オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼
austenitic-ferritic stainless steels |
オーステナイトとフェライトの2相組織を示すステンレス鋼。 |
オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 15:55 UTC 版)
オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼(オーステナイト・フェライトけいステンレスこう)とは、常温で金属組織が主にオーステナイト相とフェライト相から成るステンレス鋼である。二相ステンレス鋼(にそう-)や二相系ステンレス鋼(にそうけい-)とも呼ばれる。オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼とはステンレス鋼の金属組織別分類の一つで、他には「オーステナイト系ステンレス鋼」「フェライト系ステンレス鋼」「マルテンサイト系ステンレス鋼」「析出硬化系ステンレス鋼」の4つがある[2][3]。1930年頃、スウェーデンのアーヴェスタ社によって最初に実用化された。(以下、簡略のためにオーステナイト・フェライト系ステンレス鋼のことを二相系と呼ぶ。)
- ^ ISSF 2016, p. 11.
- ^ 野原 2016, p. 16.
- ^ “How many types of stainless steel are there?”. British Stainless Steel Association. 2018年3月15日閲覧。
- ^ Charles 2015a, p. 1.
- ^ JIS G 0203:2009, 鉄鋼用語(製品及び品質), p. 20
- ^ a b 田中(編) 2010, p. 156.
- ^ “3分でわかる技術の基本 ステンレス鋼の種類と用途”. アイアール技術者教育研究所 (2018年12月10日). 2019年10月14日閲覧。
- ^ Lai Leuk et al. 2012, p. 52; 遅沢 2009, p. 3.
- ^ a b 谷野・鈴木 2013, pp. 102–103.
- ^ 谷野・鈴木 2013, p. 103.
- ^ 田中(編) 2010, p. 100.
- ^ a b 小川 2015, p. 1; IMOA 2014, p. 10.
- ^ 遅沢 2009, p. 3.
- ^ a b IMOA 2014, p. 10.
- ^ a b c d IMOA 2014, p. 8.
- ^ ステンレス協会 1995, p. 634.
- ^ Tiago Felipe de Abreu Santosa, Edwar Andrés Torres Lópezd, Eduardo Bertoni da Fonsecaa & Antonio Jose Ramireza (2016). “Friction stir welding of duplex and superduplex stainless steels and some aspects of microstructural characterization and mechanical performance”. Materials Research 19 (1). doi:10.1590/1980-5373-MR-2015-0319. ISSN 1980-5373.
- ^ a b 阿部 雅之・日裏 昭・石田 清仁・西沢 泰二、1984、「二相ステンレス鋼の結晶粒成長」 (pdf) 、『鉄と鋼』70巻15号、日本鉄鋼協会、1984年3月、doi:10.2355/tetsutohagane1955.70.15_2025 pp. 2025–2032
- ^ a b c 溝口 太一朗、2018、「特集/特殊鋼のミクロ組織のやさしい解説 7.ステンレス」 (pdf) 、『特殊鋼』67巻2号、特殊鋼倶楽部、2018年3月 p. 41
- ^ 森 陽一, 高 業飛, 廖 金孫, 元田 慎一、2017、「二相ステンレス鋼の耐食性における介在物の影響」、『材料と環境』66巻4号、腐食防食学会、doi:10.3323/jcorr.66.142 pp. 146
- ^ a b IMOA 2014, p. 26.
- ^ IMOA 2014, pp. 11–12; 野原 2016, p. 48; Chail & Kangas 2016, p. 1758.
- ^ IMOA 2014, pp. 8–9.
- ^ a b Lai Leuk et al. 2012, p. 52.
- ^ 田中(編) 2010, p. 109; IMOA 2014, p. 9.
- ^ a b Alvarez 2007, p. 54; IMOA 2014, p. 8.
- ^ 田中(編) 2010, p. 23.
- ^ 金属用語辞典編集委員会、2004、『金属用語辞典』初版、アグネ技術センター ISBN 4-901496-14-X p. 194
- ^ IMOA 2014, p. 5; 小川 2015, p. 7.
- ^ a b c d e f g h IMOA 2014, p. 5.
- ^ a b c 小川 2015, p. 4.
- ^ a b c d 小川 2015, p. 7.
- ^ 小川 2015, p. 7; IMOA 2014, p. 5.
- ^ 小川 2015, p. 7; Charles 2015c, p. 1.
