NAVi5とは? わかりやすく解説

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NAVI5

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NAVI-5(電子制御式自動5段変速機)

特徴:本装置はいすゞが世界に先駆けて開発した本格的量産型の電子制御式自動5段変速機(通称NAVI-5)である。従来のマニュアルトランスミッション、乾燥単板クラッチを用い、ベテランドライバーの運転操作や感覚を人間工学的に解析し人間が手足で行う運転動作の大部分を電気-機械系に置き換え、場合によっては、人間以上の操作を行うシステムである。
1.自動変速、手動変速が選択可能
自動変速モードでは、コントロールユニット(ECU)によりクラッチの断続、最適ギア段の選択とシフト及び変速時スロットル操作等の一連動作が全て自動で制御されるためアクセルペダルを踏み込むだけで運転可能である。また、シフトレバーを積極的に操作することによりダブルクラッチ操作等M/T車と同様のシフト操作とプロ並みの運転感覚が楽しめる。
2.燃費が良く、バラつきがない
常にECUによる最適制御が行われるため、運転者の技能差による燃費のバラつきが少なく、且つベテランドライバーに近い燃費性能である。
3.初心者でもM/Tの運転が容易
M/T車と同じシフトパターンでシフト力も軽いため初心者でも容易、確実に操作できる。また誤操作によるミスシフト時もECUがシステムを保護し、安全な走行が継続できる。
4.クリープが少なく安全性が高い
トルクコンバータ式自動変速機とは異なり、クラッチにより完全に動力が遮断されるため、クリープ現象がなく不注意による事故を防止できる。
5.自動変速車で押しがけが可能
自動変速機では不可能な緊急時の押しがけによるエンジン始動ができるため走行不能になる事が少なくなる。
6.その他HSAやオートクルーズ等、ハード、ソフトの両面で数多くの新技術を採用し総合システムながら、高い信頼性と耐久性を確保した。

保管場所:(株)いすゞ中央研究所(〒252-8501 神奈川県藤沢市土棚8番地)

製作(製造)年:1984

製作者(社):いすゞ自動車株式会社

資料の種類:量産品

現状:使用中・公開

名称 / 製作
型式名:なし

会社名:いすゞ自動車㈱

適用車種:乗用車(いすゞアスカ)

実用化年:1984

装置構成:1.アクチュエータユニット:クラッチ及びトランスミッション制御用一体型油圧式ユニット 2.パワーユニット:自己圧力制御機能付きアキュムレータ一体型油圧ポンプユニット 3.コントロールユニット:大型セラミックス4層基板にちっぶ素子のサーフェースマウントを採用した超小型ECU 4.HASユニット:専用電磁弁を採用した坂路発信補助装置 5.インジケータユニット:シフト位置、ギヤ位置の表示及びシステム警報ランプ、故障コードのデジタル表示ユニット

仕様

効能
機能・作用等:1.自動変速、手動変速機能:D3、D4レンジでは走行状況に応じてECUが最適ギア段に自動変速、D1~D4レンジをマニュアル操作すれば、レバー位置に応じたギア段に変速
2.クラッチの自動断続機能:発進・微速・変速・停止の各運転状況に最適なクラッチの自動継続
3.スロットルの開閉機能:発進、走行時のアクセル使用時等のエンジン負荷に対する自動補正
4.HAS機能:坂路停止時等にブレーキ力を保持、発進時トルクの伝達点を検出してブレーキ力を自動解除
5.オートクルーズ機能:設定速度に対し自動変速機能も使用して坂路等でも精度よく速度維持
6.自己診断・バックアップ機能:高精度の故障診断と確実なバックアップ及びミスシフト、オーバーランを防止

効果:1.エレクトロニクスを活用し、燃費等手動変速機の特徴を活かしながら、自動変速機の運転の容易さを両立
2.エンジン、クラッチ、トランスミッション、ブレーキ等を総合的にきめ細かく制御し、今日の車両総合制御技術やメカトロニクス技術等、「Drive by Wire」の草分けとして大いに貢献

