写真製版法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 02:44 UTC 版)
光が当たると固まる性質を持つ特殊な化学物質である感光剤と乳剤を使って製版する。販売されている乳剤に、あらかじめ感光剤が混ぜられている場合もあれば、使用者が感光剤と乳剤を混ぜる場合もある。 20世紀初頭に、光が当たると固まる性質を持つ化学物質があることが分かっていたので、そのことを版画に初めて応用したものである。一応成功を収めたが、使う化学物質が毒性の強いものだったため、後に毒性の低い化学物質でもできるように改良が加えられていった。 写真製版法を行う手順の概略は次の通りである。 透明なフィルムやトレーシングペーパーなどの光を透過する支持体に、光を通さないインクを、デザインに従って描画したり、またはプリンターやコピー機で印刷したりする。このようにして作成した版下のシートを「ポジ」と呼ぶ。多色刷りの場合は色の数だけポジを作り、普通は1色1版で製版する。中間トーンを表現するため、グラフィックソフトウェアやリスフィルムの使用により網点処理を施すことがある。 アルミ製、木製などの枠に張ったメッシュにバケットで感光乳剤を薄く塗布し、暗所で乾燥させる。感光乳剤は主にジアゾ系のものが使用される。 メッシュにポジを重ね、ケミカルランプを使用した感光機や日光などで一定時間紫外線に当てることで、露光させる。 乳剤面に水をかけると感光が止まる(現像)。露光させたときに光が当たった部分は感光し、硬化した乳剤がメッシュに固着してインクを透過しない膜状となる。感光していない部分の乳剤は、洗うとメッシュから落ちて、インクを透過する部分になる。これで刷ることができる状態の版ができあがる。 印刷後は、メッシュを別の製版に再利用するために、感光乳剤専用の再生液で硬化した乳剤を溶かし、洗い落とすことで「落版」する。
※この「写真製版法」の解説は、「シルクスクリーン」の解説の一部です。
「写真製版法」を含む「シルクスクリーン」の記事については、「シルクスクリーン」の概要を参照ください。
- 写真製版法のページへのリンク