レーヨンとは? わかりやすく解説

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レーヨン

英語:rayon

 レーヨン(rayon)とは、植物繊維パルプ)などを原料として製造される人工繊維一種。絹(シルク)にも似た光沢滑らかな質感特徴とし、人絹人造絹糸)とも呼ばれる

「レーヨン」という呼称そのもの一般名称である(商標ではない)。

レーヨンは、パルプなどに含まれるセルロース天然高分子化合物)を糸状再構成して紡糸することにより製造される化学繊維化繊)の一種ではあるが、石油などを原料とする合成繊維とは区別され、「再生繊維」に区分されるちなみにキュプラ再生繊維である。

レーヨンは、絹ほどではないにせよ、肌触りすべらかで、光沢があり、体に沿って優美な曲線描きやすい。そして絹よりは安い。しかし弱く濡れると脆くなり、水洗いすると極端に縮む、といった難点もある。

レーヨン【(フランス)rayonne/(英)rayon】

読み方:れーよん

《「レイヨン」とも》再生セルロースからつくる光沢のある人造繊維人造絹糸溶解方法によりビスコースレーヨンアンモニアレーヨン・アセテートがある。


レーヨン

レーヨン
天然原料溶解させ、糸状再生して作った繊維再生繊維呼ばれてます。レーヨンはガラスのような特有の光沢があるため、多く場合艶消し施します表面は平らで毛羽はなく耐久性富んでます。染色性は非常に優れていますが、型くずれやしわになりやすいという欠点ありますアロハシャツ多く使われています。


レーヨン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/08/03 22:15 UTC 版)

レーヨンの生地

レーヨン: rayon)は、化学繊維のうち再生繊維の一種[1]。再生繊維は天然に存在する高分子物質を化学構造を変えることなく繊維状に作り変えたもので[2]ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン(キュプラ)、精製セルロース(リヨセル)などがあるが、レーヨンは狭義にはビスコースレーヨンのことである[1]日本では別名人造絹糸(じんぞうけんし)、略して人絹(じんけん)と呼ばれている。

さらに化学繊維のうち半合成繊維に分類されるアセテート繊維のことをアセテートレーヨンと呼ぶこともある[3](アセテート繊維についてはアセテートを参照)。

なお、特にビスコース・レーヨンの人造短繊維をテープル・ァイバーからスフと呼ぶことがある[4]。ただし、スフは広義には人造繊維を短く切ったものの総称であり、繊維ごとにレーヨン・スフ(ビスコース・スフやキュプラ・スフなどを含む)、ナイロン・スフなどと呼ぶ[5]

レーヨンの種類と歴史

イレール・ド・シャルドンネ

1884年フランスイレール・ド・シャルドンネフランス語版英語版が、クワの木からとった繊維を硝酸で処理して硝酸繊維素を作り、これを溶剤に溶かして細い孔から抽出して固化製糸する硝化法人造繊維の製造に成功した[2][5]

工業化

ビスコースレーヨン

1892年イギリスのクロス(Cross)、ビバン(Bevan)、ビードル(Beadle)の3人がキサントゲン酸塩を発見してビスコース法を発明した[2][5]

レーヨン(rayon)の名は欧米でビスコースレーヨンの工業が発展した1924年にアメリカで付けられた[2]。「光線(: ray)」と「綿: cotton)」 を組み合わせたフランス語で、「光るもの」という意味もある。

銅アンモニアレーヨン

1856年[2](一説には1857年[5])にシュバイツァーによってセルロースは銅アンモニア液に溶解することが発見されていたが[2]、この発明を基礎として1889年にドイツのグランツシュトッフ社によって銅アンモニア法が工業化された[5]。その後、1918年にドイツのベンベルグ社が緊張紡糸法を開発して製造法が確立された[2]。この繊維はキュプラ[1]あるいはベンベルグレーヨン[5]ともいう。

なお、直接溶解型の改質には以上の銅アンモニアを溶媒とするキュプラのほか、N-メチルモルフォリンオキサイドを溶媒とするリヨセルがある[6]

評価の変遷

レーヨンは開発当初「万能繊維」ともてはやされた[6]。しかし、その後の第二次世界大戦の前後には綿に代わる汎用繊維とされたものの、弱い、縮む、シワになるという評価を受けた[6]

しかし、肌触りの良さ、高いドレープ性、吸湿性、深みのある染色性、熱安定性などが再評価されるようになった[6]

また地球環境に優しい繊維とされる[6]。ポリエステルなど、石油を原料とした合成繊維と違い、加工処理したあとに埋めると、基本的に微生物により二酸化炭素生分解される。また、焼却した場合は基本的に水とメタンに分解される[7]

日本におけるレーヨン

日本に初めて持ち込まれたのは明治時代中期とされ、鈴木商店の支配人だった金子直吉もイギリス人から人絹糸を見せられ、その数年後には山岡という人物が銅アンモニア法の人絹糸を持ち帰ったとされる[5]

明治時代末期には東京の糸商西田嘉兵衛の西田商店と京都の糸商藤井彦四郎の藤井彦四郎商店がフランスのシャルドネ社(フランス語版英語版)やドイツ国のヴェレイニグテ・グランツストフ=ファブリケン社(ドイツ語版英語版)からの輸入契約を結んだことに始まる[8]1905年(明治38年)に神戸税関で人工絹糸が通関されたのが税関統計に記録されている[8]。ただし、この時の商品がレーヨン(人工絹糸)ではなく中間生成物であるビスコースだとする文献、京都の横田商会が1回のみの輸入した際の記録とする文献などもあり、日本におけるレーヨンの輸入第1号であるかの確証はない[8]。いずれにせよ、西田と藤井の両者が日本国内におけるレーヨンの需要拡大、普及に大きく寄与した[8]