エピソード・話題性:マニュアルトランスミッションを電子制御により完全自動化した世界初の全自動5段変速機として自動車業界のみならず、油空圧、機械、エレクトロニクス各業界から賞賛された。

特徴:従来のマニュアルトランスミッション、乾燥単板クラッチを用い、ベテランドライバーの運転操作や感覚を人間工学的に解析し、人間が手足で行う運転動作の大部分を電気-機械系に置き換え、場合によっては人間以上の操作を行うシステム。
1.自動変速、手動変速が選択可能
2.燃費がよく、バラつきが少ない
3.初心者でもM/Tの運転が容易
4.クリープな安全性が高い
5.自動変速車で押しがけが可能

参考文献:1.渡部 陽、窪田昌史、畔柳楯三、斉藤英夫、木島栄一他「いすゞアスカ用イージードライブシステムの開発(特集)」いすゞ技報Vol.72、1984
2.畔柳楯三他「マイクロコンピュータによる機械式クラッチ及びトランスミッション制御」自動車技術会<駆動系の計測と制御>シンポジウム、1984
3.A. Watanabe、J. Kuroyanagi、H. Saito、T. Hattori「Isuzu New Transmission Control System」、JSAE Review、1984-11
4.A. Watanabe、J. Kuroyanagi、T. Hattori「Microcomputer Mechanical Clutch and Transmission Control」、SAE Paper、No. 840055
5.秋間秀夫他 富士通技報「FUJITU」Vol. 35、No.3、 1984

その他事項:設計者(代表):石原正紀;協力者:富士通㈱、㈱ゼクセル;実写所在:㈱いすゞ中央研究所;装置電源:12V;作動油:NAVI専用オイル;作動油圧:3.7~5.0Mpa;クラッチアクチュエータ推力:1373N以上;シフトアクチュエータ推力:343N以上;セレクトアクチュエータ推力:98N以上;コントロールユニット:8ビットマイコン(RAM192バイト、ROM 8kバイト)、入出力55回路;エンジン:4ZC1(ガソリン、1.994L);クラッチ:乾燥単板(直径215mm);トランスミッション:MTA型5速TM;駆動方式:前輪駆動(FF)方式;シフトパターン:パワーレンジ付きHパターン;


NAVi5

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/04/16 08:17 UTC 版)

NAVi-5(ナビファイブ、New Advanced Vehicle with Intelligence 5-Speed)は、いすゞ自動車が開発した自動車用のオートマチックトランスミッション(AT)を中心としたシステムの名称である。

世界初の電子制御式自動5速トランスミッションで、変速機のみではなく、オートクルーズ機能や、坂道発進補助装置 (Hill.Start.Aid) などの機構も含まれる。

1983年の夏頃に概要が発表され、1984年9月に同社の乗用車である初代アスカに初めて搭載されて市販された。のちに同社の2代目ジェミニや4代目エルフ、キュービックにも搭載された。

NAVi-5の技術は、のちに同社のトラック用電子制御トランスミッションであるスムーサーへ発展し、スムーサーEは小型トラックのエルフ (ELF)、スムーサーFは中型トラックのフォワード (FORWARD)、スムーサーGは大型トラックのギガ (GIGA) にそれぞれ搭載された。

概要

シフトパターン図
(D4レンジ追加前)

NAVi-5の機構はトルクコンバータとプラネタリーギアを用いた一般的なATとは全く異なり、マニュアルトランスミッション(MT)と基本的に同じクラッチと変速機を、コンピュータが機械的に制御して自動変速するオートメイテッドマニュアルトランスミッション(AMT)となっている。クラッチの断続と変速操作は油圧アクチュエータが担い、アクセルペダルの踏み込み量、スロットル開度、エンジン回転数、走行速度などからコンピュータが最適なギアを選択する。というのが自動変速機としての基本的なシステムである。スロットル制御はドライブ・バイ・ワイヤとなっている。

