関数関係であると言われる。このとき、三つ組 f := (A, B, Gf) をこの関数関係 Gf から定まる A から B への部分写像と呼び[注釈 4]、f: A → B で表す。部分写像 f: A → B すなわち Gf ⊆ A × B の定義域 dom(f) と値域 ran(f) は次のように定義される:
写像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/23 09:52 UTC 版)
f: R → R を、不動点 a を備える連続的微分可能関数とする(すなわち、f(a) = a)。その関数 f を反復することによって得られる以下の力学系について考える: x n + 1 = f ( x n ) , n = 0 , 1 , 2 , … . {\displaystyle x_{n+1}=f(x_{n}),\quad n=0,1,2,\ldots .} 不動点 a は、f の a における微分の絶対値が厳密に 1 より小さいときに安定となり、厳密に 1 より大きいときに不安定となる。これは、点 a の近くで関数 f が傾き f′(a) の線型近似 f ( x ) ≈ f ( a ) + f ′ ( a ) ( x − a ) {\displaystyle f(x)\approx f(a)+f'(a)(x-a)} を持つことによる。すなわち、この式から x n + 1 − a x n − a = f ( x n ) − a x n − a ≈ f ′ ( a ) ( x n − a ) x n − a = f ′ ( a ) {\displaystyle {\frac {x_{n+1}-a}{x_{n}-a}}={\frac {f(x_{n})-a}{x_{n}-a}}\approx {\frac {f'(a)(x_{n}-a)}{x_{n}-a}}=f'(a)} が得られるが、これは最右辺の微分が、逐次反復の不動点 a に近付くかあるいは発散する割合を測る指標となっていることを意味する。その微分がちょうど 1 あるいは −1 である場合には、安定性を決定するためにより多くの情報が必要となる。 不動点 a を備える連続的微分可能な写像 f: Rn → Rn に対しても、その a におけるヤコビ行列 J = Ja(f) で表現される同様の指標が存在する。J のすべての固有値が、絶対値が 1 よりも厳密に小さい実あるいは複素数であるなら、a は安定な不動点である。一方、少なくとも一つの固有値の絶対値が 1 よりも厳密に大きいなら、a は不安定である。n=1 の場合と同様に、すべての固有値の絶対値が 1 である場合にはさらなる解析が必要となる。その場合にはヤコビ行列による判定では結論が出ない。滑らかな多様体の微分同相写像に対しても、より一般的な同様の指標が存在する。
※この「写像」の解説は、「安定性理論」の解説の一部です。
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