- ^ IMOA 2014, pp. 66–7; Alvarez 2007, p. 54.
- ^ ステンレス協会 1995, p. 632; 小川 2015, p. 2.
- ^ 小川 2015, p. 2; IMOA 2014, p. 26; Lai Leuk et al. 2012, p. 58.
- ^ a b Lai Leuk et al. 2012, p. 58.
- ^ a b Chail & Kangas 2016, p. 1760.
- ^ Alvarez 2007, p. 54.
- ^ ステンレス協会 1995, p. 634; 小川 2015, p. 2.
- ^ 遅沢 2009, pp. 5, 7.
- ^ a b 小川 2015, p. 3.
- ^ 遅沢 2009, p. 7; 小川 2015, p. 3.
- ^ IMOA 2014, p. 27.
- ^ Lai Leuk et al. 2012, p. 59; 遅沢 2009, p. 7.
- ^ Lai Leuk et al. 2012, pp. 58–59.
- ^ a b 長田 邦明・吉田 裕志、1995、「超塑性二相ステンレス鋼とその適用」、『まてりあ』34巻5号、日本金属学会、doi:10.2320/materia.34.644 pp. 644–646
- ^ 谷野・鈴木 2013, p. 243.
- ^ ステンレス協会 1995, p. 636.
- ^ 小川 2015, p. 4; Lai Leuk et al. 2012, pp. 52–53.
- ^ IMOA 2014, p. 16.
- ^ 野原 2016, p. 102.
- ^ a b c IMOA 2014, p. 17.
- ^ ステンレス協会 1995, p. 637; 野原 2016, p. 35.
- ^ IMOA 2014, p. 29; ステンレス協会 1995, p. 634.
- ^ 田中(編) 2010, p. 171.
- ^ a b 野原 2016, p. 17.
- ^ a b IMOA 2014, p. 32.
- ^ a b c ステンレス協会 1995, p. 638.
- ^ IMOA 2014, p. 32; ステンレス協会 1995, p. 638.
- ^ ステンレス協会 1995, p. 638; IMOA 2014, p. 34.
- ^ a b IMOA 2014, p. 34.
- ^ Daniel Amâncio Cavalcanti, Palloma Vieira Muterlle, Gustavo Reinke (2019). “Effect of Sigma Phase Precipitated at 850 °C on Corrosion Behaviour of UNS S82441 Duplex Stainless Steel”. Matéria (Rio de Janeiro) 24 (3). doi:10.1590/s1517-707620190003.0775. ISSN 1517-7076.
- ^ a b 大山 正・森田 茂・吉武 進也、1990、『ステンレスのおはなし』第1版、日本規格協会〈おはなし科学技術シリーズ〉 ISBN 4-542-90150-5 p. 82
- ^ a b IMOA 2014, p. 33.
- ^ 田中(編) 2010, p. 109.
- ^ IMOA 2014, pp. 11–12.
- ^ a b c d e IMOA 2014, p. 42.
- ^ a b IMOA 2014, pp. 12–13.
- ^ a b 小川 2015, p. 2.
- ^ a b c d 渡辺 博久、2011、「スーパー2相ステンレス鋼溶接材料」、『溶接学会誌』80巻2号、溶接学会、doi:10.2207/jjws.80.142 pp. 142–146
- ^ IMOA 2014, p. 40.
- ^ 小川 2015, p. 8.
- ^ 小川 2015, p. 9.
- ^ 小川 2015, p. 10.
- ^ IMOA 2014, pp. 45–46.
- ^ a b c d IMOA 2014, p. 36.
- ^ a b 浦川 博史 (2019年). “シモダ技法 NO.2 ハイパー二相ステンレス鍛鋼製フランジの試作”. シモダフランジ株式会社. pp. 1–5. 2019年10月5日閲覧。
- ^ ISSF 2016, p. 14.
- ^ 野原 2016, p. 35.
- ^ Schulz et al. 2014, p. 5.
- ^ Schulz et al. 2014, pp. 1–2.
- ^ 及川 雄介・柘植 信二・江目 文則・本村 洋・井上 裕滋、2017、「開発裏話~構造用素材として優れたコストパフォーマンスを持つ省合金型二相ステンレス鋼(NSSC®2120)の開発」、『まてりあ』56巻10号、日本金属学会、doi:10.2320/materia.56.608 pp. 608–609
- ^ Schulz et al. 2014, p. 1.