これらのエンジン、スロットル、ギア、ブレーキなどの統合制御を用いていたことから、それを利用してクルーズコントロール機構を比較的容易に設定する事ができ、NAVi-5搭載車には当時、一般的には高級車にしか装備されていなかったクルーズコントロールが標準で搭載されていた。

シフトレバーは、一般的なATの直線的なゲートとは異なり、手動変速での運転を楽しめるように4速MT様のシフトパターンを持つ。ポジションは

  • 「1」(4M/Tの1速の位置):1速固定
  • 「2」(2速の位置):2速固定
  • 「D3」(3速の位置):1 - 3速自動変速
  • 「D5」(4速の位置):1 - 5速自動変速
  • 「R」(Rの位置):リバース

である。
その後、初代アスカや2代目ジェミニの最終型では「D4」レンジが追加され

  • 「1」(5M/Tの1速の位置):1速固定
  • 「2」(2速の位置):2速固定
  • 「D3」(3速の位置):1 - 3速自動変速
  • 「D4」(4速の位置):1 - 4速自動変速
  • 「D5」(5速の位置):1 - 5速自動変速
  • 「R」(Rの位置):リバース

と、結果として一般的な5速MTと同じシフトパターンとなった。「マニュアルモード」が設定され、各ギアを任意で選ぶ「クラッチレスMT」として走行できるようになった。ただし、コンピュータが危険であると判断した場合はシフトレバーを操作しても実際には変速されない。

トランスミッション本体はMT車と同一で、使用する油脂は一般的なオートマチックトランスミッションフルード (ATF) ではなく、他のいすゞ製乗用車と同じMT車用のミッションオイルである。しかし変速制御系の油圧回路には、BESCO NAVi5と呼ばれる専用油脂が用いられた。この油脂は元々は油温による特性変化の少ない航空機作動油であり、変速速度が油温で変化しないようにするための策であった。そのためATF販売メーカーによっては、NAVi-5フルードが航空機作動油であることを明記した上で、絶対にATFの注入は行わないよう注意している例が見られる[1]。

2019年現在、NAVI-5の油圧回路へ使用可能なオイルの名称はBESCO TILT UP OILである。

開発の経緯と背景

NAVi-5の開発は、「カメラやオーディオなど生活の隅々にまで進出しているコンピュータを、クルマの走りや味わいに生かす事はできないだろうか」という一人のエンジニアの素朴な夢から始まったといわれる。休み時間の雑談で若いエンジニアたちの共感を呼び、プロジェクトはスタートした。ただし、この時点では具体的に何を研究、開発するかは決まっていなかったというが、討議を重ねるうちに「マニュアルトランスミッションの超能力感性ロボット運転」にテーマが収束した。具体的なイメージとしては、人間の感覚、感性を理解したロボットが人間に代わってギアシフト、クラッチ、アクセル操作を行うというものである。

いすゞの藤沢工場にある研究部門で研究がスタートし、廃車寸前の1台のジェミニを譲り受け実験台に用いた。この段階では、クラッチ、ギアシフトを圧搾空気で作動させるべくエアボンベやエアシリンダーを用いた操作系に改造され、メンバーの一人は、3段の折り詰め弁当のごとく巨大なコンピュータユニットを製作し、一方、プログラムの元となる操作ロジックの検討を重ねるメンバーもいた。こうして、開始から6ヶ月程過ぎた頃、実験車は一応完成し、曲がりなりにも走行する事に成功した。

この時点までは、このプロジェクトは会社の正式な業務ではなく、あくまでも「有志による私的な研究」(クラブ活動的な)であり、研究は休み時間や終業後、休日などに行われていたが、走行に成功した頃、休日に工場の敷地内で走行実験をしていた際、たまたま通りかかった社長の目にとまり、半年後にもう一度社長自ら試乗したいとの話となった。これを開発メンバーが上司に伝えたところ、社内でも注目を集め、正式な業務としてのプロジェクトに昇格した。

この背景には、

  • いすゞは当時、GMの「グローバルカー(世界戦略車)構想」に参加しており、Jカー(いすゞ版は初代アスカ)の開発ではマニュアルトランスミッションの開発と製造を担当し、世界各地で生産されるJカーにMTを供給していたが、このクラスでもAT車比率が高まり、将来的にはMTの需要は減退する事が予想された。
  • 日本ではアスカのライバル達のATは高度な多段式(電子制御などを備えた4速AT)に移行しつつあったが、アスカには旧式な3段ATしか無く、しかも、完成度の高い輸入品(GM製)に頼っていた[2]。

などのいすゞ社内の事情があった。後にNAVi-5として結実するMTベースのATにより、低コストで高度な多段式ATを手に入れ、しかもMT需要の減退にも対処できると考えられたため、NAVi-5の開発にゴーサインが出たのである。

評価とその後の展開

NAVi-5はトルクコンバータ方式に比べ変速がより直接的であり、動力伝達ロスの減少や燃費の改善などが期待されたが、当時の電子制御技術ではきめの細かい制御ができず、自動変速モードでは多様な運転パターンにうまく対応できない場面もあった。また手動変速モードではレバーの操作と実際に変速されるまでに微妙なタイムラグが生じ、一般的なATのようなクリープ現象が起こらないなど運転には多少の慣れが必要であった。さらに、イルムシャーなどNAVi-5に対応できなかった車種(グレード)もあり、初代アスカ、2代目ジェミニともに、必ずしもすべてのグレードにNAVi-5が設定されていたとは限らなかった。販売期間中の改良もD4レンジとマニュアルモードの追加に留まっている。

販売不振もあって、乗用車では初代アスカと2代目ジェミニ以外では採用されなかった。同時期に販売されていたファーゴ、初代ジェミニ(ディーゼルのみ)、初代ピアッツァ、ビッグホーン、ミューといったFRもしくは4WDレイアウトの車種については、FF用に設計されたNAVi-5を搭載することは物理的に不可能であった。3代目ジェミニと2代目ピアッツァでは、コストを削減することができる電子制御などを備えたジヤトコ製の油圧式4ATが採用されている。

その後、いすゞは乗用車の開発・生産を縮小(最終的には撤退)したため、乗用車用システムとしては発展しなかった。一方でトラック用としては開発が続けられ、エルフに搭載されたものは世界初のダイヤル式セレクタースイッチを採用した。中型車や大型車には発展型のNAVi-6を810やフォワードに搭載した。現在ではスムーサーE・F・Gへと発展的に継承され、12速制御化まで進化を果たしている。

バス用としてはキュービックに採用され、横浜市交通局や京王帝都電鉄(現・京王電鉄バス)など、機械式AT車を好む一部バス事業者に集中的に納入された。当初は油圧駆動であったが、1995年のマイナーチェンジ以降はフィンガーシフトとほぼ同一構造のエア式となり、2000年の生産終了まで設定されていた。後継のエルガには6速AMTが採用されている。

NAVi-5の生産終了後、乗用車では1990年代よりルノー・トゥインゴがイージーシステム(自動変速機構を持たないクラッチ操作のみ自動化されたAMT)を採用したのを皮切りに、フェラーリ・F355のF1システム、BMW・M3といったハイパフォーマンスカーに乾式クラッチ式AMTが搭載され始める。2000年代後半には、欧州車を中心として乾式クラッチ式のAT(DCTなど)が広がりを見せた。

NAVi-5以降の日本製乗用車への目立った搭載はなかったが、トヨタ・MR-SにBOSCH製のAMT制御機構[注釈 1]が採用され、2010年代にはスズキが簡素化した同様のマニエッティ・マレリ製AMT「AGS」を軽自動車に搭載するなど、類似のトランスミッションを採用する事例がみられた。

脚注

注釈

  1. ↑ 変速機自体はアイシン製で、アクチュエータやECU等がBOSCH製。

出典

  1. ↑ 油脂製品 千代田デンソー株式会社
  2. ↑ カーグラフィック1984年11月号のいすゞ・アスカNAVI-5より。

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