翁とは?

おう【翁】

常用漢字] [音]オウ(ヲウ)(漢) [訓]おきな

男の老人。おきな。「村翁老翁白頭翁不倒翁

男の老人敬称。「杜翁(とおう)(トルストイ)・奈翁(なおう)(ナポレオン)」

名のり]おい・おき・とし・ひと

難読信天翁(あほうどり)


おう〔ヲウ〕【翁】

男の老人。おきな。

接尾語のように用いて男の老人敬称とする。「芭蕉翁」「福(ふく)翁」「沙(さ)翁(=シェークスピア)」

単独代名詞のように用いる。「翁の伝記を読む」


おきな【翁】

年取った男。おじいさん。⇔嫗(おうな・おみな)。

老人自称

「—の申さむことは聞き給ひてむや」〈竹取〉

能などに用い老人の面。おきなめん

[補説] 曲名別項。→翁

翁の画像
(3)のひとつ「白色尉(はくしきじょう)」/撮影・JoshBerglund19 https://goo.gl/v0XQiK
翁の画像
(3)のひとつ「黒色尉こくしきじょう)」/撮影・Norio Nomura https://goo.gl/LIA4aE

おきな【翁】

能で、別格に扱われる祝言曲。翁・千歳(せんざい)・三番叟(さんばそう)の三人歌舞からなり正月初会祝賀能などの最初に演じられる。翁役は白色尉(はくしきじょう)、三番叟役は黒色尉(こくしきじょう)という面をつける。→式三番(しきさんば)

翁の画像
白色尉(はくしきじょう)/撮影・JoshBerglund19 https://goo.gl/v0XQiK
翁の画像
黒色尉こくしきじょう)/撮影・Norio Nomura https://goo.gl/LIA4aE

おう ヲウ 【翁】

1 〔名〕

① 年を取った男。老人。おきな。〔漢書匈奴伝上〕

老人敬って呼ぶ語。代名詞的に用いる。蕉門俳諧仲間などでは松尾芭蕉をさす。

俳諧・いつを昔(1690)十題百句「あかあかと日は難面(つれなく)も秋の風〈翁〉」

松翁道話(1814‐46)序「翁姓は布施(ふせ)、名は矩道(のりみち)、伊右衛門と称し、また松翁号す」〔揚子方言‐六〕

2接尾

① 男の老人の名に付けてその人を敬う気持添える。

俳諧三冊子(1702)白双紙しかるに亡師芭蕉翁、此みちに出て三拾余年俳諧初て実を得たり

小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上「士辺釵(スペンサア)翁の傑作なりける」

② 男が自分の名の下に付けて年老いた者の意で、へりくだる気持添える。

寂照芭蕉書簡貞享四年(1887)一一月二四日寂照居士几下 芭蕉翁」

3代名自称年老いた者の意で、へりくだる気持で、男が用いる。

蘭東事始(1815)上「『〈略〉望あらば、早天浅草三谷町出口茶店まで御越あるべし。翁も此所まで罷越(まかりこし)待合すべし』と認(したた)め」


おきな【翁】

1 〔名〕

年老いた男。⇔おみな・おうな。

万葉(8C後)一八・四一二八「くさまくら旅の於伎奈(オキナ)と思ほして針そたまへる縫はむものもが」

老人親しみ呼ぶ語。とくに、俳諧世界では、松尾芭蕉をさしていう。

書紀720安閑元年一〇月(寛文版訓)「歳の後に、朕が名絶えん。大伴の伯父(オキナども)、今何計(いかのごとき)を作(せ)む」

談義本教訓雑長持(1752)三「いざさらば雪見にころぶ所迄とは、翁(オキナ)の名句

老人が、自己へりくだっていう語。

*竹取(9C末‐10C初)「おきなの申さん事聞き給てむや」

④ =おきなめん翁面

申楽談儀(1430)面の事「おきなは日光打、彌勒打手也」

(5)おきなわたし翁渡)」の略。

浮世草子本朝桜陰比事(1689)五「あまた弟子ある中に太夫太夫とて〈略〉是を名代に遣はし、相勤めさす内談せしに、翁をわたす事をあらそひ、師匠のままにもならず」

(6) ドブガイ一種

(7) 白髪こんぶを使った料理につける名。祝儀献立によく用いられる。

2 謡曲正月初会祝賀能などで最初に演じる。戯曲的な筋がなく、翁・千歳(せんざい)・三番叟(さんばそう)の三人祭儀歌舞がある。

[補注]養老戸令」では「六十六為耆」とある。オはオホに同じく年上」の意から「老(おゆ)」の意。オキナオミナ音便形オウナ)との対にみられるように、キとミとの対で男・女表わす


おお‐じ おほぢ 【祖父・翁】

〔名〕 (「ぢ」は、男性対す敬称「ち」の変化した語)

