ラジオ ラジオ受信機の種類

ラジオ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 01:36 UTC 版)

ラジオ受信機の種類

詳細は受信機も併せて参照。

回路方式による分類

回路方式により、以下の種類に分類できる。

鉱石
受信したものを増幅せず、鉱石検波器ゲルマニウムダイオード等で直接検波し、クリスタル・イヤホン等で聴取する。
ストレート
受信した周波数のまま増幅・復調を行う。戦前はほとんどこのタイプ。戦後電子回路を理解するための電子工作で製作する程度の利用のみ。正帰還を用いた再生検波も広く用いられた。
レフレックス
ラジオ搬送波と復調後の音声の周波数帯域が異なるのを利用し、検波前の高周波増幅と検波後の音声増幅を一つの増幅素子で兼ねる方式。増幅素子には真空管トランジスタ等を用いる。昔は高価だった増幅素子を節約するために考案された。原理的にはストレート、スーパーヘテロダイン共にレフレックス方式とする事が可能ではある。
スーパーヘテロダイン
受信した周波数を一定の周波数(中間周波数)に変換した上で増幅・復調を行う。戦中は規制されており、戦後に主流となる。
ダイレクトコンバージョン
受信した周波数に近い高周波を発生させ、直接、音声信号を取り出す。近年、技術革新により安定して高周波を作り出すことが容易となり、中間周波数に変換する部品が省け小型化できるメリットから携帯電話などに盛んに用いられるようになった。
デジタル信号処理(DSP)
受信した周波数を一定の周波数(中間周波数)に変換し増幅・復調をデジタル信号処理して再びアナログ信号に変換してから音声信号を取り出す。近年、ソフトウェアラジオなどに用いられている。

チューニング方式による分類

チューニング(tuning、同調、選局)方式による分類は以下の通りである。

アナログ
アナログラジオ回路の例
可変容量コンデンサ(バリコン)や可変インダクタンス(μ同調器)やバリキャップと可変抵抗、などで選局するもの。大まかに振られた目盛りを頼りに(「コリンズ」のように精密なものもあるが)選局する。昔からあるタイプ。
デジタル表示式アナログ
同調回路はアナログと同様であるが、デジタル表示の周波数カウンタが内蔵されたもの。デジタルのように周波数を数字で確認しながらの直感的な選局が可能だが、テンキーやメモリによる選局は出来ない。また、中間周波の周波数をカウントし定数を足して(または引いて)受信周波数として表示するものであるから、調整がズレていると正確ではない。PLLが安価になる以前に、高級機やBCLラジオなどで採用が見られたが、次に述べるデジタル式の普及により1980年代末期にはほとんど見られなくなった。しかしPLLは消費電力が多くコスト高になるため、この方式を選択した商品が近年に入り再度見られるようになってきている。2018年から発売された中国製マルチオーディオプレイヤーの複数の機種(Bearmax, とうしょう, etc.)は、これで表示されている。
アナログ表示式デジタル
2021年の東芝エルイートレーディングはデジタル表示の周波数カウンタは備わっていないが、手回しで選局するタイプのデジタルチューナーラジオを発表した[3]。FMのみならずAMにも同調表示が出現する。
デジタル(PLLシンセサイザ
基準周波数を元に、一定ステップの周波数を合成して同調回路を構成するもの。高級機や、近年は薄型機にも多く使われる。民生機では1970年代後半頃から登場している。オート選局機能が備わったラジオもある。

形態による分類

厳密な線引きは必ずしもないが、形態によりおおよそ以下に分類できる。

大型
部屋などに置いて使う大型のもの。真空管時代は殆どこれに属する。
通信型(通信用)受信機
送信機と組にする無線設備としての性能を重視したもので、外観としてはチューニング・ダイヤルが大きく操作しやすい、読みとりやすい周波数目盛りがあるかデジタル表示になっている、感度や選択度を可変できるつまみ類が付いている、電波型式を切り替えるスイッチがある、外部アンテナ端子があるなどの特徴がある。ただし必ずしもこれらすべてを満たしているとは限らず、また機能が豊富なものではよりたくさんのつまみ、スイッチ、接続端子を備えているものもある。一般に「レシーバー」とも呼ばれ、ラジオ放送帯域外にも対応する事が多いが、出力音質は重視されない事が多い。
コンポーネントオーディオとして製品化されたチューナーの一例。AM放送とFM放送に対応している。周波数を選択するためのダイヤルや、信号強度、同調の具合を示す計器などが付属している(SANSUI製 TU-307)。
チューナー
コンポーネントオーディオのコンポーネントのひとつ。ラジオの受信機能のみ。アンプを通してスピーカーを鳴らす。
ポータブル
VHSカセット - タバコの箱位の大きさ。乾電池で動作可能。真空管時代にも電池管という電池で動作するミニチュア管やサブミニチュア管を使い、数十ボルト程度の積層乾電池を用いたものがあったが、消費電力の少ないトランジスタの登場により電池管ラジオは急速に衰退し、代わってトランジスタラジオが急速に普及していった。
薄型
シャツの胸ポケットに入る程度のもの。スピーカーを内蔵していないイヤホン専用のものもある。

