用途例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 15:38 UTC 版)
CPUのビット数による用途の例を示す。 4ビット 1980年代を中心に、一般的な家電製品、キーボードやマウス、電卓や時計など、ローエンドの組み込みシステムに広く用いられた。家電用の赤外線リモコンなど機能的に単純なものについては4ビットのマイクロプロセッサでも十分であるが、既に新規採用の事例はほとんどなくなっている。 8ビット、16ビット 機器組み込み向けに8ビットや16ビットのプロセッサ・コアと周辺回路を組み合わせたマイクロコントローラ (MCU) と呼ばれるものが広く使用されている。いずれも要求仕様と製造原価との兼ね合いで都合の良いサイズのプロセッサが選定され製造される。だが、この用途でも32ビットマイクロプロセッサの価格低下、旧来用いてきた半導体の製造終了、要求仕様の高度化や汎用開発ツールの援用要求により、あえて32ビット以上のCPUを選択するケースも少なくない。 32ビット 携帯電話やデジタルカメラをはじめ、自動車のエンジン制御や産業用ロボット、工作機械、白物家電など組み込みシステムや大小さまざまなシステムの制御に幅広く用いられており、狭義のCPUと呼ばれるものの主要な使用例である。 2000年代以降の半導体製造技術の進歩に伴い、ローエンドの32ビットプロセッサと16/8ビットプロセッサの価格差は少なくなっており、16ビット命令(ARMのThumb命令など)を持つ32ビットプロセッサがMCU用途にも広く使われるようになっている。 2010年代の高性能・多機能化した情報機器には、メインのCPUの他にしばしばペリフェラル(カメラなどのセンサ類や、ストレージ、ディスプレイ、ネットワークなどの周辺デバイス)制御用の32ビットMCUが組み込まれている。また、IoTデバイスの構成単位としてセンサやアクチュエータに組み込まれるMCUへの性能要求も高度化している。こうしたことから世の中に出回っている32ビットプロセッサの数は膨大である。 64ビット パーソナルコンピュータ (PC)、ワークステーション、サーバ、スーパーコンピュータをはじめ、タブレットやスマートフォンなどの「スマートデバイス」と総称される情報機器、ルータなどのネットワーク機器、ゲーム機など、大量のデータを処理する用途で使われている。 業務用のサーバでは大きな主記憶容量が求められたため、1990年代からCPUとオペレーティングシステム (OS) の64ビット化が進められていたが、一般消費者向けのPCにも浸透したのは2000年代中盤以降である。2010年代以降、市販されているPCは64ビットCPUを搭載するものがほとんどであるが、オフィススイートなどの用途ではアプリケーションソフトウェアを64ビット化してもパフォーマンス向上の恩恵が得られる場面は限られており、また互換性の問題(32ビット版のアドオンが利用できなくなるなど)の回避のために、32ビット版アプリケーションが推奨されているケースもある。一部のプラットフォームでは、64ビットOS上の32ビットエミュレーションレイヤーを介して32ビットアプリケーションを実行することもできるため、すべてのアプリケーションを64ビット化しなければならないというわけではない。また、64ビット版のデバイスドライバが提供されていない周辺機器があるなどの問題から、64ビットCPUを搭載していながらも32ビット版のOSを利用しなければならないケースもある。ただし、画像処理や動画編集など大量のデータを処理する用途では、巨大なメモリを割り当てることができる64ビット化のメリットは大きく、これらのアプリケーションソフトウェアは比較的早い時期から64ビット化が進んだ。2019年現在では、32ビット版デバイスドライバのサポートや更新が打ち切られているケースもある。 スマートフォンも普及の初期は32ビットCPUが用いられたが、2013年9月に発表されたiPhone 5sを皮切りに64ビットCPUへの対応と移行が進んでおり、iOSのように32ビット版アプリケーションの動作サポートを打ち切ったり、Androidのように64ビット版アプリケーションの提供を義務付けたりするプラットフォームもある。 上記の分類に当てはまらないものとして、過去には、互いに結合し自由にビット長を増やす事ができる方式のCPUがあり、これはビットスライスプロセッサと呼ばれた。代表的な製品にAMDのAM2900シリーズなどが挙げられる。AM2901は、スイス連邦工科大学のLilithワークステーション等に使用されていた。またデータをバイト単位で扱うCPU(バイトマシン)の他、ワード単位で扱うCPU(ワードマシン)もある(日本電気のACOS-6など)。
