べっ‐か〔‐クワ〕【別火】
べつ‐び【別火】
読み方:べつび
⇒べっか(別火)
別火
別火
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 10:00 UTC 版)
3月1日の本行に入る前に「別火」と呼ばれる前行がある。戒壇院の庫裡(別火坊)で練行衆が精進潔斎して合宿生活を行うのである。世間の火をいっさい用いず、火打ち石でおこした特別の火だけを利用して生活するのでこのように言われる。 初めての練行衆(新入 しんにゅう)と初めて大導師をつとめる人は2月15日から、それ以外の練行衆は2月20日から別火に入る。 別火には「試別火」(ころべっか)と「総別火」(そうべっか)の二つの期間がある。試別火の期間は5日(新大導師は10日)であとは「総別火」に入る。 試別火の期間は自坊に物をとりに行く程度は許されているが、勝手な飲食も火にあたることもできない。境内の外に出てもならない。かつては自坊で行ったが、妻帯するようになってから合宿するようになった。 2月21日は「社参」が行われ、新入を除く練行衆が和上を先頭に列を作り、八幡殿、大仏殿、天皇殿、開山堂に参詣し、行の安全を祈願する。途中4箇所で平衆がほら貝を吹く。また、この日、二月堂の湯屋で、「試みの湯」が行われる。「例年の如く御加行なさりょうずるで候や」と問われ、修二会に参加する覚悟を固めるてから入浴する。 2月23日には「花拵え」「燈心揃え」が行われる。東大寺修二会では仏前に供える花として造花(椿と南天)を作る。また、この日、灯明に用いる燈芯を作る。この二つの作業に練行衆、三役らが総出で行い、椿400個、南天50個、多くの燈芯を用意する。2月24日には上七日に仏前に供えられる壇供(だんぐ)と呼ばれる厚さ3cm直径15cm程の餅を1000個つく(3月5日にも同数の檀供が下七日の為につかれる)。 試別火の期間中、本行に備えて法具を準備したり、夜は声明(節をつけて経を読む)の練習をする。声明の節は複雑で、すべて暗記せねばならず、特に新入にとっては大変な仕事である。 2月25日(閏年26日)の社参は娑婆との別れの意味を含む。 総別火に入るのは2月26日で、順次入浴し、紙衣(紙で作った衣)を着る。紙衣は清浄な物と考えられており、行の期間中はこれを着続ける。この期間中は別火坊の大広間のテシマゴザという清浄なゴザのうえ以外に座ってはならず、私語は許されず、火の気は一切ない。湯や茶を勝手に飲むことができず、土の上に降りてはならない。 椿の造花を枝に指したり、紙衣の上に重衣という墨染めの衣を初めて着る「衣の祝儀(2月27日)」などがおこなわれる。また夕刻ほら貝の吹きあわせもする。夜は声明の練習である。 2月の末日になると、戒壇院の別火坊から本行の行われる二月堂に移動するためあわただしくなる。各種の法具などは香の煙をたきしめて清める「香薫」をしてから外に運び出す。最後に大広間で「大懺悔(おおいさんげ)」を唱えてから、練行衆は二月堂に移る。本行のはじまりである。
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