受信周波数による分類

1バンド
多くは中波(530 - 1605kHz)AMのみ、またはFMのみの製品で、安価な携帯ラジオやライトバン・トラックなどの商用車のカーラジオに多い。その他、ラジオNIKKEI受信専用の短波ラジオも市販されていて(受信周波数が固定されておりスイッチ切り替えだけで済む代わり、周辺の局を聴くことは出来ない)、数は少ないが、製造は続いている。近年はチップセットに実装されたFM放送受信音声出力機能を使用可能にした携帯電話機(特にスマートフォン)がある。
2バンド
中波+FMが多い。アナログチューニングの機器のFM受信周波数範囲は76MHz - 108MHzまでのものが主流である。FM放送の周波数範囲は76MHz - 90MHzだったが、隣接する周波数帯を利用するアナログテレビ放送1チャンネルから3チャンネルまでの音声を受信することを想定して108MHzまで受信できるように設計されていた。しかし、アナログテレビ放送の終了した2011年7月以降は90MHzまでのラジオが増えてきた。その後、2015年頃からFM補完中継局用にFM放送の周波数割り当てが拡大されたことにより108MHzまで、あるいはFM補完中継局の当初の割り当てである95MHzまで受信できるものが再び出始めている。FMステレオが受信できるものや、わずかではあるがFM・AMともにステレオで受信できるものがある。デジタルチューニングのうち、一部の携帯ラジオやラジカセなど90.0MHz以降が「テレビ(TV)1ch - 3ch」のようにチャンネル(音声周波数)が決まっているものは海外では受信できない。なお、FM放送開始以前の1960年代前半[注 3] までは中波+短波(3.9MHz - 12MHz)が多かった。現在でも、中波+短波(ラジオNIKKEI受信用)のラジオは市販されている。中波+FMのホームラジオ、ポケットラジオ、クロックラジオは2019年以降も新製品がどこかのメーカーから投入され、需要に衰えがない。
3バンド
3バンドラジオ
かつては中波+FM+テレビの1ch - 12chの音声が受信できるもの、または中波+FM+短波の3バンドを搭載したホームラジオが多く市販された。中波+FM+複数の周波数域の短波(3.9MHz - 12MHzが主であるが、メーカーによってはBCL向け短波ラジオとして、それよりも上の22MHz、あるいは30MHzまでの後述「4バンド以上」に準じたものもある)が、現在OEMの形態で市販されている。現在は中波+FM+短波(ラジオNIKKEI受信用)のラジオが市販されているほか、2012年に入ってからは中波+FM+テレビUHF(ワンセグ)の音声が受信できるラジオも、少数市販されている。短波を搭載した3バンドラジカセ、という商品もかつてはあったが、現在では希少な存在になっている。
4バンド
4バンドラジオ
中波+FM+短波放送のバンド75 - 13Mの各バンド、あるいは長波・中波・短波の150kHz - 530kHz - 30000kHzを連続受信可能な、「ゼネラルカバレッジ」と呼ばれるもの。2019年現在の日本ではAIWAほか。他にはソニーのICF-890V(生産終了)や、一部のラジカセなどで中波+FM+テレビVHF(1ch - 12ch)+テレビUHF(13ch - 62ch)というタイプもあったが、1ch - 3chを除く(ハワイ及びアメリカ本土では88MHz - 108MHzまでが放送バンドである。超短波放送参照)VHFバンドとUHFバンドは2011年7月24日(岩手・宮城・福島の各県は2012年3月31日)に地上デジタルテレビ放送への完全移行による地上アナログテレビ放送の終了で受信できなくなるため生産が打ち切られ、中波+FM+テレビVHFの1ch - 12chの音声が受信できる3バンドラジオや中波+FM+短波(ラジオNIKKEI受信用)+テレビVHFの4バンドラジオも同様の理由で生産が打ち切られた。このため4バンドラジカセは絶滅した。厳密な意味の4バンドとは、FM+中波+短波+長波を搭載したラジオを指す。他のメーカーで5バンド以上を謳う社は存在するが、短波を周波数帯で細かく割っている[4] だけである。
5バンド
中国のメーカーTECSUN、XHDATA、RADIWOWには中波+FMステレオ+エアバンド+長波+短波の5バンドに対応しているものが複数発売[5][6][7] されており、流通量は少ないが入手は可能である。日本メーカーの5バンドはELPAの2014年発売機種のみ入手できる[8]
ワイドバンドレシーバ
基本的に無線電波通信広帯域受信機で、ラジオ放送・TV放送以外の業務用無線電波通信などの受信再生に対応し、受信可能電波帯域が広いだけでなく、多様な変調方式にも対応する事を目指している。前述の「ゼネラルカバレッジ」の概念を更に押し広げた物である。バンド数というより、対応広帯域バンドの一部が技術的理由で途切れているか、自主規制でマスクされていると理解すべき。

