等角写像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/11 23:14 UTC 版)

等角写像(とうかくしゃぞう、英: conformal transformation)とは、2次元以上のユークリッド空間からユークリッド空間への写像であって、任意の点の近傍の微小な2つの線分が、その成す角を保存するように写像されるものをいう。いいかえれば、座標変換の関数行列が回転行列のスカラー倍となるものである。すなわち、平面上の一つの図形を他の図形に変換(写像)したとき、図形上の二曲線の交角はその写像によっても等しく保たれるような写像を等角写像と呼ぶ。
一見すると、原形から大きく図形が変わったように見えても、対応する微小部分に注目すると、原形の図形と相似になっているのが、等角写像である。等角写像は、複素関数論と深い関係があり、工学上、流体の挙動の記述などにおいて非常に有用である[1][2]。
複素関数の等角写像
複素平面 z から複素平面 w への写像である関数 w = f(z) について、正則関数は等角写像である。逆命題も成り立つ[3]。
関数 f によって点 z0 とその近傍にある2点 z1, z2 が点 w0 とその近傍にある2点 w1, w2 に写像されるとき、f が正則であれば点の近づき方には依らずに微分値が一定になることから
等角写像
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「コーシー・リーマンの方程式」の記事における「等角写像」の解説
まず、コーシー・リーマンの方程式は複素形式に書くことができる。 (2) i ∂ f ∂ x = ∂ f ∂ y {\displaystyle {i{\dfrac {\partial f}{\partial x}}}={\dfrac {\partial f}{\partial y}}} この形式において、コーシー・リーマンの方程式は構造的にヤコビ行列が次の形式のものになる条件に等しい。 ( a − b b a ) {\displaystyle {\begin{pmatrix}a&-b\\b&\;\;a\end{pmatrix}}} ただし、 a = ∂ u / ∂ x = ∂ v / ∂ y {\displaystyle a=\partial u/\partial x=\partial v/\partial y} および b = ∂ v / ∂ x = − ∂ u / ∂ y {\displaystyle b=\partial v/\partial x=-\partial u/\partial y} 。この形式の行列は複素数の行列表現である。幾何学的には、そのような行列は常に相似拡大(英語版)を伴う回転の合成写像であり、特に角度を保存する。関数 f(z) のヤコビアンはzにおいて2曲線の交差する点において無限小の線分を持ち、それらを f(z) の対応部分に回転する。従って、ゼロではない導関数を持つコーシー・リーマンの方程式を満たす関数は平面において曲線間の角度を保存する。すなわち、コーシー・リーマンの方程式はある関数が司る写像が等角写像であるための条件となる。 さらに、等角写像同士の合成もまた等角写像となることから、等角写像を伴うコーシー・リーマンの方程式の解の合成は、それ自体がコーシー・リーマンの方程式の解となる必要がある。よって、等角的に不変である。
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