自明な写像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 18:57 UTC 版)
集合 A の任意の元 a に対して a 自身を対応させると、これは A から A への写像になる。この写像を恒等写像といい、IA や idA や 1A などで表す。 B を A の部分集合とするとき、B の任意の元 b に対して b 自身を A の元として対応させる B から A への写像を包含写像といい、iA, B や incA, B などで表す。 f: A → B とする。A の部分集合 A′ について、A′ の各元 a に対して B の元 f(a) を対応させると、これは A′ から B への写像になる。この写像を f の A′ への制限写像といい、f|A′ と表す。 A が空集合のとき、A から B への写像はただ一つ存在し、これを空写像と呼ぶ。空写像に対応するグラフは空集合である。A の元が存在しないので何の対応も定めてはいないが、これも立派な写像である。素朴な定義では、f が写像であるとは「a が A の元ならば B の元 f(a) がただ一つ定まる」が成り立つことであったが、A が空集合ならば「a が A の元」は偽であるから、この命題は真である。この議論は A と B が共に空集合である場合も通用するので、空集合から空集合への写像は空写像ただ一つである。
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