狂言 狂言の概要

狂言

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/11 00:45 UTC 版)

狂言「水掛聟(みずかけむこ)」

概要

2人以上の人物による、対話と所作を用いた演劇である。

狂言と同様に猿楽から発展した能が、舞踊的要素が強く、抽象的・象徴的表現が目立ち、悲劇的な内容の音楽劇であるのに対し、狂言は、物まね・道化的な要素を持ち、失敗談を中心としたシナリオおよび、様式をふまえた写実的ときには戯画的な人物表現を通じて、普遍的な人間性の本質や弱さをえぐり出すことで笑いをもたらす[1][2]

その笑いの質は、曲目(演目)によって、風刺性を帯びる場合もあれば、ほがらかな言葉と動きによって観客の幸運を祈る祝祭的な性質を持つ場合もある[2]

語源・語用

「狂言」は、道理に合わない物言いや飾り立てた言葉を意味する仏教用語の「狂言綺語」(きょうげんきご)に由来する語である。この語は主に小説などを批評する際に用いられた(例:願以今生世俗文字業狂言綺語之誤 翻為当来世々讃仏乗之因転法輪之縁 - 白楽天)。さらに一般名詞として、滑稽な振る舞いや、冗談や嘘、人をだます意図を持って仕組まれた行いなどを指して「狂言」と言うようになり(後述)、さらに南北朝時代には、「狂言」は猿楽の滑稽な物まね芸を指す言葉として転用され、定着する[1]

江戸時代中期になると、「狂言」の語は、演劇歌舞伎文楽)をはじめとする芸能全般の別称としても広く用いられるようになり、やがて歌舞伎の公的な名称として「狂言」あるいは「狂言芝居」が用いられた[3]。このためにこの項における狂言と区別がつきにくくなり、歌舞伎を「歌舞伎狂言」、この項における狂言を「能狂言」と呼称・表記する場合があった[1]。現代でも、歌舞伎などでは、演目や上演の形式に関する用語に「狂言」の語を用いる(例:通し狂言)。

狂言の歴史

申楽(猿楽)ないし猿楽態(さるごうわざ)と総称された即興性と滑稽味を持った劇芸能から、能と狂言がそれぞれ分立していった経緯や、その能と密接に提携する形式(間狂言、別狂言)のルーツなどは明らかでない[2]が、室町時代の初期から末期にかけて、現代に伝わる形式や関係性が定着・整備されていったものと考えられている[2]安土桃山時代には、100の曲目(演目)を収録した膨大な台本集『天正狂言本』が残され、現代で演じられるものとほぼ同内容となっている[2]

能同様、江戸幕府指定の「式楽」として儀式的な体制下に置かれる反面、演技の聞き書きを元にしたとみられる「狂言記」が一般向けの読み物として出版されて人気を呼び、幕末まで版を重ねた[2]。また、後述の3流派が成立し、それぞれによる台本の確定と伝承がなされた[2]


  1. ^ a b c 狂言』 - コトバンク
  2. ^ a b c d e f g h i j 北川忠彦、安田章(校注)『完訳日本の古典 48 狂言集』(小学館 1985年)pp.396-402「解説 二」
  3. ^ 今尾哲也 『河竹黙阿弥 : 元のもくあみとならん』〈ミネルヴァ日本評伝選〉ミネルヴァ書房、2009年。ISBN 978-4-623-05491-6 
  4. ^ 『完訳日本の古典 48 狂言集』p.44、p.90
  5. ^ 狂言面』 - コトバンク
  6. ^ 『完訳日本の古典 48 狂言集』pp.410-441「狂言名作解題」
  7. ^ 通常、狂言師は子供のころに、「靱猿」のサル役でデビューする。


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