※この「用途例」の解説は、「CPU」の解説の一部です。
「用途例」を含む「CPU」の記事については、「CPU」の概要を参照ください。
用途例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 15:55 UTC 版)
「析出硬化系ステンレス鋼」の記事における「用途例」の解説
析出硬化系ステンレス鋼は、ある程度の耐食性と高い強度が求められる用途に使われる。原料および製造コストが高いため、ステンレス鋼の中では高価な部類に入る。ニッチな分野や用途で活用されている鋼種といえる。析出硬化系の中では、マルテンサイト系の利用量が比較的多い。 船舶では、シャフト、ポンプ、バルブで析出硬化系が用いられる。航空機では、エンジン付近、油圧機器部、脚部、締結部などで析出硬化系が使われる。オーステナイト系の A-286 は、ジェットエンジンおよびタービンホイールの締結品として使用がある。ゴルフクラブやアイゼンといったスポーツ用品でも析出硬化系が用いられる。 析出硬化系ステンレス鋼は各種のばねにも使われる。時効硬化前は比較的柔らかな材質であることを利用して、打ち抜き加工で止め輪や皿ばねを製作する例もある。ボルト類にも使われ、日本では建築物摩擦接合用のステンレス高張力ボルトの材料に、析出硬化系 SUS630 が規定されている。
※この「用途例」の解説は、「析出硬化系ステンレス鋼」の解説の一部です。
「用途例」を含む「析出硬化系ステンレス鋼」の記事については、「析出硬化系ステンレス鋼」の概要を参照ください。
用途例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/20 10:22 UTC 版)
自動車用の小型ジャッキ(パンタグラフジャッキ)はスペアタイヤかパンク修理キットと一緒に自動車に常に置いておくことが推奨される。小型パンタジャッキはほとんどが最大荷重が1 tから2 t程度のため、より重量のあるSUVなどにはねじ式、中型・大型車には油圧式が付属している。これらのねじ式と油圧式は、その形状から「ボトルジャッキ」や「だるまジャッキ」と呼ばれる。 一方、据え置き型のものは安価なものは数千円程度からあり、自動車の整備用や日曜大工用にホームセンターや工具店などで購入できる。最大荷重も2t - 4 t程度で、ある程度の重量物に耐えられる。 災害救助などでは、複数のジャッキで不安定に折り重なった柱や壁を押し上げ固定する場合にも利用される。複数のジャッキを使う場合には、その各々を同時に、あるいは順繰りに少しずつ操作することで、力の合成により物体を支持する。隙間に挿し入れ易い小型ジャッキを複数台用いることで、総重量が数十トンを超えるような倒壊建物の下から生存者を救出できることもある。安価であるため使い捨てにできる利点のほか、建設機械では振動により更なる倒壊の恐れのある倒壊建物に対して利用できる。 自動車整備工場など日常的に利用される所では、移動に簡便な車輪付きの油圧、または空油圧併用ジャッキが使われており、ハンドル操作でジャッキアップ、レバーあるいはバルブ操作でジャッキダウンできる。 また営業中の鉄道線路下部や高層ビルなど重要施設・構造物直下に新たに地下通路などの施設を構築する際、一般的にアンダーピニング工法という工事が実施されるが、この工事においても油圧式のジャッキが頻繁に利用されている。昨今のコンピュータ技術発達に伴い、従来の油圧式ジャッキとパーソナルコンピュータや電気制御弁、シーケンサ等の各計測機器装置が連携を行い、数十台から数百台の油圧式ジャッキが安全かつ同時に制御可能となっている。また、この場合のジャッキ操作は一括集中方式で行われるため、実際の操作オペレーターも少人数で可能になり、建築工事・土木工事における経費削減にも役立っている。