- ^ Charles 2015c, p. 4.
- ^ a b c d Alvarez 2007, p. 56.
- ^ IMOA 2014, p. 55.
- ^ a b c d IMOA 2014, p. 57.
- ^ a b c N.R. Baddoo, A. Kosmač (2012年10月5日). “Sustainable Duplex Stainless Steel Bridges (PDF)”. International Stainless Steel Forum. 2019年6月9日閲覧。
- ^ IMOA 2014, p. 56.
- ^ Charles 2015c, p. 3.
- ^ Charles 2015b, p. 70.
- ^ “Stainless steelsand specialty alloysfor pulp, paper and biomass conversion”. Nickel Institute. pp. 21, 26, 33, 87 (2017年). 2020年10月4日閲覧。
- ^ Lai Leuk et al. 2012, p. 59.
- ^ a b c d e f g Charles 2015a, p. 2.
- ^ a b c Cobb 2010, p. 185.
- ^ IMOA 2014, p. 5; Charles 2015a, p. 2.
- ^ Cobb 2010, p. 185; IMOA 2014, p. 5.
- ^ “The History of Stainless Steel”. http://www.worldstainless.org. International Stainless Steel Forum (2016年8月16日). 2019年8月17日閲覧。
- ^ a b c d 遅沢 浩一郎、2011、「講座:ステンレス鋼活用の基礎知識 ―歴史、特性、耐食性― 1.ステンレス鋼の歴史と製造」、『材料』60巻7号、日本材料学会、doi:10.2472/jsms.60.680 p. 682
- ^ a b 小川 2015, p. 6.
- ^ FR 803361, "Nouveaux alliages inoxydables", published 1936-09-29, assigned to Jacob Holtzer Ets
- ^ FR 49211, "Nouveaux aciers inoxydables", published 1938-12-07, assigned to Jacob Holtzer Ets
- ^ a b 小若 正倫、1978、「2相ステンレス鋼の耐食性」、『日本金属学会会報』17巻8号、日本金属学会、doi:10.2320/materia1962.17.657 p. 657–665
- ^ 鈴木 2000, pp. 141–142.
- ^ a b c Alvarez 2007, p. 51.
- ^ Cobb 2010, p. 189.
- ^ 小川 2015, pp. 6–7; Charles 2015a, p. 3.
- ^ 小川 2015, p. 7; Charles 2015a, p. 3.
- ^ Charles 2015a, p. 3.
- ^ Lai Leuk et al. 2012, p. 60.
- ^ 鈴木 2000, p. 165.
- ^ Charles 2015a, p. 4.
- ^ a b 鈴木 2000, p. 149.
- ^ a b Charles 2015b, p. 69.
- ^ a b 小川 2015, p. 7; Chail & Kangas 2016, p. 1756.
- ^ 小川 2015, p. 7; Charles 2015c, p. 2.
- ^ Charles 2015c, p. 4; Alvarez 2007, p. 56.
オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 16:24 UTC 版)
「ステンレス鋼」の記事における「オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼」の解説
詳細は「オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼」を参照 オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼とは、常温でオーステナイトとフェライトの両方が並存する組織のステンレス鋼である。2つの相から成るので「二相ステンレス鋼」などとも呼ばれる。実際のフェライト・オーステナイトの割合は成分と熱履歴によって変わるが、一般的には、それぞれの存在割合がおおよそ同じとなるように製造する。 オーステナイト生成元素とフェライト生成元素の調整によって、オーステナイトとフェライトを並存させる。例えば、ニッケルを 8 % 含むものがクロムを 22 % 以上含むようになると、常温で二相組織を得ることができるようになる。オーステナイト系と同じくニッケルも主要合金元素として含むため、オーステナイト・フェライト系はクロム・ニッケル系ステンレス鋼の一種に分類される。オーステナイト・フェライト系の代表的鋼種の場合で、クロム約 25 %、ニッケル約 4.5 %、モリブデン約 2 % を主要合金元素とする。
※この「オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼」の解説は、「ステンレス鋼」の解説の一部です。
「オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼」を含む「ステンレス鋼」の記事については、「ステンレス鋼」の概要を参照ください。
オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼と同じ種類の言葉
オーステナイトに関連する言葉 | 残留オーステナイト オーステナイト オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼 オーステナイト化 オーステナイト系 |
- オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼のページへのリンク