直交性と特異性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 01:54 UTC 版)
双線型形式は対称ならば反射的である。ふたつのベクトル v, w ∈ V が V 上の対称双線型形式 b に関して直交するとは b(v, w) = 0 が成り立つことをいう。(反射性より、これは b(w, v) = 0 と同値。)これを記号 v ⊥ w で表す。 部分集合 X ⊆ V に対して X のすべてのベクトルと直交するベクトル全体からなる集合を X⊥ と表す。これは V の部分空間となる。とくに V⊥ は対称双線型形式 b の根基 (radical) と呼ばれる。ベクトル v が根基に属するための必要十分条件は、適当な基底 E に関する表現行列 B を用いて述べれば、v を E に関して列ベクトルと同一視したとき B v = 0 {\displaystyle Bv=0} が成り立つことである。これは v ⊤ B = 0 {\displaystyle v^{\top }B=0} とも同値である。 対称双線型形式 b が特異 (singular) であるとは、その根基が非自明なことをいう。また対称双線型形式 b が非退化あるいは非特異 (non-degenerate, non-singular) であるとは、特異でないことをいう。これは随伴写像 b ^ : V → V ∗ , v ↦ b ( v , − ) {\displaystyle {\hat {b}}\colon V\to V^{\ast },\ v\mapsto b(v,{-})} が同型写像であることと同値である。ただし V* は V の双対空間 Hom(V, K) である。対称双線型形式 b が非退化ならば V の部分空間 W に対し W⊥ の次元は dim W⊥ = dim V − dim W である。
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