父母の父。祖父。おおてて。⇔祖母(おおば)。〔令集解738)〕

源氏100114頃)桐壺この君さへかくおはしそひぬれば春宮の御おほちにてつひに世中をしり給べき右のおとどの御いきほひは」

② 年とった男性老翁。じじい。江戸時代村落にあっては六〇歳以上の老人をいい、夫役免除された。

御伽草子一寸法師室町末)「中ごろのことなるに、津の国難波の里に、おほぢとうばと侍(はんべ)り」

浮世草子元祿大平記(1702)二「老屈かがまれる姥(うば)おうぢ、はるかのあとに引さがり〈略〉おうぢがうばにいふやうは」

狂言用い老人の面。「財宝」「老武者」「枕物狂」などに用いる。

祖父&wc3;〈東京国立博物館蔵〉の画像

*虎寛本狂言腰祈室町末‐近世初)「シテ。祖父の面」

[語誌](1)語源に関しては「おほちち(大父)」の約とする説もあるが、祖父を父と区別するために、世代兄弟姉妹の上位者表わす「おほ」を「ち」に冠したものと思われる
(2)「おほば(祖母)」が、「おば」「うば」となって、勢力弱めたのとは異なり、「おほぢ」は、院政期ごろまでに「おぢ」を派生したものの、江戸期に「ぢぢ」やその派生語にとって替わられるまで、祖父を表わす代表語であった。→「おおば(祖母)」の語誌


読み方:オキナokina

(1)古典芸能で演じられる儀式祝言曲。
(2)江戸時代村役人一名

別名 名頭(みょうとう、みょうず)


おきな 【翁】

日本能楽演目古く式三番)。別名神楽。演能の場を清め天下泰平五穀豊穣を祈る曲とされ、公的催し最初に演じられた。神聖な曲として他の曲と区別する。今も祝賀追善正月などに演じられる。演奏者潔斎し、能面には神酒洗米などを供える

翁(白式尉) Okina

翁は能にして能にあらず。最も古くから存在する、神の面として神聖視されている。知恵安らぎ象徴で皺がくっきりと描かれているのにふくよか表情下顎切り離してある切り顎。この切り顎は翁系の3面のみで他には見られない。白式尉は翁のシテ黒式尉狂言三番叟三番三)が使用する。
使用曲目:翁のシテ 翁

読み方オキナ

翁とは、能の演目のひとつ。

天下泰平寿ぐことほぐ)能。

「能にして、能にあらず」と言われ通常の物語演ずるものとは違い、数種類の歌や舞を集めたものです。

この祝い演目演ずる能楽師は、かつて「別火(べっか)」という儀式心身清めそうです
別火」とは、女と火を分けということであり、女を絶った生活をするという意味です。
現代では、どこまで厳密に別火」できるかわかりませんが、そうした考えは残っているようです

作者不詳

とうどうたらりたらりらたらりららりららいどう」という謡の意味も、諸説があり、定まっていないようです。

なんとも不思議な、それでいてとても重んじられている演目です。

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関連用語
能/謡


おきな〔翁〕

翁の面をつけ扇を持った構図
能楽祝言舞曲「翁」から出たもの。翁の面をつけ、扇を持って舞う目出度い構図

読み方
うん
おう
おお
おきな
おん

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/12 17:59 UTC 版)

(おきな)は、年取った男、老人を親しみ敬って呼ぶ語。他人を呼ぶ時に使うと敬う意味になり[注釈 1]、自身を呼ぶ時に使うとへりくだる意味になる。


  1. ^ 例:「芭蕉翁」、「竹取の翁(竹取物語)」など[要出典]
  1. ^ 『大辞泉』[要ページ番号]
  2. ^ 中沢 2003, p. 26.
  3. ^ a b 中沢 2003, p. 31.
  4. ^ 中沢 2003, p. 34.
  5. ^ 中沢 2003, p. 165.
  6. ^ 中沢 2003, p. 166.
  7. ^ 金春 2007, p. 4.
  8. ^ 中沢 2003, pp. 165-166、322(巻末付録 現代語訳『明宿集』).
  9. ^ a b c 中沢 2003, p. 167.
  10. ^ 中沢 2003, p. 184.
  11. ^ 中沢 2003, pp. 184-185.
  12. ^ 中沢 2003, p. 185.
  13. ^ 金春 2007, p. 5.
  14. ^ 中沢 2003, pp. 185-186、328-329(巻末付録 現代語訳『明宿集』).
  15. ^ a b 中沢 2003, p. 186.
  16. ^ 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト 2017, p. 「宿神」.
  17. ^ 中沢 2003, pp. 56-57.
  18. ^ a b c 中沢 2003, p. 57.
  19. ^ 中沢 2003, pp. 57-58.
  20. ^ a b c d 中沢 2003, p. 58.


「翁」の続きの解説一覧

出典:『Wiktionary』 (2020/01/03 15:59 UTC 版)

発音

名詞

  1. オウ男性老人漢語表現人名につけて敬称とすることもある。

熟語


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