※この「用途例」の解説は、「ジャッキ」の解説の一部です。
「用途例」を含む「ジャッキ」の記事については、「ジャッキ」の概要を参照ください。
用途例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/19 05:49 UTC 版)
食品、健康補助食品、医薬品、化粧品、微生物培養培地などに利用される。現在の食品と食品添加物との分類では、酵母エキスは食品添加物ではなく、醤油や昆布エキスなどと同様に食品に分類されている。
※この「用途例」の解説は、「酵母エキス」の解説の一部です。
「用途例」を含む「酵母エキス」の記事については、「酵母エキス」の概要を参照ください。
用途例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/01/17 13:06 UTC 版)
車内へ車両番号を掲出した例(神奈川中央交通) リアウィンドウに車両番号と所属、電話番号を記載した例(川崎市交通局) バス事業者内で同一仕様の車両が多数存在する場合、車両の管理を行うために用いられる。 同様の理由で、バスファンが管理や情報交換のために使用する。 神奈川中央交通では、バスロケーションシステムのモバイル版において、乗車中のバスの各停留所への到着時刻予測を行う際に、車両番号を入力させている。乗客全般に提供される情報であるため、車両番号が記載されたステッカーを車内の数ヶ所に貼付している。 横浜市営バス・川崎鶴見臨港バスでは車両番号と所属営業所、営業所の電話番号を記載したステッカーを車内に掲出している。川崎市バスでは同様のステッカーをリアウィンドウに掲出している。 京成バスでは乗務員の名札差しを車両番号と登録番号、所属営業所を記載したプレートと一体にして車内に掲出している。 旅客が車内に忘れ物をした際、営業所や車両の特定で、発見や返却が早まる場合がある。
※この「用途例」の解説は、「バスの車両番号」の解説の一部です。
「用途例」を含む「バスの車両番号」の記事については、「バスの車両番号」の概要を参照ください。
用途例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/07 16:22 UTC 版)
耐熱性で電気を通しにくい性質を持ち、半田ごて等の絶縁体として利用されている。雲母を誘電体(電荷をためる物質)に利用した電子部品のコンデンサをマイカコンデンサという。近年では、自動車や建築物等の塗料の材料の一部として使われることがある。 手鑑をつくる際、雲母の粉末を塗布した台紙に古筆を貼り付けることが行われた。後に古筆を台紙から引き剥がす必要が生じたときに、雲母が剥離するので、古筆自体への損傷を抑えることができる。 二酸化チタンをコーティングした雲母(titan coated mica)はパール塗料や絵具の金属色として使われる。 風化した黒雲母は、バーミキュライトとして農業や園芸用に利用される。 化粧品 製紙・プラスチック製造時に混ぜる填料 金属加工用の切削油 ガラス窓の代替、耐熱製品の内部確認窓 発熱物のニクロム線を、絶縁材である雲母で挟み込み、工業・業務用ヒーターとして使用される。穴あけ・切りかけ加工なども可能なため、アイロン・ポット・コーヒーメーカーなどの家庭電化製品にも多く使用される。加熱物に、直接接触させるため、熱効率が良く、昇温速度が早い。 浮世絵版画にパール塗料のような独特の光沢を与えるため、木版画などの画面に施す。膠に加水して雲母を混ぜて過熱し液を作り、刷毛で塗る。
※この「用途例」の解説は、「雲母」の解説の一部です。
「用途例」を含む「雲母」の記事については、「雲母」の概要を参照ください。
用途例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 07:59 UTC 版)
※この「用途例」の解説は、「二酸化マンガン」の解説の一部です。
「用途例」を含む「二酸化マンガン」の記事については、「二酸化マンガン」の概要を参照ください。
用途例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 13:40 UTC 版)
