対称双線型形式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/22 16:01 UTC 版)
線型代数学における対称双線型形式(たいしょうそうせんけいけいしき、英: symmetric bilinear form, symmetric bilinear functional)は、ベクトル空間上の対称な双線型形式を言う。平たく言えば、実ベクトル空間上の標準内積を一般化した概念である。対称双線型形式は、直交極性や二次曲面の研究に非常に重要である。
文脈上、双線型形式について述べていると明らかな場合は、単に短く対称形式と呼ぶこともある。対称双線型形式は二次形式と近しい関係にあり、この両者の差異に関する詳細はε-二次形式の項目を参照。
定義
V を体 K 上の有限次元ベクトル空間とする。写像 b : V × V → K が、V 上の双線型形式であるとは、すべてのベクトル[要曖昧さ回避] u, v, w ∈ V とスカラー λ ∈ K に対して次の3条件を満たすことである。
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直交性と特異性
双線型形式は対称ならば反射的である。ふたつのベクトル v, w ∈ V が V 上の対称双線型形式 b に関して直交するとは b(v, w) = 0 が成り立つことをいう。(反射性より、これは b(w, v) = 0 と同値。)これを記号 v ⊥ w で表す[4]。
部分集合 X ⊆ V に対して X のすべてのベクトルと直交するベクトル全体からなる集合を X⊥ と表す[4]。これは V の部分空間となる[5]。とくに V⊥ は対称双線型形式 b の根基 (radical) と呼ばれる[6]。 ベクトル v が根基に属するための必要十分条件は、適当な基底 E に関する表現行列 B を用いて述べれば、v を E に関して列ベクトルと同一視したとき
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2017年7月)標数が 2 でない体 K の上のベクトル空間 V 上で定義される、自明な根基を持つ対称双線型形式 b に対し、V の部分空間全体の成す集合 D(V) からそれ自身への写像
を定義することができる。この写像は射影空間 PG(W) 上の直交極性 (orthogonal polarity) である。逆に、すべての直交極性はこの方法により得られる、自明な根基を持つ二つの対称双線型形式が同じ極性を持つための必要十分条件は、それらがスカラー倍の違いを除いて一致することである。
出典
- ^ Scharlau 1985, p. 1, Definition 1.1.
- ^ Scharlau 1985, p. 4.
- ^ Scharlau 1985, p. 5, Lemma 2.1.
- ^ a b Scharlau 1985, p. 2, Definition 1.2.
- ^ Scharlau 1985, p. 2, Lemma 1.3.
- ^ Scharlau 1985, p. 7.
- ^ Scharlau 1985, p. 7, Corollary 3.2.
- ^ Scharlau 1985, p. 9, Lemma 3.11.
- ^ Milnor & Husemoller 1973, p. 6, Corollary 3.4.
- ^ Scharlau 1985, p. 7, Theorem 3.5.
参考文献
- Milnor, J.; Husemoller, D. (1973). Symmetric Bilinear Forms. Ergebnisse der Mathematik und ihrer Grenzgebiete. 73. Springer-Verlag. doi:10.1007/978-3-642-88330-9. ISBN 3-540-06009-X. MR0506372. Zbl 0292.10016
- Scharlau, W. (1985). Quadratic and Hermitian Forms. Grundlehren der Mathematischen Wissenschaften. 270. Springer-Verlag. doi:10.1007/978-3-642-69971-9. ISBN 3-540-13724-6. MR0770063. Zbl 0584.10010
外部リンク
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