なお、レーヨン=アーティフィシャル・シルク(人工絹糸)に対し、「人造絹糸」の訳語を命名したのは藤井彦四郎であると1926年(大正15年)3月18日の中外商業新報で「人造絹糸という名称の起源に就て」として紹介されている[8]

日本で最初の製造の試みは、先述の金子直吉によって提案され、1907年(明治40年)に日本セルロイド人造絹糸株式会社が設立された[5]。ところが、その製法は欧米で確立されていたビスコース法ではなく硝化法であったため、その前途が危惧されて工場は操業することなく閉鎖となった[5]

1915年(大正4年)には中島朝次郎が日本で初めて銅アンモニアレーヨンの製造実験に成功し、三重県松阪に中島人造絹絲製造所を設立し、製造を開始する。中島は同年11月の大正天皇即位大典に製品を献納することもしたが資本的に恵まれなかったため生産も小規模で大成しなかった[9]

一方、鈴木商店は1914年(大正3年)にビスコース法によって実験的製造に成功した久村清太に着目、資金バックアップを行い、1915年(大正4年)には東レザー(1917年、東工業と改称)分工場 米沢人造絹糸製造所が設立され、日本初のビスコース法レーヨン糸の試験生産を開始した[9]。この工場は1918年(大正7年)に独立し帝国人造絹絲株式会社(帝人の前身)となる。

1914年(大正3年)にはヨーロッパで第一次世界大戦が勃発しており、日本もレーヨン糸の輸入に支障が起き、価格が騰貴。レーヨン工業は収益率の高さを求められる環境が生まれた。このため、1916年(大正5年)から1921年(大正10年)にかけて前述の帝人をはじめ8社ほどレーヨン製造会社が続々と設立される[9]。しかし、第一次世界大戦が終息すると戦争景気からの反動でレーヨン糸の価格は暴落する。この暴落に伴う日本のレーヨン製造業再編成を生き延びたのは旭絹織(後の旭化成)、三重人造絹絲、東京人造絹絲の3社であった[9]

旭絹織は1928年(昭和3年)、アセチルセルロース関連のドイツグランツストフドイツ語版及びイギリスコートールズ英語版、また翌年設立の日本ベンベルグ絹絲株式会社パラシュート・シルク製造のベンベルク・シルク社英語版の製造ライセンスを買収[10]。1938年にはABCD包囲網と、国家総動員法付随の経済統制令により、綿製品の民間利用が事実上禁止され、レーヨン需要が急増した[11][12]

第二次世界大戦時また戦後においては、他の繊維と同様に価格統制を受けていたが、1950年(昭和25年)4月27日に統制が撤廃された[13]

特徴

長所

  • 清涼感のある肌触りである[14]
  • 吸湿性がよい[14]
  • つやや光沢がある[14]
  • 発色性が良い[14]
  • 制電性がある[14]。静電気を起こしにくい。

欠点

  • 着用時に擦れると白色化しやすい。
  • 濡れると、強度が濡れる前の状態から3割程度に低下する。
  • 水ジミができやすい。
  • 洗濯で縮みやすい。

製造時の毒性

製造時に使用する二硫化炭素による健康被害は1800年代から知られていたが、イギリスで被害統計が作成されたのは1960年代であった[15][16]

脚注

出典

  1. 1 2 3 坂倉 秀夫「アセテート繊維の開発動向」『繊維学会誌』第60巻第4号、繊維学会、1991年、82-89頁。
  2. 1 2 3 4 5 6 7 馬場本(堀口)絵未「レーヨンの化学」『化学と教育』第60巻第4号、繊維学会、2012年、172-177頁。
  3. アセテート繊維」『百科事典マイペディア』平凡社コトバンクより2026年8月3日閲覧
  4. 工業-繊維製品- 岡崎信用金庫、2019年12月15日閲覧。
  5. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 岩下 正弘「人造繊維について(三)」『同志社商学』第12巻第6号、同志社大学商学会、1961年、571-590頁。
  6. 1 2 3 4 5 岡本 彬「差別化レーヨンとその改質の一例」『繊維機械学会誌』第47巻第4号、繊維機械学会、1994年、147-P151。
  7. 環境循環型繊維としてのレーヨン素材の提案”. ダイワボウレーヨン. 2021年4月14日閲覧。
  8. 1 2 3 4 5 小倉栄一郎 1980.
  9. 1 2 3 4 ユニチカ.
  10. 「旭絹織分裂か: 野口専務策動」。1929年3月8日。大阪毎日新聞神戸大学新聞記事文庫。
  11. 「経済統制法解説総覧 第9輯」。1944年。中川一郎。 綜文館
  12. 自主から強権へ統制完成に驀進 : オールスフ時代実現まで大阪毎日新聞1938年6月29日。神戸大学新聞記事文庫
  13. 岩波書店編集部 編『近代日本総合年表 第四版』岩波書店、2001年11月26日、376頁。ISBN 4-00-022512-X
  14. 1 2 3 4 5 礒部 昭博「甦えるレーヨン」『繊維学会誌』第40巻第8号、繊維学会、1984年、535-541頁。
  15. “Chapter 5.4 : Carbon disulfide”. Air Quality Guidelines (2 ed.). WHO Regional Office for Europe, Copenhagen, Denmark. (2000). オリジナルの18 October 2022時点におけるアーカイブ。 2021年7月31日閲覧。
  16. Occupational Health and Safety – Chemical Exposure”. SBU.se. スウェーデン健康科学及び社会福祉評価協会英語版 (SBU). 2017年6月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年2月2日閲覧。

参考文献

関連項目

日本の繊維メーカーはかつてレーヨンを主力商品にしており、社名にその名残のある会社がある。

外部リンク


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