「ステッピングモーター」の記事における「用途例」の解説
産業用途 産業用ロボット垂直多関節ロボット 水平多関節ロボット 直交ロボット 溶接ロボット コンピューター用途 古い磁気ディスク装置等のヘッド移動用トラッキングモーター 現在の製品はリニアモーターを埋め込みサーボで制御している 一般家庭用途 時計#電気式アナログ時計 航空機用途 フライ・バイ・ワイヤ 自動車用途 ドライブ・バイ・ワイヤ NAVi5 自動車用計器 自動車や二輪車の計器に使用される事があるが、これは正確さよりも演出を狙ったものである。 デジタルカメラ レンズの移動に主にステッピングモーターが使用されている。ただし、携帯電話内蔵カメラのような小型のカメラモジュールではサイズの関係からリニアモーターが採用されていることも多い。 パチンコ、パチスロ・スロット 回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、パチンコ、パチスロ機やスロットマシンのリールに使用されている。
※この「用途例」の解説は、「ステッピングモーター」の解説の一部です。
「用途例」を含む「ステッピングモーター」の記事については、「ステッピングモーター」の概要を参照ください。
用途例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/17 05:02 UTC 版)
代表的な窒素肥料の1つ。即効性であるが、窒素分が吸収された後に硫酸イオンが遊離硫酸や硫酸カルシウムとして残り土壌は酸性化するため、更には硫酸イオンが残った土壌は条件により植物に有害な硫化水素を発生させて作物を根・地上の両方から枯らしてしまうため、現在では尿素の方が使用量が多い。硫酸は原料のアンモニア供給源の違いにより合成硫安、回収硫安、副生硫安に分けられる。合成硫安は合成アンモニアと硫酸との中和で得られるもので、最も一般的である。 硫安は、スキー場などでスノーセメントとしてシャーベット状の雪を固めるために使われることもあるが、水質汚濁の原因になっている。 生化学では、タンパク質を沈殿させるために用いられる。(硫安分画:塩析) 消火剤として使用される場合もある。また、水を加えると吸熱反応を起こすため、保冷剤や冷却材として使用されることがある。 石膏や亜硫酸ガスを利用して合成されるものもある。回収硫安はナイロン原料のカプロラクタム製造の際の廃液などから回収されるものである。副生硫安は製鉄所などでの石炭乾留(コークス生成)に際して副生するアンモニアを硫酸に吸収させて得られるもので、生産量は少ない。 硫酸アンモニウムの2018年度日本国内生産量は 911,477 t、消費量は14,935 t 、出荷量は892.484 tである。生産量のうち副生硫安は233,420 t である。 1941年の生産高は124万トンで、第二次世界大戦前最高であった。
※この「用途例」の解説は、「硫酸アンモニウム」の解説の一部です。
「用途例」を含む「硫酸アンモニウム」の記事については、「硫酸アンモニウム」の概要を参照ください。
用途例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 07:12 UTC 版)
ばねの特性や機能を活かして、ばねは幅広い分野にわたって使われている。身近な器具から大型機械・構造物まで、昔ながらの機器から現代的な機器まで、ばねの利用は広範囲に及んでいる。
※この「用途例」の解説は、「ばね」の解説の一部です。
「用途例」を含む「ばね」の記事については、「ばね」の概要を参照ください。
用途例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 05:34 UTC 版)
「オーステナイト系ステンレス鋼」の記事における「用途例」の解説
オーステナイト系ステンレス鋼は、ステンレス鋼の中でも最も広く使われている鋼種であり、家庭用品、建築用、自動車部品、化学工業、食品工業、発電などで広く用いられてる。年間生産量においても、ステンレス鋼中で最大の鋼種である。オーステナイト系はニッケルなどの高価な元素を多く含んでおり、さらに非磁性を利用して他の鉄スクラップと分別しやすいため、スクラップとしての回収率も高く、リサイクルが進んでいる。 身近なステンレス鋼製品としては食卓用のカトラリーが挙げられる。ナイフの刃は硬度が必要なためマルテンサイト系ステンレス鋼で造られることが多いものの、一部の製品はオーステナイト系でも造られている。フォーク・スプーンは、マルテンサイト系もあるが、オーステナイト系の製品が一般的である。これらのカトラリー製品には何の種類のステンレス鋼種が使われているか記されていることが一般的で、"18-8"あるいは"18/8"、"18-10"あるいは"18/10"といった記号がオーステナイト系製であることを示している。 家庭用・業務用ともに、厨房器具でもステンレス鋼が多用されている。家庭用調理器具は高級志向もあってオーステナイト系が主流である。流し台には防食のためにステンレス鋼使用が一般的で、廉価な製品にはフェライト系が使われることもあるが、オーステナイト系製も多い。IH用の調理器具にオーステナイト系を使用する場合は、IH用には磁性体材料が有利なため、普通鋼とオーステナイト系を接合させてクラッド鋼として使われる。 快削ステンレス鋼が活用されているものとしては、細かい穴あけやねじ切りが必要な腕時計の部品で、モリブデンを加えて快削性と耐食性を両立した鋼種が使われている。また、電子部品用のガイドピンなどもオーステナイト系快削鋼を用いている例である。 車体(構体)の主材料にステンレス鋼を使ったステンレス車両が、鉄道車両の現在の主流の1つである。ステンレス車両は、普通鋼製の車両と比べると塗装を省略することができ、保守の手間が少ない。さらに、塗装と腐食代が省略できるため軽量化が可能となっている。 鉄道車両の構体用ステンレス鋼種には、オーステナイト系ステンレス鋼やフェライト系ステンレス鋼が使われている。オーステナイト系の場合は、加工硬化しやすく低炭素化で耐食性を高めた鋼種が主に使われている。組み立て前に冷間加工で高強度化させて使用することで、構体を薄板化させて軽量化を行っている。日本の鉄道車両では、準安定オーステナイト系ステンレス鋼の SUS301 に低炭素化と窒素添加などを行って特性を調整した SUS301L を主材料として使用している。一方、高強度が要求されない内装用などではオーステナイト系標準鋼種の SUS304 が使われている。 レーヨン産業では、粒界腐食対策のために、極低炭素化オーステナイト系または安定化オーステナイト系が使われている。硝酸工業では、扱われる硝酸の濃度によるが、304系、316系、低炭素化した304L系が耐用されている。食品産業では、食品に直接触れて特に耐食性に注意するような箇所は304系または316系のオーステナイト系鋼種を使用している。ビール製造では、発酵・貯蔵タンクが304系を利用し、ビール樽もほとんどが304系である。乳製品産業でも304系または316系の利用が主流である。ただし、醤油などでは塩分濃度が濃いためステンレス鋼の使用は見送られていた。近年では、高耐食性のスーパーオーステナイトステンレス鋼を醤油製造タンクに用いる動きもある。 建築分野では、ドアノブ、丁番、錠前といった建具部品で304系が使われている。建具の金物で304系が主流なのは、車両や船舶でも同様である。また、建物の外装にも見栄えの良さからカーテンウォールや外壁パネルでステンレス鋼を使用するビルは多い。304系が中心的に使われ、環境によっては316系も使われる。光輝を保ち現代的な材質感が得られることから、モニュメントやパブリックアートなどの野外彫刻の素材としてもステンレス鋼は利用されている。彫刻の材質には304系がよく使われ、環境によっては316系も使われる。 原子力発電所では、耐食性と高温強度のためにオーステナイト系は主要構造材料である。ただし、過去に304系を使用していたが、鋭敏化による応力腐食割れの事故が続いたことがあった。そのため現在では極低炭素化させた304L系や316L系、さらには原子力発電用に特別に開発された316L系などが使われている。核融合実験炉やリニアモーターカーなどで使われる超伝導電磁石を約 −270 ℃ の極低温で収容する容器などにもオーステナイト系が使われる。
※この「用途例」の解説は、「オーステナイト系ステンレス鋼」の解説の一部です。
「用途例」を含む「オーステナイト系ステンレス鋼」の記事については、「オーステナイト系ステンレス鋼」の概要を参照ください。
用途例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 15:55 UTC 版)
「オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼」の記事における「用途例」の解説
原料および製造コストが高いため、析出硬化系ステンレス鋼と同じく、二相系はステンレス鋼の中で高価な部類に入る。一方で、二相系と同じ対孔食性のオーステナイト系を用意しようとすると、高価なニッケルやモリブデンの含有量が多い鋼種を用意する必要があり、その点では経済性に優れる。また、リーン二相系では、オーステナイト系の304L系や316L系に匹敵する重量当たり価格も実現できている。 2000年から2007年までの統計によると、二相系の世界での使用量は増加傾向にある。2004年頃からニッケル価格の高騰が起き、ニッケル使用量の少ない二相系に注目が集まった。2008年時点の世界の二相系生産量はおよそ26万トンに達した。2015年時点では、ステンレス鋼全体の使用量に対して二相系の使用量はおよそ1%と推定される。その二相系使用量の内、およそ60%が汎用二相系である。 二相系は、高い耐応力腐食割れ性を活かして海水環境下や油井関係などで使われている。オーステナイト系と比較して応力腐食割れ耐性が高いため、応力腐食割れの懸念がある箇所で使われているオーステナイト系材を置き換えて使うという需要がある。石油生産過程では、応力腐食割れや局所腐食が想定される熱交換器で二相系がしばしば使われる。常圧蒸留装置や減圧蒸留装置、水素化精製装置でも二相系が採用されている。石油・ガスの採掘でも耐海水性や耐硫化物腐食性を活かして二相系が用いられる。坑井作業を制御するアンビリカルには二相系の使用は最も一般的である。近年では、油井の深度化につれてアンビリカルの長尺化が必要となっており、より高強度と高耐食性を有するハイパー二相系が開発された。海水淡水化プラントでは、多段フラッシュ法や多重効用法の蒸発器などの材料に、二相系が使われている。リビヤ、カタール、ドバイなどの中東の淡水化プラントで実績がある。 建設関係では、高耐荷重性能と塩水環境への耐食性能などから、橋梁の材料に二相系が適用されている。構造用鋼を使用する場合と比較して、二相系の使用は初期費用が高くなるが、長寿命・省メンテナンスな橋梁が期待される。ヨーロッパでは、スウェーデン、ノルウェー、スペイン、イギリス、イタリアなどで二相系製の橋梁の実績がある。アジアでは、シンガポールのヘリックスブリッジや香港のストーンカッターズ橋などが二相系で造られている。カタールのハマド国際空港では、ターミナルの屋根に二相系を使用している。空港が海の近くに位置しており、高温多湿の環境と塩による腐食に耐える必要があり、コストや比強度も考慮にいれて二相系が選択された。この屋根は2014年現在世界最大のステンレス製の屋根で、およそ1600トンの二相系が使われている。その他には、コンクリートの鉄筋用にリーン二相系が採用された実績がある。特に海水に近接するような鉄筋コンクリートで採用が始まっている。 製紙・パルプ製造では、後述のように、二相系実用化直後の時期から二相系を用いていた。現在の製紙・パルプ製造でも、バッチ式または連続式蒸解釜、脱リグニン用のブロータンク、白水中のサクションロールなどの材料に二相系が使われている。二相系の超塑性を応用した実際の製品は多くないが、ボーイング737のトイレの洗面台が二相系の超塑性成形で製造された例がある。
※この「用途例」の解説は、「オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼」の解説の一部です。
「用途例」を含む「オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼」の記事については、「オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼」の概要を参照ください。
- 用途例のページへのリンク