応力腐食割れ
応力腐食割れ
応力腐食割れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/28 08:41 UTC 版)
応力腐食割れ(おうりょくふしょくわれ、Stress Corrosion Cracking,SCC)とは、金属材料に発生する経年損傷の一種である。
- ^ a b c d 応力腐食割れ(SCC)『エネルギー問題に発言する会』HP
- ^ a b c 水谷義弘 2010, pp. 41.
- ^ a b 原子力安全・保安院 独立行政法人原子力安全基盤機構 2006, pp. 3.
- ^ 六ヶ所村ラプソディーの中で、撮影当時原子力安全委員会委員長であった班目春樹は、「原子力発電所を設計したときには、応力腐食割れ、SCCなんてのは(メーカーは)知らなかったんですよ」と述べている。原子力安全委員会は2012年に廃止され、原子力規制委員会へ移行した。2014年には原子力安全基盤機構も同委員会へ統合された。
- 2011年3月22日の参院予算委員会では社民党の福島瑞穂から福島第一原子力発電所事故に関して質問を受けて、班目は「原子力を推進してきた者の一人として、個人的には謝罪する気持ちはある」と陳謝した。2007年2月の浜岡原発運転差止訴訟の静岡地裁における証人喚問で、非常用発電機や、制御棒など重要機器が複数同時に機能喪失することまで想定していない理由を問われ、「割り切った考え。すべてを考慮すると設計が出来なくなる」と述べていた。読売新聞 2011年3月23日
- ^ a b 「科学 材料早期劣化の疑い 原発機器ひび割れ」『日本経済新聞』2002年9月23日朝刊17面
- ^ 原子力安全・保安院 独立行政法人原子力安全基盤機構 2006, pp. 14.
- ^ a b 出町和之編 2010, pp. 61.
- ^ 出町和之編 2010, pp. 63.
- ^ 原子力安全・保安院 独立行政法人原子力安全基盤機構 2006, pp. 12–13.
- ^ a b 応力腐食割れ_水素注入_貴金属注入『エネルギー問題に発言する会』HP
- ^ 炉内構造物の交換については桜井淳 1998
- ^ a b 出町和之編 2010, pp. 65.
- ^ 出町和之編 2010, pp. 66.
- 1 応力腐食割れとは
- 2 応力腐食割れの概要
- 3 参考文献
- 4 関連項目
応力腐食割れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 16:24 UTC 版)
応力腐食割れとは、腐食環境に引っ張る力(応力)が重なったときに割れが起きる現象である。引張り強さ未満の応力であっても腐食作用が加わることで割れが発生し、最終的には破断にまで至る可能性もある。広義の応力腐食割れは、アノード反応溶解が割れを助長する「活性経路腐食型応力腐食割れ」と、材料中の水素原子が原因となる「水素脆性型応力腐食割れ」に分かれる。応力腐食割れの事例全体の中でも発生事例が多いのが、ステンレス鋼の応力腐食割れ、特に塩化物環境で起きるオーステナイト系の活性経路腐食型応力腐食割れである。オーステナイト系使用上の大きな問題点の一つが、応力腐食割れといえる。 塩化物環境での応力腐食割れの場合、塩化物濃度、溶存酸素、温度が高いほど割れが発生しやすくなる。高温高圧の塩化物水溶液を扱う熱交換器などで起きるものが、オーステナイト系の応力腐食割れの代表例である。実際の環境で起きたステンレス鋼の応力腐食割れの事例によると、多くは 70 °C 以上の環境温度で起きている。塩化物以外では、苛性ソーダなどの高温アルカリ水溶液でステンレス鋼の応力腐食割れは起きる。 固溶化熱処理されたステンレス鋼であれば、結晶粒内を割れが進む「粒内割れ」が塩化物環境の活性経路腐食型応力腐食割れの形態となることが多い。ステンレス鋼で起こる応力腐食割れの多くは粒内割れである。一方で、ステンレス鋼が鋭敏化していると、結晶粒界を割れが進む「粒界割れ」が生じ得る。粒界割れ型の応力腐食割れの場合は、200 °C から 300 °C の高純度高温水でも発生する。粒界割れ型の応力腐食割れを防ぐためにも、材料の鋭敏化を防ぐことが重要となる。 フェライト系とオーステナイト・フェライト系は、オーステナイト系と比較すると応力腐食割れが生じづらい。ステンレス鋼の中で材料を選ぶならば、対応策としてはフェライト系やオーステナイト・フェライト系が選択肢となる。オーステナイト系の場合は、ニッケル含有量を 40 % 近くまで増やすと実用的なレベルまで耐応力腐食割れ性が高まるが、コストの面からこのような鋼種の選択は難しい。引張応力が大きいほど応力腐食割れは起きやすくなるので、引張応力ができるだけ加わらない設計や施工が望まれる。 水素脆性型応力腐食割れは、単に「水素脆化」や「水素脆性」とも呼ばれる。通常の腐食に起因した水素の侵入を原因とする水素脆性の場合は、その耐食性によって炭素鋼などよりもステンレス鋼の水素脆性は起きづらい。水素燃料機器の材料として、オーステナイト系ステンレス鋼が用いられることが多い。しかし、ステンレス鋼であって、腐食に起因した水素侵入ではないため高圧水素ガス環境下では水素脆性の可能性がある。高圧水素中の水素脆性評価によると、オーステナイト系 SUS316L やオーステナイト系析出硬化型ステンレス鋼 A-286 などのオーステナイト安定度の高い鋼種が脆化しづらく、オーステナイト系 SUS304L やマルテンサイト系ステンレス鋼は脆化を示す。ただし、ステンレス鋼の水素脆性の機構自体がまだ未解明で、結論は得られていない。
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