注釈

  1. ^ 日本の電波法上の「ラジオ」の正式名称。
  2. ^ 戦前は多く用いられた。日本放送協会(NHK)編『放送五十年史 資料編』(日本放送出版協会、1977年3月10日発行)p.686によればs、1941年(昭和16年)4月1日、文部省の用語・用字統一方針に従い、NHKでは「ラヂオ」を「ラジオ」、「スタヂオ」を「スタジオ」表記に改定した、としている。日本放送出版協会発行の『ラヂオ年鑑』は、昭和16年(1941年)版 以前は『ラヂオ年鑑』表記であったが、昭和17年(1942年)版 からは『ラジオ年鑑』表記に改められている。
    朝日新聞』では1941年4月1日夕刊2面に「ラヂオはラジオに 国民学校教科書も国語音へ」という見出しの記事が掲載されて以降「ラジオ」という表記が増えたという(『朝日新聞』2015年2月5日朝刊、10面)。
  3. ^ FM東海が動き出したのが1958年末、NHK-FMが動き出したのが1969年
  4. ^ 当時は火花放電による電波。
  5. ^ コヒーラは電波の有無を検出するだけで音声を取り出せない。
  6. ^ 1912年12月に施行された無線通信取締法(Radio Act of 1912)により、無線をするにはオペレーター資格試験と無線局の免許状が必要となり、1905年から1911年頃まで米国で発売されていた大衆無線機テリムコは、無資格・無免許では使えなくなった。
  7. ^ アマチュア無線の送信解禁は同年10月1日。
  8. ^ アマチュア無線家は1,500kHz以上の任意の周波数を申請し、許可を受けることができた。許可される最下限1,500kHzに人気が集中し大変混雑していたところへ、無線電話も参入したため1,500kHzは大混信となった。
  9. ^ 日曜午前は教会に出向けないリスナーのために、KDKAなど多くの局が教会から生中継し、人気番組となっていた。
  10. ^ この思想は現在も放送法の第15条に残っている。
  11. ^ ただし、FM東海は当時実用化試験局として運用されており、民間企業によるFM放送は1969年開局の愛知音楽エフエム放送(現:エフエム愛知)が最初となる。
  12. ^ 但し、大都市圏の一部の県域ラジオ局では当初から近隣のエリア外でも無料配信を実施している。

出典

  1. ^ 広辞苑』「放送無線電話」
  2. ^ 『広辞苑』「ラジオ」
  3. ^ 大音量&高音質!便利なLEDライトもついたステレオホームラジオ”. tlet.co.jp. tlet.co.jp. 2021年6月20日閲覧。
  4. ^ 短波ラジオ”. www.ando-catalogue.com. 2019年1月24日閲覧。
  5. ^ Tecsun pl-660”. www.tecsunradios.com.au. 2019年3月13日閲覧。
  6. ^ Xhdata D-808”. swl.net.ru. 2019年3月13日閲覧。
  7. ^ RADIWOW R-108”. radiwow.com. 2019年3月13日閲覧。
  8. ^ ER-C57WR”. www.elpa.co.jp (2019年3月11日). 2019年3月12日閲覧。
  9. ^ Thomas Matthew "Home-Made Coherers" Wireless Telegraphy For Amateurs and Students 1906 Thomas M.ST.JOHN pp125-136
  10. ^ T.E. O'donnell "The Amateur's Workshop:An Experimental Wireless Telegraph Outfit" Electrician and Mechanic Aug.1907 Sampson Publishing Co. pp41-42
  11. ^ V.H. Laughter "Wireless Telegraphy Made Simple - Part 1: Construction of a Simple Wireless Telegraph Set" Popular Electricity May 1908 Popular Electricity Publishing Co. pp32-36
  12. ^ James D. Thomas "A Silicon Detector" Modern Electrics Dec.1909 Modern Electrics Publication pp426-427
  13. ^ C. Austin ”The Romance of the Radio Telephone” Radio Broadcast May,1922 p16
  14. ^ 栄谷平八郎 『ラジオ発展史』 1947 通信教育振興会 p48
  15. ^ S.R.Winters The Passing of "NOF" As a Broadcasting Station Radio News Mar.1923 p1623
  16. ^ "Regulations Governing General and Restricted Amateur Radio Stations and Amateur Operators" Radio Service Bulletin(No.75) July.2,1923 Department of Commerce p16
  17. ^ a b c d e f g 高木利弘『スマートTVと動画ビジネス 次世代メディアをデザインするのは誰か?』2012年、インプレスジャパン、205頁
  18. ^ a b 高木利弘『スマートTVと動画ビジネス 次世代メディアをデザインするのは誰か?』2012年、インプレスジャパン、206頁
  19. ^ a b c d 溝尻真也 飯田豊(編)「声を伝える/技術を楽しむ」『メディア技術史:デジタル社会の系譜と行方』 改訂版第1刷 北樹出版 2017 pp.76-81.
  20. ^ 『学研まんがでよくわかるシリーズ94 正露丸のひみつ』(2014年3月31日、学研パブリッシングコミュニケーション発行)62ページより。
  21. ^ 日本放送史 日本放送協会編
  22. ^ a b c d e f g h i 放送90年シンポジウム「ラジオは未来の夢を見る」”. 日本放送協会. 2019年9月10日閲覧。
  23. ^ 日本放送史 日本放送協会編
  24. ^ 1932年5月1日放送協会は第1回全国ラジオ調査を実施した。嗜好番組の1位は浪花節57パーセント、以下講談・落語・人情噺・義太夫・民謡など。日本放送史 日本放送協会編。
  25. ^ 日本放送史 日本放送協会編
  26. ^ NHK広島放送局開局80年ラジオドラマ「放送を続けよ ―広島中央放送局の8月6日―」
  27. ^ 白井久夫「幻の声 ―NHK広島8月6日―」岩波新書
  28. ^ 「新たにラジオ東京 新聞関係一本で申請」『朝日新聞』昭和26年1月11日
  29. ^ 中村禎昭、「中波放送用周波数の変更」『テレビジョン学会誌』 1978年 32巻 10号 p.902-904, NAID 110003697789, doi:10.3169/itej1978.32.902
  30. ^ AMステレオ終了のお知らせ”. www.mbs1179.com. 2019年1月22日閲覧。
  31. ^ a b c “全国の民放AMラジオ、令和10年までにFM転換”. 産経ニュース. (2021年6月15日). https://www.sankei.com/article/20210615-7LYQHU44IVJTHLII7DXG6QCDZU/ 2021年6月15日閲覧。 
  32. ^ a b c d “民間AM局の大半、7年後までにFM化へ 対応端末必要”. 朝日新聞デジタル. (2021年6月15日). https://www.asahi.com/articles/ASP6H5R4MP6HUCLV009.html 2021年6月15日閲覧。 
  33. ^ 番組制作における多様な雇用形態 -中堅ラジオ局の事例を中心に- - 2008年5月 久本憲夫(京都大学大学院経済学研究科 教授)、川島広明(日本民間放送労働組合連合会 近畿地方連合会 執行委員)
  34. ^ 片手にラヂヲ♪Kraftwerk
  35. ^ 明石政紀『ドイツのロック音楽 またはカン、ファウスト、クラフトワーク』 p.139。



ラジオ@

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/12/31 23:04 UTC 版)

ラジオ@(ラジオアットマーク)は、FM OSAKAで放送されていたラジオ番組。




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